ARMORED CORE VERDICT DAY ヴェニデの剣豪   作:D-delta

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余談だが、ラストジナイーダにいまだ勝てない……。


Chapter04 UNAC

 落ち行く夕日を背にして七機の大型ヘリは無事帰還してきた。

 帰還してきた七機の大型ヘリはACを基地に着陸させ、そのままヘリを入れるための格納庫に向かっていった。

 特に破損しているACや鉄塊と化しているACは静かに降ろした。

 破損せず、自力で動けているACはパイロットに操縦されて格納庫に入れられる。

 破損しているACは大型トラックに積まれて格納庫に運び込まれた。

 

「フレイド!! また壊したのか!」

 

 第一格納庫内に怒鳴り声が響き渡り、その場の誰もが反応して怒鳴り声を上げた整備班長である女の子とフレイドを見た。

 背丈は小さいものの怒り気味な女の子はフレイドを圧倒して男の弱点を蹴り上げた。

 

「グハッ、待ってくださいよ……整備班長殿。俺は必死に戦って、それで」

 

 力尽きそうな勢いで床に倒れるフレイド。

 その姿を見て尚も怒った表情を崩さず、手にレンチを持った。

 

「次、私の大切なACを壊したらレンチで殴り殺してやるからね。覚悟しろよ!」

「はいー!」

 

 整備班長はその強烈な一言と鬼の角が生えそうな形相でフレイドとのもめごとを終わりにした。

 整備班長のあまりの形相と怒鳴り声にフレイドは縮こまって格納庫の端のイスに座る。

 彼はそんなフレイドの下に駆け寄り、フレイドを立ち上がらせた。

 

「フレイド、今日は疲れた。俺の部屋を教えてくれ」

「ああ、そういえばまだ教えてなかったな。分かった、お前の部屋に案内してやるよ」

 

 フレイドは彼を連れて宿舎に行った。

 宿舎の入り口に入り、その入り口付近にあるある部屋割を確認して彼の名前がどの部屋にあるのかを確認した。

 するとなんの偶然か、彼の名前はフレイドと同じ部屋にあった。

 

「うん、まぁあれだ。俺たちを起こしにきた兵士がなぜなにも言わなかったのかが、よく分かったよ」

 

 フレイドは「運が良かったな」とでも言いたげな顔をして、彼を見た。

 彼はやれやれ、といった態度で自室に向かった。

 先の戦闘で疲れた彼らは若干重い足取りで自室の前に到着する。

 そして扉を開けると、凄まじい異臭が中を漂っていた。

 

「うわぁ、この悪臭は今朝のあれか」

 

 悪臭の元であるそれは床にこびり付いていた。

 フレイドは鼻を押さえて部屋の掃除用具の中からモップとバケツ、そしてホースを取り出した。

 彼らはその悪臭の元を退治するためにホースを介してバケツに水を入れ、モップに水を染み込ませ、そしてこびり付いた悪臭の元を拭いた。

 もちろん乾燥していることから簡単に取れはしなかったが、力任せに押しつけて拭くと悪臭の元は取れた。

 

「よし、取れたな。後は窓を開けて空気の入れ替えをしたいところだけど、外は砂とか(ほこり)が飛び交っているからしばらく扉を開けておこう」

「まだ、寝られないのか」

「だって寝たら外から誰かが入ってくるだろう?」

「ちくしょう」

 

 彼は小さく舌打ちを打って、緊張感と集中力が切れた眠い顔を部屋の開かれた入口に、向けて監視した。

 しかし、監視を提案したフレイドはすぐに寝てしまった。

 彼はさらに舌打ちを打って入口の監視を続けた。

 

「臭い、眠い。フレイドも起きていろよ」

 

 文句を言い続けて監視を続けていると次第に悪臭は消えていった。

 鼻を使って周りの臭いを確認し、悪臭が消えたことに気付くと彼はあまりの眠気にふらつかせた足で向かって行き、視界がぼやけながら扉を閉めた。

 彼はそのままふらつきながら走って、ベッドに飛び込んだ。

 

「これで……寝れる」

 

 彼はベッドに横たわり、その柔らかさに身体と目を沈めた。

 疲れもあって彼は深い眠りに付いた。

 

 

       ※※※

 

 

「起きろ! いますぐブリーフィングルームに向かえ!」

 

