もしも北郷一刀が東方の世界に転生したら。【打ち切り】 作:独田圭(ドクタケ)
ではどうぞ。
◇
一刀Side
…う〜ん、随分と長い間寝ていたような気がする。
まだ体の節々が痛む。…無理もないか、あの大戦で霊力を使い果たしておまけに暴走までしちまったんだからな。
まだ歩けないから全回復とはいかないまでも手足は充分に動かせるので霊力はある程度回復してると言っても良い。
俺は目を開いて首だけを動かして辺りを見回す。
辺りは木々に覆われていて時折木の葉のせせらぎが耳に届く。なんだか心が洗われる気分だ。
一刀「……」
……ってココ何処だよ(汗)
◇
おっかしいなぁ〜。俺の記憶違いじゃなければ此処は妖怪共と戦を行った場所でその影響で土地も荒れ果てていた筈。草木なんて何処にも無かったに違いない。
もしや俺が寝ている時にどっか違う場所にワープでもしたのか?そうだとしたらマジで笑えねぇぞこりゃ。
誰か状況が解る人、説明を頼む!!
なんて思っていると…
??「漸く目が覚めたようね。」
一刀「うおっ!?」
突然声を掛けられて俺は飛び起きた。…ビックリしたぁ。マジで寿命縮んだぞオイ。
とりあえず声のした方向に目を向けるとそこに居たのは…
一刀「…何だ貂蝉か。ビックリさせんなよ。」
貂蝉「あら驚いた?ごめんなさいね♪」
声の主は貂蝉、相も変わらず海パン一丁に三つ編みという組み合わせでその場に人が居たら間違いなく変質者扱いされるだろうが俺はもう慣れたので特に気にしちゃいない。
…慣れって恐いね(笑)
一刀「でもよぉ、お前が此処に来るのはマズイんじゃないのか?異世界に干渉して大丈夫なのか?」
貂蝉「確かに干渉するのは良くないけど何もしなければ異世界に来る事自体は特に問題ないわ。」
そんなものか、まぁ貂蝉がそう言ってるんだからそうなんだろう。それよりもだ…
一刀「てか此処は何処なんだよ、まさかとは思うが俺はまた違う場所に飛ばされたのか?」
もし当たってたら俺は一体どうすりゃ良いんだ。また野宿か?また野宿なのか?
貂蝉「此処はご主人様が妖怪達と戦った場所と同じよ。だから安心しなさい。」
貂蝉の言葉で此処が元戦場だった場所という事は理解した。だがこの景色の変わりようはなんだ何度も言うがここら一帯は戦の影響で焦土と化した筈だ。それなのに何故こうも緑が生い茂っている?
その事を尋ねると貂蝉は少し困った様な表情をし「信じられないかも知れないけど…」と前置きした上で、
貂蝉「そりゃあれから1億年近く経ってるんだから景色が変わるのは当たり前よ。」
…………は?
イヤイヤ待て待て、いくらなんでもそりゃねぇだろ。貂蝉のタチの悪い冗談に決まってる。ナニ、貂蝉そんなに俺にシバかれたいの?マゾなの?
