ALDNOAH.ZERO -Earth At Our Backs-   作:神倉棐

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5/2「迂回路」

5/2「迂回路」

 

【日本近海 太平洋洋上 11月21日 12時34分】

〈Exclusive Economic Zone of Japan 1234hrs. Nov 21, 2014〉

 

 

避難/戦場生活2日目、今日も今日とて昼食も摂って特にやることもやれることもない一帆たち民間人組*1は大人しく艦内食堂で屯っていた。

 

スペ3(スペードの3)

スペ5 (スペードの5)の縛り」

「クラブの8、8切りでハートの9からQ(9・10・J・Q)で革命!」

「残念、ダイヤの3・4・5にジョーカーで反革命」

「ウッソだろぉぉおぉぉって⁉︎」

「うわ、カームドンマイ♪」

「さっすっが会長ー、最高っすね♪」

 

そして彼らが屯ってやっているのは伊奈帆が一帆の作ってあったマニュアル通りに荷物に詰めて持って来ていたトランプ一式での「大富豪(大貧民)」。丁度今は一帆・韻子・カーム・起助の4人組での対戦中であり、カームが仕掛けた一世一代の大博打である革命をあっさり一帆が反革命でひっくり返したところであった。

 

「んじゃ、スペードのエースであがり」

「おつかれさま、カズ兄。また大富豪だね」

 

宙に手札のカードを撒き散らしつつ椅子から背後にひっくり返ったカームを尻目に、華麗にスペードのエースでかつ1番にあがった一帆に向けて伊奈帆はそう言う。

 

「で、そっちは?」

 

そんな伊奈帆の世辞じみた言葉を軽く聞き流しつつ、一帆は大富豪に参加していなかった伊奈帆たち──伊奈帆やソラの兄妹(次男次女)たちとアセイラムやシャルロットにエデルリッゾを含めた火星組たちが別のトランプ遊びをしているテーブルへと目を向ける。

 

「ひめっ……じゃなかった、お姉様頑張って下さい!あと少しです!」

「ファイトです!ひめっ……じゃなくてセラムさ…ん‼︎」

 

伊奈帆たちのテーブルの上で行われていたトランプ遊び、それはトランプ初心者でもルールが分かりやすい「ババ抜き」であった。

 

───……の、割にはなんか凄いことになってるけどナニコレ?

 

早々にあがれたらしい伊奈帆やシャルロットにエデルリッゾだが、そんな伊奈帆を他所に残ったビリを決めるソラとアセイラム(侍女2人組の応援付き)の白熱した一騎討ちに「大丈夫なの?アレ?」とでも言いたげな目線を伊奈帆が向けて来るが一帆は「知らんがな」と返す他にない。

 

「ま、セラムさんたちがトランプ……っていうか()()()()()()()()()()仕方ないんじゃない?」

 

そもそも一帆たち「大富豪」組と伊奈帆たち「ババ抜き」組に分かれていた原因はそれぞれトランプで知っている遊びのルールが皆バラバラであったためである。

 

「まぁ……そうだけど」

「しょうがないっちゃ、しょうがないだろう……お姫様がトランプでババ抜きとか大富豪とかする訳ないんだから」

 

そこで一帆と伊奈帆は揃ってため息を吐く。確かに地球出身であれ火星出身であれトランプとは当たり前の物、ただ復興の最中であれ比較的豊かで民主主義の地球とゆとりのない過酷な環境下かつ貴族主義の火星ではトランプ遊びと一括りにしても遊び自体が異なるのだ。例えば地球では年齢や個人の好みによってババ抜きやら大富豪やら多様的な遊び方が普及しているが、貴族主義の火星ではブラックジャックやポーカーなどの如何にもと言いたくなる遊び方が主流でありそもそも平民階級でもさらに下級ともなればトランプ自体触れたことのない者さえ存在する有り様である。元が中流階級出身だった侍女組はともかく、上流階級も上流階級な火星の皇位継承者第一位でかつ第一皇女であるアセイラムもまた当然皇室教育の一環としてブラックジャックやポーカーのルールは学んでも、教える側も教える側なので庶民がするような遊びのルールは詳しくどころか下手すりゃ一切習わない訳だ。

 

「ええと……こちらです!ああっ⁈」

「残念、そっちがジョーカーだよ♪」

「嗚呼、おいたわしやひm……お姉様」

「惜しい、惜しいですひm……セラムさん!」

 

故にアセイラムのことを気遣って最初は全員でババ抜きをする予定だったのだが、流石に9人でババ抜きはカードに対し人の方が多過ぎた。よって人数を半々に分けてトランプで遊ぶことになった訳だが……まあ、アセイラムたちが楽しそうなのでこれで良かったのだろう。

 

「あ……っ⁉︎」

「あ、ハートの2とダイヤの2が揃った。じゃあ私の勝ちだね」

 

