お久しぶりです!そしてあけましておめでとうございます!
いやぁー一ヶ月くらい音沙汰なしでしたね。
一応そこらへんの事情は明日くらいに活動報告に投稿します。
でもおかしいな?
普通本遍投稿前に活動報告が先だよね?
それといつも誤字報告をしてくださる方へ、
いつもありがとうございます!
細かいミスにも気づいてくれてとても助かっております!
知人の気まずい場面に遭遇した場合、人はどのように対応するのが正解なのだろうか?
見てみぬふりをするのが相手にとっては助かるのかも知れないが相手の事を思うのなら今のうちに直してあげるのも優しさではないだろうか?
しかし、ルヴィアならともかく、凛の場合はまず間違いなく記憶を消してくるだろう_勿論物理的に。
そんな事を思いながらもう一度視線を今も尚喧嘩し続けている二人に向けるとふと何かが引っかかった。
「魔法少女・・・猫耳・・・遠坂・・・ステッキ・・・記憶?」
その言葉を呟くと同時に、エミヤ士郎の脳内で古く閉ざされた扉が開かれるような音がした。
あのような姿の遠坂凛と彼女が手にしているステッキに見覚えがあるのだ。
そう、それは遥か昔、彼女の弟子として行動を共にしていた時期の事だ。どのように行き着いたのかは不明だが、
父の死後、危険であることと面倒と言う理由で放置気味であった様々な書類や遺品を(都合の良い)弟子を手に入れた遠坂凛は丁度良いという理由で衛宮士郎に手伝わせていた。
弟子になったとはいえ、赤の他人を魔術師の家に招待してもいいものなのかと尋ねてみた所、『あんたなら大丈夫』というまったくもって説明になっていない返答をもらった。これは信用されているから大丈夫と解釈していいのか、もしくは自分程度の魔術師ならどうせ悪用することや理解することすら出来ないということなのかは疑問ではあるが当時は前者であればいいなと思っていた。
紅茶やちょっとした食事を間に挟みつつも(勿論作ったのも淹れたのも士郎)作業は少しずつだが着実と進んでいった。
そんなときであった。
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そもそもアレを見つけてしまったのがいけなかったのだろう。
厳重に封印が施されていた箱を見つけたりすれば遠坂凛なら黙っているはずがない。この時から金銭的な意味で苦い思いをしていた遠坂はその箱の中身がもしかしたら金目のものなのではないかとまっさきに思った。それほどまでに厳重に保管されているものなのだ、きっとお父様がいざという時に取っておいた資金なのだろう。そうでなくてもきっとこれからの研究に役立つようなすごい魔術礼装なのだろうと当たりをつけていた。
結果的に言えばそれは当たってはいた。
封印を解いて出てきたソレは確かに超がつくほどの魔術礼装であった。
持ち主に無限ともいえる魔力を与え、更にはAランクの障壁を常時展開すると言う優れものだ。
だがしかし、いくら最高のカタログスペックであろうともソレには唯一つ、ソレの持つプラス要素を全てマイナスにしてしまいかねないようなマイナス要素があった。どうやらその礼装にはある精霊が憑いているらしく、その件の精霊は一言で言えばろくでもなかった。
封印を解き、蓋を開けてみれば元気な声(?)と共に登場し、まっさきに遠坂凛へとソレは突進していった。色々と失礼な文句を垂れつつも、ソレは遠坂凛に取り憑き瞬きをする間に転身してしまった。
そう、フリッフリなドレスに猫耳と猫の尾を取り付けた本人曰く他人に見られれば自殺物の格好にだ。
黒歴史確実な格好をさせられた遠坂凛は、持ち前の根性でギリギリの所で踏ん張り、衛宮士郎の協力もあり強引に引っぺがすことに成功し、素早く元の箱へと封印したのであった。
しかし、問題はその後で__
『えーみーやーくぅ~ん?ちょぉ~っと来てほしいんだけど。』
あのような格好を見られたからにはなんらかの事は言われるだろうと思ってはいたがまさか彼女が衛宮士郎の記憶を
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「思い出したくないものを思い出してしまった・・・・」
