目高箱と幽波紋!!   作:人参天国

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第三十二話:ブレイク・マイ・ハート

 

 

「別にいいんですよおー? 殺し合いたいならそう言ってもらっても。()()()()()が死んだら奏丞くん悲しむし、ちゃんと手加減はしてあげますから♪」

「しゃらくせえ。俺は誰よりもコイツのスタンドに向き合って来たんだぜ。ぽっと出のスタンド使い一人解体するなんざ、ワケねェ」

「「…………」」

「(ヤ、ヤバい死人が出そうだ。家族の護衛に出してるスタンドを戻すべきか……?)」

 

 くじらと怒江の睨み合いは、キャットファイトと言うにはあまりにも獰猛過ぎた。猫と言うより竜虎の争い。今すぐにでもどちらかが攻撃をしかけたって何もおかしくはない。

 だがしかし。驚くべきことに、周りの生徒達ですら流血沙汰を予想できている中で、この状況が唯一まったく把握できていない人間がいた。

 雲仙冥加だ!

 割と空気が読めなくて日本語もわからない冥加は、くじらと怒江が何のことを話しているのか理解していなかった!

 

「ウキソースケ! 8036755147035378(そういえば先日の裏の六人(プラスシックス)戦は大変だったぞ)。03218319347582041293(私はなんとか退院できたが弟はまだ入院中だし)、238058112072874(代わりにお前が日本語を教えてくれないか)? 4738236823190098832981105702(なあにイチから数字言語を作った私なら日本語の習得など朝飯前だ)!」

「そーいやちょいちょい俺の名前言ってるな。もしかして日本語勉強してるのか?」

「48293871293012(こんな言葉も学んだぞ)。ワタシハ、ガスデ、ムネヲフクラマセテマス!」

「うん、『気体』と『期待』を間違えたんだろーね。日本語難しいね」

「222(ふふふ)、2836572(そう褒めるな)」

 

 弟の冥利は勉強にかこつけて変なことを姉に教えてないか心配になってくる。

 

「……で、マジでぽっと出なオメーは何なんだ? なんで奏丞に馴れ馴れしいんだ?」

「なんで奏丞くんの目が不出来な妹を見るみたいにちょっと優しいの? あんた奏丞くんの何?」

「635(すまない)、8237380762323583521(リスニングはまだ上手くないからゆっくり喋ってくれ)」

「…………わ、わかんねえ。マジでなんなんだよオメーは……」

「この人が手紙に書いてた数字言語の人……? うわあ、ホントに何言ってるのかわかんない……」

「?」

「(コイツ、無敵か……?)」

 

 今のくじらと怒江に詰め寄られて平然とできる人間など、冥加以外にはいないだろう。言葉が通じないことがここまで効果的とは……

 

「と、とにかく案内は無しだ! 奏丞はこれから俺達と作戦会議があんだよ!」

 

 グイっとくじらが奏丞の服を引っ張って……しかし結構非力な方なので、奏丞は微動だにしない。

 

「抜かしてんじゃあないわよ! 無駄な作戦会議なんかせず帰ってゲームでもしてなさいよ!」

 

 B相当のパワーがあるラブラフレシアが服を引っ張って奏丞がよろめく。

 

「36910107465(なんだ引っ張り合いか)? 10839871589371787216602(パワー比べは私のもっとも得意とするところだ)」

「!? なっ、なにこのパワー!?」

 

 そして冥加がその馬鹿力で奏丞の服を引き戻し、怒江が驚愕する。

 

「ウッソでしょ、生身で私のラブラフレシアと張り合うなんて……!」

「760(ほう)、3658634(なかなかのパワーだ)! 4782798106431(これは面白くなってきた)……!」

「ふーん……! ふーん……! ……おい奏丞、お前ちょっとはこっちに寄れよぉ!」

「オチが見えてきたなあ(悟った目)」

 

 いくら引っ張られているのが丈夫な学ランとはいえ、流石に相手が悪いだろう。今はスタンドが手元にいないので、彼女らの腕力に対抗することもできない。

 その末路を悟った奏丞はせめてもの抵抗として、学ランに仕込んであったエニグマの紙を素早く片っ端からズボンのポケットに移動させた。

 

「譲るもんですかあああ!!」

「34021321(フルパワーだ)ッ!」

「いたみちゃんへループ!」

 

 そして力み過ぎたラブラフレシアがついつい学ランを腐食させてしまい。

 痛んだ服を各々が引っ張ったせいで。

 

 ――ビリィッ!!