「はい、クラブの4であがり♪」

「よっしゃっ!俺もダイヤの6であがり!ドンマイ、カーム。これで3連続大貧民(ビリ)だな」

「なァんでェさぁあぁー⁉︎」

 

そして丁度今、2組ともにそれぞれのゲームが終わったらしい。イチ抜けはそれぞれ一帆と伊奈帆、逆にビリとなったのはカームとアセイラムが、と結果としては中々に「そうなるな」と言いたくなる結果だった。

 

「うう……勝てません……」

「おいたわしやお姉様……」

「つ、次は勝てますよ!セラムさんなら」

 

しょんぼりした顔をした負けず嫌いなアセイラムと、ハンカチ片手に嘆くエデルリッゾ、何気に伊奈帆に続き2番であがってしまったがためにとにかく励ますしかないシャルロットの3人を見た一帆は「やっぱりちょっと選択間違えたかなぁ」と内心思う。

 

───トランプならハズレがないと思ったんだけどこれは想定外

 

万人受けを狙ってトランプを選んだものの思わぬ落とし穴に嵌ることになった一帆は、今度はトランプ以外の遊び──それも今度は逆に皆が皆ルールを知っている訳ではないものを選ぼうと伊奈帆が準備して持ち込んでくれた自分の鞄を漁る。

 

「じゃあそうだな……次はみんなでできるTRPGでもやろう。D&D(ダンジョン&ドラゴンズ)とかクトゥルフとかのゲームブックやダイスも伊奈帆が一緒に持って来てくれてたしな」

 

そして見つけたのはポケットTRPGルールブックと多面ダイスセットの2点、TRPGならば初心者には少々難しくとも最悪ダイスの女神様の御加護と最低限のコミュニケーション能力さえあれば良くも悪くもそれなりにワイワイできる。何より進行役兼まとめ役のGMにはそれなりに負担が掛かるが多人数でもできる上、直接参加しなくともゲーム見ているだけでそこそこ面白いのも利点であった。

 

「会長、準備良過ぎません?」

 

先程まで遊んでいた2組のトランプを片付けてつつ、次にやろうと考えたTRPGの諸々の準備を始めた一帆に韻子がそう言う。

 

「まぁね、辛い時ほど皆でワイワイやるのが一番さ。……それに一昔前にイギリスだかの欧州のエリアで配られた戦争時の行動マニュアルには「避難先(シェルター)には何かかしらボードゲームかトランプのような非電源系のゲームを持ち込め」と書いてあったらしいからね。それと同じだよ」

 

良くも悪くも慣れている伊奈帆やソラならばともかく身内でない者からすれば少々奇怪にも思える一帆の準備の良さだが、馬鹿正直に「原作知識で知ってました」なんて言えないが故にそれに対する理論武装(言い訳)はちゃんと用意してある。

 

「へぇ……大陸紛争か第一次内惑星戦争の頃ですか?」

「まあ……大体その(東西冷戦)頃だね」

 

韻子の想像もあながち間違ってはいないのだがそれは若干ニュアンスや世界線が異なる世界の昔の話であり、それが分かるのは今ここには一帆しかいない上にあえてその誤解を指摘する必要も一帆にはない。

 

「ライエさんもやらない?」

 

ある程度の準備を終えた一帆は食堂の隅、船体に設けられた船窓を背にもたれながら暇そうに腕を組んでいたライエに向けて参加を促す。

 

「……なんで貴方はそんなに私に構うわけ?ほっとけば良いじゃない」

 

案の定、嫌そうな顔と声色で一帆を拒絶しようとするライエ。しかし彼女が一度拒むのも一帆の想定内、直接彼女が「イヤ」とでも口に出して言わない限り一帆には今の不安定な彼女を放っておくことなどできない。

 

「それはさっきも言っただろう?こういう時はできるだけ多くの人でワイワイやるのが一番だからだよ。それに……」

 

見かけによらず、精神的に非常に不安定な彼女。確かに同じ火星人であり色々と複雑な因縁のあり過ぎるアセイラムやシャルロットにエデルリッゾと一緒の空間に長時間居させるのはやや彼女に酷であり、博打も過ぎるがそれ以上に一帆の見えない所で放っておくには危険過ぎる。

 

「たった一回とはいえ君とは共に出撃した仲間──いわば「戦友」みたいなものだろう?ならちょっとくらいは親睦は深めたいものさ」

 

そう、それにだ。打算として確かに監視の意味合いがない訳ではない、だがやはり共に戦いこれからも戦うことになる運命共同体である「戦友」として、生まれも育ちもその過去さえ関係なく友を心配するのも仲良くなりたいのも全くの嘘ではないのだ。

 

「フン……分かったわよ……好きにすれば?」

 