色々突っ込みたい事があったがとりあえず俺の口から出た言葉は、
一刀「貂蝉……いよいよ見た目だけじゃなく頭までおかしくなったか…」
貂蝉「失礼ね!!だ〜れ〜が見た目も頭もおかしな化け物ですってぇ!!」
イヤそこまでは言ってない。そこまでは。
一刀「だとしても実感が無さ過ぎる。歳取ってもないしさぁ。」
貂蝉「ご主人様はその間ずっと寝てたんだから無理もないわね。歳を取らないのは神の力による影響ね。」
曰く、神様というのは寿命という概念はあっても老化という概念は無いらしい。とはいえ寿命も人間のそれよりも長く生きるらしいが。
…あっそうだ、ここらで俺の約束を果たさねば。せっかく貂蝉も居るんだし。
一刀「そうだ貂蝉、俺からお前に頼みがあるんだけどさぁ、聞いてくれるか?」
貂蝉「ご主人様の頼みなら何でも聞くわ。」
一刀「そうかいそうかい。じゃあ早速だけどさぁ…
…テメェとりあえずツラ貸せや。」
貂蝉「…へっ?」
一刀「歯食いしばれよ!!」バキッ‼
貂蝉「ぶるぁぁぁぁぁぁ!!」
貂蝉と話してる間に霊力が全回復し歩けるようになった俺はありったけの力を込めて貂蝉をぶん殴った。
貂蝉「…いったぁ~い。いきなり何するのよ…」
一刀「何するだぁ?テメェ自分が何したか解って言ってんのかコラ!!テメェが勝手に余計なもん付けなかったら暴走する事も仲間を失う事も無かったんだぞ!!」
たらればという言葉はあまり使いたくないが能力だけだったらまだ良かった。それならまだ割り切れた。だがコイツが破壊神などというチートで厨ニくせぇもん付けやがったせいで俺の人生メチャクチャだ。
これじゃあ今後どの面下げて永琳達と会えば良いんだよ。
貂蝉「…ごめんなさい。ご主人様への相談も無しに勝手に種族と能力を選んだ事は謝るわ。だけどご主人様をこの世界に固定させるにはこうするしか選択肢が無かったのよ。」
一刀「…それならそうと早く言えよ。」
貂蝉が申し訳なさそうに謝罪した事で俺も少し頭を冷やす事が出来た。
冷静になって考えてみれば貂蝉に全責任がある訳ではない。破壊神を制御出来ずどうにもならないからといって途中で投げやりになってしまった俺にも責任はある。
覆す程度の能力を使えばなんとかなるだろうと考えていた俺の認識の甘さが招いた結末なのだ。
貂蝉「でもあの戦で神の力を使えるようになったんじゃないかしら?試しに神格化してごらん。」
はぁ?何言ってんだコイツ。そんな事したらまた暴走するに決まってるだろうが。…どうなっても知らんぞ。
とりあえず俺は言われた通り神格化してみる。すると…
一刀(刃)「…あれ?」
神格化したら暴走するかと思ったが予想に反して自我がはっきりと残っている。何故だ?
貂蝉「一度暴走した事によって神の力という物を体が覚えたのよ。だからご主人は今こうして自我を保ってるという訳。」
貂蝉の言葉を解りやすく説明すると暴走するという事は裏を返せば意図せず全力を出している状態とも言える。そうするとたとえ理性を失っていたとしても体が覚えた…つまり制御下に置く事が出来たという訳。
だが正直俺の今の心境は複雑だ。確かに破壊神を制御出来た事は良いんだけど、それと引き換えに失った物があまりにも大き過ぎた。それを考えると素直に喜べない。
一刀「…皮肉な話だな。」
忘れてはいけない。この力を得た影に多くの犠牲があった事を。そしてそれを命尽きるその時まで背負って生きていく事を。
◇
貂蝉「立ち直ったみたいね。」
一刀「あぁ、俺は前に進むしか無い。それが俺が仲間達に出来る弔いだからな。」
それに何時までもクヨクヨしてたら永琳達に笑われるしな。
…さてと、旅に出るか。今が西暦なのか紀元前なのか知らんが1億年近く経っているなら人類は誕生してる筈だ。見聞を広めるには丁度いい。
貂蝉「あら、旅に出るの?」
一刀「あぁ。この旅の先に何があるのか、どんな奴が居るのか、自分の目で確かめてみたいんだ。」
貂蝉「じゃあついでにこの美少女貂蝉ちゃんのお眼鏡に叶う良い男を探してきて頂戴♪」
一刀「…うん、お前はまず自分の姿を鏡で見て来い。」
貂蝉「酷い!!」
一刀「ハッハッハッ。」
美少女じゃなくてお尋ね者の間違いだろ。自意識過剰も程々にしないとな。まっ、土産話ぐらいは聞かせてやるからよ。
一刀「んじゃな貂蝉。元気にしとけよぉ。」
貂蝉「はいは〜い。」
そうして俺はこの場を後にする。
もう二度と同じ過ちは犯すまいと強く誓いながら…
【完】
前回の後書きにもあった通り、この話で人妖大戦編は終了です。結構時間が掛かりました…
一刀「お前が途中で読み専に走ったりするからだろ。」
うぐっ!!……返す言葉もありませんね。
…さて、次回は一刀君のプロフィールにするか早速新章に突入させるか迷ってるんですがどっちが良いと思う?
一刀「知らんがな。」