同じ格好を見たのをきっかけに衛宮士郎の心に深く沈んでいたその記憶は再び浮上してしまっていた。彼女のためにも忘れたままのほうがいいのだろうが、思い出してしまったのなら仕方がない。しかし、エミヤシロウの師匠の黒歴史よりも士郎が思い出したくなかったのは記憶を消す際に行われた数々の暴行であった。
「やばい・・・震えだしてきた。」
呼吸が乱れ、足元が震えだしてきたのに気づいて自分がPTSDに陥るほどにあの時の
二人の喧嘩はエスカレートしており恐らくこのまま収まることはないだろう。
かと言ってここで自分が現れるのも賢い選択ではない。ルヴィアはともかく、凛でさえ士郎が魔術師であることを知らない。二人の喧嘩を止めにいったりすれば問い詰められるのは明らかである。
「しかもあんな格好を見られたとあれば
触らぬ神に祟りなし、自ら藪をつついて蛇を出すわけにも行かないのでここは見てみぬふりをするのが正解だろう。本音を言えば今すぐにでも割って入って二人の喧嘩を静めたいのだがそれはできるだけ避けねばいけない。それにあの二人ほどの魔術師だ神秘の秘匿もしっかりしているはずだと士郎は結論づける。
「いやしかし、だとすれば俺が気づくのもおかしいな・・・・・・」
まさかとは思うがあの二人・・・互いに頭に血が上って魔術師の基本すらも忘れているのではないか?
そんな信じがたい考えが浮かんだが士郎は勢い良く頭を振った。そんなことはないはずだ、なにせあの二人は自分の知る中でも一流の魔術師である。そんな二人がただ頭に血が上ったと言う理由で魔術師の第一義である神秘の秘匿を怠るわけが___
そう考えもう一度空に舞う二人とそこから発せられる魔力を感じると、士郎は片手で額を抑えながら一人呟いた。
「__ないと信じたい。」
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あのまま放置と言うわけにも行かず、士郎はセラに少し出かけてくると伝えた後、足早にある場所へと急いでいた。
二人の喧嘩の件もだが士郎の中の疑問を解くべく彼は走り続ける。
(遠坂ならともかくお嬢様までいるのは何かがあるに違いない。)
冬木が故郷である凛ならこの突然の帰郷にもあまり疑問には思わないがルヴィアも一緒だとあれば話は別である。さらにはあのカレイドステッキも一緒ときた、これはもう何かがあるに違いない。しかしだからと言って二人に直接事情を聞くことも出来ないので、士郎は彼の知り合いの中で一番事情を知ってそうな人物の場所へと急いでいた。
「このような時間に息を荒げながら尋ねてくるなんてついに理性でも爆発して私を襲いに来たのかしら?この発情犬」
第一声がこれである。
さすがの士郎も先ほどまでの焦りを忘れてうなだれてしまった。
訪れたのは近くの教会、そして今まさに暴言と共に現れたこの少女の名は
そんなキャラの濃い彼女ではあるがその正体は聖堂教会に所属する者であり本名はカレン・オルテンシアというこの地の監視役だったりする。
数年前、士郎がこの世界でも聖杯戦争が存在したことに気づいた後、ならば監視役もいるはずだと急いでかつての監視役がいたこの教会を訪れたのであった。
しかし、そこにいたのは彼の黒幕であった言峰綺礼ではなかった。
どうやら彼は前回の聖杯戦争が原因で命を落としたらしくもうこの世にはいないらしい。その事にすこし安堵の息を吐いてしまったが幾ら相手が言峰だからと言って人の死を喜んでいいわけにはならないので彼の墓の前で礼儀として祈っておいた。
一応教会の中も調べては見たが別段怪しいものなどもなく至って普通の教会であった。
特別監視などをしておく必要もないと分かり士郎はその場を去ったが、彼女が現れたのはその数年後であった。
どうやら言峰の代役として配属されたらしく、教会に住むことになったらしい。しかし、代役と言われて士郎は即座に問い詰めることにしたのであった。聖杯戦争がなければ監視役は必要ないはずである、なのにこの地にもう一度監視役が現れるのなんて一つしか理由が思い当たらなかった。
