1話は、
本編約2万文字
あとがき・解説約1万文字
となっております。
ここは普通の世界ではない。
まるでファンタジー世界。
空にドラゴンが普通に居るし、モンスターだって居る。
人々は魔法を使るし、獣人もいるし、
そう、ゲームでは割と有り触れた設定の世界だ。
そういう世界なのだ。
そしてここは喫茶店、ブルーベア。
営業時間中は必ずといって良いほど、ピアノの音と騒がしい人たちの声が絶えない。
今日も快晴であり、平和である。
「ぎゃあああ!!!!」
そんな声がその喫茶店から聞こえた。
内部は木造とレンガ作りとの混合であり、見栄えの良い喫茶店内装。
本格的なバーが受付として機能もしている。
そんなバーの内側にてグラスを磨きながらも、突然の声に驚いた10代後半か20代前半のバーテンダーの女性が居た。
奥ではそれさえ無視して優雅にピアノを弾く10代後半の女の子が居る。
バーテンダーの見る先、客イスに座るのは、10代中盤の少年の姿が2人。
叫んだのは身長の低い、この少年だろう。
見るからにプルプルと震え、苦しんでいる様子だった。
「姐(あね)さん!なんすかこれぇ!」
「見ての通り、ブレンドしたお茶」
「ジャパン茶と紅茶とレモンティを混ぜるバーテンダーが何処にいるんすかぁ!!」
「ここに居るじゃない」
「姐さんを除いてだよ!!」
もはや防具として機能しているのか疑問視するくらいに軽装な少年は、その背中やらに備える多数の武器やらをガタガタ揺らしながらジェスチャーしている。
ただし、特に意味の無いジェスチャー。伝えたい事がいまいち伝わってこない、謎の動作だった。
バーテンダーの女性には特に何のリアクションも無いが、ジェスチャーする少年の目の前、どちらかというと青年は笑っている。
「はいはい、正義のなんでも屋がこんなことで騒がないで」
「正義……!そうだな、俺は正義の味方だからな!」
こんな言葉で納得する馬鹿である。
一体何をどう捉えて、今の事態を良しとしてしまったのかさえ不明。
そんな馬鹿さ加減が可哀想に思えたのか、姐さんと言われた女性は仕方なさそうに、普通の飲み物を出した。
仕方無さそうに出すって状況が意味分からないが、気にしないでいこう。
気にしていたら、物語が一向に進まない気がする。
「あ!オレンジジュースじゃん!!」
彼の机に運ばれてきたそれは、氷を入れられていい音を奏でる、色鮮やかなオレンジジュースだった。
甘い香りが彼の鼻を程よく刺激してくれる。
「ジャックの好物よね、それ」
「俺はジョ……!!………えっと」
「貴方、自分の名前すら忘れたの?周りから弄られてるからって…」
「俺は物覚えは悪い方なんだよ!!」
「自分の名前でしょ!?」
口を膨らしながら、少年はオレンジジュースを飲む。
ストローでちゅーちゅーするあたり、なかなか可愛いものである。
「貴方の名前はジョン=オ=ラルクでしょ」
「そう!それそれ!」
呆れを通り越して怒りを覚えたバーテンダーの女性はゲンコツを少年に食らわし、バーに帰っていく。青年の方はそれを見て大笑いである。
今殴られた少年の名前は、ジョン=オ=ラルク。
よくジャック=オ=ランタンとか言われる悲しい子である。
更に頭が絶妙に弱い、悲しい子である。
そして大笑いしている青年の名前は、バーロー=オイヨイヨ。
本格的に酷い名前だが、弄り始めたら永久に終わらないため、顔見知りにはもう触れられもしない。
ある一種の禁句である。
だが彼自身はこの名前を気に入っていたりする。
何故気に入っているかは不明。
深い理由があるのかもしれない。
が、この名前に深い理由やら思い入れがあるという風には見えないのだが。
仮に深い理由や思い入れがあるだとか、壮大な過去があるだとか言われても、信じられないのだが。
「でさ姐さん、何か依頼ないっすか?」
「来てないわよ。というか、依頼集める仕事場じゃないわよ、ここ」
「でも姐さんの所よく依頼来るじゃん?」
「それは貴方達の所為よ」
「なんだよwwジョンだけでなく俺も原因の一つかよww」
バーテンダーの彼女の名前はブルーベア。
それが本名なのかそうでないのかは、未だ謎である。
更に年齢も不明である。
とにかくスタイルが抜群であるという事と、めっぽう美人である事、ポニーテイルがめちゃくちゃ長い事を、ここでは説明しておこう。
詳しい話やら色々は後日判明する事である。(メタ発言
ちなみに奥にいるピアノを弾いている女の子は、別にここの店員というわけではない。
更にブルーベア以外は名前も知らないという、かなり謎な少女である。
というか、ブルーベア以外とは喋ったこともないらしい。
いつの間にか店でピアノを弾いていて、いつの間にか姿を消すのだ。
それはつまるところ、無許可でピアノを弾いているという事なのである。
それでいいのか喫茶店ブルーベアの店主さん。怖くないのか色々。
※これから先、かなり先の未来で、このピアノを弾いている少女の年齢が8歳である事が発覚します。
発覚しますというか、決定しますというか。
初期段階では絡みを考えた結果で10代後半設定にしてましたが、無かったことになりました。
「自分で収集しようとしないわけなの?」
「でもさ、でもさ!正義の味方は動かないっていうじゃん!」
聞いたことないです。
「動かなかったら正義でも何でもないわよ」
「ちっげぇっすよ!!」
突然、イスの上に立つジョン。
普通の背もたれがある椅子の上に土足で上がるのを見て、ブルーベアはちょっと不機嫌そうな目を向けていた。
心地いいくらいに冷ややかな目である。
「正義の味方ってのは、「助けてー」って声に反応して駆け出すんだ!自分から困ってる人を探すかってんだよ!!!!」
そう言い放った瞬間、彼が立っていたイスの足が折れ、彼は無様にも地面に叩きつけられた。
ブルーベアはそれを見ても別になんとも思わない風に、目すらそむけて、グラスを磨き続ける。
「イス、直しといてよね」
「へ、へ~い…」
「なはははははははwwwwwww」
ジョンはダラダラ起き上がり、ダラダラと工具をバーの下にある物入れから取り出して、だがダラダラ、更に渋々修理している。
壊れた原因は、ジョンの装備過多の所為だろう。武器を持ちすぎて邪魔そうな具合なのである。
そうでさえなければ、上に立ったくらいでこうはならなかったと思われる。
何にせよ自業自得なのだが。
と、店の入り口についている鐘が鳴る。
彼ら以外に誰も居ないおかげで、その鐘の音が大げさに聞こえてならない。
…物々しい雰囲気の男たちが3名入ってきた。
ジョンは3人の顔をどうでもよさそうに見て、修理を続ける。
オイヨイヨはまったく興味も無いらしく、目もくれない。ただただイスを直すジョンを手伝っている。
きっとジョン一人では直せないから手伝ってやるのだろう。
もしくは今後、その不安要素満点な椅子に誤って座る可能性があるからと、そう思っての行動なのやもしれない。
「いらっしゃい。今日は特にサービスをやってないわ。メニューから適当に選びなさい」
やる気の無さそうなブルーベアは、3名に対してそう言ってグラスを磨き続ける。
だがぞろぞろとブルーベアの前までやってくる3名。そして、一人の男がバーに金袋を置いた。
ブルーベアはその瞬間にバーテンダーの顔ではなくなった。
とはいえ、別に狩人の目になったとか、そんな感じではない。
嫌がる一般人の顔である。
「依頼をしたいのです」
「何でここに依頼が来るのよ。ここはバーか喫茶店なんだけど?」
「腕利きの狩人が居ると聞いた。頼む」
ブルーべアは面倒臭そうに手を止め、グラスを一旦置く。
そして金袋を開けて、中を覗いた。
全て金貨。偽装もなにもない本物だった。
「…ふーん、多額ね。どんな依頼か教えてもらえるかしら」
男達は顔を見合わせながら、安心しきった顔をした。
どうやらよほどに切羽詰まったことだったらしい。
それも緊急性の高い事だということも、ブルーベアは概ね把握したのだった。
「実は我々がやっとの思いで捕獲した鶏が逃げ出したんだ」
「ニワトリ…」
ブルーベアが驚く。
無理も無い。
この世界のニワトリはでかく、凶暴で、そして何より美味しいのだ。
そう、美味しいのだ。
「それが町の外で幸いだったんだが、どうも最近、隣町とをつなぐ道で目撃されてな…。
捕獲するにも、もう専用の麻酔を切らしたんだ。
このままでは搬送も不可能だ。
どうか、退治してくれないか…?」
「なあオッサン、なんでそんなこと依頼するんだ?」
ジョンがイスを直しながら尋ねる。
「そうね、私も少し聞きたいわ。
搬送って何?
