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考察その3~直死の魔眼~
目の前に点と線がある。
赤ん坊の俺、まだぼんやりとしか目の見えない俺。
これがきっと俺の望んだ能力なんだろう。
世界が点と線で覆われている。
点と線とその後ろにぼんやりと形を見せる――らしきものが俺の世界。
触れてはいけない。
触れれば文字通り直ぐ死に繋がる。
だとしても、赤子の俺は抱えあげられる。
母親の慈愛を受けて、ようよう生まれた俺の下へ、父親が駆け寄る。
俺の小さな手を父親が握り、父親の点に俺の指が触れる。
叫び声を上げる母親が俺を抱きしめて、その線を思わずなぞってしまう。
看護師が俺を抱えあげ、ずったりと床に崩れ落ちる。
そして俺は、その根源が俺だという事に気付いた医者の、正義感と嫌悪感と倫理観と擁護心とをこねくり合わせた瞳の炎に貫かれ――