 

「「「あっ」」」

「0(お)っ?」

 

 見事に上半身の服が千切れ飛んだ。全校生徒の面前で。

 

「(…………心が死ぬゥ(ブレイク・マイ・ハート))」

 

 ズボンが無事だったのは、はたして不幸中の幸いと言っていいのだろうか。

 

「…………(じーっ)」

 

 くじらがまったく視線を逸らさず、奏丞の腹筋を凝視している。

 

「43178643701(これは見事な雄っぱいだな)。

 ……06756(妙だな)。014578293878314(なんかお腹がムズムズして変な感じだ)?」

 

 奏丞の胸を凝視していた冥加が何かに目覚めつつあり、

 

「…………」

 

 怒江は……茫然と奏丞の裸体を見ている。

 

「……怒江?」

「…………」

「…………ふんッ(ムキッ!)」

「…………はわっ!?」

 

 反応が気になった奏丞は思わずサイドチェスト。

 それを見て再起動した怒江は、ぽんっ、と赤くなった。

 

「はわっ、はわわわわ……」

 

 そのままクラクラと目を回して倒れてしまう。

 ただでさえ女子校通いで男っ気がない中学時代だった上、気になる異性との関係は長年文通しかなかった怒江にとって、突然の男の裸はどうやら刺激が強かった……!

 

「…………優勝は怒江で」

「優勝って何がだよ!? よしんば勝負だとしても優勝は俺様だろうがよ!(ぺたぺた)」

「お前凝視しすぎなんだよ! 恥じらいを持て恥じらいを! あと触り方がなんかアレだぞコラ!」

「3278956523(味もみてみよう)」

「なんでお前はめっちゃ背伸びして顔近づけて来てんの? 意味わからんぞやめろやめろ」

「『奏丞ちゃん』『誰に言われるでもなく率先して”不純異性交遊”とは』『えらく張り切ってるじゃないか!』『新生徒会のマニフェストに入れてたんだけど』『やれやれ君にとっては言わずもがなってところかな?☆』」

「球磨川てめえっ……何しに来た!(ムキッ)」

「『サイドトライセップスやめて』」

 

 球磨川に真顔でつっこまれた。

 どうやら気絶した怒江を回収しに来たようで、蝶ヶ崎に手助けされながら志布志が怒江を背負っている。

 球磨川は去り際にポンと奏丞の肩に手を置いて言った。

 

「『ラブコメ主人公するのは勝手だけど』『こんないい子を泣かすんじゃあないよ』『もし泣かせたなら……』『その時は「ようこそ」と言ってあげるね!』」

「……ケッ、お前に言われるまでもねーよ」

 

 ――波乱の幕開けとなった終業式。

 球磨川にとってはだいたい予定通りの展開だが……しかし予定外のこともあった。怒江の暴走がもたらした、思いがけない追加の収穫だ。

 マイナス十三組の教室に戻る途中、蝶ヶ崎が球磨川に話しかける。

 

「球磨川先輩。江迎さんの能力……口に出すのも恥ずかしいですが『愛の腐花(ラブラフレシア)』ですか。彼には通じると見ていいのでしょうか」

「『うん』『どうやらそのようだね!』

 『奏丞ちゃんの身体に残った布切れに『大嘘憑き(オールフィクション)』を使っても効かなかった』『つまり彼の身に付けている物も含めて』『彼にはスキルが効いていない』『これは事前情報通りだ』

 『だけど御覧の通り怒江ちゃんの腐食ならば効いた!』『理由は単純』『きっと『スキルを防ぐスキル』じゃあスキルじゃないものは防げないのさ!』『戦う前にこれがわかったのはナイスだね!』」