つまりせっかく捕まえたにも関わらず時間差を経て一度逃がしてしまって、見失った挙句、今更になってようやく発見したって事?」
どうやら流れはそんなところらしく、代表者らしい男は首肯いた。
「今回の固体は異常なんだ。
成りこそ鶏だが、その力は異常。色違いの亜種になる」
「どこのモ○ハンだよ」
「黙って聞きなさい、ジョン」
「依頼があってな、とある研究者が研究したいからと。
だが捕獲後、麻酔が途中で切れたらしく、突然暴れだして…」
「鶏に効く麻酔なんてあったのね」
この世界観についてはまたまた後々話していく事になるだろう。
ただ現段階で言えるのは、捕獲には恐らく、別の狩人かを雇ってやってもらっていたのだろうという事。
しかしその捕獲後、搬送代かをケチった彼ら3名は、適当な搬送を行っていたが為にこのような事態を引き起こしたという事。
だからこうして彼らは、急遽にでも動ける存在達を探していたのだろう。
聞くからに物騒な話なのだから、当然の処置といえば当然であるけれども。
「そんなことはどうでもいいんだ!時間的猶予から考えてもうCABINに依頼しても遅いんだ!依頼を受けてくれ!」
切羽詰まった声で頭を下げる3名。
CABINとは、大規模な傭兵会社の事。
CABINはこの街の支配者でもあり、この街の治安をしっかり守っている組織・会社でもある。
またこの街に関わらず、この大陸を管理している立場でもあり、支部も各地にある為、こうした事態に対応してもらうならば、このCABINという会社になる。
しかし彼らに依頼しても、行動が起こされるまでが長い。
依頼達成率が恐ろしく高い会社なのだが、その理由こそは、適した人材派遣と計画を行うが為。フットワークの面で多大に問題があるのである。
それでは今回、手遅れになる可能性が高い。そう思っての彼ら3名のこの行動である。
彼らが原因で起こった事件とはいえ、解決しようとする意思があるだけ、随分マシな人達と言えるだろうか。
と、イスの修理が終わったのか、オイヨイヨは立ち上がって別の椅子に座ろうと移動し始めた。
ジョンもそれに会わせて、工具を工具入れ目掛けて投げ捨てる。
ジョンに関しては、格好をつけたつもりなのだろう。
それは工具入れに確かに入ったが、その反動に負け、大きな音を立てながら見るも無残に散乱。
オイヨイヨ、その工具たちに転ばされる。
変な空気が漂う。
相変わらずピアノの音は鳴っている。
楽しげで呑気な曲調だった。
「ま、ま、まかせとけ!!俺が責任をもって退治するぜ!!」
ジョンはとりあえず親指を自分に向けて立て、足を肩幅に開き、胸を張ったポーズをとる。
だが、限りなく間抜けである。頬に汗が光っている。
そんな間抜けに磨きのかかったジョンを見て、男達は唖然としていた。
彼らは確かに依頼をしに来たのだが、反応を示したのが子どもであるという事に驚愕もしている。
何より散乱した工具と、ぶっ倒れているオイヨイヨに釘付けなのだ。
泥船のような雰囲気しか感じなかった。
ブルーベアは仕方なさそうにため息をつく。
「貴方達が言う腕利きの狩人ってのは、恐らくだけど、主に彼よ」
ジョンは言われて、更に胸を張る。
顔はなんだか自慢げだ。
散らばった工具たちを、無かったことのように扱おうとしているらしい。
「依頼、やっぱりやめます…」
「ちょっとまてよ!!なんで止めるんだよお!!」
すかさずツッコむジョンだが、原因は確実にお前である。
どうすんだよ。今までなんでか偉そうだった奴らが、急に敬語使いはじめてんぞ。
「…彼は元CABINの1級ソルジャーよ」
「か、彼が…?」
「なんだよ!!文句あるのか!?」
彼は1級ソルジャー。
1級というと凄そうな肩書だが、実際にとんでもない肩書である。
何故ならばCABINの1級とは、現在でも10名と少ししか居ない、とんでもなく化け物じみた存在達の事なのだから。
「ほ、本当なんですか?」
いつまで敬語なんだよお前も。
「本当よ?嘘だと思うなら、CABINの特設“質問何でも答えますセンター”に聞いてみたら?
彼は割りと有名人よ。貴方達だって、彼の偉業くらいは知ってる筈だから」
「割とじゃねぇ!超が約65個以上くらい付くくらいに有名だ!!」
「ジョン、約だとかくらいだとかを乱用しないの。
しかも何よ65って。半端にも程があるわよ。何の暗示よそれ」
超が約65個くらい付くくらい有名。
これはあながち間違いでもない。
この世界において、彼の名前を知らない人はそれなりに居るかもしれないが、彼が成し遂げてしまった偉業は、誰もが知るところだろう。
下手をすれば世界で一番の有名人かも知れないくらいである。
「まあ泥船にでも乗った気分で、のんびりしててくれ!」
「泥舟に乗ってのんびりなんてできるか馬鹿www」
というわけで、依頼は成立した。
かなり無理矢理成立した。
この後もかなり面倒くさい会話を経ているが、成立した。
転がりっぱなしだったオイヨイヨの事を特に回収する事もしない内に成立した。
そのへんは割愛しておくとしよう。ただただ単調で面倒で冗長だし。
そんなこんなで依頼主3名は適当な席に座らされ、準備するジョンとオイヨイヨを不安そうな面持ちで待っていた。
その間、ブルーベアが面倒臭そうに情報を聞き、地図やらを用意してやっていた。
なんだかんだで面倒見がいいのか、悪いのか。
と、10分程度するとジョンが裏口からやってくる。
彼は一度家に戻っていた。装備の関係である。
「ふいー、武器装備も完璧だぜ!」
そういうジョンの防具は変化なし。
だが武器は、計13もあった。そのすべてが剣の類。背負っているバスターソードっぽい何かが異様に目立っている。
ハッキリ言って、常人ならその重みでまともに動けないくらいの総重量だった。
だがジョンは軽々と動いていた。見た目が全然あてにならない世界らしい。
獲物は、種類様々。片刃の普通の剣から、両刃の剣、フランベルジュのような剣、丸みを帯びた剣、グルカナイフみたいな剣と、もうオンパレード。
もう少し獲物を絞ったほうが絶対にいいと思うが、さてはて。
そのまま準備運動するジョンに合わせて、武器もけたたましい音を立てる。うるせえよ。
そんな動作程度でさえ、勝手に怪我したりしないか不安になる見た目だった。
「…あら、そういえば貴方のパートナーはどうしたの?」
相方のオイヨイヨさんの事である。
本当ひどい名前だなおい。
「ああ、多分確実にトイレ行ってる」
「多分と確実を織り交ぜないの。矛盾よ、ジャック」
「っせーなあ!俺のどこが悪いって証拠だよ!!」
名前を間違えられても気がつかないし、
「日本語は正しく使いなさい?」
もうツッコミ入れられ放題である。
ツッコミしている最中もブルーベアはグラスを磨き続けていた。
もう手馴れたものなのだろう。
そう思うと、どうして彼が1級ソルジャーという肩書を得られたのか不可思議に思えてならない気もしてくる。
「俺も準備できた。久々の狩りだなww」
オイヨイヨはトイレからではなく、倉庫から出てきた。ジョンお前適当言い過ぎだろ。
そりゃまあ装備整えるのにトイレにこもってるワケがないと、もっと早く誰かがツッコミを入れてやるべきだったのだろうけども。例えば作者とかがさ。
ちなみに彼も軽装だった。というか、防具らしいものは一つも付けてない。目立った武器も所持していない。
強いて言えば腰にハンティングナイフがあるくらいである。
恐らく魔法で武器を取り出すとか、魔法で攻撃するタイプなのだろう。
「オイヨーヨも準備できたって、姐さん」
「私に報告しても仕方ないでしょ?さっさと行ってきなさい」
ブルーベアは淡々とグラスを磨きながらそう言う。
もはやこれがいつも通りなのだろう。
ブルーベアに声を掛けて、適当にあしらわれるまでが、いつも通り。
だからこそ、そのまま気にしていない風のジョンとオイヨイヨは、これまたいつも通りに会話しながら店を出て行く。
ベルが大げさになってドアが開閉。
間違いなく出て行ったのを確認するブルーベア。
そしてグラスを磨く。彼女の日課はまさしくそれである。
ここで、空気になっていた男達の一人が訊いてくる。
「だ、大丈夫なのか、本当に」
「今オイヨイヨって呼ばれた彼も元は猟団の人間よ。それも幹部」
「猟団の、幹部…」
猟団とは、特に狩りをすることに特化した、いわゆるCABINとの商売上ライバル。
フットワークの軽さは猟団、組織の質はCABINという、両極ともいえる関係である。
なら今回の依頼は、ジョン達ではなくて猟団にすればいいんじゃないか?と思うかもしれないが、猟団本部も支部も、あいにくこの街からは遠い。
加えて雑な仕事が多い組織でもある為、できればお世話になりたくない筆頭でもあった。
とはいえ、そんなことはどうでもいいと思っているのかブルーベアは、
「鶏の亜種…か」
ただただジョン達が心配かとでも思っているふうに、そう呟いたのだった。
***
「オイヨーヨ、回復アイテムとか持っていくか?」
「ポーションは俺が持ってるから大丈夫だ。心配いらねーよ」
ジョンとオイヨイヨは、街を出る為にと門へとやってきていた。
城郭都市(城ないけど)であるこの街を出る為には、大きな外壁にある門を潜る必要性がある為だ。
そのため、彼らは門にて簡単な受付を済ませている最中だった。
とりあえずジョンは装備の忘れ物が無いかとか、小さめの武器のネジの調整とかをしている。
常々、手続きなどはオイヨイヨに任せっきりなのだろう。
少しすると彼らは門を通る。
そのまま外壁の外の世界を拝んだ。
みれば見る程、殺風景。
ただの草原地帯が広がっている。
RPGやオンラインゲームなら、妥当な感じの始まりである。
あと当然だが、この付近には露店なんかも存在する。
お土産を売っているお店なんかは定番であり、旅路の必需品を売っているお店も多い。
また武器や防具やらを研磨したりしてくれるお店なんかもあったりする。
それこそこういう後ろ暗いお話はしたくないが、乞食と呼ばれる存在達も、居る。
何よりこの、門を出たところにある「ようこそ!」みたいな、なにこれ、門っぽいアレ。何っていうのこれ。街の入り口とかにあるあれ。
作者の語彙力の無さがこんなところで露呈する事になろうとはな!
