『無音』   作:閏 冬月

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第5小節 降り頻る雨が意味するもの 前編

博麗神社で私はぐったりとしていた。

理由は簡単。桜花の遊びに付き合っていたら、すぐに私が音を上げた。

だって、普通に考えてみたら、一般人と特殊な訓練を積んでる人が組手をしたらどうなる?

一般人は即ゲームオーバーだよ。

加えて、私は幻想郷きっての平和主義者、幻想郷最弱を名乗る人。この呼称は、自他共に認めることだ。

まあ、その幻想郷最弱の私と幻想郷最強に近い博麗の巫女(見習い)が戦ったら?

やった結果、始まって1秒もせずに、私の視界に地面が映されていた。

それを何回か繰り返して、今に至る。

 

本当に、疲れた。

 

「ねえ、彩葉」

「どうしたの?桜花」

「彩葉の家に行ってみたい」「拒否」

 

改行入らずの拒否。

いくら何でも早すぎた。桜花の場合、泣く可能性がある。

そして、そうなった場合、全力で殴られる可能性も出てくる。それは痛いので、何としても阻止しなければ。

 

「えー、1回ぐらい良いじゃんかー」

 

あ、泣かなかった。それが一番の好都合なんだけれども。

一応言うと、博麗神社に来ているのは両親には内緒なのだ。両親はここのことを妖怪神社と呼んだり、来てはいけない場所No. 1にあげるぐらいに、悪印象だ。一度だけ、霊夢さんに聞いたところ、幻想郷で1番安全なのが人里で、その次ぐらいには、博麗神社は安全なのだそうだ。

横道に逸れてしまったけれど、要するにここに来てはいけないと、お母さんやお父さんから言われているけれど内緒で来ている。そして、現在、反抗期真っ只中ということだ。

 

「私の部屋、汚れてるしさ」

「私のところほどではないでしょ?」

 

ぐうの音も出ないほどの返答。

桜花は大の片付け嫌い。というよりかは子供。

そのせいもあってか、よく物を失くす。そして、霊夢さんに怒られる。

いつまで経っても治らない癖な気がする。

今はそんなことは関係ないわけで、現実逃避終了。

 

私は桜花に引きずられながら、神社の階段を降りていた。

おかげで踵が痛いし、服ごと引っ張られてるから首が絞まっている。

苦しい。

 

 

 

 

 

_______________

 

 

 

 

 

 

「はぁ…。なんで桜花がここにいるんだろ」

 

現在自宅、自室。

 

桜花は興味深そうに、周りを見ている。

 

「ねえ、何か面白いものだったり爆発しそうなものってないの?」

「そんなもの私の平和な部屋にあってたまるか」

 

基本的には私は物を持たない主義だ。

私の部屋にあるのは、本棚、机、作業台、燭台のみだ。

そろそろ、燭台の数を増やして欲しい。

2つだけはさすがに無理がある。

 

ガラララッ

 

戸の開く音が聞こえた。

多分、お母さんが帰ってきたのだろう。

 

「桜花、誰にも見つからないような場所に隠れておいて」

「なんで?」

「桜花のこと、お母さんに内緒にしてるんだ」

 

怒られるから。

 

「分かった」

 

桜花は分かったと言っておきながら、十中八九、分かっていない。

桜花が屈託のない笑顔で返答をすることはそういうことだからだ。

 

「彩葉ー。ちょっと来なさい」

「はーい!」

 

外を見ると、雨がパラパラと降ってきた。

 

「桜花が帰る頃には止んでるかな」

 

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