ARMORED CORE VERDICT DAY ヴェニデの剣豪   作:D-delta

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今回は純粋にオリキャラを使ったACVDの二次創作です。


Chapter01 その日、剣豪は現れた

――ヴェニデ。

 その勢力は力を第一としている勢力。

 独裁的な指導者の下で復興を遂げ、そして生存可能な環境を持つ地域を武力で強引に吸収して今の三大勢力の一つとして数えられるほどになっている。

 誰に対しても武力で行使するため、どの勢力とも敵対しており、極めて攻撃的である。

 そして他の勢力とは類を見ない特殊な階級制度があり、上位から賎民までがある。

 上位は軍で力を示した者。

 中位は軍関係者。

 下位は住民。

 賎民はなにも成し得ることもできない無能。

 しかし、どれほど階級が低かろうと力を示すことができれば一気にのし上がることができる。

 そう、この勢力を一言で言えば『力』だ。

 全ては力を持つ者によってその未来を決定される。

 それが彼らの思想であり、理想である。

 

 

       ※※※

 

 

 ヴェニデ下位階級の居住区。昼。

 荒れた大地の上に粗製で小さな家が多く立ち並んでいる。

 そこには多くの力無き者が住んでいた。

 そのような力無き集団は商いによって生きていた。

 無論、商いで取り扱っている商品を狙って強引に奪いに来る輩がいるのは当然のことだ。

 そして今まさに下位居住区に輩が侵攻中だった。

 しかし、輩の目的は基地の襲撃であり、商品など気にもしていなかった。

 

 その輩の名はエスパーダ。

 ヴェニデに対抗する反抗組織である。

 

 そんな輩が下位階級の居住区に侵入してきた。

 輩の主な戦力は四台の戦車だが、その中に一機の重量二脚型ACが混ざっていた。

 

《敵の居住区に入った。これより軍事基地に移動を開始する》

 

 輩は下位階級の居住区のことなど一切気にせず、建物や住民を戦車やACの大きな巨体で蹂躙しながら移動する。

 戦車を前面に、ACを後ろに着かせているフォーメーションを取る輩が移動しているところに目の前からACを下部のハンガーに固定している大型ヘリが二機接近してきた。

 その大型ヘリにはヴェニデの禍々しいエンブレムが付けられていた。

 そしてヴェニデのエンブレムを体現するが如く、禍々しいカラーのACが投下される。

 

「よし、やるぞ」

 

 幼さを残した顔つきの若い東洋人はACのコックピット内で気合を入れていた。

 

《作戦は簡単だ、お前が突っ込んで死ぬ。で、その後に俺が手柄をいただく。良いな? 賎民》

 

 オートキャノン(いわゆる機関砲)を両手に持った標準タンク型ACに乗っている中位階級のアルルド・ベングが差別対象の東洋人である彼に問いかけた。

 アルルドの言っている言語がよく分からない彼は二つ返事で適当にイエスと答えた。

 

《よーし、神風になってさっさと死んで来い! 俺はここでお前が名誉の戦死をする瞬間を見てやるよ》

 

 彼の機体はジャンクパーツで構成されている標準中量二脚型AC。武器は両手に装備されているBD-0 MURAKUMO(実刀ブレード)だけである。

 射撃武器は一切なし。

 もちろん予備武器を持つためのハンガーユニットにはなにもない。

 肩に武器を収めるためのショルダーユニットも中身は空っぽである。

 

《誰にも使えないそんな粗製の機体で生きて帰ってくるなよ!》

 

 彼によく聞こえるようにアルルドは声を大にして言った。

 彼はその嫌味が含まれた大きな声を無視して機体のブーストをうまく扱い、輩の軍勢の中に飛び込む。

 軍勢の中心に着地すると太陽光の影響でMURAKUMOの刃が煌めいた。

 

 その直後、彼のACの近くにいた敵戦車が縦に真っ二つになる。

 敵戦車は見るも無残な姿になり、操縦者までもが真っ二つに切り裂かれていた。

 ほんの数秒の出来事。

 ブーストの音だけが聞こえて斬るときの衝撃音はなにも聞こえない。

 まさに職人技に等しい。

 

《コイツ! ACを前面に出せ!》

 

 三台の敵戦車が主砲を高らかに鳴らして弾幕を形成、それ同時に一気に後退していく。

 後退していった戦車の代わりに重量二脚型ACが前に出てきた。

 敵のACはレーザーライフルとライフル、ハンガーユニットにヒートハウザー二つを持っている。

 

《ヴェニデめ、仲間の仇!》

 

 レーザーライフルの溶かし尽くす光りとライフルから発射される鋼鉄の弾が彼のAC目がけて飛んでいくが、彼はフットペダルと操縦桿を巧みに扱うことで弾丸と光りを避ける。そのまま弾丸と光は彼の機体に当たること無く通り過ぎていった。

 彼は更にフットペダルと操縦桿を倒して一気に加速した。

 MURAKUMOの刃が敵ACを映す。

 

