『無音』   作:閏 冬月

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今回は、ちょっとした、けれども、彩葉にとっては大きな展開です。


第2小節 過去の人

in 博麗神社

 

祀られている神様が全く分からないため、ご利益も全く分からない神社。

これは神社としての役割があるのだろうか。

私には分からない。

 

「お母さーん!彩葉が遊びに来たよー!」

 

しかし、返答はない。

 

「霊夢さん、いないんじゃないの?」

「いや、いる」

 

桜花は、確信を持った顔でそう言った。

大きく息を吸ってー。

 

叫ぶ。

 

 

「オーーイ!万年金なし貧乏巫女ーーーーー!!!」

 

奥の方から、ガタッと音が鳴り、そこからここへと土を駆ける音が聞こえてくる。

そして現れたのは、桜花の母親の博麗 霊夢さんだ。

いつもは優しそうな雰囲気を纏っている人だけど、今は違う。

あの目は、桜花をどうシバこうか考えている目だ。

私のことなんて全く写っていない。

 

「桜花ぁ?その言葉を私に言うなって何回言ったぁ?」

「あーあー。お祓い棒に陰陽玉まで持ち出してさ。私をシバこうとしてるの?」

 

これは……。

壮絶な親子喧嘩が始まる。

私のことは考えておらず、巻き添えを喰らうパターン。

一度だけあった。それが。

 

「霊夢に桜花、今はお客さんがいるんでしょ?」

 

その声を発した人物は、いつも、そしていつまでも空っぽであり続けるお賽銭箱の後ろに立っていた茨歌仙さんだ。

どうやら、壮絶な親子喧嘩が始まる前に止めてくれたらしい。

 

 

「あ、彩葉ちゃんいたのね。いらっしゃい」

「お…おじゃまします」

 

正直に言うと、さっきの霊夢さんの姿を見ると恐怖を覚える。

そんなこと絶対に言えないけど。

 

「さてと、霊夢に桜花、貴女たちの力は他の人に比べて大きいってこと知ってるわよね」

「「そんなこと当然でしょ!」」

「なら、その力を親子喧嘩で使うなってこと、何回言ったかしら?」

 

ああ。始まった。

歌仙さんのお説教。

 

「「よ…4回くらい」」

「物覚えの悪い猿でも私の手にかかれば2回もすれば、してはいけないこととそうでないことくらいは覚えるわよ!」

「「私は猿じゃないもん(でしょ)!」」

「猿以下って言ってんのよ!」

 

 

そして、今日も神社に説教が響く。

 

 

 

___________________

 

 

 

「ごめん、彩葉。見っともないところ見せちゃって」

 

現在、私たちは縁側でお茶を飲んでいた。

霊夢さんが淹れてくれたお茶なだけあってか、ものすごく美味しい。

 

「あはは、見っともないのはいつものことだと思うよ」

「え!?彩葉いつもそんなこと考えてたの!?」

 

お金と食べ物に関しては、本当に見っともない。

人里を歩いていると壺とかの中を覗いたりする。

そして私が何してんの?と聞くと、お金落ちてないかな〜って思って。という返答が返ってくる。

さすがに霊夢さんの遺伝とかではないよね。

 

「桜花、こんなにも暑い日に私を呼んだんだから何か用事でもあるんでしょ?」

「うん。神社の奥って裏山になってるからさ。探索しよ!って思って」

 

無計画だ。これだから桜花の友達は疲れるのだ。

そんな私の思いを察したのか、慌てて桜花は弁明した。

 

「いやいや、裏山に家があるらしいんだ。そこに行こうよ!」

「家?」

「そう、家」

 

少しだけ興味がそそられた。

あんな緑の生い茂る森の中に家を建てるなど、とてつもない変人だろう。

 

「そんで、その家の持ち主はもう死んだんだけど、名前が彩葉一緒なんだよ」

「どんな名前?」

「えーと、確か……『空音 いろは』」

 

 

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