異世界西遊記   作:越後屋大輔

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第5話孤独な少女

 「あれからどれくらい経ったのだろう?」エルフでシスターの私はずっとこのフィンガ山の洞穴に隠れている。いつか誰かが助けてくれると信じて百年もここで待っているのだ。人間の十倍の寿命があるエルフとはいえ孤独な時が長すぎる。生きる為とわかっていても正直いって寂しい。何もかもあのクソ魔王のせいだ。あいつが世界中に変なモン埋めまくったから結果私がこんな目に遭うんだ、恨み事を呟きつつ私は何故か奥に生えていた大人の膝丈程の木から果物を一つもいでかじる。エルフの私には毒の有無等見れば分かるから問題ない。実際美味しいし、百年これしか食べてないのに不思議と飽きない。

 私の家は自然崇拝が普通のエルフには珍しい女神様を信仰する一族だった、父も祖父も森の教会で司祭をしていた。私に男兄弟はいない、つまり両親が息子に恵まれなかったこともあり子供だった私は将来は自分がシスターとして父のあとを継ごうと思っていた。その矢先にあんな悲痛な出来事が起こった。

 魔王が解き放った円錐形の物体は豪雨の如く大地に降り注いだ、あの頃私達の住んでいたチョヤの森もめちゃくちゃにされた。女神様も必死に抵抗なさったそうだが魔王には勝てなかったらしい。

 両親は逃げる途中で円錐に刺されて死んだ。口からは血が溢れ円錐が突き抜けた体から内臓がはみだしていた。酷すぎる死に様だった。円錐から逃れた姉や妹、他のエルフ達も魔王の手先の化け物共に食い殺された。手足が不恰好にちぎれ、死に顔に無念の表情を浮かべていた。悔しい、悲しい、私も死にたい、色んな気持ちがゴッチャになって泣きじゃくった、気が狂いそうだった。いっそ私も食われて死のう、化け物の手が私に伸びる刹那生きることを諦めた。

 その時、いつの間にか隣にいた誰かが私の手をとってフィンガ山へ連れてきたのだ。不思議な事にこの人物には円錐が落ちてこなかった。まるで向こうから避けるように逸れていったのだ。化け物共も何故か人物に怯え近づこうともしなかった。顔は覚えてない、人間か亜人か獣人か、男か女かも思い出せない、只、とても優しい声をしていた。人物は私を洞穴へ避難させるとこう告げた。

 「きっといつか雪辱を晴らせる時が来るわ、百年もすればアンタを助けてくれる人が現れる、だから今は我慢なさい。それまでこの洞穴へは誰も手出しできないわ。」それだけ言い残すと人物はどこへとなく消えていた。途端に化け物共が私を襲おうとするが奴らは洞穴に入れない、円錐が降ってきても中にいる私も含め洞穴には傷一つ付かない、自力ではでられないがその代わり絶対安全だ、件の人物の配慮だろう。それから百年間、奴らは毎日のように襲ってきたが何度やっても結果は同じ。とうとう諦めて逃げ帰った。しかもこの中にいると飢えることも疲れることも病気になることもない。あの人物は一体何者だったのだろう、もしホントにこの洞穴から出られたら逢って言いたいことが二つある。一つは百年間一人ぼっちにした恨み事、もう一つは助けてくれたお礼。アレ、考えがまとまらない、もういいや、寝ちゃえ、

 目覚めると、いつもとなにも代わり映えしない朝・・・じゃなかった。

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