そしてそんな一帆の意図が通じたのか、彼女は渋々といった感じではあるものの大人しく一帆たちのいる(テーブル)──案の定、気不味いのか気に入らないのかアセイラムたち火星組とはより離れた丁度対角線上の位置となった一帆の隣の席に着く。

 

───ツンデレかな?まあ楽で良いんだけどさ

 

そんなギスギスとはいかずとも何処か緊張感の漂う卓となった一方で、何気にそんな失礼なことを考えていた一帆はソレを表にはおくびにも出さず、あえてニコニコと気付かない振りで笑いつつ参加者を含め全員に紙と鉛筆を配る。

 

「じゃあ参加する人……まあ今回参加しない気の人も実際にダイスを振ってキャラシートを作ってみてよ。多分キャラシートを作るだけでもそれなりに楽しめるだろうし、ゲームの進行や操作方法も理解しやすくなるだろうから」

「カズ兄は?」

「俺は今回は言い出しっぺだしルールも知ってるからKP(キパー)役、みんながキャラシートを作っている間に簡単なヤツのシナリオでも読み込んでおくよ」

「了解。KP、オススメ技能は?」

「基本に忠実に〈目星〉と〈聞き耳〉かな?戦闘がない訳ではないけど初期値(15)もあるから充分だとかはやめようね?」

 

熟練者揃いや酔っ払っているならともかく、初心者ばかりの卓で変に極端な技能を振られてもKPとしてPLたちをシナリオクリアに導ける気が全くしない一帆の懇願じみた忠告を受けて伊奈帆たちはダイス片手に自分のキャラクターの製作へと取り掛かる。最終的に伊奈帆と韻子、起助、アセイラム、シャルロット、ライエの6人が参加するらしく、残りの者は今回は見学で構わないようだ。

 

「よしよし、なるほど。今回は6人だね。じゃあ始める前に簡単に自分のPLキャラの紹介を──」

 

《愚蒙なる地球の民に告げる》

 

全員分のキャラシートを一度回収して問題がないかどうか確認した後、再度返却した一帆がシナリオ開始前に自己紹介でも挟もうとしたその時。食堂内に据え付けられていた液晶画面(テレビモニター)が突如点灯、何処からか受信したその映像を映し出す。

 

《我らが偉大なるヴァース帝国皇帝レイレガリア・ヴァース・レイヴァース陛下は地球連合政府に対する休戦を布告なされた》

 

映し出されたのは貴族らしき装束を着た火星の男、唐突に映像を映し出したその画面にそこにいた誰も彼もの視線がソレへと向けられる。

 

「……真面に通信できないのに、こんな海賊放送……」

 

そしてそんな実に一方的で身勝手な内容の放送を目にした者の中で、ぽつりと韻子がこぼしたこの場にいる全ての人の心の代弁であるかの如き呟きが食堂内の液晶画面へと集った人々の喧騒の中であるというのに何故か一帆たちの耳にはしっかりと届く。

 

「……おじッ……火星の皇帝陛下が火星騎士たちの行き過ぎた行動を止めようとしている……のではないでしょうか?」

 

そんな放送と呟きをこぼした韻子の姿を見て何か言いたげだったアセイラムが控え目にそう言うが、その場にいた一同の反応はあまり芳しくない。本戦争の開戦以降、条約を破りに破る蛮行を積み重ね一方的に侵攻してきた火星騎士とこの放送で嫌というほど理解した火星本国政府の対応の遅さとぐだぐださに、もはや()()()()()()()()()()()()()()()()()地球人にとって火星人で一括りにできる存在に対しての信頼度はゼロ──それどころかマイナスにすら振り切っていそうな今の状況で、()()()()()()の火星のお姫様である彼女の言葉は余りにも「楽観的」であると言わざるを得なかった。

 

「会長はどう思います?」

 

それ故にか、この集まりでも年長であり今まで生徒会長としてや指揮官として伊奈帆たちを引っ張ってある程度の信頼を得ていた一帆が意見を求められることになっていた。

 

「さてね。火星は帝政(独裁)国家、まず近代や近世のそれらの国家から考えれば当然意思決定ならびにその指揮系統は本来皇帝へと一本化されていると考えるべきだ」

 

それに一帆は現段階では誰ひとりとして正確に知ることのない原作知識を交えて所見を述べる。まず一帆が述べた本来あるべき独裁国家の基本形とは、それは皇家への権力の集中、すなわち中央集権であり絶対王政である。

 

「が、どうもこの第二次内惑星間戦争の状況を見てみるとそうじゃないらしい」

 

しかし一帆は火星側の海賊放送が繰り返し流される据え付けの液晶画面を見遣りつつそう言う。

 

