バカとテストとフルメタパニック   作:らじさ

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第6話

クラス全員の自己紹介も終わり、各自の委員も決まって2時限目から普通の授業が始まった・・・・・はずだったのだが、授業はことごとく相良君の妨害により中断された。

いや、妨害と言っては彼に悪いだろう。本人は大真面目で質問しているつもりなのだから。

 

【2時限目 数学】

「ですから先生。その数式のxというのは、何なのですか?」

「いや、だから相良君xというのは、不定な数字で何でもいいんだよ」

「それではyはどうです?」

「yも不定でxが定まれば定まる数で・・・」

「zというのもありますが」

「zも不定で・・・・・」

「xも不定、yも不定、zも不定では、結局何も決まらないではないですか」

「いや、このように表わすのが数学という学問で・・・・・」

「敵の位置がわからなければ作戦の立てようがありません。そこにこそ我々の命がかかっているのです」

数学の先生はどこから説明したらいいものやら、途方に暮れていた。

 

【3時限目 物理】

「いや、だから初速度v0とかはどうでもいいのであります。自分はもっと日常生活に役に立つ授業を望むと主張しているだけなのです」

「いや、相良。お前の言いたいこともわからんではないが、日常生活に役に立つ物理とはどんなものだ」

「例えば橋を爆破するに当たり、せん断応力を0にするために必要な爆薬の爆速をv0とした場合、何kgの爆薬が必要かであります」

今後、僕の人生の中で橋を爆破しなければならないことがあるのだろうかと考えたが、どう考えてもそのシチュエーションが思い浮かばなかった。

「もちろん、橋の材質が鉄骨であるかコンクリートであるかによって固体係数がことなるため、爆薬量も・・・・・グワッ」かなめのハリセンの一撃が宗介の後頭部に決まった。

「あんたの特殊かつ異常な日常を、日本の一般高校生に求めるんじゃねーわよ。どこの高校生が橋の爆破なんかするのよ」

「だが、千鳥。これはレジスタンスになった時にも有効な知識で・・・・・ドゥワ」かなめのハリセンの乱打が炸裂した。

「そんな授業された日にゃあレジスタンスになる確率よりも、浪人する確率の方が何万倍も高くなるわよ・・・・・クヌクヌクヌ」

相良君が静かになった・・・・・どうやらただの屍のようだ。

「ハアハアハア・・・・・失礼しました。授業を続けて下さい、先生」かなめに促されて教師は授業に戻った。

 

【4時限目 国語】

「まだあげ初めし前髪の林檎のもとに見えしとき 前にさしたる花櫛の花ある君と思ひけり」

「ざわざわざわ」

「やさしく白き手をのべて林檎をわれにあたへしは 薄紅の秋の実に人こひ初めしはじめなり」

「ざわざわざわざわざわ」

「あんたたちねぇ。少しは真面目に授業を聞きなさいよ」かなめがたまりかねて注意したのだが、教室は沈まらなかった。

「これじゃ授業にならないわね。ソースケ、何とかしなさいよ」かなめが宗介に言った。

「うむ、了解した」宗介がカバンから何かを取り出した。

「言っておくけど、銃の乱射は禁止だからね」かなめが宗介に注意した。一体、かれらの1年の時のクラスはどんな修羅場だったのだろうか。

「うむ、了解だ。すまないが、千鳥、姫路、島田、坂本、木下、土屋、吉井。しばらく目を閉じて耳を塞いでおいてくれ」宗介はそういうと、手に持った物からピンを引きぬき教室の前方へ放り投げた。

「ボン」という轟音と眩しい光が発せられた。

「M84スタングレネードだ。この手榴弾は爆発時の爆音と閃光により、付近の人間に一時的な失明、眩暈、難聴、耳鳴りなどの症状と、それらに伴うパニックや見当識失調を発生させて無力化することを狙って設計されている・・・グワッ」再びかなめのハリセンが決まった。

「ドヤ顔で偉そうに説明してんじゃねーわよ。先生も他の生徒も全員気絶しちゃったじゃないの」

「心配いらん。心臓に持病が無い限り害はないはずだ」

「心臓に持病があったら危険ってことじゃないの」その心配はいらない。連中の心臓の異常と言えば毛が生えていることくらいだ。先生は・・・・・心臓が丈夫なことを祈っておこう。

「だが、君が静かにさせろといったのだぞ、千鳥」

「気絶させろとまでは言ってないわよ。おまけに先生まで気絶させちゃって」

「待て、千鳥。そのハリセンを降ろせ。そもそもテロリストの制圧は時間との勝負なのだ。瞬間的に制圧しなければ人質が危ない」

「その人質(先生)まで一緒に倒しておいてよく言えるわね、あんたは」

「多少の犠牲はしかたがない。そもそもテロリストとは交渉しないというのが国際常識であって・・・・・ドワッ」またしても千鳥さんのハリセンが脳天に決まった。毎回毎回飽きもせずによく食らうなあ。

「何が国際常識よ。その前に一般常識を覚えなさい、あんたは」かなめのハリセン連打の音が、静かになったFクラスに響きわたった。

 

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