「とりあえず反省は後にして、とっととこの機械片付けなさい。通学路がお盆の帰省ラッシュ並に渋滞してんのよ」かなめが言った。
「校門から厚木インターまで混んでいるアルか?」飛鴻が言った。
「なんであんた達の日本の知識はそんなに偏ってんのよ。読んでる人だって関東地方の人しかわかんないわよ、そのボケ」
「だけど、安全保障担当代理心得としては、校内の安全を守るためにボディチェックはかかせないアル」飛鷲が答えた。
「テロリストのくせして、何でこんなことは一生懸命やってんのよ、あんた達は?」
「ほら、危険物もこんなに押収したアルネ」飛鴻が誇らしげに指さした。
「なにあれ?」
「無線式の爆発物起爆装置アル。この学園の生徒のほとんどがもっていたということは、この学校は日本政府の秘密工作員要請学校か?」
「あのね、あれは携帯電話。あんた達あれを全部押収したの?」かなめは携帯の山を見ながら呆れたように言った。
「(千鳥《チンニウ》は馬鹿アルな。電話と言ったら線で繋がっている黒い物に決まっているアル)」飛鷲が千鳥を横目で見ながら嘲笑するように言った。
「(しかたないアル。千鳥もしょせんはFクラスね)」飛鴻も薄笑いを浮かべながら答えた。
「あのね、丸聞こえなんだけど。今どき、黒電話なんて使ってる家なんて日本中探したって磯野家くらいしかないわよ」
「磯野家とは何か?」飛鷲が不思議そうに尋ねた。
「何で厚木インターは知っているのに、国民的アニメのサザエさん知らないのよ。とにかく、それは危険物じゃないから持ち主に返して、この機械をとっととどけなさい。このままじゃ100人単位で遅刻者が出るわ」
「いや、でも・・・・」飛鴻が何か言いかけた。
「スチャっ」かなめは無言でハリセンを取り出した。
「すぐに撤去するアル」
「とは言うもののこんなデカいのすぐに片付けるのは無理ね」かなめが機械を眺めていった。
「大丈夫、部下にやらせるネ」飛鷲が言った。
「安全保障担当代理心得なんて下っ端もいいところのあんた達に部下なんているわけないでしょう」
「須川、ゲートとX線検査装置を片付けるネ」飛鷲が声をかけた。
「はい、わかりました。飛鷲様」10人近くの男たちが駆け寄ってきた。
「って、須川君たち何してるのよ」かなめが須川に声をかけた。
「我々はFFF団だ」須川が答えた。よく見れば他の男たちもみんなFクラスの連中だ。
「いや、あんたらがそういう怪しい団体だってのは知っているけど、なんでこの子達の手伝いをしているのよ?」
「ふっ、千鳥。FFF団とはFeijun Favarate Funclubのことなのだよ」須川が得意そうに言った。
「いや、いつからそうなったのよ。というか飛鷲を見たのはつい最近じゃないの」
「愛に時間は関係ないのさ。我々FFF団は飛鷲様を敬い愛する団体なのだ」
「はあ、さいですか」かなめが呆れたように言った。
「ふざけんな馬鹿野郎。とっととここから出せ」別方向から怒声が聞こえた。そちらを見ると檻があり、10人ほどの男たちが入れられていた。案の定というべきかFクラスの連中だった。
「ねえ、須川君。あの人達もFFF団じゃなかったっけ?」
「あいつらは異端者だ」須川が吐き捨てるように言った。
「異端者?」かなめが尋ねた。
「うむ、飛鷲様に忠誠を誓わぬ不貞の輩どもだ」
「じゃ、あの人達はFFF団じゃないの?」
「いや、あいつらもFFF団だ」
「あんた達の話はよく分からないわね」かなめは首を捻って言った。
「あいつらはFurati(不埒)でFutei(不逞)なFetishというFFF団なのだ」
「はい?」
「これを見るよろし。あいつから没収したものね」飛鷲が汚いものを見るかのように机の上を指さした。そこにはエロ本が山と積まれていた。
「これって、いわゆるHな本で・・・・・ロリ、巨乳、ナース、OL、人妻、未亡人、SMってほとんどのエロのジャンルをカバーしているわね」
「全部あいつらから没収したアル」飛鴻が言った。
「まあ、こういうのを学校に持ってくるのもどうかと思うわね。あたしは人の性癖をどうこういうつもりはないけど、さすがにこの「六十路」って雑誌の持ち主はカウンセリングを受けさせた方がいいんじゃないかと思うんだけど」
「別にエロ本の批評をしろとは言ってないネ」
「そりゃまあ、そうだけど。でもよくまあこんなものを学校に持ってくる気になるわね」
「男の性だな」須川が言った。
「で、飛鷲。この人達の持ち物検査はしたんでしょうね」
「よし、みんな機材を撤収するぞ」須川が逃げるようにその場を離れた。
「飛鷲。機材の撤収が終わったら、あの連中の検査しなさいよ。きっとエロ本のジャンルが更に充実したものになると思うわ」かなめが言った。
「分かったアル、隊長」飛鷲がかなめに敬礼しながら言った。
「誰が隊長よ。だからその敬礼はやめろっつーの」かなめが辟易して言った。