「オイヨーヨ、あれ…」
「ああ、幼女だな」
そんな表現出来ない系の門を前にした時に見えたのは、大きな荷車を羊に引かせて旅をしているらしい少女の姿だった。
どうも荷馬車の中身を整理しているらしい。
ただ、彼女がこれから向かおうとする方角は、これから彼らの向かう方向と同じらしいという事。
ちなみにどう見ても幼女ではない。15歳くらいである。
身長はジョンと同じくらいで、茶色の髪。村娘のような格好をしている。
そんな彼女の最大の特徴は、これまたとんでもなく綺麗な、緑色の瞳である。
このあたりではとんでもなく珍しい目の色だった。
宝石のように、綺麗な目の色。
それを見てジョンが少し首を傾けるが、特に何かを言う事はなかった。
「どうすんだ?ジョージ」
「そらもう護衛するに決まってるだろ?正義の味方なんだぜ俺」
ジョンは名前を間違えられたこともツッコまず、少女に駆け寄っていく。
ガシャガシャとやかましい音を立てながら。
そんな音に羊が反応するが、逃げ出す様子は無い。
「おい、降りろ!」
「いきなり喧嘩腰でどうするんだ馬鹿」
オイヨイヨにゲンコツを喰らうジョン。ナイスツッコミである。
その場でのた打ち回るジョンを放置し、オイヨイヨは少女に話しをする。
少女は少女で、不思議そうにコチラを見ているばかりだった。
あと、降りる様子は無い。
警戒しているつもりもないだろうが、降りる意味がそもそも無いからだろう。
「なあ君、この先は強いモンスターが出るんだ。討伐依頼が出てる。
俺たちは今からそれを討伐しに行くんだが、それついでに護衛しようか?
ついでだから、金とかは取らねえ。討伐が終わったら護衛も終わりだ」
「…え?構わないんですか?」
「ああ。俺ら、それまで暇だしな。ついでだよ、ついで」
ここでジョンは勢い良く立ち上がる。
「俺に任せろ!」
「俺“達”だっつーの」
ゲンコツを食らわす。ナイスツッコミ。いやちょっと細かい。
と、こんなやり取りに引いたのか、はたまた頼りなく見えたのか、
「いえ、遠慮します。わざわざ、ありがとうございました」
と言われた。
2発も同じところにゲンコツを喰らい、悶え続けるジョンを無視してオイヨイヨが会話を続ける。
「そっか、じゃ、気をつけてな。俺たちはさっさと行って、倒してくる。
なんか暴れてるの見えても近づいたりすんなよ?」
「えー!?護衛は!?」
「今拒絶されただろ、しっかり聞いてろ馬鹿」
「あ、あはは」
優しく苦笑いしながら、少女は先々進み始めた。
かなりの大荷物であり、荷馬車に少女も乗っているというのに、羊は難なく荷物達を引っ張って歩いている。
だが二人はそんな少女の苦笑いなど気にもとめず、邪魔にならないであろう門の上に跳ぶ。
少女はいきなり先回りされた挙句、人間離れしたそれを見て、かなり驚いている様子だ。
しかし彼らからすれば別に当たり前のことだったので、自慢げな表情でもない。
そもそも少女の事はあまり最初から気にしていなかったのだろう。今までのコントの内容さえ、彼らにとってはいつも通りなのだ。
と、オイヨイヨは思い出したように、ブルーベアからいつの間にか貰っていた地図を取り出す。
それをジョンも覗きこむ。
「えっと、目撃場所はここから5km先にある“逆立ちしながらワインをたしなむサボテン”の周辺だってよ」
「んじゃ、競争だな」
既に勝負は始まっているのか、お互い無駄に押し合っている。
場所考えろ。落ちるぞお前ら。
いくらお前らでも落ちたら結構痛いぞ。
「お前が俺に勝てると思ってるのかよww」
「へん!負け犬ほどよく棒に当たるってね!」
「それタダのアホ犬だろww」
「299勝298敗!!記念すべき300は俺がリーチだ!!」
「バーカ。一旦抜かれて、その後追い抜くのが俺流だよ」
「ほざきながら寝ろ!」
「寝言は寝て言えだろww」
と、オイヨイヨがまず言う。
「よーい」
続けてジョン、言い放った。
「どん!」
二人は門から飛び降り、尋常じゃない速さで掛けていく。
当然、ゆっくりながら先々に進んでいた荷車の少女も一瞬で追い越してしまった。
少女はそんな二人の後ろ姿を見ながら、おかしな人達だなと、くすくすと、笑っていた。
***
「はぁ…はぁ…」
「はぁ…、」
随分、乾いた土煙が多量に舞い上がっていた。
そこには看板があり、確かに、“逆立ちしながらワインをたしなむサボテン”とある。
そこにはそれっぽい形をした…、というかもう狙ってるだろと思うほどその形をしたでかいサボテンがある。見ていて破壊したくなるくらいムカつく造形である。
自然に出来上がった代物じゃないだろ絶対。
そこで二人が息を上げていた。
ジョンなんて完全に疲れた様子だ。
二人で看板を思い切りに、押しボタンでも押すかのようにタッチした姿で固まっていた。
若干、看板が地面に深くめりこんでしまった跡もある。
だがすぐにオイヨイヨに向かって叫ぶ。
「俺の勝ちだ!」
オイヨイヨも汗をぬぐい、腕を組んで偉そうに言い返す。
「いや、お前の負けだな」
「お前一歩遅れてただろ!」
「全景姿勢の分、俺の勝ちだ。
看板に手を触れたのも俺が先だったしな」
「俺は武器こんなに持ってるんだぞ!?」
「それはお前のチョイスが悪いだけだ。それに手加減してやったんだぞ、俺は」
「オイヨーヨの負け!」
「ジョーズの負けだ!」
「俺はジョーズじゃねぇ!ジョンだ!!」
「おまえだってさっきから間違えてるっつーの!オイヨイヨだ!
