魔法先生ネギま! 進撃する生徒   作:ヒイラギ1028

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やっとヒロイン? の一人登場かな!
遅くてごめんなさい!


吸血鬼

 

「――桜通りの吸血鬼ぃ?」

 

「そうなんだよ。その反応を見ると知らなかったんだな?」

 

ため息をついて友人の顔をみる。

どうやら、本気にしているらしい。

 

「精神科行ってこい。今時吸血鬼なんているわけないだろ」

 

「本当だっての。つーか何でお前一時間目いなかったんだよ?」

 

「あー……教科書忘れたの思い出してさ。

それで遅れたんだよ」

 

友人はそれで納得したのか、それ以上は追求してこなかった。

 

「その、吸血鬼? の噂どっから出回ってきたんだよ?

誰から言われてそんなの信じたんだ?」

 

「えっと――あれ? 何で俺知ってたんだろ……」

 

「ハァ?」

 

それを聞きたいのはこっちだよ、と呟きながら再びため息をついた。

大体、こんなご時世に吸血鬼なんてお伽話みたいなことがあるわけない。

 

「あ、これは違うクラスの友達から聞いた話なんだけどさ」

 

「……お前噂話好きなのか」

 

教科書を取り出しつつ、友人の話に耳を傾ける。

 

「何でも、変な穴みたいのがある木が最近増えてるらしい。

藁人形で呪いでもやってるんじゃないかと思ってたんだが

穴が結構でかいらしい」

 

「……へぇー。そうなんだ」

 

……アンカーが突き刺さってできた穴の可能性が……。

冷や汗を流しながら、話を聞いていた。

 

 

―――――

 

 

昼食を食べ終えた頃、朝急ぎすぎたせいでノートがないことに気づく。

次の授業まで時間は少しある。

近道――桜通り――を突っ切っていけば十分間に合うだろう。

 

「……」

 

信じているわけではないが……もし、万が一厄介事にでも巻き込まれたら面倒だ。

だが、今急いでこっそりととりに戻れば……。

 

「……さっさと取りに行くか」

 

先生に見つからないようにこっそりと取りに行くと決意し、

教室を飛び出していった。

 

廊下を走りながら思考する。

最近はどうもおかしいことだらけな気がする。

立体機動装置、鬼のような化け物。そしておかしな夢。

更に吸血鬼と来たもんだ。

 

階段を駆け下り、昇降口を飛び出して向かう。

 

「……あれ?」

 

ピタリと足を止めて考える。

別に、桜通りには行かなくてもいいんじゃないか?

ノートがなくたって怒られるだけだし、面倒くさい。

 

「何だ、これ」

 

まるで、無理やり意志を変えられているような気がする。

何かが桜通りに行かせないように――

 

「――考えすぎだな」

 

それに、もうすぐ桜通りだ。

あと少しで寮に戻って、さっさとノートを取っていこう。

 

 

結果的にいえば、杞憂ですんだ。

何事もなく寮にたどり着き、忘れたノートを手に取る。

瞬間、ゾクリと背すじが凍った。

 

「なっ……!」

 

とても形容し難いが、殺気? かもわからない。

ただ、一瞬、歪な何かが起こった?

自分でもよくわからないしわかりたくもない。

ただ、何かしらの厄介事がこの麻帆良で起こっていることだけは分かった。

 

 

――――――

 

 

パキッ、と踏み出した足で枝を踏み折った。

茂みの中へと潜りこみながら、桜通りをちらりと見る。

そこには、二人の中等部の少女がいた。

 

いや、もう一人はとても幼いように見える。

中等部の制服を着てるだけの小学生かなにかか……?

ただ、その小学生? から異質な何かを感じるのは確かだ。

小学生? は少女に覆いかぶさり

 

――首筋に大きく噛み付いた。

 

血がピシャリとはねた。

恍惚とした表情で、血を舐めとっていた。

 

「吸血鬼……? 何かのドッキリじゃないのかよ」

 

柄を強く握り締める。

深呼吸を繰り返し、なんとか心を落ち着ける。

 

「――――――」

 

瞬間、 首元から口を離した吸血鬼は、不意に何かをつぶやいた。

再びゾクリと背筋が凍るとともに直感が警鐘を鳴らす。

勢い良く立ち上がると、柄のトリガーを一つ引く。

パシュッという音と共に、アンカーが吸血鬼の後ろあたりにある木に突き刺さった。

そのままもう一つのトリガーを引くと、体が引っ張られて

前へと引き込まれる。

 

ワイヤーが巻き取られ、高速でアンカーの突き刺さった木まで移動する。

後ろを振り返ると、自分がさっきまでいた場所には氷柱のような何かが

何本も突き刺さっていた。アンカーを離し、地面に着地する。

吸血鬼は、驚いたような表情でこちらを凝視していた。

 

「……貴様のような魔法生徒は見たことがないが?」

 

殺気丸出しで、吸血鬼はこちらを睨みつけた。

……魔法生徒ってのは、何だ?

さっきの氷柱は魔法なのか?

眉をしかめ、必死に考える。

 

「いや、俺は魔法使いじゃない」

 

「……何だと?」

 

訝しげに、吸血鬼はこちらを睨んできた。

 

「では、どうやって認識阻害を超えてきた?

人間は近寄らないようにさせた筈だが……」

 

認識阻害? コイツの言い方からすると、人が

近寄らなくなる魔法?

……これは使えるかもしれない。

 

「ハッ……だろうな。お前みたいな、チンチクリンな奴の

魔法は全然効かねぇよ」

 

吸血鬼の顔が、怒りで真っ赤になった。

 

「貴様……馬鹿にする気か? 私が誰だか知らないのか?

――エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。

闇の福音( ダークエヴァンジェル)と呼ばれる始祖の吸血鬼だぞ?」

 

「へぇ……二つ名的なもんがあるのは知らなかったな。

つまり、あんたを殺せば金はがっぽり貰えるんだろうなぁ?」

 

ニヤニヤと、馬鹿にした笑い方でそう告げた。

ダークとか言ってるし、多分賞金首とかだったらいいなぁ

 

馬鹿にして、冷静になれないようにしてやればいい。

隙をみて逃げればいいだろう。

 

「貴様も賞金狙いか……だが、魔法使いではないお前が

どうやって相手をするつもりだ?」

 

腰についている収納ケースから刃を取り出し、柄にガチンと嵌める。

 

「――俺の特技を教えてやろうか」

 

その時、初めて吸血鬼が一瞬怯えたような表情となった。

 

「俺の特技は――――肉をそぎ落とすことなんだよ」

 

アンカーが飛び、近くの木へと突き刺さる。

そのまま吸血鬼のすぐそばまで一気に距離を詰める。

 

「なっ――」

 

――そのまま、横を通りすぎてもう片方のアンカーで奥の木に突き刺し、

吸血鬼から距離をとる――というか逃げる――ことに成功し、ガッツポーズをとる。

寮へと戻る最中、後ろから怒りの咆哮が聞こえたのはきっと幻聴かなにかだろう。




誰だって知らない道具で襲われたら咄嗟に
攻撃とか防御とかできないよね……よね?
でも数百年も生きてたらできそうだよねぇ……そこらへん
適当で本当ごめんなさい。

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