「ちょっと待って下さい⁉︎……つまり火星本星の意図と今直接私たちを攻撃している軌道騎士の思惑が乖離してるってことですか⁈」

Exactly(その通り)。まあ我々が帝政とか王政って聞くとどうしても権力が王様へと一本化し、皆が皆平等にたった1人の王様へと主従を誓う絶対王政を思い浮かべるけれど火星側に関してはそれとはちょっと違う。もう少し古い時代の形態、御恩と奉公かつ王と貴族は主従関係にあってもその貴族に仕える騎士が王とは主従関係にはない封建制度的な国家形態らしいんだ」

 

そもそも火星の貴族、名門*2と称される37家門の火星騎士たちも遡れば火星開拓やアルドノアドライブ研究において一定の功績を残した者たちがその起源らしい。そんな彼ら彼女らが初代皇帝に対し忠誠を誓う代わりに古代文明の超技術(アルドノアドライブ)の起動権を貸与された結果生まれたのが火星騎士たちであり、そんな騎士たちを「御恩と奉公(ギブ・アンド・テイク)」という利害関係でまとめ上げさらに強固な血統による階級制度を敷くことで今の「ヴァース帝国」という()()()()()国家の形を拵えた初代皇帝もとい現皇帝のレイレガリア・ヴァース・レイヴァースの手腕とカリスマ性とやらは実に見事としかいい様がない……まぁ今は老害化しているが。

 

───「火星版御恩と奉公」か、土地をアルドノアドライブに置き換えたようなもの……とでもいうべきか

 

火星でいう「御恩」とは貴族として信頼の証として皇帝から貸与されたアルドノアドライブとその起動権であり、「奉公」とは貴族が皇帝向ける忠誠と献上される税や軍役といったものが該当するのだろう。正に土地の要素がアルドノアへと入れ替わっただけの封建制度そのものであり、シンプルであるからこそ統治者は人を従えやすい訳だ。そこまで考えてふと、一帆は日本に住まう日本人ならば必ず日本史の授業で習う日本における封建制度のとある末路──鎌倉幕府の崩壊と滅亡を引き起こした要因のひとつである「元寇」を思い出す。

 

───もしかしたら二代目皇帝(ギルゼリア・ヴァース・レイヴァース)が地球侵略を実行に移したのもここに理由があったのかもしれないな

 

土地とてそうだが無限の可能性を秘めた古代異星文明の超技術とはいえ、アルドノアドライブ起動権の価値とはあくまで使ってこそ意味がある。つまり持っていて嬉しい飾り物や置物でなくそれらを使って何かしらを生み出してこそ意味があるのだ。

 

───最初はどうだったかまでは知らないが第一次・第二次内惑星間戦争の資料を見た限り、どう見ても火星側のアルドノアドライブの使い道は軍用だ。ならその価値を発揮するには戦争(戦う)しかない

 

火星との利権問題や貿易摩擦を端とした地球に対する不満を隠れ蓑に、御恩として配る起動権の価値の維持と地球という空気や水を中心とした各種資源を豊富に抱えた土地を領土として獲得し新しい褒美と(支配制度を維持)するための地球侵攻だったのでは?と思い至った一帆はその余りの火星側の碌でもなさと、完全にとばっちりを喰った格好の地球側の有り様に内心ゲンナリとした顔になる。

 

「そもそもこの戦争の一番最初、開戦自体に違和感はなかった?」

 

そしてそんなゲンナリとした内心などおくびにも出さず、一帆は今度はこの戦争の開戦経緯そのものへも言及した。

 

「え?火星のお姫様がテロで暗殺されたからじゃ……?」

「そう、そこ。親善大使として訪れたお姫様が暗殺された()()()からそれを大義名分にこの戦争は再開した」

 

確かにいつの時代も王侯貴族の「暗殺」というのは戦争という「攻撃的外交手段」に対して確固たる大義名分を与えるものだ、それが中世の貴族主義全盛の時代に逆行している火星ならば尚更だろう。もしこのテロが単なる不幸な事故であったならばもっと単純に話し合いで片付いたやも知れなかっただろうが、最初から仕組まれたテロであったことから火種は一気に燃え上がり戦争までこぎつけてしまった。

 

「でもさ、よくよく考えてみたら色々とおかしいと思わない?」

 

999歩譲って宣戦布告ナシに南極条約(休戦協定)を破って戦争をおっぱじめた件に関しては奇襲なり火星が陸戦条約を結んでいないからでまだ理解できるが、鞠戸大尉が言うようにずっとソラで「備えていた」にしてはテロ直後……いやそれ以前から開戦に至るまでが全体的に用意や手際が良過ぎるのだ。

 

「あのテロにだってそう、テロの実行犯が()()()()()()()()けれど使った手段がSSM(地対地ミサイル)──それも発射器をトラックに偽装した代物だぞ?その辺りの理系大学生が作ったお手製爆弾を積んだ特攻テロなんてちゃちなもんじゃない、出所不明の純然たる兵器が公然と使われた軍事作戦じみたテロなんて前代未聞だ」