「そんな欠点があるならどーとでも対策できるってわけだな。こりゃますます試合形式は好都合だぜ」

「志布志さんの言う通りですね。まあそれはいいとして……」

「『?』」

「……発表予定だった『衣服着用の厳罰化』のマニフェストはやめません? あんな筋肉バカな男の裸を見せられるなんて、新手の拷問ですよ」

「『……そこらへんは後で練り直しておこっか!』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

「……まさかこうなることが球磨川達に予想されていたとはな。良かれと思った策は箱庭学園の寿命を縮めただけだったかもしれん。奴らがこの決闘を歓迎してるってことは、それだけ勝算があるってことだろうな。こりゃ素直に誰か副会長にしておいて他の手を考えた方が良かったか……」

「……申し訳ありません、私の失態です。読みが甘過ぎました。塾則まで押さえていることくらい予想できていれば……」

「やめろよめだかちゃん。この作戦は俺達も納得した上で決めたはずだぜ。確かに一手譲っちまったが、だとすりゃそれは生徒会執行部の落ち度だ」

「善ちゃんの言う通りだぜ。つーかむしろ都合が良いだろ。アイツらが駄々こねて決闘を断られる方が俺ァ不安だったね。作戦の見直しは多少必要だが、相手が乗り気なのは結構なことじゃねえか」

「善吉、お姉さま……」

「そうだぞ。失態ってのは俺みたいな奴のことを言うんだぞ……」

「奏丞…………貴様が着ている『一致団結! 絶対勝利!! 生徒会執行部』Tシャツを見ると、現在進行形で失態が続いている感じがするな」

「え、似合ってるじゃない。ぱぱっと作ってみたけど、予想以上に良い出来! 後で善吉くんにも縫ってあげるわね」

「え、いいのかお母さん。やったぜ。これ着たらめっちゃテンション上がりそうだよな!」

「人吉先生。阿久根先輩と喜界島にもプレゼントしてやるのはどうっすか? きっと似合いますよー」

「おい宇城クン、道連れを増やそうとするんじゃあない!」

「う、うーんまあタダなら……部屋着用にはなる、かなぁ……」

 

 学ランを失った奏丞は、瞳がこの場で縫ったTシャツを着ていた。

 美的センスが常人レベルの奏丞はテンションが下がりっぱなしだが、そうは言ってもいつまでもへこんではいられない。

 

「気を取り直して……今後の作戦はどーする?」

「……決闘自体は成立したので基本方針は変えずに行く。出場者の事前申請が必要ないルールを存分に利用させてもらおう。取り仕切る可能性が高い選挙管理委員会へ事前にルールの話ができていたのは、実に幸いだった。

 まずは前提として、江迎同級生が出て来る試合には奏丞に出てもらう。試合直前に判明した場合でも奏丞にバトンタッチし、本来の出場者は繰り上げで副会長戦に挑んでもらおう。

 その上でまずは一週間後の庶務戦。善吉にはくじ姉の指導を受けてた上で臨んでもらうが……」

「彼らは誰を出して来たっておかしくないよ。不知火ちゃんを出して揺さぶりをかけるのもよし、球磨川くんを出して善吉くんをいたぶり今後の決闘を躊躇させるもよし。

 何が起きるかまったくわからないという意味で、この一戦目は最後の会長戦より遥かに危険だ」

「カッ! だからこそ一番槍が映えるってもんですよ真黒さん! それどころか、球磨川に一発かませるんなら願ったり叶ったりです!」

 

 威勢よく言い放つ善吉には意外と怯えが見えない。頼もしくはあるものの、自棄になったわけでなければいいのだが。

 

「……少なくとも無事に帰って来てくれるのであれば勝敗は問わん。兄貴の言う通り危険である一方で、一戦目故に負けても挽回はしやすいのだ。命が危なくなったらすぐに棄権しろよ。

 仮に貴様が()()()()()()死んでしまったら……私はきっと泣くぞ」

「めだかちゃん……」

 

 めだかと善吉が熱い目で何やら通じ合っている。

 他のメンバーは『おおっ……?』という表情で見守っており、実際死の危険があるだけに茶化す気にもならない。

 