 起こしにきた兵士はいつも通りの部屋に響くほどの声で彼らを強制的に起こした。

 彼らが時刻確認のために窓の外を見ると、すっかり朝日が顔を出していた。

 十分に寝た彼らは身体を起こして、ブリーフィングルームに向かった。

 管制塔に入り、そしてブリーフィングルームへと着いた。

 ブリーフィングにいる人間は相当なもので戦いに関係のない整備班までもがブリーフィングルームに顔を出していた。

 

「よし、全員集まったようだな」

 

 ブラッド司令はブリーフィングルームに設置されている大型モニターを起動して、基地から半径十kmの範囲を上から映した図をモニター上に出した。

 そのままブラッド司令はモニター上に指を指した。指された場所はこの基地の北西に位置する場所だ。

 その場所にもこの基地同様の図形が示されていた。

 

「EGFがこの基地――第19支部前線基地を経由して我々の基地へと接近している。そしてつい二時間前の出来事だ、第19支部前線基地が壊滅した。恐らくは今接近しているEGFの部隊の仕業だ。我らより力の少ない連中が基地を壊滅させるほどのものだ、敵は我々の想像を遥かに超える大部隊である可能性が高い。なんとしてもこの基地を守るぞ、各員出撃せよ!」

 

 ブリーフィングルームに集まった一同は急いで自分の持ち場に着くために走った。

 もちろん、彼らも走った。

 

「大部隊と戦うなんて今度こそしぶとさを発揮できる気がしねぇ」

「つべこべ言わず急ぐぞ」

「お、おう」

 

 彼らは自分たちのACがある第一格納庫に入った。

 しかし、彼らの見た自分のACは前に使った機体とは違っていた。

 

「あれが俺の新機体か」

「俺のACは前戦った敵の腕が使われているな」

 

 フレイドのACは中量二脚型ACなのは変わらないが、コアには盾、脚部には元々付けられていたシールドを更に強化したものが搭載されていた。

 武装面はほとんど変わらないが、右のハンガーユニットにガトリングの代わりであるBD-0 MURAKUMOが搭載されていた

 霧山のACは脚部、コア、頭は変わらずに腕が先日戦ったシリウスのACが使用していた武器腕ブレード――A11 Vendettaとなっていた。

 武装面はそのブレードだけ、つまり高速戦闘で斬り合えということだった。

 

「ほれほれ、私が作り変えた機体をじっと見てないで早く乗った乗った」

 

 整備班長が急かしてきたことによって彼らは言われた通りにACに搭乗した。

 機体を動かして外へと出る。

 外は一般兵器も出撃するようで基地内はどの兵器も稼働していた。

 運搬用の大型ヘリでさえも武装して彼らのACの上を飛んでいた。

 

《波が来とるな、各機油断するなよ》

《遂に(わし)の出番か》

 

 老人の乗るタンク型ACが彼らのACの前を通り、そして老人のACの後ろから対戦車弾を詰め込んだヒートパイルを四つ装備した軽量二脚型ACが通り過ぎて行く。

 

《元第37支部突撃隊の力、敵に思い知らせてやるわ》

《貴様も既に老いているのだから無理をするなよ》

 

 老人たちのACが先を急いでいくのを見て彼らのACも基地の外へと出た。

 基地外へ移動し終えると作戦データがコックピット内のモニター上に映し出される。

 今回の作戦はACを前面に出し、ACを突破してきた敵を一般兵器が迎え撃つという作戦だった。

 

「結局死にに行けね」

 

 彼はそう理解して操縦桿を前に倒し、フットペダルを勢いよく踏み込む。

 そして機体は一気に加速して指定された前線へと突っ込んだ。

 彼のACが前面に出ると後ろのACたちが彼に続いた。

 指定された前線まで移動し終え、彼らはそこで敵を待った。

 

《こちらAC01、敵部隊視認できず。まぁ来なくても良いんだけどね》

《こちらAC02、同じく視認できず》

 

 フレイドは右側を監視、老人は左側を監視し、敵部隊の視認の確認し合っていた。

 そして彼の番が来た。

 彼は話せないという理由でフレイドに「敵を視認していないと代わりに伝えてくれ」と頼んだ。

 

《AC03も視認できていないようです》

 