何時になったら覚えるんだよ俺の名前w」
そんな子どものような言い合いをしながら火花を散らす彼らの周辺は、焦げた痕があったり、柵が壊されていたり、
というか、逆立ちしながらワインをたしなむサボテン含む一帯はボロボロだった。
この付近が尋常ではない危険地帯である事が明らかにも程がある痕跡だった。
とはいえ、討伐対象の姿は無かった。
にしたってスタミナを無駄に消費するという愚行を犯して、このまま戦える気でいるのだろうかお前ら。
「ジャンケンだ!オイヨーヨ!」
「いいぜ。どうせ俺の勝ちは決定している」
「言うだけならサルにでも出来るんだよ!」
「サルはしゃべれねぇんだよwww」
さっきも言ったが、もうこの場が安全でないのは確実だ。
だが悠長にジャンケンをはじめる二人。
真剣な眼差しでジャンケンをするその様は、実に滑稽だった。
というかただの馬鹿だった。
「じゃん・・・」
「けん・・・」
ここで、何故か掛け声の「ぽん」も無しに、二人はお互いをグーで殴りつけあっていた。
一応顔面じゃなく、胸辺りを。
二人ともがその攻撃を受けて、これまた綺麗に吹き飛んでいく。
いやどんな威力してるんだと思わなくもないが。
と、先ほど二人が居た場所に、飛竜のようなものが降り立った。
とんでもない重圧感ある音を立てて、二人めがけての奇襲だったのだろう。
高さは3m以上の、怪鳥とも言える姿をした飛竜がそこに居た。
もしあのままジャンケンを続けていれば、二人とも死んでいただろう。ぺったんこになっていた。
つまり先ほどの意味不明な二人同時の攻撃は、コンビネーションと言うにはお粗末というか、雑というか、そんな神がかった回避であったのだ。
「ってーな!手加減しろよ!オイヨーヨ!」
「離脱のためだろ、我慢しやがれ。俺だって痛いんだよw」
オイヨイヨは受け身を器用にとりながら、ポケットから紙を取り出す。
写真と特徴が書かれた依頼書だった。
彼は1秒くらいそれを見て、依頼書を投げ捨てる。
そのまま依頼書は風に舞い、何処かに飛んでいった。
それは敵の風圧による物。
目先の相手は、質量も大きさも、正真正銘の化け物である。
「ジョン、コイツがターゲットで間違いない」
「オーケー!飛んで火にいる夏の牛!」
「間違えても“鳥”にしとけww」
突如、ニワトリは叫ぶ。
その声は、見た目よりも醜悪な声だ。
何より、威圧がとんでもなかった。
背筋が凍る。耳も即座にふさいでしまいたくなる程の大きな声。
ジョンの武器もビリビリと音を立てて共鳴しているし、ジョンもその声に背筋をピンと伸ばしてただただ耐えていた。
無論、今回のターゲットは普通のニワトリではない。
ニワトリの亜種であり、その強さも本来のニワトリとは桁違いの化け物。
目の前に居るのはまさにそれだ。
どうやら極限的なまでに弱っているらしく、トサカのような部分が長方形のように折りたたまれている。
加えて麻酔弾の効果がいまだ半端に継続、動きがあからさまに鈍っている様子だった。
「ちぇ…、どう見てもイャン○ルルガじゃねぇかよ…!」
「予想外だよなこれw
どーする?w」
「やるっきゃねーよ!!」
オイヨイヨが捨ててしまった不明瞭な写真からは判別出来なかったが、亜種というよりは、もう別種とも言うべき、凶悪な飛竜だった。
本来ならばこれの相手は避けたいくらいである。ジョン達では本来、勝てるかどうか。
しかしチャンス。これほど弱っており、動きがかなり鈍っているとあらば、充分勝てる見込みがあった。
…ニワトリが叫ぶのを止めるのと同時にジョンは突撃する。
超接近し、刹那の間に剣を二本抜きとり、勢いの乗った攻撃を加える。
が、硬い。
ニワトリの硬い鱗と剣がぶつかりあって過剰なまでの火花が飛んだが、見たところ相手には傷一つも無い。剣がひたすら欠けただけに終わったのだ。
だが幸いなことに、剣は弾き返されることはなかった。今も刃は鱗の上で巨大な身体を押し続けている。
「ひょお!?」
突如として、飛竜の鋭い尻尾がジョンを襲う。
彼は前かがみになり、それをギリギリで交わす。紙一重。
流石、戦闘狂、殺戮マシーンと名高いイャンガル○ガ。現状の負傷具合からして、どう考えても万全とは程遠いコンディションであるにも関わらず、戦うつもり満々。
目の前に現れたジョン達へ、狩るべき対象への突然の奇襲を仕掛けただけあって、死を恐れてさえいないのだ。
が、別にジョンはどうでもよかったのか、ニワトリ亜種はオイヨイヨに、なんの予備動作も無しに突撃していく。
「オイヨーヨ!」
「気が散るから話しかけるな!自分の心配してろ!」
オイヨイヨはギリギリのところで飛んで避ける。
「そりゃあ!!」
そして、忍者が持ってそうな投げ武器を投げる。
だがすぐに弾かれる音が聞こえてきた。
「ダメだ、俺の武器、全般的にきかねぇなこりゃw」
ゴロゴロ転がり、途中で体勢を整えるオイヨイヨ。
「あん?」
体勢を整え、また武器を投げようとしたオイヨイヨに、火球が迫っていた。
本当にギリギリで交わす。
が、いつの間にかニワトリはオイヨイヨに接近していた。
火球を当てるつもりなど、最初から無かったのだ。
「ニワトリのくせに…頭良いじゃねぇかよ!!」
オイヨイヨは横に、ありえない速度で飛んで回避した。
その動きが魔法補助の一種のおかげなのか、元々彼の身体能力が高いかなのかは分からない。
「って!俺を狙ってたのかよ!!」
しかもオイヨイヨのそんな回避は無駄に終わる。何故ならニワトリは、オイヨイヨに無駄に接近しておいて何もしなかったのである。
それどころかジョン目掛けて突進してきていた。
ジョンはそんなニワトリの狡猾なまでの攻撃手段に慌てふためきながら、ダッシュで逃げる。
火事場の馬鹿力というやつなのか、何とか回避に成功。無様に地面を滑りながら、終いには転がっているが。
……このニワトリ、本当に弱っているのか疑問視せざるをえない。
ニワトリは勢いを殺せなかったのか、地面に一旦体を滑らせるように密着させ、ズルズルと地面を削りながら止まった。
そして立ち上がり、こちらを睨みつけ、叫ぶ。
このまますぐに攻撃に移ってくるだろう。
だがそのわずかな時間でも、二人にとって、体勢を整えるだけの時間はに充分であった。
二人は体勢を整え、武器を構えていた。
とはいえ、このままでは埒が明かない。
「くそう、こうなったらやっぱりあの手だ!さりげなく!!」
「さりげなく…か。ジョンにしては頭がキレてんじゃねぇか(叫んでる時点でさりげなくなのかどうか微妙だけどな)」
「褒め言葉として受け取っておくぜ!!」
「褒めてるんだよ馬鹿wwww」
そういって二人は攻撃を加えていく。
相手はやはり弱っている。それは確かだ。
ジョンの攻撃はかなりの割合が無駄に終わっているが、一部はしっかりとその肉体を引き裂いた。
同時に、何度も何度も、その尻尾になぎ飛ばされそうになったり、巨大な身体に押しつぶされそうになったり、火球の餌食になりそうになったり、巨大な顎にぺったんこにされそうになったり。
ジョン達の最大の利点は、異様なまでのシャンプ力、瞬発力、移動速度を持っているという事。
しかしながら目先のニワトリの攻撃を一撃でも貰えばアウトである。
防御面はモ○ハンの住民達と比べれば、紙くずも同然。喰らえば即死だ。
キャンプ地に帰還する事さえ許されない、絶対的な死が目の前で暴れ狂っている。
それは極限的なまでの精神状態を余儀なくする。圧迫し、摩耗する。
とにかく離脱を繰り返し、隙あらば攻撃を加え続けた。
ジョンはドンドン剣を抜き、オイヨイヨは武器を投げ続けた。
「オイヨーヨ!MPは!?」
「余裕だ」
「じゃ、行くぜ!!」
今、準備が整った。
そうしてジョンが、突っ込んでいく。
「うおおおおおおおおおおおおお!!!」
叫んでいるジョンに、ニワトリは大きく反応した。
啄む勢いで攻撃を加えるニワトリ。
ジョンはそれをスライディングで見事回避し、
あろう事かニワトリの真下に潜り込む。
「オイヨーヨ!」
「ああ!」
合図を聞いて、オイヨイヨが魔力を一気に開放する。
すると、吹き飛ばされたり、自ら投げ飛ばしたりして地面に突き刺さったジョンの剣達を結ぶように、青白い線が描かれていく。
それはあっという間に、大きな魔方陣へと変貌を遂げた。
地面に突き刺さった剣の数は10。
それはまるで、敵に弾かれて地面に刺さったとは思えないほど計算された位置にあった。
魔方陣が即座に出来上がったのは、この武器のおかげだった。
「おらあ!!」
ジョンはとどめと言わんばかりに、飛竜の真下、魔法陣の真ん中に剣を1本突き立てる。
11本目。そして本命。
すべてが集約する一点。
発動。
「ライトニングバースト!!」
オイヨイヨがそう叫んだ。
すると、その魔方陣の内部に電撃が暴れまわる。
見るからに派手な電撃。強烈なまでの閃光を放ちながら、大きな音を立て続けに打ち鳴らす。
10秒近くは電撃により、真っ白に輝いていた。
ジョンとニワトリの両方が、全く見えなくなる程の魔法攻撃である。
まるで花火のようなその輝きがゆるやかに終わりを迎える頃には、敵は黒焦げになって空を見上げていた。
そのまますべてが終わったのを確認したかのように、声すら上げず、ぐらりと倒れこんだ。
「ジョーン、平気かー?」
あのニワトリでさえ真っ黒焦げなのだが、何故かジョン、のっそりと立ち上がってみせる。
ダメージ皆無どころか、服も無事。何から何まで平気そうだった。
「勿論だぜ!」
サングラスをかけたジョンが、親指を立ててうれしそうに微笑みを返す。
