バカとテストとフルメタパニック   作:らじさ

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退院してからなんとなく書く気がわかなかったんですが、
気を撮り直して書いてみました。

なかなかカンが戻らないものなんですね。


第3話

モバイル・アルの言葉は少女の悲鳴でかき消された。少女は顔を真赤にして両手で覆いながら、指の隙間から宗介の反応を覗き見ていた。

 

「あっ、あの聞こえちゃいましたか?・・・・・相良さん」

「はっ、大佐殿が悲鳴を上げるところまでは聞こえましたが、それにしても・・・・・」宗介は何事かを考え込んでいた。

「きっ聞こえちゃったのに、その反応なんですか」少女は泣きそうなった。

「いえ、ちょっと良く理解できなかったものですから」

「人の感情なんて、そんなもんです」

「いや、それならそれでクルツあたりに命令すればいいものを、なぜ大佐殿が自ら・・・・・」

「・・・・・ちょっと何言っているのかよくわからないんですけど、一体何て聞こえたんですか?相良さん」

「アルの言葉によれば「大佐殿は自分をす・・・・・」までであります」

「きゃ、そこまで聞こえちゃったんですか・・・・・・・で、その反応は何なんですか?」少女が不満そうに言った。

「いや、「す・・・・・」の後に続く言葉を考えた結果、「スナイプ(狙撃)」しか思いつかなかったものですから。つまり、アルは「大佐殿は自分をスナイプしに来た」と言ったと判断されます。しかしながら、クルツではなくてなぜ大佐殿が自ら自分をスナイプに来たのかとか、それ以前になぜ自分がスナイプ対象になっているのかについて考えておりました」

「乙女心にあまりに鈍感だからじゃないでしょうか」少女がジト目で宗介を睨みながら言った。

 

「ブーブーブ!!!」

 

通信回路の極秘緊急回線が鳴り響いた。通常は戦争でもなければ使わない回線だ。宗介は無線機に飛びついた。

「こちらウルズ7」

「フム、反応まで5.4秒か。まずまずだな」男性の冷たい声が無線機の向こう側から聞こえてきた。

「ちっ、中佐殿ぉ~」宗介は思わず立ち上がって気を付けの姿勢を取った。

「朝から元気なのはいいがもう少し落ち着けんものかね、相良軍曹」

「じゅ、十分に落ち着いております。というかなぜ極秘緊急回線を?」

「回線テストだ。ちゃんと反応があるようだな」

「はっ、機器の整備は欠かさず行っております。では、これで」宗介が無線を切ろうとした。どうもこの中佐は苦手なのだ。

「ああ、待ちたまえ軍曹。これ全く何の関係もない他愛もない世間話で特に意味はないのだが・・・・・

「はっ?」ないという言葉が3回も出てきた。

「うむ、もしかして最近、大佐殿をお見かけしたことはないかね?」

宗介は少女に目を移した。少女は「ゴマかして下さい。命令しちゃいますよ!!」と書いたスケッチブックを宗介に向けていた。

「いっ、いえ・・・・・特にそういったことは。大佐殿に何かあったのでありますか?」

「意味のない世間話と言ったはずだ。大佐殿になにかあるわけがない」

「・・・・・そうでありますか。それでは失礼します」

「待ち給え軍曹。大佐殿に特に何かあったわけではないのだが・・・・・・」ここで中佐は言葉を切った。

 

「はあ」

「ただもしも大佐殿に何かあった場合、私は大佐殿に危害を加えた男を捕まえてありとあらゆる苦痛を味あわせた上で、魚雷発射管から深海へと撃ちだしてやるつもりだ」

「ゴクリ」宗介は唾を飲んだ。

「覚えておくといい、軍曹。トゥアハー・デ・ダナンの3番発射管はそのためにいつも空けてあることをな」

「りょ、了解しました」

「うむ、それでは任務頑張ってくれ・・・・・ザー」回線が切れた。

 

冷静に考えてみれば、なぜわざわざ自分がそんなことを記憶にとめておかねばならないのだろう?そもそも大佐殿は有給であってどこで何をしていようが関係ないし、更に自分にはなお関係のない話だ。なぜ、朝っぱらから中佐の脅しを受けねばならないのだ?考えれば考えるほどわからない話だらけだが、恐らく上層部の秘密作戦行動と言うやつなのだろう。自分のような下士官に情報が回ってくること自体が少ないのだ。

 

「マデューカスさんですね」少女が言った。

「肯定であります。極秘緊急回線まで使ってくるところを見るとかなり本気で大佐殿を捜索しているようであります」

「思春期の娘が親とケンカして家出したんじゃないんですから。マデューカスさんって本当に過保護なんです」

 

いやいや、傍から見ていると親子喧嘩の末に飛び出した娘の行動そのものなのだが。

頼むから上層部の親子喧嘩は、上層部内で解決して欲しい。少女の命令に従ったおかげで、マデューカス中佐を騙す結果になってしまった。これで少女の休暇が終わってメリダ島に帰還した時に、トバッチリを喰うのは確定になってしまった。宗介は中間管理職(下士官)の悲哀を感じていた。

 

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