バカとテストとフルメタパニック   作:らじさ

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第4話

「ああ~千鳥、そろそろその辺でやめておけ」鉄人が声をかけた。さしもの鉄人もそれまで止めきれないほどに、千鳥さんは鬼気迫っていたのだ。誰だって自分が可愛い。それは鉄人ですら例外ではなかったようだ。

「ゼエゼエゼエ・・・・・」千鳥さんが息を切らしながら席についた。相良君は黒焦げになって体のあちこちから煙が出ている。かなりの高速ビンタだったのだろう。

「うぃ~」親父くさい声を出しながら千鳥さんがちゃぶ台の前に腰を下ろした。女の子なんだから胡座は止めた方がいいと思うんだ。さすがは「彼女にしたくない美女No.1」を独占し続けている女の子だけはある。

 

「とりあえずクラス代表を決めろ」鉄人が言った。

「点数で言えば千鳥じゃねぇか?」雄二が言った。

「バカ言ってんじゃないわよ。Fクラスになったっていうだけで、転校させられかねないってのに、代表なんてなっちゃったら「私はバカです」って看板しょって歩いているようなもんじゃない。坂本がやりなさいよ」かなめがまくし立てた。

「お前なぁ、そこまで言われてやりたい奴がいると思ってんのか?」雄二が呆れたように言った。

「まあ、千鳥は特例でFクラスになった訳だから、一応代表から外しておけ。そうすると点数的には坂本だな」鉄人が言った。

「えぇ~、俺かよ」雄二がブーたれる。

「まあ、そのクラスで点数が一番なの奴が代表になるのが決まりだ。代表は坂本だ」

「よし、代表も決まったところでAクラスに試召戦争をしかけに行くわよ」かなめが立ち上がった。

「代表が決まっただけで、クラスの自己紹介もしてないぞ」雄二が止めた。

「そんなの必要ないでしょう。ガーっと行って、ガツンとやればいいのよ」かなめは譲らない。

「あのなあ、AクラスとFクラスの点数差考えたら、ガーっと行った時点で全員討ち死にしているぞ」雄二が呆れたように言った。

「ちっ」かなめは周囲を見渡すと大人しく座った。周囲の連中の顔つきを見て納得したようだ。

「とりあえず自己紹介をしよう。窓際の前から順番にやっていけ」教壇に立った雄二が言うと自己紹介が始まった。

 

「わしは木下秀吉じゃ。誤解している者も多いと思うので、この場を借りてハッキリとさせておくのじゃ。いいかワシは立派なおと・・・」

「くしゅん。ああ、ごめん秀吉、自己紹介の邪魔しちゃって」秀吉が首を後ろに回して僕の方を見つめている。

「こほん。邪魔が入ったが、こういうことはちゃんとしておかんとのう。いいか、ワシはおと・・・」

「くしゅん、くしゅん」秀吉が今度ははっきりと睨んでいる。

「明久よ。風邪なら保健室に行ったらどうじゃ」

「いや、大丈夫だよ。ちょっと鼻がムズムズしているだけだから」

「大切なことだから、あえて言わせてもらうのじゃが、ワシは・・・」秀吉がいきなり僕の方を振り向いた。

「明久、なぜに鼻をこよりでくすぐっておるのじゃ」

「だって、こうでもしないと秀吉が間違ったことを宣言しちゃうから」

「何も間違ってはおらん。ワシはれっきとした男じゃ」

「「「「「ええぇぇ~」」」」」教室中からどよめきが起きた。

「なんじゃ、このどよめきは」秀吉が怯んだように言った。

「ほら、みんなショックを受けちゃったじゃないか」

「おい、冗談じゃないぞ。女子率がさらに低くなったじゃねえか」

「すると、このクラスの女子って姫路とあの千鳥だけか・・・ギャア」

最期の叫び声は美波の仕業であることは言うまでもない。相変わらず切れ味のいい関節技だ。世界を取る日も遠くないだろう。

 

「ああ、次だ。次」雄二の声にムッツリーニが立ち上がった。

「土屋康太。特技は盗さ・・・・・特技はない。趣味は盗ちょ・・・・・趣味は無い」

「おい、あれがムッツリーニだぞ」

「伝説の寡黙なる性職者か」

「本当に存在していたんだな・・・・・」ほとんどUMA扱いされている。次は僕の番か。

 

「吉井明久です。趣味はゲーム。特技は特にない平凡な男です」

「あれが観察処分者の吉井か」

「あいつの隣に座るだけで、偏差値が10は落ちるらしいぜ」

「とりあえず机を離しておこう」僕の周辺に空間ができた。だいたいFクラスにいるくせして偏差値なんか気にしている場合ではないと思うのだが。気にしない気にしない・・・・・グス。

 

「島田美波よ。ウチはドイツ帰りの帰国子女で日本語はまだちょっと慣れてないわ。あと、なぜかウチが男と思っている奴がいるようだけど、れっきとした女の子だからね」

誰も反応しない。それはそうだ。ツッコみはおろか笑っただけで美波の恐怖の関節技が飛んでくるのだ。下手をしたら息を吐いただけで、コブラツイストの餌食になってしまう。みんな必死で我慢している。

「あの、姫路瑞希です。趣味と特技はお料理です。いつか皆さんに食べてもらえたらと思います」クラス中から歓声がわいた。もちろん僕も秀吉もムッツリーニもこの時は知らなかったのだ。姫路さんの料理の恐ろしさを。

 

「じゃ、あたしの番ね。千鳥かなめです。見ての通り才色兼備の美少女で、近所ではお嬢様なんて呼ばれています」この人は僕たちのことをよほどのバカだと思っているのだろうか?いくらなんでも、たった10分前の惨劇を忘れる奴はいないと思うのだが。

 

「おい、相良。いいかげんに復活しろ。自己紹介お前の番だ」

「ああ。相良宗介軍曹・・・・・忘れて下さい。趣味はJane年鑑を見ながらの釣り。特技はASの操縦であり・・・・・忘れて下さい。特技は、敵地への夜間潜入であります」僕は相良君のことをよく知らないんだけど、あまり頭のいい人ではなさそうだ。

 

「最期に俺だ。坂本雄二だ。趣味はゲーム、特技はケンカだ。これから一年間よろしくな」

 

「坂本、これで全員自己紹介は終わったわね」かなめが立ち上がった。

「ああ、一応な」雄二が答える。

「じゃあ、あたしAクラスに宣戦布告してくるわ」

「おい、ちょっと待て。だれか千鳥を止めろ」宗介がかなめを羽交い絞めにした。

「何でお前はそんなにAクラスと試召戦争したがるんだ」

「ふふふ、あたしがこんな底辺で艱難を舐めているというのに、のうのうと皮張りリクライニングマッサージチェアに座って、フリードリンクで授業を受けている連中に地獄を見せてやるのよ」

「逃げも隠れもしない逆恨みだな」雄二が行った。

「離してよ。あいつらにも地獄を見せてやるのよ・・・・・」かなめの叫び声がFクラス中に響き渡った。

 

 

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