《クソッ! なんて奴だ》

 

 恐れをなした敵ACのパイロットは操縦桿を後ろに引いてブーストを点火、後方に移動しながらレーザーライフルとライフルをハンガーユニットに取り付け、代わりにヒートハウザーに切り替えた。

 

《やめろ! 後ろに下がってくるな!》

 

 敵戦車の搭乗者がハッチから出てきて敵ACに向かって手を大きく振るいながら大声を出していた。

 敵ACが後ろに下がれば三台いる敵戦車も一緒に下がり始める。

 

《バカ野郎、こっちに来るな! 俺たちも殺されちまう!》

《ふざけんな、あんな化け物に接近戦なんて勘弁だ》

《クソッ! 接近してくるぞ》

《ACに乗っているお前が囮になりやがれ》

 

 通信越しでも分かるように輩の連携が最悪なものとなっていく。

 三台の敵戦車は主砲を適当に乱射してわざと味方であるはずのACに誤射し、機動力を落とさせていた。

 敵ACは味方に誤射されて機動力を落とされたことに焦ってヒートハウザーの榴弾を彼のACにひたすら放った。

 榴弾による爆撃の中、彼は『グライドブースト』――驚異的なスピードでACを加速させ続けるテクニック――を使って、驚異的な加速を始める。

 爆撃の爆風すら彼のACには届かないほど加速していた。

 そして敵ACの眼前にまで接近してくるその姿はまさに化け物。

 敵ACのパイロットはその姿を見ると目から涙が止まらなかった。

 

《なんだよ……夢なら醒めてくれよう、お願いだから醒めて――》

 

 敵ACのパイロットに言葉を言わせる前に二つのMURAKUMOの刃が轟く音を発して敵ACのコアを切り裂いた。

 その刃は中にまでしっかり通っており、パイロットの身体は無残にも首と胴体を離していた。

 刃を敵ACのコアから引き抜くと血に塗れた刃が姿を現し、敵ACは支えのない人形の如く周辺の建物を巻き込みながら地面に倒れた。

 

《あいつ、一撃で中のパイロットを殺しやがった》

《化け物だ、化け物が俺たちの前に現れやがった》

 

 恐れた戦車の搭乗者たちは全力で戦車を後退させた。

 彼はそれも見逃さず、『ハイブースト』――瞬間的に最高出力でブーストを吹かすテクニック――を使って戦車の主砲から放たれるCE弾を避けながら接近する。

 そして刃が近付くと、敵戦車を微塵に切り裂いた。

 必死になって戦車の中から出てきた兵士にも同じくMURAKUMOの刃が襲いかかった。

 刃をもろに受けた兵士の身体は易々と上下に分かれた。

 

《駄目だ、殺される》

 

 敵戦車の搭乗者が泣き言を言った瞬間に彼のACが『ブーストチャージ』――いわゆるブーストと機体重量を利用した蹴り――を繰り出す。

 戦車は簡単にひっくり返されて車体から炎を噴出させた。

 その内に火の手が弾薬にまで辿り着き、大爆発を起こした。

 派手な花火と言って良いのかもしれない。

 

《残念だなぁ、お前が死ぬ瞬間を見れなくて》

 

 また嫌味な声が彼の耳に入ってきた。

 彼は機体をアルルド・ベングの乗る標準タンク型ACに向けた。

 

《賎民は俺たちのような中位階級や上位階級のために死んでいれば良いものの、お前みたいな(いや)しき存在は消えるべきだ。自分でもそう思うだろう? 霧山一刀》

 

 霧山一刀――それがMURAKUMOしか装備していないACのパイロットの名前だ。

 標準タンク型ACのオートキャノンが彼のACに向いた。

 ショルダーユニットも展開し、中からミサイルが顔を出した。

 

《グッバイ! クソの役にも立たない東洋人》

 

 瞬間、オートキャノンから鼓膜を容易に破ってしまうような音と共に凄まじい弾幕が放たれ、ショルダーユニットからはミサイルが次々と発射される。

 彼のACは襲い来るオートキャノンの弾幕に押されたが、『ハイブースト』を繰り出して、弾幕からなんとか逃れた。

 しかしミサイルは彼のACを追いかけてくる。

 いくら回避しようともどこまでも追いかけてくるため回避ができず、『ハイブースト』による高速移動中にダメージを喰らってしまう。それによって強制的に機体の動きを止められた。

 アルルドの乗る標準タンク型ACはそのまま彼のACにゆっくりと近付いてオートキャノンを乱射する。

 しかし彼はばら撒かれる弾幕の弾道を読み、『ハイブースト』による高速移動を繰り返してアルルドの乗る標準タンク型ACにMURAKUMOを構えながら接近した。

 

《やるな、だがなその機体は欠陥なんだよ!》

《そこまでだ、もうやめろ》

 