 

それにおかしいのはテロに用いられた手段だけでなくテロリストのテロ後の動向もだ。ニュースでも報道されていたが、何故かテロに用いられたらしいSSM発射器搭載の偽装トラックがSSMを撃ち切ったまま現場に残されていたらしい。

 

───あり得ないだろ。工作員とはいえ民間人でありながら出所不明のSSMを軍や公安に捕捉されずに用意して実際に暗殺を実行しておきながら、自分たちの正体の手がかりにも成りかねない凶器を現場にみすみす残していくなんて

 

テロが起こるまで公安などの当局に一切捕捉されず実行までしでかした実行犯グループが証拠となるSSMの発射器をまるまる無傷で現場に残していくなど、やけに詰めが甘い上に「自分たちがやったので疑って下さい」と声高に言っているようなものだ。

 

「なのに外交的解決努力もなしに火星側は──特に地球の衛星軌道上に居座っていた軌道騎士たちはお姫様の弔い合戦と称して、今のこの海賊放送を見る限り本国の、それも火星側の最高意思決定機関であり軍の最高指導者でもあるはずの皇帝の承認も無しに戦争をおっぱじめた訳だ。いくら火星側が中世の血統や名誉を重んじる貴族主義的封建制度に逆行しているとはいえ、そんな臣下の暴走は王政や帝政の国家では……いや軍部の暴走なんてものは普通の文民政府でもあってはならないことだが、それ以上にただでさえ軍閥化しやすい今の火星の貴族主義だからこそよりあってはならないことのはずなんだ。つまるところ、火星側は一枚岩じゃない」

 

一帆は言外に暗殺事件を裏で糸を引いていた存在が、一体何処の誰なのかを匂わせるかのように言及する。さらに地球側にとって碌でもないことに火星本星と旧月面基地や地球軌道の軌道騎士たちは同じ「火星人」や「火星軍」と括ることはできても、それぞれ向いている方向性が全くといっていいほど異なる。具体的には距離のある火星本星は耄碌老害ジジイを含め状況の把握に手一杯で身動きが取れず、近場である火星の勢力下にある旧月面基地や軌道騎士たちは一応全体としては「懲罰軍」としての体裁こそ整えているもののその実態は国家による一元的統制ではなく37家門の騎士たちによる個別統制で戦うことを旨とし領土や手柄争いに終始した軍閥に近い組織体系となっている有り様である。

 

「つまりはだ」

「このままじゃ、戦争は止まらない」

 

一帆の言葉を継ぐように伊奈帆は最悪の想定を口に出す。敵は皆が皆バラバラの目的で行動しており、この内どれかと交渉できたとしてもそれが誰であっても──例え本国の皇帝でも──今や全体の行動を止めることは不可能といってもいい。唯一可能性があるとするならばこの戦争が始まったキッカケであり、侵攻側の大義名分である「姫君の死」を覆すしか方法はない。

 

「そう、戦争は終わらない……たったひとつの希望を除いて」

 

一帆は残された唯一の希望であるお姫様を一目見ると船体に開けられた船窓の向こう側、水平線の向こうまで広がる太平洋とその空に目を向ける。黒々とした海と雲に覆われた暗雲とした空、それが今後の道行の過酷さを示した予言であるかのようで、どうしようもないくらい今の一帆は己が語ったその未来予想に酷く嫌な予感を感じずにはいられなかった。

 

 

〈*〉

 

 

【日本近海 太平洋洋上 11月21日 13時11分】

〈Exclusive Economic Zone of Japan 1311hrs. Nov 21, 2014〉

 

あの後、結局TRPGをやるような雰囲気ではなくなったせいでやるのは後日(お流れに)となったためにやれることも碌になくなってしまった一帆は、わだつみ艦内の格納庫へと訪れていた。

 

()()()()

 

多くの人が忙しなく行き来し、何かしらの作業に取り掛かっている様子を一通り眺めた一帆は、その中で探していた目的の人物を見つけその名を呼ぶ。

 

「堅苦しいね、整備長と呼びな」

「了解です、桜木整備長」

 

一帆が探していた人物──桜木 綾美(さくらぎ あやみ)軍曹はそう言って今まで整備を指揮していた()()()()()から離れ一帆の下へと歩いて来る。パッと見た限り一帆と比べて小柄であり実際に2人が並んでみればまるで親と()の程の身長差ではあるが、「人は見た目によらず」を地でいくかの如く彼女はこの強襲揚陸艦(わだつみ)だけでなく極東方面軍でも有数の御歳63歳の(でぇ)ベテランである。

 

「機体の方、どうですか?」

 

そんな大ベテランの整備長にわざわざ一帆が会いに来たその理由とは、やはり機体についてであった。

 

「ん?どっちのだい?」

「複座の方です」

 

隣り合わせになるように駐機ハンガーに格納されたTKG-6BとYKG-X07を見て、整備長に「どっちの?」と聞かれた一帆は迷わず自機である「TKG-6B(複座)の方」と即答する。

 

───いや、どこをどう考えればあんなゲテモノ機体の話を聞きに来ると思うんだよ?