オイヨイヨはそれを見るなり息を少し吐き出して、大きく背伸びした。
なかなかに恐怖満点の戦闘とはなったが、事なきを得た。
これでこの付近の安全は確保されたワケだ。きっと先ほどの少女と羊も、何事も無く素通り出来る事だろう。
「あ、あの」
と、不意にそんな声が聞こえてくる。
二人はまた他愛もない会話でもしようとしていたのだろうが、顔を見合わせてから、その声の主を探した。
声のした先には、門前で出会ったその女の子が居た。
どうやらもう追いついたらしい。
女の子は荷馬車の上から、心配そうな表情をコチラに向けていた。
「なんだ君か。モンスターなら倒した。もう安全だ。
っつーか……、戦闘してるっぽかったら近寄るなって忠告してやったのに…」
「あの、お怪我ありませんか?」
二人は擦り傷、切り傷だらけだった。
「怪我はないぜ!」
「俺たち怪我だらけだろーがww
地の文すら無視してんじゃねーよwww」
オイヨイヨにゲンコツを貰うジョン。
最初こそ不安げな表情だった女の子は、先ほど見たばかりの二人の様をこうして再び目にして、くすくすと笑った。
まさに勝者にのみ許された余韻である。
そのまま女の子は荷馬車を降り、救急箱かを抱えてゆっくり歩み寄ってくる。
大怪我こそはしていないが、ボロボロなのは本当だったから。
と、何かが軋む音が、耳に飛び込んでくる。
ジョンにゲンコツを喰らわせた結果に出た音ではない。
それは、背後から突然の奇声。咆哮。
もはや怒号とも悲鳴ともとれる、断末魔にも似た声だった。
ジョンとオイヨイヨは身を翻し、かなりの速度で獲物を構え、捉える。
そこには既に、真っ黒こげのニワトリが、接近していた。
いや、突撃してきていた。
「…最後の悪あがきかよ」
オイヨイヨはそう呟く。
何故ならニワトリはもう瀕死。
今の一撃で死に至っていない事が不可思議な程。
それこそ死ぬ兆候の目をしているし、息遣いもそうだ。
死を待つばかりのその存在は、死を待つだけには飽きたらず、まだ戦おうとしているのだ。
死を迎えるのの時まで、敵対者を排除しようとしている。
とんでもなく悍ましい執念だった。
本来ならこの攻撃、避ければいい。突進を交わしてしまえばいい。それが余裕で可能なくらいには、距離もある。
避ければ相手は勝手に力尽きて死ぬだろう。秒読みの命。見れば分かる。
だが諸事情によりそれはできない。
これは決して作者都合ではない。
オイヨイヨとジョンの背後には、あの女の子がいるのだ。
後ろで震えていて、動けないだろう。
これ自体はジョンかオイヨイヨかが抱えて逃げ出せば問題にはならないが、
女の子が乗っていた荷馬車が、ニワトリの突進コース上にあったのだ。
難なく離脱して交わしても、彼女だけは大打撃を受けるハメにあう。
命は金より重いとか、命のほうが大事だとかよく言うが、彼女の場合、命が助かっても荷物が駄目になれば、当然生きていけない。
旅をしているのか商人なのかは彼らにはわからないが、どれにしても、生きていくのに必要なものに違いないのだ。
これを失う事は、絶望的。
死ななくとも絶望的。
精神的なダメージを考えただけでも、致命傷だ。
「くっそぉ!負け犬の道連れってやつかよ!」
「負け犬の遠吠えだし、使う場面も間違ってるっつーの」
迫るニワトリ。
このままでは全員お陀仏。
何故なら、荷物と少女を見捨てるなんて選択を、絶対にしないのが彼らだ。
どれほどに過酷な現状でも諦めたりしない、
逃げたりなんてしない、逃げたくなど無いと思うのが彼らの思い信じるなんでも屋なのだ。
「しゃーねぇ…」
「…ジョン、行くのか」
「時間も余裕もねえかんな」
見ればもう一本しか持っていない、大きな剣を構えるジョン。
流石に13本もあった武器を器用に地面に突き立てる事は叶わなかったのだ。
12本中の10本を地面に綺麗に突き立てられただけでも凄すぎる話ではあるが、しかし、既に武器が1本しか残っていないという事実は、想像以上のプレッシャーを彼に与えていた。
だがしかし、その目には諦めはない。
そして迷いも存在しない。
もはや勝利を確信しているのか、オイヨイヨは武器をしまって女の子に歩み寄る。
少女はただへたり込んで、無表情で、地面を見ていた。
「大丈夫だ。怖くない」
そう優しく語りかける彼は、少女を静かに抱き寄せた。
そして、ジョンを見る。
ダシリと足を肩幅に開いて立ち、彼が持つ最も大きな剣、バスターソードのような剣を力強く振るう。
「正義の味方っつーのは!必殺技を後ろに隠してるもんだぜ!!」
そのまま目を閉じ、剣を上に掲げた。
徐々に魔力を開放する。
目をゆっくり開け、敵を見据えるジョン。
両手で武器を持つ。上段の構えに近い。
駆け出す。
剣を真横に構える。
正面からぶつかり合うつもりで居る。
「奥義、雷斬瞬殺剣」
右腕が輝く。
電流が全身を巡る。
ニワトリはもう目前。
彼はそんな状況下で、光のような速さで剣を振るう。
あまりに早い斬撃。8連撃。
その瞬間、爆発にも似た閃光があたりを染め、とてつもない謎の轟音が響き渡る。
オイヨイヨも女の子も、それには流石に目を瞑った。
…瞼裏からその光がなくなったことを知ると、目を開ける二人。
巻き上がる土煙の中で、ジョンは剣を前に構えて立っていた。
丁度、剣を振るって背中に戻す動作を垣間見る事にもなった。
ニワトリはジョンの前方からかなり離れた位置で、羽を広げ、仰向けで倒れていた。
もう動く様子は無い。
これで動いたら流石に化け物性が過ぎるだろう。
まるであっけなく事は終わっていた。
「…あ、おいおい」
オイヨイヨは女の子の肩から手を離して、今にも倒れそうなジョンに駆け寄った。
彼は既に気絶していたらしい。
凄い話だが、立ったまま失神していた。
器用なものである。
「あ、あの!送ります!」
すぐさま女の子も駆け寄って、二人目掛けて言ってくる。
一名は完全に気絶している為、返事するのは必然と、彼を抱えてやっている相方の方となる。
「ああいいよいいよ。別にいつものことだしさ」
そういってオイヨイヨは、ジョンを投げ捨てるように地面に寝かせる。
もう慣れすぎて、やりたい放題だ。
やりたい放題っていうか、やり過ぎというか、ひど過ぎと言うべきか。
そしてそのままオイヨイヨも腰を下ろし、彼が目覚めるのを待つ気な様子。
それも当然。ジョンが抱えてきた武器を持って帰るなんてただただしんどいだけだし、その上でジョンまで抱えて帰らざるをえないとあっては、やる気も起きないのである。
剣を仕舞う動作までやってのけたジョンが気絶した理由は不明だが、オイヨイヨの調子から察するならば、すぐに起き上がるのだろう。多分。
「送りますって。どうせ行くあてなんて…、私にはありませんから」
しかし女の子は、そんな事を言ってくる。
ついでに、手に持つ救急箱も開けられる様子は無い。手にそれを持っている事すら忘れているらしかった。
「……行くあてが無いってのは?」
「その、私元々一人なのですけれど、行く宛てもなく旅をしていて。
私には家族も居ません。急ぎ行くべき場所もありません。
だから、せめてお礼をさせてください…」
まるで手のひらを返したように、オイヨイヨはもう送ってもらう気満々らしく、ジョンを荷馬車に投げ入れていた。
酷い音が聞こえる。痛そうな感じの、とにかく鈍い音だ。
そんな様子を目の前で見せられている女の子は少し冷ややかな目を送ってきているが、言い出したのは女の子の方なので、何も文句は言わなかった。
だがオイヨイヨも、ただただ相手の気を悪くさせるばかりではない。
寧ろ彼はこうする事で、女の子から断るという権利を奪ったのだ。
ある意味で強制イベント的。
オイヨイヨは手をパンパン払いながら、首を傾けて女の子を見て、言った。
「住む場所なら一個だけ、当てがあるぜ」
***
もう聞き慣れた鐘が鳴る。1話にして何回鳴ったか分からない鐘が鳴る。
ブルーベアのお店だ。
相変わらず奥にいる子は、あいも変わらずピアノを弾いている。
「この子を雇えって?」
おいブルーベア、フライングしてんじゃねーよ。
「いや、別に雇えとは言ってないし、てか帰ってきた途端に掛ける言葉じゃねーだろそれww」
ジョンはまだ気絶中。
オイヨイヨはそんなジョンを、背もたれのある椅子に腰掛けさせ、自分はまったりとカウンターテーブルの方へ向かい、悠々と飲み物を頼み始める。
結局、ボロボロのままの二人だった。
だが無遠慮に詰め寄ってくる依頼主3名。そういえば居たなお前ら。
それを適当にとはいえ、相手せざるを得ないオイヨイヨも、なかなか不憫である。
だがわざわざジョンの隣に腰掛けずにカウンターの方に座ったあたり、なんだかんだ気を遣ってやっているのかもしれない。
そんなちょっぴり騒がしい様子のバーのカウンターテーブル。
あえてなのか、女の子はオイヨイヨの隣に座り、飲み物を注文する。
「ミルクティを、お願いします」
「はいはい」
あまりにも客に対する態度ではないんだがそれはどうなんだブルーベアさん。
「この周辺に住む場所ねーかな、ブルーベア」
なんかあっけなく3名は満足気に帰っていく。
そうしてオイヨイヨが、律儀に話を1から始めようとしてくれている。
ブルーベアがフライングするから、変な事になっちゃってるけども。
そんなフライングがここでも活かされているのか、飲み物もすぐに準備されて配膳される。
「おごり」
「え、あ、すみません」
どうやら本当に、客を相手にしていないようだ。
おごるつもりだったなら、素っ気なくても仕方ない。
というかこんな妙にクールで格好いい奢り方、一回はやってみたいよね。
