ARMORED CORE VERDICT DAY ヴェニデの剣豪 作:D-delta
上空にいるヘリの収容が忙しい時に彼らのACは基地に戻ってきた。
彼らが戻ってきた時には防御型は既に第五格納庫や第六格納庫、第七格納庫に収容されおり、今は攻撃ヘリの専用格納庫に収容するのに基地は忙しそうにしていた。
《儂らも格納庫に戻すとするか》
パイル持ちの老人が先に格納庫に移動し、その後ろを彼らが付いていく。
彼らのACが第一格納庫に入ると帰りを待っていた整備班長がホッとした表情を作っていたが、ACの破損具合を見るとたちまち苦い表情に変わった。
「結構傷ついているわね」
確かに彼らは先の戦闘で十二機の敵UNACと中隊規模の高機動型に対して無双の如く圧倒してはいたが、やはり数の多い敵の攻撃はそれなりに彼らのACを傷付けていたのだ。
彼らはACをいつもの待機場所に移動させて、ACから降りた。
降りた彼らは整備班長の苦い表情を作り出した原因であるACの装甲を見ると傷付き度合いは見て一発で分かった。
表面の装甲は派手に凹み、見事に破損していた。
その上、間接などの精密機械群も相当痛んでおり、下手に動かそうとするとあっという間に外れてしまいそうなくらいだった。
これを四機整備するとなると超大変だと一同は思った。
「撃墜されなかったのは良かったけど、これだけ派手に色々なところが壊されていると整備が大変だわ」
そんな整備班長の言葉に一同はかしこまって謝罪をする。
霧山と老人たちの謝罪には困惑した整備班長だが、フレイドに対しては当然という風に態度を変えていた。
「そんなに謝らなくてもいいわよ、それよりみんなで一緒に食事を取らない?」
その提案に彼らは拒否せず、食堂に向かった。
第一格納庫から出て管制塔にくっ付いている施設があり、そこに食堂や酒場がある。
食堂に行く途中、霧山に視線が集中して噂話があちこちから聞こえてくる。
彼らは食堂に着き、それぞれ決められた食べ物を持って行って席に座った。
「いつもの合成食品か」
「食べられるだけマシだ」
彼はフレイドの文句に真面目に答え、無心になって口に食べ物を運んだ。
老人共は「若者のペースに付いていけないから」と言って別の席でゆっくりと食事を取っている。
「ねぇ二人共? 私の改良し直したACはどうだった?」
その言葉を聞いてもやはり彼は分からず、フレイドに通訳してもらって始めて理解できた。
彼は「素晴らしい」の一言で済ませて食べ物を口に運び続けた。
フレイドも同じような褒め言葉を行った後に色々と文句を言うと、また整備班長の形相が怖いものとなってフレイドの足を踏みつける。
「うむ、若いとは良いことじゃ」
「若いのは良いが、それを引っ張っていくのは私たちだぞ」
「そうじゃな」
老人たちはゆっくりと口に食べ物を運んで彼らを見ていた。
そうして彼らは老人たちより早く食事を終えて睡眠を取ることにした。
霧山とフレイドは宿舎へ、整備班長は破損個所の多いAC四機を直すという苦行をするために第一格納庫に向かうのであった。
しかし、整備班長の仕事は彼らのACを直すことだけではなかった。
※※※
「起きろ! ブリーフィングルームに集合しろ!」
いつもの伝令兵が来て彼らは身体を起こして管制塔のブリーフィングルームに行くのであった。
そしていつも通り彼らは作戦の内容を聞き、フレイドの通訳で彼は作戦の内容を理解した。
今回の作戦というのは鹵獲したUNACのテストであり、霧山とフレイドに護衛を任せるというものであった。
「出撃!」
出撃命令が下り、彼らは第一格納庫に走る。
第一格納庫に入り、いつも通りACに搭乗して機体を稼働させる。
そして外へと出る。
外には例の敵から鹵獲したUNACが4機並べてあった。
並べられたUNACは武装も機体の構成も変えられていないが、唯一機体の塗装だけがヴェニデのものへと変わっていた。
《今回の作戦は私が指揮を執る》
ハートマン副指令も大型ヘリに搭乗し、霧山の機体の上空を飛んだ。
上空からUNACを観察するのか、と彼は思考を働かせて大型ヘリの真下に待機した。
固定用ハンガーが彼のACを固定して大型ヘリは作戦地域に移動する。