 

変に間を空けて罷り間違ってYKG-X07(ゲテモノ機)を押し付けら(と勘違いさ)れても困る一帆の必死の抵抗が通じたか、どちらの機体についてかを正確に把握した整備長はTKG-6Bへと目線を向ける。

 

「まあ、良かないね。金髪と黒髪の小僧が()()()()()()()*3にちゃんと部品集めをやってたようだが、取り替えるのだって簡単じゃないんだ。手隙の若いのを総動員で組み直しちゃいるがまだまだかかるよ」

 

整備長に続いて一帆が向けた視線の先では頭部を除いてほぼ全ての装甲板がメンテナンス用に開放されているか、そもそも装甲自体が外され駆動系などの内部フレーム部分が剥き出しになっている。それに彼女が言った通りTKG-6Bの周りには他の整備中の機体と比べ整備兵が3〜4人ほど多い、総勢9人がかりでの総整備・総点検が行われているようだ。

 

「どれ位かかりそうですか?」

 

TKG-6Bを中心に格納庫の床に広げられた数々の部品──歪んだりへこんだりした装甲板を筆頭に、過負荷で焦げ付いたモーターや所々断線した電気伸縮式特殊樹脂、さらにはどこに付いていたのかさっぱりなひしゃげるか折れたかした螺子にナットなどなどの山に、どれだけ修理に時間がかかるのか不安になった一帆が整備長に向けそう尋ねる。一帆のそんな問いに問われた側の整備長は暫しの間目を瞑ると、先程部下から受けた損傷度合いの報告を基に今までの経験と長年の勘を駆使して必要日数を計算する。

 

「そうさね……フレームの補強や装甲の張り替えだけならそれぞれ1日、関節部モーターや電気伸縮式特殊樹脂の駆動系周りの交換に1日半の計3日半……いや検査も含めれば最低4日といったところかね?」

「……でしたらフレームの補強と装甲や駆動系周りの交換は重要箇所だけで充分です、その代わり今日中にお願いします」

 

そしてそんな大ベテランの彼女が出した「4日」という必要日数に、待ったを唱えたのは機体の整備を受けている側の一帆であった。

 

「正気かい、小僧?確かに()()マグバレッジの嬢ちゃんからの頼みだから小僧の機体を優先に直しちゃいるが、別にお前さんは軍属じゃないしアタシより偉い訳でもない。それにウチらにも整備士としての意地ってモンがある、そんな中途半端な状態の機体で出撃るなんて死にに逝かせるもんさ!そんな勝手はアタシの目が黒い内は絶対に許しゃしないよ!分かってんのかい⁉︎」

 

だが、そんな勝手が許されるはずもない。何より彼女たち整備兵には整備兵としての誇り(プライド)──例えどんな戦場、あるいは死地であれ出撃する者に対しせめて万全の機体で出撃させてやるという意地と決意がある。それこそが機械化された現代の全ての戦場における縁の下の力持ちであり、直接戦闘に参加できずともその戦う者たちの下支えとなることのできる整備兵が持つ何人たりとも侵すことの許されぬ絶対聖域でもあるのだ。故にそんな聖域に土足で踏み込むような真似をした一帆に対し、彼女は心の底から激怒した。

 

「それを推して、お願いします」

 

しかし、それに対して一帆は冷静にそんな無茶振りを重ねて要請する。そんな余りに真剣な目と梃子でも動かなさそうな姿勢に、一周回って怒るよりも若干冷静になってきた整備長はため息と共に痛み出した頭をほぐすかのように額に手を当てて揉む。

 

「全く……何だい、英雄志望か何なのかい?お前さんは?」

 

英雄志望、偶にいる手合いだと彼女はボヤく。第一次内惑星間戦争よりも更に前、まだ「極東方面軍」が「日本国自衛隊」だった頃に軍属となった彼女は今に至るまで長年多くの戦場を渡り歩きその敏腕を奮って来た訳だが、時折どんな戦場であれこんな目をして整備士泣かせの注文を吹っ掛けて来るいわば「大馬鹿野郎」が居るのである。

 

「……長生きしたけりゃ辞めることだね、そんなモノを追い掛けるのは」

 

