異世界西遊記   作:越後屋大輔

19 / 20
気づいた方もいらっしゃるでしょう、今回はアンデルセンの名作「白鳥の王子」のパロディーになっています


第16話鴨王子(後編)

 地上を見下ろしながら觔斗雲を飛ばしているとジューダ王国の真上にきた、王国付きの兵士達が弓をひき一斉にこちらに矢を放とうとしている、魔女の命令だろうな。操られているのか、脅されて仕方なく言うことを聞かざるを得ないのかどっちにしろ俺には効果ないけどね。勿論矢は俺に当たる度ポキポキ折れて海に落ちる。

 「貴様!何物だ?!我が城に狼藉を働くとは不届き者めが!」下顎からはえた牙を剥き出しにした醜女が怒鳴り付ける。

 「ここはジューダ国王の城だし、狼藉者はテメェの方じゃねーか!とっとと王様を開放してどこへなりと立ち去れぃ!」俺が言い返してやると魔女は怒りに任せて箒で空に浮かびここまできて杖を構え俺に殴りかかる、当然痛くも痒くもない。物理的に敵わぬと判断したのか魔女は箒に乗ったまま踵を返し一旦城へもどっていった。俺は後を追いかける、城内に積乱雲が浮かんでいる、俺を感電死させる気らしいがそれもムダだ。すると今度は対象を兵士達に変えて再び落雷を仕掛ける、俺は咄嗟にゴムシートに化けて彼らに覆い被さる。ならばと今度は荊蕀の蔓を城中に張り巡らせる、俺も体毛を根切り虫にして一本残らず枯らす。魔女の奴は諦めたのか大鷲に変身して逃げ出した、と思ったが空中で奴は突然姿を消す、城内に逃げ込むネズミがいた、魔女だ。それならこっちは猫に化けてつかまえてやる。その後も奴が狐、豹、象、俺が狼、虎、ゴ○ラといつの間にか変身魔法対決になった。これじゃ埒が明かない( ̄ヘ ̄)奴はとうとうこの世界最大の生物、ドラゴンに化けて戦いを仕掛ける、だが元地球人の俺は発想を逆転させる。

 3日後、オッサン達が兄弟妹とコルトン公爵を連れて入国した。父王とも無事に再会できた。王様は最初に逢った時に比べて随分顔色がよくなってる。この日は城をあげてパーティーが開かれた、俺達と公爵も主賓として参加した。

 「なんじゃ、魔女の正体はオークだったのかえ?」パーティーも終わった頃オッサンは城の片隅で晒し首になった魔女の頭を見て呟く。だがこの世界のオークに女はいない、懐かしの我が友オィンクから聞いたので間違いない。

 「この人ははぐれエルフです」トロワちゃんから意外な事実を聞かされた。はぐれエルフとは生活や善行の為に魔法を使う一般的なエルフに対し悪事や私利私欲の為に魔法を利用した挙げ句醜い姿となったエルフの事だそうだ。美しくいたいが為滅多にはぐれになるエルフはいないらしい。こいつは変身魔法で姿を変えられるからはぐれになったんだろうな。

 「有難う、そなたのおかげで我がジューダは救われた」魔女を倒した直後地下牢にいた王様を助け出したら土下座されてしまった、さすがに気が引けるというか申し訳ないというかとにかく頭をあげてもらう。顔色が少し悪いが健康を害してはいないようだ。最後まで悔い改めようという意思を感じさせなかった魔女は結局殺す事にした。ドラゴンに変身した魔女に対して俺はアメーバに化けて鼻の穴へ飛び込んだ、向こうが大きくなる一方なら逆に小さくなってやろうと考えたからだ。実際地球ではアメーバが鼻に入いり脳細胞を食われて亡くなった人が大勢いる。俺はその生態を利用した。案の定奴は散々苦しんで死んだ。兵士達も全員投降した、それどころか元の姿に戻った俺にハグしてくるのまでいた。男にそんな事されても嬉しくないが。

 パーティーの翌日、公爵に越後屋のマスターへお礼の伝言を頼んでジューダ王国を後にする。この国とラターナ王国には例の爆弾はなかったがトロワちゃん曰く世界のどこかにまだ埋まっている場所はある、そいつを全て撤去するまでは俺達の旅は終わらない。




それっぽいセリフで締めてますが今回で最終回ではありません
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。