…二人がそれぞれ飲むのを眺めてから、ブルーベアはグラスを磨く作業に戻った。
ただし、会話の方は継続である。
無論、ブルーベアのそっけない態度も継続中。
述べた内容は、これである。
「ウチで働くのは大いにありよ。部屋、あるにはあるし。
住み込みの安月給、食事は昼と夜だけ提供したげる」
雇うだなんだの話から継続中らしい。
ただし、女の子はまさか本当にそういう具合に話が進んでいくとは思っていなかったようで、少し驚いたような素振りを見せていた。
「…いいんですか?」
「いいわよ。ここはどうせ、コイツらの溜まり場になりかけてる場所だし、コイツらこそは良い金づるだし、そろそろ手頃な働き手は欲しかったのよ」
オイヨイヨはそんなぶっ飛んだ発言に対し余裕で微笑んでみせ、コーヒーを口に含む。
彼らを金づるだなんだと言っているのは多分、これから精々、この女の子の雇用費分は飲み食いしていきなさい、的な意味合いなのだろう。
既に充分それくらいは余裕で支払ってきているとは思うが。
と、オイヨイヨと少女の横に、手が置かれる。
それは勿論、ブルーベアの手ではない。
ちょっと傷まみれの、さほど大きくない手。
でもその手は、とても頼もしい手だ。
「オレンジジュースを1L!」
ジョンである。
目を覚まして早速、元気いっぱいらしい。
「ジャック、依頼人達はもう帰ったわよ。
お金はここ。はい」
オレンジジュースを準備する前に、カウンター下においていた大金袋を、机に置くブルーベア。
いったい幾ら入っているかはしれないが、なかなかに重厚感ある音が響き渡る。
金貨であってこの量とあらば、相当な額には違わないだろう。
「これってどれくらいの額なんだ?」
「いい加減に通貨くらい覚えろwww」
「オイヨーヨは理論的過ぎるんだよ!」
「通貨のどこが理論的なんだよwww」
なんかもうジョンがひたすら不安になるだけの会話だが、ここでブルーベアが口を出す。
放っておいたらいつまで経っても二人とも、手を触れないままに終わってしまいかねないからだろう。
「いいから、とっていきなさい」
言われて、オイヨイヨは笑いながら、まず袋に手を突っ込んだ。
その手には3枚の金貨。
全体の30分の1程度だろうか。
「俺はこんなもんでいいぜ。どちらかっつーとコイツのほうが働いたしな」
おもいっきりジョンに向かって言う。
自慢気である。
俺こんなに謙虚だぜーである。
それに対するジョンも、むむむっとした顔をしながら手を突っ込む。
「縁起の良い1枚でいいぜ!」
謎なことを言いながら、1枚だけとる。
金貨なだけあって、随分と怖いくらいの輝きをしていた。
そんな金貨以上に輝く目をしてドヤ顔をオイヨイヨに向ける。
途端にオイヨイヨとジョンは睨み合い、火花が散る。
もしかしなくとも毎日毎日、こんなしょうもない争いをしているのだろうか。
「あの、残った分はどうするんですか…?」
女の子が訊く。
目の前の金貨の山は、ほったらかしなのだ。
このままでは所有者も無く、延々とここに野放し状態となってしまう。
ここでジョンとオイヨイヨはにらみ合うのを止めて、女の子に対して微笑んだ。
妙にしたり顔だが、どうしようもないくらいに優しい表情で。
「やるさ。連れて帰ってきてもらった、運搬の代金ってやつ」
「…え。
いやいや、でもこれ、相当な額ですよ?」
ジョンは謎のタイミングでガッツポーズをとりながら、叫ぶように言い放つ。
「剣を運んでくれたお礼だぜ!あれ買い直ししたらこんなもんじゃないしさ!」
しん…。と。
空気が変わった。
沈黙というか、静寂というか。
ピアノの音までも止まる。
ジョンはそんな突然の事に目を少し見開き、笑顔のままに周りを見渡しながら、なんか徐々に変に強張った笑顔に変わっていく。
「ん?どうしたんだ?」
流石にそんな空気に押され気味なジョンは、それでもなるべく暢気そうに尋ねる。
オイヨイヨが、いつものはっちゃけたテンションをどこに置き忘れたのかと誰もが思うほど、暗いテンションで話す。
「すまん…、あそこに置き忘れてきたわ…」
しかも全てである。
そして多分わざとである。
「う、うわああああああああ!!!」
ジョンは絶望顔しながら、猛ダッシュで喫茶店から出て行く。
全力で取りに向かったのだろう。
きっと、謎のファンタジー物語冒頭の回想シーンとかで使われる一場面みたいな、無駄に格好いいだけの現場へ。
「くっくっくwwwww」
いつも以上にやかましい鐘の音が聞こえたのち、オイヨイヨはジョンの焦りに焦った顔を見てツボったか、笑いを堪えようとしている。
堪え切れない為に普通に笑っちゃってるけども。
呆れ顔のブルーベアは、小さくため息をつきながら、金貨を10枚以上取った。
もうさっきから躊躇いなさすぎな店主である。
「雇用手数料、依頼受注契約の仲介手数料、今までのツケ」
そういってブルーベアは、さも当然のようにおしりのポケットに金貨を突っ込み、そしてグラスを磨く作業に戻る。
オイヨイヨも落ち着いたのか、飲み物を口に運んでのんびりしている。
ピアノの音もこれまたいつの間にやら再開していた。
「ところで貴方のお名前は?」
ブルーベアが今更そんな事を聞く。
それにはオイヨイヨも、擦り傷のある頬を少しかきながら、そう言えば…という顔をしていた。
女の子はミルクティで口を湿らせて、そしてゆっくりと立ち上がる。
「私の名前は…、」
ここは喫茶店、ブルーベア。
営業時間中は必ずといって良いほど、ピアノの音と騒がしい人たちの声が絶えない。
今日も快晴であり、平和である。
***
【あとがき】
どうも、370mLです(´・ω・`)
この物語は、2009年の06月04日に1話を投稿して始まった、本来は一発ネタ的なノリの作品でした。7年前にもなるんですね。
370mLの携帯小説サイトにおいては短編小説の区分に置かれ、1話完結型、短めの短編、続いても数話で終わらせるつもり満々の作品でした。
なので正直現時点まで継続して物語が続くとは思っておらず、370mL自身驚いています。
驚いていますっていうか、後々の暴挙に驚かざるを得ないというか。既に驚いた人居ると思いますけども。
あと当時の(現在も放置中の)適当な文章にもびっくりしました。読めたもんじゃなかったです。かなり手直ししています。
この物語は、「あれ370mLってギャグ書けなくね?それ致命傷じゃね?」と思い、練習がてらにぶっ飛んだギャグを書いてみようと思ったところが発端です。
また根本的な発端には某有名同人作品だったり、某メイン盾だったり、パロディ要素も数多く含んでおりました。
如何せん、思いつきで始めたものですから、当時の370mLのはまっていた物やら色々の影響が思いっきり全面に出ているという悲惨な始末です。切腹ものです。
なので始まった途端から問題まみれの作品だったわけですが、
書くにつれて独自性を多大に帯びていき、とんでもないくらい濃厚な設定、キャラクターの癖の強さなど、実際私自身が手放すのを惜しむ作品となりました。
結果として番外編や外伝モドキといった作品も生まれました。
もしかしなくても現在370mLが一番に力を入れている作品となります。
この作品を広めていいものか、正直極限的なまでに悩んでおりましたが、今回大胆に歩を進めてみようと思い、こうして「ハーメルン」に移設(もしくは増殖)させて頂きました。
これからたっぷり、色々な人に怒られるんじゃないでしょうか^p^
今作は、先も述べましたが、小説としてはかなりな雑多を極めており、また別所にて掲載していた分を多少肉付けしたり、修正したりした物です。
少しは読みやすくしておきたいところでしたが、なかなかそうもいかないですね^p^
正直初期頃は描写を端折りたい放題してました。肝心なところが全然伝わってこない文章してました^p^
そもそも、「人々は魔法を使るし」って。使“る”って。どう読むんだっていう。
コピペで使ってた為に数話に渡りこのミスは継続し、370mLが当時気がつくまでの話は面白いというただそれだけの理由で直されてさえいないので、ここでも直さない予定です^p^
また今作は恐るべき事に、現時点(17話まで連載時点)で100万文字を超えております。
加えて後半になるにつれてゆるゆるな雰囲気でなくなっていきます。ゆるい所はゆるいですが。
その前に勝手なパロディ連打が原因で様々な人に散々怒られる可能性もありますね^p^
パロディって言っておけば許されると思ってんじゃねえぞ370mL。ごめんなさい。
勿論ですが370mLは今作ではパロディをやけに扱っていますが、常々パロディやって遊んでるワケじゃないですこんな怖い事を常習的にやってません^p^
あれガドローサとかいう奴が暴れてる小説でパロディを散々やってる気が^p^
思えばいろいろな場所でやらかしてる気しかしないような…あれ…常習犯……?^p^
さて、いいわk…説明が長くなってしまいました。
今回は、本作品、オレンジファンタジーをご閲覧頂きまして、まことにありがとうございます。
もしよろしければ次話、もしくは最後までお付き合いいただければと思います。
それでは恒例となるであろう、オレンジファンタジー名物、解説を開始していきましょう。
意味は下部を覗いていただければ、概ね把握頂けるかと思います。
それではどうぞ。
・370mL
この作品の著者、もしくはこの作品を生み出してしまった愚者のペンネーム。通称さなお。
名前の由来はファブリーズの内容量。確か同じ容量であるリセッシュがまだ販売開始されていない段階から、このペンネームを好んで使っている。