大型ヘリで移動中の彼はモニターに表示されたUNACを見た。
「血の通った人間の方がどれほど強いことか……」
彼はコックピット内でそう呟き、戦闘システムに切り替える。
《おい東洋人、この前の戦闘は凄い活躍したな。今日も頼むぜ》
霧山には分からない言語で大型ヘリのパイロットは彼に信頼の言葉を述べる。
そして大型ヘリの集団は作戦地域に到着する。
作戦地域はいつもと変わらぬ荒れた大地、その大地の上に訓練用のターゲットが設置されていた。
《ACを降下する》
ヘリパイロットは固定用のハンガーを解除して彼らのACとUNACを投下する。
無事に着陸した彼らはUNACをほんの少し警戒しながらスキャンモードを駆使して周りを偵察、確認した。
《こちらAC01、敵を確認できず。AC03も同じく敵はいないと言っています》
《ご苦労、これよりUNACのテストを開始する》
上空から彼らのACとUNACを確認したハートマン副指令はその報告を聞き、UNACのオペレーションを開始させる。
《U1、オペレーションを開始します》
UNACたちが起動を開始。
目標である訓練用ターゲットに接近、ある程度距離が近くなると発砲を開始して訓練用のターゲットを次々と破壊していく。
UNACが訓練用のターゲットを破壊していく傍ら、彼らはその光景を見ているだけであり、他にやることと言えば敵の強襲がないように厳重な監視を続けることくらいであるが、〝先日の戦闘でEGFの戦力は相当削られていることでしばらくEGFとの戦闘はない〟という予測はブリーフィングルームで聞かされたばかりだ。
つまり彼らは暇なのである。
「なにか斬って良いものはないか?」
操縦桿を強く握りしめてうずうずしながら彼はフレイドに言い放つ。
フレイドはコックピット内で翻訳された漫画を読んでいるところに彼の通信越しからの言葉に溜め息を吐いて、口を開いた。
《霧山、お前どうかしたのか? それに、斬って良いものは今この場にないぞ。ハートマン副指令も見ていることだし》
彼は舌打ちを打って操縦桿から手を離す。
ACのモニターには単調な動きと単調な攻撃しかできないUNACの後ろ姿が映っている。
「単調な連中め、お前たちを斬ることになってももう面白くない」
コックピット内で愚痴を吐いた、その時である。
UNACが突如停止したのだ。
大型ヘリの操縦士もハートマン副指令も困惑し、オペレーションチップを確認するが、そのどれもが異常を起こしている。
UNACが訓練用のターゲットを全て破壊した後、次は彼らのACに銃口を向ける。
《UNACの制御ができない、輸送部隊はUNACとの距離を保て!》
思わぬハプニングに現場は騒然とした。
そして霧山のACに向けられたバトルライフルの銃口からCE弾が発射される。
彼は突然の攻撃にギリギリで回避するが、しかし全ての攻撃を避けきることはできず、いくつかのCE弾に当たってしまった。
《霧山!》
直撃させられた霧山を心配してフレイドは叫ぶ。
そんな心配を余所に彼は機体を『グライドブースト』で前進させて、Vendettaの刃がUNACの一機を切り裂いた。
そのまま他のUNACにも飛び込み、その狂刃で斬りつける。
「面白くないが、斬る価値はある」
二機目のUNACが両腕を切り裂かれ、コアを両腕の狂刃で穿たれる。
沈黙した二機目を確認して三機目に移り、切り裂く。
そして沈黙、四機目は原型を残されないほどに切り裂かれた。
《それで良い、お前は『強化兵士』だ。破壊し続けろ》
その人間とは思えない力を前にしてハートマン副指令はもう割り切って彼を兵器とみなした。
ハートマン副指令が彼の戦いを観戦している内に全UNACが彼の刃によって沈黙した。
《彼には悪いが、データは十分に取れた。帰還するぞ》
大型ヘリは彼らのACを固定用ハンガーに固定して基地へと戻る。
基地へ戻ると兵士たちの目線が彼の機体に集中した。
いつも通りACを第一格納庫に入れ、機体から降りた。
すると整備班の一同は彼を見た。
「霧山さん! 今日もお疲れ様です!」
一人の整備員が彼を労う言葉を言うが、彼にはその言葉は届かない。