ただその大半は口先だけの現実の見えていない理想主義者であり、その中でもひと握りの現実が見えている者でさえ皆、例えどれだけ彼女から見て腕の立つ者や勇士であれその身に降りかかった己の身の丈に合わぬ試練に立ち向かいその悉くが帰らぬ者となっている。そして今、彼女の目の前で無理難題を吹っ掛けて来るこの少年の目を見て、直感で()()()()()大馬鹿野郎だと理解してしまったが故に、彼女は直接言葉にして一帆に告げる。引き返せ、と。

 

「そんなご大層なものではないですよ、ただ……」

 

そんな彼女の指摘を受けた一帆はというと、少々苦笑いをこぼしながら「英雄志望」なんてものを否定しつつ少し話すべき内容を考えまとめるために言い淀む。

 

「準備を急ぐ必要がある。例え万全でなくとも、少しでも備えなければ次こそは間違いなく死ぬことになる……とそう思っただけですよ。それもこの艦ごとです」

「……ならこんなボロじゃなくてアッチの練習機なり、量産機なりに乗りゃぁ良いじゃないのさ。いっそソッチのゲテモノ機でも良いんだよ?ソッチなら今から組み始めれば少なくとも2日で組み上がる」

 

一帆が無理難題を吹っ掛ける理由は全て、次の戦いに備えるために帰結する。火星本星からの休戦協定再度締結の申し出があったからと言って別に戦争が終わった訳でも中断された訳でもない、いや各種戦争条約を結んでいる本来の真っ当な国が相手ならば互いに誠意を見せるべく全ての戦線での戦闘行為を禁止し兵を引くだろうが相手が相手である。本星とも距離が有り、軍の指揮権を皇帝が完全に握れているとは言い難い火星側の現状を考えれば現場の兵たちが素直に全ての戦闘行為を停止するとは考えられない。

 

「貴女も分かっているでしょう?貴女が言った通り俺は軍人じゃない、アレイオンの方の機体は俺には起動するための資格がないしどちらにせよスレイプニールもアレイオンのどっちも既に乗り手がいる。それにあんなゲテモノ、乗れるからって乗りたい訳がないでしょう?」

 

それにだ、彼女が言った機体たちに関しても昨夜北九州海軍補給基地にて補充したKG-6にしろKG-7にしろ既に搭乗員割り当ては決まっている上、彼女がさっき言った通りそもそも一帆はまだ便宜上は民間人であり正規の軍人ではない。よって学校に貸し出された練習機ですらない軍の管轄下にある主力量産機(KG-7)に乗るのは単純に軍規違反であり、一帆がKG-7に合法的に乗るには幾つかの超法規的措置──この場合、事態が事態だけにこの艦内における最上位階級者(ダルザナ・マグバレッジ艦長)の裁量による承諾は必須となる。ちなみにYKG-X07に関しては一応一帆のTKG-6Bが重度の損傷により修理不能となった場合、一帆の代替機とする旨の許可が既に出ているものの余りにゲテモノ過ぎて乗り換えを全力で拒否している状態である。

 

「まったく……我が儘だね、英雄志望の小僧。このボロを直したい理由は大体分かった、でもそんなにこの機体を早く直したい理由は何だね?」

 

そしてそんなろくに理由になっていない理由を意志の強さだけで押し切られそうになっている整備長の彼女は、本格的に痛み出した頭を抱えつつ一帆がわざわざ良くて中破悪くて大破状態なTKG-6Bを直したいその理由の核心を問う。それに対し、一帆は今度こそ言い淀むことなくその問いに答えてみせた。

 

「近いうちに少なくとも後1回、敵襲があります。先日俺たちが撃退した、あの「ビームサーベル」の持ち主からの」

 

一帆は同じ格納庫でもさらに奥、KEEP OUT(立ち入り禁止)の黄色いテープで囲われ封鎖された空間において色々な装置に有線で繋がれ解析作業の行われている鹵獲された超技術由来の敵兵器。例のジ・●もどきの主兵装たる「ビームサーベル」に目線を一度向けた一帆は真っ直ぐ彼女に向き直る。

 

「まさか」

「いいえ、間違いありません。あのカタフラクトに乗っていた騎士モドキ、今まで俺たちが交戦した火星兵の傾向から見てもまず間違いなく大人しく停戦命令を遵守してここで引き下がるタチじゃない。必ず正式な停戦協定が発行される前に雪辱を果たすためといって確実に攻めて来るはずです」

 

先日の「Doll Drop」作戦で撃破した団子虫(ニロケラス)の火星兵や火星からのプロパガンダ映像に先程見た火星政府からの再停戦の打診の海賊放送の有り様から考えて、極一部の例外*4を除いて火星人では上から下まで地球人を見下すような選民思想が蔓延っているのは明白であり、そこに封建制度や貴族主義が結び付いて地球どころか火星側から見ても色んな意味で非常に厄介かつ扱いづらい人材の宝庫?みたいなものである。まず間違いなく鹵獲したビームサーベルの持ち主であり昨日一帆たちが追い返した戦場であんなジ・●もどきで近距離武器縛りなんてしている騎士もどきの大馬鹿野郎などは正にソレであり、なかなか撤退しなかったので最後に煽ったのもそうだが何気に例のビームサーベルを落っことして行ったドジすら一帆のせいにして目の敵にされていそうで一帆的には中々に憂鬱な相手でもある。*5