 彼とアルルドがぶつかり合っているところに別の声が通信に入ってきた。

 それは先ほど霧山たちを運搬していた大型ヘリからの通信であり、その声は冷静そのものだった。

 冷静な声に両者は動きを止める。

 

《ハハハハ、やめる? なにを? 俺は卑しき賎民を粛清(しゅくせい)しているだけだ》

《彼はそんな粛清されるようなことをしたのか?》

 

 冷静な声がアルルドを抑え付けた。

 それでもアルルドは勢いを崩さず、彼にオートキャノンの銃口を向けたままだった。

 

《存在自体不愉快であり、賎民生まれの奴が俺の功績作りのクソの役に立たないんだぞ! 粛清するのに十分過ぎる理由だろうが!》

《なるほど、そういうことか》

 

 冷静な声が納得したことにアルルドが笑い始めた。

 そうして笑い声が続いた。

 

《そうだろ? そうだろ? こいつは粛清されて――》

《アルルド・ベング、お前をヴェニデの反逆者としてここで処刑を開始する。霧山、アルルドを殺せ》

 

 アルルドの肯定する笑い声の間に冷静な声が割り込み、アルルドを反逆者として彼に粛清を命じた。

 アルルドの笑い声は次第に聞こえなくなり、すすり泣く声が聞こえてきた。

 

《待ってくれ! 俺はただ賎民のあいつを粛清しようと――》

《我らの思想は〝力〟ある者が全てを握ること、地位が高いだけの者が全てを握ることではない。したがって逸脱した行動を取ったアルルドにはここで死んでもらう》

 

 冷静な声にそう言い切られたアルルドは泣き喚き、オートキャノンを乱射した。

 彼はフットペダルと操縦桿を小刻みに動かし、まるでリズムを取るかのように動かした。すると、ACも小刻みに動き始める。

 その動きはACが取る機動としては気持ち悪い動きだった。それはそれは見ている側も操縦している側も酔ってきそうな動きだ。

 

《弾が当たらねぇ、なんでだ》

 

 アルルドは半ば放心状態になってその恐ろしく変態な機動を、操縦桿に付いている発射スイッチを押しっぱなしで見ていた。

 その内にアルルドは恐ろしさからくる絶望に耐えられなくなって目を閉じた。

 そして衝撃は来た。

 なにかが機体の上に乗っかるような衝撃音。

 アルルドが目を半分開けるとMURAKUMOの刃を煌めかせて今にも首を取ろうとするACの姿が見えた。

 

《夢だ、そうだ俺は夢を見ているんだ》

 

 そう言ってアルルドは目を全力で閉じた。

 目を閉じた瞬間、MURAKUMOの刃がコックピットの部分に刺し込まれてコックピットハッチを破壊。

 彼のACはアルルドを凝視して両手に装備されたMURAKUMOの刃がアルルドの顔を映す。

 直後、目を閉じてシートに座っているままのアルルドに刃が襲いかかり、刃はあっという間に真っ赤な鮮血に塗れた。

 冷静な声の主はアルルドが死ぬ瞬間を確認したところで口を開いた。

 

《おめでとう、君の力は認められた。明日からは我らの軍事基地で生活することになるだろう。まずは基地でゆっくり休むことだ》

 

 冷静な声は霧山を大いに称えた。

 大型ヘリが降りてきて、ACを大型ヘリ下部に付いている機体運搬用のハンガーに固定する。

 二機目の大型ヘリは死体とコックピットハッチが血に塗れたアルルドの標準タンク型ACを固定した。

 二機のACを固定し終わった二機の大型ヘリは作戦領域を離脱し、基地へと急いだ。

 

 

       ※※※

 

 

「どうだ?」

 

 一人の若い男の声が周りの二人に聴いた。

 

「力はあるようだが、まだ程遠い」

 

 渋い男の声は素直な感想を言った後に先ほどの戦闘を品定めするように繰り替えし確認している。

 特にMURAKUMOを扱う瞬間や回避動作を中心にして見ていた。

 

「第一部隊は既に対象の消去を開始している。力がある奴なら対象と見て間違いない。殺しても損はないだろう」

 

 先ほどとは違う若い男の声。

 

「そろそろ作戦行動をどうするか決めるぞ」

「分かった」

「ああ」

 

 そうして彼らは話し合い、今後の作戦行動を細かく計画して決めた。

 

「私が奴を殺す、お前たちは違う候補者を襲撃してくれ」

「了解、俺はNORTH FRONTIER(北アメリカ)に向かう」

「自分はSOUTH FRONTIER(南アメリカ)を徹底的に調べる」

「それと念のために第一部隊とのリンクを確立しておく、不利になるようなら第一部隊に力を貸してもらえ。それでは、作戦開始」

 

 彼らは霧山たちが去った後にひっそりと計画を行動に移した。

 居住区の外れから一機の黒と赤のACが飛び出し、どこかへと行ってしまった。

 




前の作品の反省を踏まえてプロットをちゃんと書いたぞ!
しかし、短めな作品である。

※全十話予定
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