そのまま彼は自室にまで戻ろうとするが、基地全体にブリーフィングルーム集合の命令がかかった。
彼はなにごとか、と思ってブリーフィングルームに向かう。
ブリーフィングルームにはUNACの部隊が来た時と同じように大人数がいた。
全員が集合を待つブラッド司令は霧山とフレイドが来た所を見ると、壁面に設置されたモニターに映像を映す。
「諸君、これを見たまえ」
その映像は衝撃的だった。
UNACが暴走し、それまでUNACを使役していた部隊があっという間に全滅していたのだ。
その上、関係の無い民家なども破壊し尽くしていた。
次の映像が映し出される。
次はシリウス基地内で起こった出来事のようだった。
基地内は出撃に忙しそうにしている中、UNACが稼働する。
稼働した直後に突如動き出し始め、基地内にあるありとあらゆるものを破壊していく。
粗方破壊したところで一機のUNACがカメラに向き、発砲する。そこで映像は途切れた。
「映像は以上だ。今、全勢力はUNACの暴走によって対応に急いがれている。もちろん暴走したUNACはこの基地にも来るだろう。戦闘部隊にはこれの迎撃を頼みたい。それと今回は助っ人として傭兵エイリーク、そして伝説の女傭兵ことブルー・マグノリアとその連れの傭兵を呼んである。諸君らも彼らに劣らない活躍を見せてほしい。以上、出撃せよ」
集まった人間は雪崩のようにブリーフィングルームから出て行き、各自出撃準備に入った。
彼らも出撃準備に入り、第一格納庫に入った。
「今回は搭乗者の命を最優先にして全機にシールドを持たせて!」
整備班長は周りによく聞こえるように怒鳴り声で整備班たちに指示して格納庫内にあるACにシールドを持たせ始める。
それを見た霧山は凄まじい形相で整備班長に向かって走しり出す。
そんな彼がなにを仕出かすか不安になったフレイドも走った。
「やめろ、俺のACにシールドを持たせるな!」
「ちょっ、やめろ!」
フレイドは今にも整備班長に殴りかかりそうな彼を必死で押さえた。
彼らが騒いでいるところに整備班長は寄ってきた。
「なにしているの? 早く乗った乗った」
彼の凄まじい形相を見て見ぬ振りをして急かした。
しかし、彼は乗ろうとせず、日本語で「シールドを外せ!」と叫び続けた。
フレイドは彼の言っていることを翻訳して整備班長に伝えるが、彼女は拒否した。
「早く外してやんなよ、これじゃあ出撃ができねえ」
「分かったわよ、死んでも知らないわよ」
溜め息混じりに整備班長は整備員に指示して彼のACだけ、シールドを外した。
彼はやっと落ち着いて急いでACに乗り込んだ。
機体を稼働させて、外へと出る。
外の光景は昨日と同じであり、攻撃ヘリも防御型も基地の外へと出て行った。内何機かの防御型はこの基地に待機している。
彼のACは大型ヘリに固定されて、そして作戦地域に運ばれていく。
「楽しみだな」
彼はなにかに憑りつかれたように笑顔で作戦地域を見つめた。
大型ヘリたちが作戦地域に近付いたところでモニター上に作戦データが表示された。
今回の作戦はまたもACは前線で迎撃、一般兵器は後方でACが逃した敵を迎撃、そして最終防衛ラインをエイリークとブルー・マグノリアの連中に任せるという作戦だった。
「楽しいおもちゃとまた戯れるのか。面白くないな」
大型ヘリたちは作戦地域に到着して彼らのACを降ろした。
彼らは作戦地域の最前線で暴走したUNACを待った。
《またも儂の出番か、疲れるのう》
ヒートパイルを両手に持つ軽量二脚型ACに乗る老人は疲れを訴えてもその目は獲物を確実に殺す目をしている。
《年寄にはキツイがやるしかないだろうな》
タンク型ACに乗る老人は文句を言わず、操縦桿を常に握ってどっしりと構えて敵を待った。
《今日も生きられるかな》
フレイドは敵が来ることを前にして生き残ることを祈った。
そして漫画を読んでいた。
「早く斬らせろよ!」
彼は戦いたい、そして斬りたいと願った。
その願いはA11 Vendettaが願っていることでもあると彼は思っていた。
AC6の情報まだかなぁ~
AC6にも武器腕出ると良いな(特に武器腕ブレード)