「……ま、最悪死んでさえいなけりゃ俺のスタンドとくじらの外科手術で大体のことはなんとかなる。何を失おうが命だけは持って帰ってこいよ」

「……おうよ! そん時は遠慮なくアテにさせてもらうぜ!」

「あまり焚きつける様なことは言うなよまったく……

 さて、私と阿久根書記と喜界島会計は日之影前会長と兄貴の指導で凶化合宿を行う。

 ただし合宿中に過負荷(マイナス)が襲撃してくる可能性もあり合宿を無事終えられるか不明だ。場合によっては土壇場で出場メンバーを入れ替える必要があるだろう」

「相手は球磨川くんだし、自宅や近親者を襲撃する可能性もあるから、十分に警戒する必要があるわね。監視と護衛は常に置いておきましょう」

「だな。俺が球磨川の旦那だったら家燃やすくらい選択肢の内だぜ」

「くじらちゃんの物騒な発言はさておき……それなら私は護衛役に回るよ。襲撃があってもたいていの相手ならなんとかなると思うから安心してね!」

「フラグっぽいから気を付けてくれよいたみちゃん……」

「フラグじゃないもーん。もうちょっと親友を信じなよ~」

「俺はこのまま出番の日まで家族の護衛をさせてもらうぜ。怒江と戦う時は誰か護衛変わってくれな」

「無論、必ず代わりの護衛は手配する。そのためにも鍋島三年生を始め学園の実力者達の説得を続けていこう。

 生徒会戦挙のルールにも抜けがないか再度確認だ。後になって『そんなルール初めて知りました』などということになれば目も当てられん」

 

 ――そうしてしばらく話し合いを続けた後、各々の準備のために解散した。

 奏丞も帰ろうかと思ったが、どうやらくじらがスタンドについて詳しく聞いておきたいことがあるとのことで、今はくじらと善吉の話し合いが終わるのを待たされているところだ。

 とはいえボーッとそれを眺めているのもつまらないし内容も気になるので、奏丞は話し合いに首を突っ込むことにした。

 

「邪魔して悪いな。訓練内容の相談か?」

「おっ、嫉妬か?」

「……お疲れ様っしたー」

「待て待て帰んな! 冗談だってもー!」

「ははは、やっぱ仲良いな二人は。そーだよ訓練の相談だよ。くじら師匠が早速メニュー組んでくれたんだ」

「おっ、よかったじゃあねーか。くじらに任せりゃきっと強くなるぜ」

「んー、まあそうなんだけどよぉー……」

「……なんか煮え切らないな?」

「それが聞いてくれよ。善ちゃんのワガママを!」

 

 にやにやと笑いながら言うくじらは、困り顔の善吉とは違いずいぶん楽しげだ。

 訓練メニューが書かれた紙束をピラピラと揺らしながら、善吉を見て言う。

 

「せっかく夜なべして組んだ訓練メニューだってのによー、概要話したら訓練内容変えてほしいって言うんだぜ。

 魔王・くじらちゃんの、その名も『マイナス無効化システム』!!

 これをこなせりゃ球磨川達に勝つ確率がグッと上がるってのによ!」

「ふーん、よっぽど外道戦法なんだな」

「いやそうじゃねーよ失敬だな!? ほら見ろよ! ちょいと独特だけどちゃんと王道戦法だろ!」

「どれどれ……」

 

 渡された訓練メニューを見ると見覚えがある。確か、これは原作でくじらが善吉に施した訓練メニューだ。

 マイナス十三組が見るだけで心が折れる連中ならば、見ないですむように目をつぶって戦えるようにするなど、実にくじららしい尖った設計思想のメニューで、確かに外道とまでは言わないがこれが王道ってのは大嘘だろう。

 しかし理にはかなっている内容なので、思いのほか文句もつけられないのが困ったものだ。

 

「う、うーん…………まあ確かにこの訓練をこなしゃあ役に立ちそうではある……かぁ?」

「だろ? だろ? いやー困っちまうぜー。いったい何が気に入らないんだろーなー。善ちゃんよー、何が気に入らないかはっきり言ってもらいてーなー!」

「むむむ……」

 