 

「むぅ……言いたいことは分かった。だがねぇ……」

「時間がありません、火星本星から一方的に発せられた停戦要求からもう1時間。想定される奴の性格からしてそろそろ焦れてくる頃です」

 

未だ渋る整備長を畳み掛けるように、一帆は想定され得る中で最も望ましくない最悪の事態を口にする。

 

「それに()()()()()()()()()()()、皇帝の命を受けた軌道騎士たちも対応に動くだろうが地球連合としては半信半疑か最初から疑って交渉の席すら用意するのにも時間がかかる」

 

14年の月日の間に地球-火星間の間に育まれていたはずの国家間の信用や信頼は、新芦原事件を端として急遽正式な宣戦布告もなしに開戦した第二次内惑星間戦争により消失した。戦況的に追い込まれつつあるとはいえ地球側が再び火星を信用し、その停戦要求に呼応するには何かしらの()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()がなくては不可能に近い。そして一帆は、地球側はそのナニカを知らず知らずの内であれ既に握っている。ただ──

 

「それでも正式に停戦協定が締結されたならば雪辱を狙う奴は戦う大義名分を失うことになる、なら奴にとっても時間がない。中破させたとはいえ奴の機体も応急修理で出撃してくると考えるならば早ければ今夜から明朝、遅くとも明日の夜までには必ず来ます」

 

そんな状況をある意味理解していて全く理解していない火星側、特に例のジ・●もどきのパイロットは必ずやすぐにでも独断専行を働く(雪辱戦に打って出る)であろうことは火を見るよりも明らか。その上で再度本艦が襲撃を受けるタイミングとは敵機体の損傷状態や衛星軌道上からの監視はスパイからの情報があると考えて、一帆の機体と同様に修理には時間がかかることや夜間において太平洋上を単独航行中である本艦の捕捉は困難であろうと考えられることからヤツが本艦の捕捉から襲撃が可能なのは明朝の日の出から日没までの10時間前後、すなわち24時間以内であるのは明白でありそれ以内に一帆の機体もある程度の修理が完了していなくては詰むのである。

 

「……分かった。可能な限り英雄志望の小僧の要望通りにしてやろう、でも最低でも1日は寄越しな。応急修理はフレームと駆動系に絞る、装甲は後回しになるが構わないかい?」

「ええ、分かりました。装甲は最低限ありさえすれば。奴のビームに当たれば例えアレイオンでも真っ二つなのは前回の戦闘から分かり切っています。なので後……」

「何だい?乗りかかった船だ、ちょっとぐらいの要望くらいは聞いてやるさね」

 

そこまで一帆の力説を聞いてようやく折れた整備長は、盛大にため息を吐きつつも一帆の依頼を一部訂正を入れつつ承諾する。

 

「なら────してくれませんか?」

「やっぱり正気かい?それとも最初からいかれてるのかい?小僧?」

 

そして依頼を受けるついでに思わず「その他の要望は?」と聞いてしまった彼女は、その後に続いた一帆の要望に唖然としつつ思わず本音が口から飛び出していた。

 

「正気ですよ、まだ」

「いかれてるのは否定しないのかい……」

「自覚はありますので」

 

そんな整備長の本音に相変わらず苦笑いで一部を否定しつつも「自覚がある」と宣う一帆の姿を見た彼女は今度は盛大に見慣れた格納庫の天井を仰ぐ。

 

「全く、マグバレッジの嬢ちゃんもとんでもない小僧を見つけたもんだね」

 

いつか本当に 英雄(ドラゴンキラー)にでもなりそうな目の前の少年を見た彼女は人知れずそんなことを呟いていた。

*1
ただし航海科の成績優秀者であった祭陽 希咲(まつりび きさき)(通信手)と詰城 祐太朗(つむぎ りょうたろう)(レーダー手)、ニーナ・クライン(操舵手)の3名はマグバレッジ艦長の提案の下、立候補したため艦橋にて交代要員としての実地研修中。

*2
そもそも国自体が生まれて20年あるかないかの国の名門は名門といえるのかは甚だ疑問だが

*3
YKG-X07の接収経緯のこと(前話参照)

*4
アセイラムやシャルロット、若干思想に染まっているがエデルリッゾはギリギリ許容圏内。むしろそんな思想の発信源である皇室において第一皇女、しかもその皇位継承権第一位であるアセイラムが多少抜けているものの全く思想に染まっていない方が謎だが

*5
それを人は自業自得という

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