元々携帯でオリジナル小説(と呼べぬ程に小説らしからぬ拙い代物)を執筆していた無名者だったが、機を見るなり東方projectの二次創作小説を執筆したり、漫画を描いたりしており、ちょっぴりだけ名前が知られているようなそうでもないような。
簡単に肩書を説明するならば、4流絵描きもしくは4流物書きである。
語ってて恥ずかしくなってきたので、この辺で370mLの説明は終われ。代表作とか自慢気に語れる程肝はすわっちゃいないぜへへっ。
・オレンジファンタジー
今作の題名。原案段階では「正義の味方に憧れて」であった。
非常にどうでもいい事だが、現時点でもテキスト名(今だにテキストで文章書いてる)にはこれにナンバリングした物を使用している。
オレンジジュースが大好きなジョンが主体の物語であるところから、オレンジファンタジーという題名が決まった。略称はオレファン。
とはいえ特に冒頭もしくは最後以外でこのオレンジジュースが登場する機会はそう無く、登場さえしない事もある。
あとファンタオレンジに名称が似ている気がしなくもないが、この作品はフィクションであり、実在する、人物・地名・団体とは一切関係ありません。実際にファンタオレンジとは関係はありません。
で通用する域をこの1話の段階でもう随分超えている気はする。
・喫茶店ブルーベア
CABINの支配する街、そのどこかにある、こじんまりとした喫茶店。
お店の名前の影響を受けて、何故か店主がブルーベアと呼ばれている。
元々はバーだったが、売れなかったのか、喫茶店の要素を後々追加。実際、喫茶店としての需要のほうが高い為、お店の名前まで喫茶店ブルーベアに変更されている、という設定。
長らく主人公達の拠点であり、物語の導入はだいたいこの喫茶店ブルーベアである。
・優雅にピアノを弾く10代後半の女の子
後のピアノ幼女。現時点でさえ謎のピアノ幼女。
米印にもあったように、結果として彼女は8歳であると位置づけられるが、当時の行き当たりばったり感を何となく残しておきたい370mLの遊び心でそのままの説明文を残す事が決定し、修正されていない。
というより後々、年齢に関する描写ミスのツッコミが別の話にてネタにされているので、直せないのである。
この少女に関しては本当に謎ばかりであり、17話を終えた現段階でさえ、ロクな説明は存在しない。少々人間離れしている風な描写こそはある。
身長は125cm、純白の腰くらいまである長い髪、瞳の色はゼラニウム。白いワンピース姿。
彼女の細かな設定も実際は決まっているが、恐らく、本編中で語られる機会はありはしないだろう。謎は謎のまま。それがいい。
・バーテンダー
バーやパブ等のカウンター席が設置された酒場で、カクテル・ビール・ワインなどのアルコール飲料を提供し、飲酒する客をもてなす人物。
バーマン、バーキーパー、バーキープとも呼ばれる事もあり、女性の場合はバーメイドと呼ばれる事があるようだ。
また原案(修正前段階)ではブルーベアの事を「バーテン」と表現していた。
由来は定かではないが、バーテンという呼び方はあまりよろしい呼び方ではないらしく、通常避けるべき表現である。かなり馬鹿にした呼び方のようだ。
彼女のがめつさ、接客態度の悪さを見る限りでは、適当な気がしないでもない。
またブルーベアはブルーベアで、自らを卑下してなのか、バーテンという表現を使う事もタマにある。
・ジャパン茶と紅茶とレモンティ
日本のお茶の種類は分からないが、紅茶とレモンティとは。
レモンティがそもそも紅茶の一種だと思うのだが。
当時の370mLの頭の中を全力でぶん殴りたい。
・ジョン=オ=ラルク
この小説における主人公。15歳。髪はアップルグリーンで、なんかライオンみたいに広がっている。瞳の色はサン・オレンジ。恐らく370mLのみが「緑髪の獅子」という愛称で呼んでいる。
かなりの低身長で、155cm。顔も中性的だが、凛々しめな顔をしている。
大好物はオレンジジュース。取ってつけたかのような好物の設定であるが、実際取ってつけた設定である。
左肩に飾りみたいな防具が一つあるだけで、普通の半袖ベストを羽織り、ズボンもポケットがなんか多い程度で普通。
武器があまりに多く、フル装備で13にもなる。ただし使いこなせているかどうかと言われると、怪しい。
後にも語られる、CABINの元1級ソルジャー。腕は確かだが、大馬鹿野郎。
考える気が無いのか、かなりその場のノリで生きている感がある。
名前の由来はジャック・オ・ランタンと、L'Arc~en~Ciel。
なんでラルク?って言われたら、うん、当時の370mLの流行りだったんじゃないかな。
・バーロー=オイヨイヨ
見た瞬間、目を疑った人が多いのではなかろうか。
いや作者の正気を疑ったのではないだろうか。
いくら行き当たりばったりの思いつきで名前を付けるにしたってこれはねーだろと、思ったのではないだろうか。
だが残念ながら17話現在に至るまででも大抵の人物には一応この名前で呼ばれている。自己紹介する時なんかもこの名前をわざわざ使う。
そして最も恐ろしいのは、数話読んでいると、この名前に違和感が全く無くなっていく事である。
無論だが偽名である。
この小説における主人公。370mLは「草量産機」と呼んでいる。文章圧迫の原因。
現在16歳。髪はオールバックの枯葉色。眼の色は赤。
身長はジョンと違って平均的、172cm。腹が立つ限りだが、非常にイケメンで、タンクトップ姿。プリントに「IKEMEN」と書かれている。
今作において堂々と草を生やしながら喋る数少ないキャラであり、一見するとボケキャラっぽい感じだが、優秀なツッコミ役である。(こいつの存在の所為で作中の他キャラが草を生やしてしまう事もある。感染している。)
また魔法を使えるという、万能な魔法アタッカー兼バックアップタイプ。名前やら言動やらで評価されにくいだけで、超一流。元無印猟団の幹部だった男である。
・ブルーベア
喫茶店ブルーベアの店主であり、一応、主人公の一人。無論、本名ではない。お店の名前から取ってそう呼ばれているだけである。
その言動や仕草からは、かなり大人びた雰囲気があり、ジョンからは姐さんと呼ばれてかなり慕われている。
身長169cmであり、非常にスタイルの良い、バーテンダーの格好をした女性。巨乳。
髪の色はブラウン。驚くべきほど長いポニーテイル。髪を下ろせば身長とほぼ一緒という脅威的な髪の長さである。
また本編でロクに触れられる事はないのだが、左利きである。
あと気のせいかもしれないけど、ブルーベアが敬語だったシーンを今まで書いた記憶が、オレンジファンタジーでは全く無い。(エレメンタリークラウンって漫画では1回だけ敬語で喋ってたような。)
・金貨
当時は全く、通貨単位を決めていなかった。
正式にこの世界の通貨名が決定したのは、なんと6話である。
その6話の段階でも、結構その場の勢いで決めた記憶が、370mLにはある。
・ニワトリ
我々の世界におけるニワトリと、この世界におけるニワトリは別物である。
別物っていうか、そりゃそうなんだけども、これ超怒られるんじゃないだろうかってくらいの問題部分でもあるんだけども。ごめんなさい。
この世界ではモン○ターハ○ターに登場する飛竜イャ○クックの事。何故か食用とされているらしい。食える箇所どこだろうか。足とか?
また喫茶店ブルーベアの屋根にある風見鶏は、このニワトリをモチーフにしたデザインである。素敵。ほしい。
ちなみに調べてみたら、モン○ンの世界では、風見鶏のデザインがイャンクックなのは公式設定らしい。知らなかった^p^
あと370mLはイャン○ルルガの事がかなり好きである。グラ○モスの次に好きである。
・CABIN
喫茶店ブルーベアが存在する街を仕切っている傭兵会社の側面がとても強い派遣会社、もしくは警察機関の代役、地主の会社。
CABINという名前自体は、370mLの吸っていた煙草の銘柄から引用しているが、この英語を日本語にすると「丸太小屋」が多分イメージしやすいか。他にも意味はあるけども。
創設200年と少しであり、正式な社員数3000名程度。これは他の勢力に比べてかなり数が少ない方の部類。
またかなりブラックな企業のくせにホワイト企業なので、フットワークがどうしても遅い。
ただし、ここの社長さんがかなりのやり手であり、とんでもなく世界に対して強い発言権さえ持っている。
・CABINの特設“質問何でも答えますセンター”
CABINが備えている電話窓口。
どうでもいい質問にはどうでもいい返答をノリよく返すが、かなり精度の高く、信頼性のある情報を返してもくれる、優秀な窓口。
あとこの世界観では、携帯電話は利用料も本体の値段もクソ高いので、公衆電話などから経由して電話するのが一般的である。
また電話がそれくらいしか普及していないのもあるので、いたずら電話も少ない。
というかいたずら電話で営業妨害などしようものなら、秒で牢屋行きになるだろう。
・オイヨイヨ
FF12の主人公ヴァンの通称であり、発言の空耳。
「飛び降りろ!」という台詞がオンドゥルっていた為に「オイヨイヨ」と聞こえる、という所から。
ただし370mL、こうしてネタにしつつも、あの演技の熱の入りよう(ヴァン)がかなり好きである。
またヴァンを演じた武田航平氏本人もこれをネタにしている事があるが、あまり無遠慮に使いまわってしまうのは避けた方がいいだろう。
ちなみに370mLも滑舌が悪いので、全然言えた義理が無い。
・俺のどこが悪いって証拠だよ!!