 善吉にもこの訓練の有用性がわかっているだけに、かなり言い辛そうな様子だ。

 しかし意を決したのか、善吉が喋り出す。

 

「俺は……この戦いの中で球磨川に向き合いたいと思ったんだ。

 確かにアイツのことは今でもおっかねえし、中学の頃を思い出すだけでブルっちまう。

 だけど……それで球磨川を見たくないから見ねえ、聞きたくないから話も聞かねえって戦い方したんじゃ俺は一生アイツに怯え続ける羽目になると思う」

「ほほーん。まるで庶務戦には必ず球磨川が出てくるみたいな口ぶりだなぁ?」

「ああ、きっと出てくると思う。めだかちゃんを追い詰めるため、きっと俺を狙い撃ちにしてくる」

「でもそれはつまり、中学の時のめだかでも向き合い切れなかった球磨川の(マイナス)に向き合うことになるってことなんだぜ」

「……関係ないね。これから向き合おうとしてるのは高校生になった人吉善吉だぜ」

「真面目に向き合った結果、関わるだけ損だったってことが改めてわかるだけかもしれない」

「その時は真正面から堂々と『お前が嫌いだ』って胸張って言ってやれる」

「何をしてくるかわからねえが、きっと球磨川は球磨川(マイナス)なりにお前を痛めつけるだろうな」

「何をしてこようとも、俺は俺なりにアイツにぶつかってやるだけだ」

「――だから気に入った!」

 

 善吉のために一晩かけて自分で作ったはずの訓練メニューを、くじらは躊躇なくゴミ箱に放り込んだ!

 そしてもう一冊の違う紙束をどこからか取り出し、机に叩きつける。

 

「そこまで地獄を見たいんならしょうがねえ! 自殺願望のある善ちゃんには俺様特製の『裏・マイナス無効化システム』で性根から叩き直してやるぜ! 凶化合宿なんてメじゃねえ精神力を身に付けさせてやる!」

「お前……ほんっと面倒見がいいよな。言動はスゲーあれだけど……」

「ちょ、ちょっと早まったかも……いやいや、望むところだろ……! 漢を魅せろ俺!」

 

 一瞬でテンションがブチ上がったくじらに慄く奏丞と善吉。

 魔王そのものな高笑いを見ると二人とも不安しかないが……それでも頼もしいことには違いない。

 それに、善吉の言葉には奏丞も思うところがあった。

 

「俺なりにぶつかる、か……」

「? なんだよ、やっぱお前も俺のこと心配か?」

「いーや、そうじゃねーよ。そうだな……俺もちょっと悩んでることがあったんだけどよ。お前の言葉で決心ついたよ」

「……おい、なんか死にそうだぞ。変なフラグ立てねーでくれよ?」

「死なんわ! というか先に死にそうなのはそっちだろ。相手が球磨川だとすりゃ、相当な覚悟がいるぜ。ホントにそんな気持ちで球磨川相手に生きて帰って来れんのかぁ?」

「と、当然だぜ! 死んだって生き残って、勝つ覚悟はある!」

「かーっ、覚悟ねえ。だけど俺的にはそんなの覚悟とは言えねえなあ」

「ケッ! じゃあ何が覚悟だってんだ」

「まあこれは受け売りなんだけどよ。覚悟ってのは――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――さて、その日の夜。

 奏丞が自宅で色々と準備を進めていた時、思いがけない来客があった。

 

「奏丞くん……会計戦まで我慢できなくて来ちゃった☆」

「…………」

 

 顔をほんのり赤くして笑う江迎怒江である。

 奏丞はその姿を素早く隅々まで確認した。

 

「(――私服の軽装っ! 武装無しっ! 大荷物……無しっ! ポーチのみ! 戦闘、お泊り、引っ越しの可能性低しっ! ヨシッ!)」

 

 美少女が夜中にわざわざ自宅へ訪ねて来た時の反応がそれでええんか?

 






 箱庭学園に寮が存在するのかわからぬ!
 なので寮暮らしを想定しつつ実家通いとも取れる書き方にさせていただきます。
 結構あちこちから生徒を集めてるっぽいので寮くらいあってもいいと思うのですが……

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