 彼は後方を監視し、引き続き敵を視認するのに努めた。

 

《こちらAC04、敵を視認したぞ。真正面から来る気か、相当の自信があると見た》

 

 正面を監視していたパイル持ちの老人が報告する。

 すると後方の攻撃ヘリが動き出し、ACのいる前線に出てきた。

 

《こちらヘリ部隊、掩護する》

《了解、流れ弾で死なないよう離れていろよ》

 

 タンクの老人が通信のやり取りをし、ヘリに指示する。

 そうして敵部隊がやってきた。

 彼のACのメインカメラからでも視認できる距離に敵部隊はいた。

 

《ちょっと待て、これはまずいぞ》

 

 フレイドが急に騒ぎ出し始めた。

 彼は騒ぎ出したことが気になった。

 

「まずいってなんだ?」

《敵ACが十二機いる、しかも高機動型の中隊がその後ろで待機しているぞ》

 

 フレイドのその言葉に、通信を聴いた者全てが凍りついた。

 ACを十二機とはもはや一般兵器の二個大隊が襲ってくるようなものであり、しかもその後方に中隊が待機しているという最悪の状況だった。

 フレイドは怖じ気づいたが、敵ACが目視できる距離にまで近付いているため、もう戦うしか彼らに残された選択肢はなかった。

 

《U1、オペレーションを開始します》

 

 緑に塗装され、バトルライフルを両手に装備している四脚の敵ACが彼らのACに向かって発砲した。

 

《各機、敵に対して問答無用。戦闘を開始せよ》

 

 ハートマン副司令の指示が飛んだ。

 その瞬間に彼らのACは動き出す。

 元親衛隊(エル・ヴェニデ)である老人の乗るタンク型ACは先日のヒートキャノンとは打って変わってレーザーキャノンを使用し、フルチャージされた高エネルギー体が二つ、敵ACへと飛び、直撃を与えた。

 直撃した敵ACはコアの装甲を半分も溶かしているのに、それでもまだ敵ACは単調な動きで彼らのACへと近付きつつ射撃する。

 その動きを見たタンク型に乗る老人はある情報を思い出し、そしてそれは確証へと変わった。

 

《各機注意しろ! 敵はUNACだ》

《UNACだと?》

 

 驚愕したフレイドが声を出して反復する。

 

 UNACとはフォーミラーブレインというベースシステムによって無人でも稼働する無人ACのことである。

 UNACはプログラムで動くため恐怖心は皆無と言って良い。

 

《敵に恐れがなくても、突撃するのみ!》

 

 パイル持ちの老人は『グライドブースト』と『ハイブースト』の両方を巧みに扱い、バトルライフルの砲弾の嵐を掻い潜った。

 

 その速さは弓から放たれた矢の如く。

 

 老人が乗る軽量二脚型ACが先ほどのレーザーキャノンによってコアを半分溶かされた敵UNACに接近。

 そしてまさに矢の如く、高速機動で敵UNACとの距離が短くなった瞬間にヒートパイルの先端が打ちだされる。

 ヒートパイルは敵UNACのコアに突き刺さって対戦車弾を発射、上半身を四散爆発させた。

 それはもう大爆発だ。中になにがあろうと敵のUNACが再び動き始めることはない。

 

《この程度か? UNACというのは》

 

 パイル持ちの老人は次の獲物に狙いを定めながら高速機動を繰り出す。

 その活躍を見た彼もパイル持ちの老人に負けじと突撃を始める。

 彼も同じく『グライドブースト』と『ハイブースト』の両方を巧みに扱う。

 敵弾の集中砲火を避け、そして敵ACとすれ違う瞬間、Vendettaの刃が轟く音を出して敵ACのコアを、脚部を、腕を、頭部を、その全てを切り裂いた。

 もはやその敵ACは動くことも見ることもできず、荒れた大地の上に成すすべなく倒れた。

 

「なんて攻撃力だ!」

 

 彼はその攻撃力を評価し、斬った後に刃を自動研磨するという構造も相まって、彼は武器腕ブレード――Vendettaに絶大な関心を示した。

 

「凄いぞ、これは!」

 

 Vendettaの凄味に()せられた彼は嬉々として更なる獲物を求めた。

 二つ目、三つ目、四つ目と一分もしない内に敵UNACをバラバラに、そして敵UNACの残骸を大地に捨てて行った。

 