FF11にて実在したコアプレイヤーであるブロントさん本人と思われる2chでの書き込みの名セリフから引用。
>>10
俺がどうやってBurontだって証拠だよ
言っとくけど俺はBurontじゃないから
あんまりしつこいとバラバラに引き裂くぞ
こうして見ると、本家のぶっ飛び具合に感服してしまう。
・魔法で武器を取り出す
結局このシステムは無かった事にされた。
というかオイヨイヨがこのシステムを扱う事がそもそも無かった。
なので結果的にこの世界では、このシステムが存在する事を1話で示唆しておいて、抹消された。これがこの世界の現実である。(作者都合)
・猟団
創立500年以上。組織名が「猟団」であり、CABINと同じく傭兵会社。一般では「無印猟団」と呼ばれている。
かなり特殊な雇用形態、組織形態をしており、正確な人数をこの猟団さえ恐らく把握出来ていないと思われる。
頭目はゾギハルコンと言われる男で、この人物もまた謎が多い。
非常に過激な行動が目立ち、略奪行為や戦争行為をも行っている事で有名。半ば賊みたいな組織である。故に彼らの敵は、世界中に存在すると言ってもいい。
端的に言ってマフィアの部類に近い。
彼らの仕事はやけに早いが、達成率は微妙なところ。加えて余計な事までしかねない為に、やはり信頼性は薄いといえる。
それでもCABINが請け負わないような危険過ぎる任務、暗殺や襲撃といった過激な内容も平然と請け負う為、需要が尽きる事は無い。
・城郭都市
城壁などで周囲を囲み、堅固に防御した都市の事。城塞都市、城壁都市と呼ぶ事もある。
この城郭都市の起源こそは、なんと新石器時代の段階で世界中に見られていたらしい。
当たり前の事だが、この壁を設置して囲むべき物は護るべき要所、お城などが多かったというだけで、必ずお城があったというワケではない。
城壁という物が城を護る為の防御壁であり、城郭が城もしくは町を敵の攻撃から守るための施設、城の囲いを指す。
つまり城壁とは城の周りの壁、城郭とは城壁の更に外の壁、と区別されている。
この世界(オレファン世界)では、大きな都市ほど堅牢な城郭が設けられている。
これには、戦争という過去の経緯も大いに関係あっての設置ではあるが、主にモンスターの侵入を阻む為に存在している形である。
・逆立ちしながらワインをたしなむサボテン
オレファン名所(迷所)の一つ。
逆立ちしながらワインを嗜んでいるかのような形をした超巨大なサボテンがある場所。
つまりこの辺は、サボテンが群生している、乾燥気味の地域という事。
この付近には「サボテンの大塩湖」なる場所もあったりするのだが、それはまた別の機会に。
またこれも余談だが、喫茶店ブルーベアのメニューには、サボテンステーキという物があったりする。
ちなみにサボテンのステーキは、実在する。
・何よりこの、門を出たところにある「ようこそ!」みたいな、なにこれ、門っぽいアレ。何っていうのこれ。街の入り口とかにあるあれ。
入場門の事。
例えば運動会などでよくあるあれも入場門であるし、遊園地などにもある。
ああいったアーチの事を、370mLは言いたかったらしい。
分からないって思った時に調べとけよ370mL。
そういえばCABINの支配する街の名前、いまだに決まってないんだけど、どうしようね。
・299勝298敗!!記念すべき300は俺がリーチだ!!
引き分けの回数は今回で828回を数えました。
・イャン○ルルガ
モン○ター○ンターに登場する鳥竜種の大型モンスター。イャン○ックと非常に似たシルエットであり、近縁種ではあるらしいが、別種。
別名を黒狼鳥と呼ばれ、性格は非常に獰猛。戦闘を好むという、生命としてかなり破綻した特性を持っている。なんと戦闘によって快楽を得られるほどの知性を持ちえているのである。
それ故に相手を確実に倒したと判断するまで休む事が少なく、戦闘を終えたと判断してもすぐに次の獲物を探す為に飛び立っていくこともしばしば。戦闘マシーン。モ○ハン界の妖怪首置いてけ。
また実際に相手にする際も、その強烈なまでの謎攻撃判定、パーティで討伐する際もやけに1名を狙い続ける執拗性、飛竜種に比べて小さな躯体故に狙いにくい頭部、なんちゃって突進、咆哮による硬直を利用した無慈悲なサマーソルトなど、とにかく他の飛竜やモンスターと違ってやりにくく、プレイヤーをこれでもかというほど苦しめてきた。
370mLもPSP版2Gでひどい目に合わされまくっていて、正直、挑みたくないレベルで強い。
そんな圧倒的なこの種に逆に執着するプレイヤーも多く、またシルエットの禍々しさ(格好良さ)に惚れ込む者も多い。
ちなみにノベル版には未だ登場していない。どんだけ恐れられてるんだ。流石は鬼教官殿。
今作ではニワトリなどと言われているが、こっちの世界でもニワトリとは別種扱いである。
・オイヨーヨ!MPは!?
この世界ではHP、MP、SPという数値が明確に存在している。
本人達はこの数値に自覚的だったりする。
つまりはRPGなど、ゲーム感覚で彼らは生きている事になる。
なんじゃそりゃと思うかも知れないが、本作を読み進めていただければ、多分慣れて頂ける。
また設定をしっかり考えすぎていて、友人たちからは「この設定資料だけでTRPGが出来る」とまで言われているくらい組み込んでいる。
370mLは恐らく変質者である。
・ライトニングバースト
直訳すると、電光破裂、とかになるだろうか。記念すべき初登場の魔法。
難易度的には上級に部類する範囲系魔法であり、性質こそは雷だが、属性は風に当たる。
通常は直径1m~5m範囲に数秒間の電撃をお見舞いする魔法だが、ジョンが居る事でその範囲は直径10mにも及び、電撃時間や威力もかなり上昇している。
あと余計な事を言っておくと、この物語でこうして魔法名と一緒に魔法が披露されるパターンは結構少ない。どんだけ考えるのが面倒なんだ370mL。
・サングラス
ジョンが上記ライトニングバースト使用時に装備していたサングラス。フォックス型。
特に重要性が無い為に、形状の描写をしていないのでここで補足している始末。
またこれも重要度が低いので本編では一切語らないのだが、ジョンのこのサングラスと、CABINの社長がかけているサングラスは同種だったりする。
・奥義、雷斬瞬殺剣
ジョンの必殺技の一つで、必ず大きな剣を必要とする。
雷(風)属性の攻撃で、とてつもなく速い剣撃であり、超高威力の8連撃。
FF7のクラウ○のリミット技、凶斬りを魔改造?した技でもある。
その為、斬る手順は何時何処で使おうとも必ず同じである。
・彼は既に気絶していたらしい
この設定に関する謎は、びっくりするくらい後、厳密には12話あたりで語られる事となる。
ただし今回の気絶は、一種の癖のような物である。
途方も無い力を持つ彼は、魔力をかなり消費する技を扱う為に、防衛本能的に気絶、もしくは睡眠を取り始める。
またゲームなどでいうところの「戦闘不能」や「瀕死」という状態は、この世界(オレファン)では「気絶」という状態異常で一括りに扱う。
・ガッツポーズ
ガッツ石松が現役ボクサー時代、1974年4月11日、東京の日大講堂にて、ボクシングWBC世界ライト級王座を奪取したときに両手を挙げて勝利の喜びを表した姿を、柏英樹(当時・スポーツ報知)記者が「ガッツポーズ」と表現して、ガッツポーズが広く知られるようになった、らしい。wiki情報。
また、「喜びのポーズの1つ。拳を握り、両手もしくは片手を掲げることで表現され、」とあるので、これ以外のポーズはガッツポーズと表記スべきではない可能性がある。
つまり、ジョンのとったであろうガッツポーズは、ガッツポーズじゃなかった可能性がある。
両手を上に掲げるポーズをあの場で取るわけもないし。
片手だけならあるかもだけど。
・女の子
少女だか女の子だかハッキリしろや描写。
1話にて羊に荷馬車を引かせて旅をしていた少女。
限りなく偶然によってジョン達と出会い、成り行きで喫茶店ブルーベアで働くことが決定。
今作のヒロインポジションを目論んでの1話というイベントであったのだが、
この当時の370mLさえも予想だにしないくらいに、このオレンジファンタジーにて重要にも程があるメインキャラクターに、6話以降化けることとなる。
と、このように、1話ごとにあろうことか丁寧にパロディ解説、またはちょっとした語彙、ことわざなどを370mLがなるべく簡潔に説明するコーナーである(説明口調)。
当時は雑多にも程がありましたので、今回の移設(もしくは増殖)を機に、今一度書き直し(大規模な加筆・修正とも言う)してみようと考えています。
為になることもあれば、全くいらない解説も盛り沢山。
是非ともこのオマケみたいなコーナー?もご閲覧いただければと思う次第です。
というか1話や2話はともかくこれ以降は、本格的に(本編もあとがき解説も)長くなると思います既に死ぬほど長い話もあるし^p^
とまあこの辺にしておきましょう。
370mLでした。