あの争いをもう一度起させるわけにもいかないので自分の持つ全ての技術と知識を駆使し彼女を問い詰めてみた所、どうやら彼女は聖杯戦争とは別の理由でここにいるらしい。問い詰めていた士郎ではあったがそれ以上の事は口を割らなかった。それも当然だ、あちらからすれば士郎は急に何かに感づいた得たいの知れない人物であるのだ、そう簡単に任務や目的を白状するわけがない。
その事に気づいた士郎はカレンに一度謝罪し、仕方ないと腹を括り自分のことを簡単に話すことにした。英霊の記憶があるなどとは言わず自分が魔術使いであることと聖杯戦争に巻き込まれた者だと説明した。それと同時に聖杯戦争で誰かが傷つくことは納得できないので異変があるのであれば出来るだけ知りたいと言う。
するとどうか、そんな士郎にカレンはあっさりと事情を話し始めた。士郎自身もまさかこれほどあっさり口を開いたことに驚き本当によかったのかと聞いてしまうほどであった。
そんな士郎にカレンは『あなたなら大丈夫そうだったから、それに良い遊び相手になりそうだし』っと説明にもなってない答えをもらった。それと同時に背筋が凍るような感じがしたことは言うまでもない。
先ほどまで真剣に問い詰めていた空気も嘘のように拡散し、カレンはまるで世間話でもするようにおおまかに説明を始めたのであった。
それからと言うもののカレンはこの世界で唯一士郎が魔術使いであることを知っている人物であり、士郎の貴重な魔術の話し相手だったりする。
元々の人の良さからか、知り合いに変人が多いからか、悪い意味で個性的かつ強力な性格の持ち主であるカレン相手に士郎はうまく付き合えていた。
お互いに頼り頼られる関係に似た間柄になり
ある時は教会の地下で言峰の残した肉弾戦の極意が書き記された書物から鍛錬をしたり
ある時はカレンの暇つぶしに付き合わされたり
ある時は魔術の世界での出来事を知るためのパイプになってもらったり
ある時はカレンに雑用を頼まれたり
ある時はカレンの代わりに部屋を掃除したり
ある時は礼装の整理を頼まれたり
またある時は食事を作りに来たこともあった。
頼り頼られる関係と言ってもその比率は2:8だったりする。もちろん8が頼られるほうである。
うまいこと利用されている事には気づいていたりするがそこそこ良好な関係を築けているのではと士郎は思っていたりする。
しかし、たまに頼まれる遊び相手は全力で拒否したい所ではある。
結局不思議な布で拘束されてなすすべもなく遊び相手になるのはここでは割愛しよう。
「カレン、悪いけどいつもみたいに性質の悪い冗談に付き合う気はないんだ。俺の質問に答えてほしい」
「別に冗談ではなく本気で言ったつもりだったのだけど」
「お前はそんなに俺を変態にしたいのか!?」
付き合う気はなかったはずなのに悲しいかな、割と長い付き合いなので反射的にツッコンでしまった。当の相手はと言うと、わざとであるにも関わらずまるで純粋な態度を装ってコテンと可愛らしく首を傾げながら言うのだから余計に腹が立ったりする。
「って違う違う!こんな漫才をしている場合じゃない。カレン!冬木に遠坂とおじょ・・ルヴィアが来た事は知ってるか?ていうか知ってるよな!そこでだ、正直に答えてほしい。あの二人が何を目的としてこの地に足を踏み入れたか教えてくれ。」
先ほどまでクスクスと浮かべていた笑みは失せ、カレンはいつもの無表情で士郎を見つめる。
対する士郎はカレンと同じくまっすぐに彼女の瞳を見続けていた。ひと時の静寂の中、冷たい夜の風が二人の間を通り抜ける。
真剣な士郎を前にして、カレンは諦めたかのようにかつ面倒くさそうに肩を落とし、口を開き始めた。
「簡単に言いますとあの二人はある任務のために再びこの地へと戻ってきたのです。」
「その任務とやらは俺が前から気になっていた複数の魔力と関係があるんだな?」
「えぇ」
「ん?」
まさか返事が戻ってくるとは思わず士郎も間抜けな声が出てしまった。
「なんですかその驚いた表情は」
「いや、前みたいに誤魔化されると思ったからさ。まさかちゃんとした答えが帰ってくるとは思わなかったんだ」