《俺もやってやるぞ》

 

 フレイドも突っ込むが撃墜されるのを恐れて中距離戦闘を繰り広げた。

 一機のUNACとの撃ち合いが始まった。

 しかし、フレイドのACが持つ武器は敵UNACとの相性が悪いのか装甲を削るに苦労していた。

 逆に敵UNACの持つバトルライフルは大きな痛手だった。

 

《相性が悪いならこのMURAKUMOを使ってみるか》

 

 フレイドは『ハイブースト』で敵の砲弾のいくつかを(かわ)しながら接近。

 そして敵UNACはコアと脚部の接続部を切り裂かれ、うつ伏せとなった上半身がフレイドのACを狙うこともできず、フレイドのACが持つバトルライフルのHEAT弾とガトリングの徹甲弾が手も足もでない敵UNACにトドメをさした。

 

《後何機だ!?》

「後半分だ!」

 

 彼らのACは残る敵UNACに接近。

 

 嬉々としたVendettaの斬撃が彼のACの進路上にいる敵を切り捨てていく。

 

 矢の如く飛ぶ軽量二脚型ACが持つヒートパイルの先端が敵に突き刺さって四散爆発。

 

 必死の抵抗であるMURAKUMOとガトリングの攻撃が敵を裂き、蜂の巣にさせた。

 

 重厚な装甲を持つタンク型ACからレーザーキャノンから放たれる凄まじい閃光が敵を蒸発させる。

 

 彼らの無双ともいうべき猛攻に、敵UNACは総崩れとなって次々と狩られていった。

 

「もういないのか?」

《俺はまだやれるぜ、もっと来い!》

《まだ敵の後方に中隊規模の敵がいる、気を付けろ》

《敵はまだかの? 儂はもう準備済みじゃ》

 

 手ごわい敵を大量に相手取るというエキサイティングな戦いに彼らの闘争本能は異常なまでに高ぶっていた。

 

《こちらヘリ部隊、敵の後方部隊が進軍してくる模様》

 

 彼らは補給を受けることもなく、高ぶった闘争本能に身を任せて敵の中隊が来るのを待った。

 そして敵は来た。

 敵は高機動型だらけの構成であり、射撃武器を持たない霧山とパイル持ちの老人には相性がきついと思われた。

 

 しかし、そんなことはない。

 

 なぜなら飛んで斬り、飛んで打てば良いのだから。

 

《敵の高機動型を確認、数は二十三機。ヘリ部隊も攻撃を開始する》

 

 消耗している彼らのところに高機動型が接近してくるが、そんなものは彼らにとってどうとういうことはなかった。

 霧山のACは逆関節型ACの特徴であるジャンプブースターを使って、高機動型の上を取り、敵を斬り落とした。

 後はそれを繰り返し、撃破を重ねる

 

 それに便乗して老人の乗る軽量二脚型ACも逆関節に及ばないながらジャンプからのヒートパイルを連発、ヒットした敵高機動型は原型がなくなるほどの爆発を起こした。

 

 ヘリ部隊の微力な掩護射撃とフレイドの乗るACと老人の乗るタンク型ACから放たれる強力な攻撃が宙を飛んでいる高機動型を次々と爆散させていく。

 攻撃を続けて行き、彼らの闘争本能が狩りを求めている内に敵は全て粉砕されていた。

 

《敵全機撃破、今日はお腹いっぱいだ》

《もう終わりかいな。久しぶりの激戦だというのに残念じゃのう》

《こちらヘリ部隊、敵の全滅を確認。これより帰還する》

 

 攻撃ヘリ部隊は基地に戻って行く。

 一息付いて彼らのACも基地へ戻って行った。

 彼らと行き違いに基地に配備されている全大型ヘリが戦場だった場所に向かって行った。

 その大型ヘリたちは彼らによって撃破されたUNACを回収しに行ったのだ。

 

「戦争が変わるな」

 

 彼はフレイド以外誰にも分からないであろう日本語で、そして面倒な説明を避けるためにフレイドに悟られないよう小声で言うのであった。

 




またまた余談だが、最近東方projectのゲームや二次創作の漫画や動画、その他諸々にハマっている。
無論、アーマードコアも要チェックしてます
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