そんな士郎の声に、カレンは小さくあくびをすると眠たそうに眼をこすりながら答える。
「前にも言ったと思いますがわたしは何れ時が来れば分かるでしょうと答えました。」
「それが今と言うことか。」
「違います。」
「はぁ~????」
意味が分からんとばかりに士郎は顔をしかめながらカレンを見る。
まさかこの話の流れで違うなんて言われるとは思わなかった。
「本当はこのまま放って置いても貴方は何れ分かるのでしょうが今夜は気分がいいので特別に全て教えてあげましょう。ありがたく思いなさい・・・ふわぁ~___」
「違うだろ!絶対違うだろ!ただ単に面倒なのと早く寝たいだけではないか貴様!」
「私と早く寝たいなどとは、せっかちですね。これだから早漏は。」
「意味が分からん!話しがまったく噛み合ってないぞカレン!」
「今度は絡み合いたいと来ましたか、とんだ発情犬ですね貴方は。このままではそこらへんの罪なき少女をも襲いかねませんね。仕方ないのでわたしが発散させてあげましょう。感謝しなさい。」
「ワタシの話しを聞かんか戯け!えぇぇい腕を掴むな!離したまえ!」
掴まれた腕を強引に解いた士郎は焦った様子で5、6歩カレンとの距離をあけて再びカレンと目を合わせる。
「話しが脱線してしまったな。それで?一体何が起きていて、何が起ころうとしているんだ?」
「(ふむ、先ほどの口調。アレは本気で焦っていましたね。)仕方ないですね。今晩はここまでにしておいてあげましょう。」
カレンのほうもこれ以上士郎をからかうのをやめ、離れてしまった士郎との距離を再度縮める。
近づいてきたカレンに一瞬身構えてしまった士郎は別に悪くはないはずだ。
「まず今まで黙っていたことですが、先ほどの答えは嘘ではありません。あなたなら何れ、私がなにもしなくても分かることになっていたはずですから。」
「その事はわかった。カレンが言うんだからそうなんだろう。だけどだからって異常があるのを知っていて俺に教えないにしては少し理由としては弱いんじゃないか?もし手遅れになったらどうするんだよ。」
「それ以外にも理由はありますよ。貴方の事です、事情を知れば自分から異変に飛び込むでしょう。」
ねっ?と確認するように言うカレンに士郎は表情を固くして腕を組みながら頷く。
「確かにそうだな。しかしそれの何が悪い?」
まるで分かっていない士郎にカレンはあくびと共にジト目で士郎を睨むとあきれたように答える。
「わたしから見ても貴方にはこの事態を解決するほどの力があるようには見えません。万が一、解決できたとしても貴方はその身に数多の傷跡を作って帰ってくる未来しか見えません。」
カレンは更に士郎との距離を縮めると、人差し指で士郎の胸をトンとつつく。
「自分で言っていたではないですか、誰にもバレたくないと。一体あなたはどのようにして傷跡を家族に誤魔化すのですか?」
そんなカレンの言葉に、士郎は下を向く。
下を向いて見えたのは自分を無表情で見上げるカレンの顔。
その人差し指は未だに士郎の胸においてあり、自分を咎めるように心臓の位置を指していた。
そんなカレンは、下を向いた士郎の顔を見る。
この男の事だ、悔しさで顔を歪めているところだろう。
馬鹿みたいに正義感の強い男だ。ここまで言われて黙っていられるはずがない。
そんな事を思って彼の顔を見てみるとカレンは唖然とする__
__微笑んでいた
まったくの予想外の表情にカレンも普段は見せないような間抜けな顔を晒すことになってしまった。
「ありがとうカレン。心配してくれてるのか?まったくらしくないな」
そう言うと士郎はカレンの頭に手を置き、ほんの少し、一瞬とも言える短さではあるが頭を撫でる。
「俺の力不足__確かにそうだな。
カレンの両肩に手を置きその身体を自分から離すと、士郎はゆっくりと目を閉じる。
___長年の
「
―
うわぁお 何故こうなった。
カレンをここまでおいしいポジションにつかせつもりはなかったのに・・・・・
しかも何故かイチャイチャしてるし!?
それはセラの役目のはずなのに!
何故だ!
何故カレンになった!
おかしいぞ!
まぁカレンも好きだけどね