とある埋葬機関所属の人形師   作:朱い月

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テキトーです


嗚呼……私は悲しい……

木場祐斗は至った。神器の極致───神器の進化である禁じ手に。

木場祐斗の神器、『魔剣創造』の本来の禁じ手とは違う、本来なら起こりうることのないイレギュラー中のイレギュラーな禁じ手ではあるが、この禁じ手は彼と聖剣計画の被害者となった彼の同士達の心と想い、そして魂の絆が生み出した奇跡。

 

本来ならば聖と魔は相入れることの無いものだ。その聖と魔を融合し、合わせ持った矛盾し、異質な、聖なる魔剣を創り出す禁じ手───その名は『双覇の聖魔剣』。

 

 

「ば、馬鹿なッ……聖魔剣だと……!?ありえない。そんなものありえない!!本来反発し、決して混じり合うことの無い聖と魔という二つの属性が混じり合うなど、この世にあってはならない……ならないのだッ!」

 

目の前で起きた理を無視している到底起こりえない奇跡を目にしたパルパーが騒ぎ立てる。確かに、聖書の神が力を持っているこの世界で、そのような矛盾は起こりえないだろう。しかし、時に神の力とて、人の思念、想い、願いに負けることはある。人が、人だけが己の内に神を持つのだから。"可能性"という名の神を。まあ、最近起こる聖と魔の異変と矛盾の場合はそれ以外にも原因はあるが。

 

同じ剣士であるゼノヴィアもこの光景、奇跡に目を奪われ、感動していた。

 

「グレモリーの騎士──いや、木場祐斗よ。この奇跡を見せてくれた礼に私も本気をだそう」

 

ゼノヴィアは突然『破壊の聖剣』を戦闘中だというのに地面に突き刺す。まるで、別の物で戦うかのように。

 

「──ペトロ。バシリウス。ディオニュシウス……そして、聖母マリアよ」

 

ゼノヴィアの詠唱とともに空間に魔法陣が現れ、聖なるエネルギーが周りを満たしはじめる。

 

「──我が声に耳を傾けてくれ」

 

ゼノヴィアはその魔法陣に右手を突き出すと魔法陣は輝き、中から鎖を巻きつけられ、封印を施されてもなお凄まじい聖なるエネルギーを発する聖剣が現れる。

 

「この刃に宿りしセイントの御名において。我は解放する───」

 

ゼノヴィアがその聖剣をとった。すると封印の鎖が消え、聖なるオーラも解放される。

 

「───不滅の刃、デュランダル!」

 

聖剣『デュランダル』。それはヨーロッパのシャルルマーニュ伝説の主人公たるローランの持つ聖剣。数多くの聖人の聖遺物で作られたその剣はあらゆる戦場において絶対に折れることのなかったという。

その聖剣が今、ゼノヴィアの手にあった。

 

「聖剣、デュランダル……私の研究ではそんなものを使える段階には至っていない……ま、まさか!?貴様は天然の聖剣使いなのか!?」

 

「さて、パルパー。お前の研究がどうとかは興味が無いが……私がこの聖剣デュランダルを出した以上、貴様らには勝ち目はないぞ。なんせこの聖剣はじゃじゃ馬でな、出した途端になんでも斬りたがる」

 

聖魔剣と聖剣デュランダル───想定外の物を見せられて、パルパーは騒ぎ立てる。しかし、最早そのようなことは関係ない。用があるのは聖剣エクスカリバーを持っているフリードとコカビエルだけなのだから。

 

「へぇ〜!聖魔剣!聖剣デュランダル!ざっけんじゃねぇ!!聞いてねぇぞクソハゲ野郎!報酬がこんなの相手だとたりねぇぞ!こんな報酬じゃ、こんな面倒なの相手にできるかってんだ!俺はトンズラさせてもらうぜぇ!」

 

「き、貴様フリード!!まさか、裏切るつもりかッ!?」

 

フリードの言葉に激昂したパルパーは掴みかかろうとするかフリードに簡単に蹴飛ばされ、倒れこむ。

 

「そんじゃあ?また、どこかとか!じゃーなぁ!」

 

逃走しようとするフリードにさせまいと切り掛かるゼノヴィアと木場。しかし、フリードは今までの動きとは比にならない俊敏さでそれらを避けてこの場から消えていった。

 

「な、なんで速さだ……奴は今まで本気でなかったというのか……!?

 

「逃げられた……早い。早すぎる……」

 

その様子を見ていたコカビエルはニヤリと笑う。聖書に書かれる堕天使コカビエルすらをも見抜けなかったフリードの真の力に。

 

「フリードの力を見抜けなかったとはな……この俺もまだまだ未熟、か。まあ、そんなことはそこの小娘どもを殺して戦争を起こせば解決するだろうからどうでも良いか。さて、そろそろネタばらしでもしてみるか」

 

フリードの予想外の実力に呆然としていたグレモリー眷属らとゼノヴィア。

 

「呆然としているお前たちに面白い情報を与えてやろう」

 

「面白い、情報ですって?」

 

「そう。とても面白い情報だ。───────聖書の神は。既に。この世に。存在などしていない」

 

「な、なに……?主は、主が!存在しない……だ、と!?う、そだろう?」

 

ゼノヴィアは青白い顔でコカビエルに聞き返す。コカビエルはそれを嗤いながら言う。

 

「フフフ……フハハハハッ!あの忌々しき魔王達と聖書の神は先の大戦で死んだんだよ!無様になァ!貴様ら教会は滑稽だったよ。居もしない神に祈り、仕えているのだからな!まあ、悪魔も魔王を失って内乱を起こしたりして自分達で潰し合い没落していき、我ら堕天使も俺以外が講和だのなんだのと腑抜けやがって滑稽だったがな……」

 

「そんな……主がいないなんて……」

 

アーシアとゼノヴィアが絶望で膝をつき、グレモリー眷属はあまりの事実に呆然とする。それをコカビエルは見て嗤っていた。

 

ポロロン……♪

 

唐突にハープの音が響いた。

 

「グッガァアアアアアアッ!?」

 

唐突なコカビエルの悲鳴にゼノヴィアとグレモリー眷属達は驚いてコカビエルを見る。

 

すると、なんとコカビエルの方翼が根本から切り取られていたのだ。

 

「私の翼が、よくもよくもォォォォォォッ!誰だ誰だ、誰だァッ!!!」

 

「嗚呼……うるさいわよ。カラス風情が。少し黙りなさい」

 

学校の屋上から一人、ゼノヴィア達の前に降り立った。

その顔を見た、コカビエルは驚愕した。その人物はとっくに倒して再起不能にした筈の紫藤イリナだったからだ。

 

「い、イリナ……戦場に来て大丈夫なのか?」

 

「そうよ、貴方。殆ど再起不能だったじゃない」

 

兵藤一誠、リアス・グレモリーに声をかけられたが、イリナはそれを無視して持っているハープに手を掛け、連続して弾く。すると、また音が響いた。

 

ポロロン……♪

 

ポロロン……♪

 

ポロロン……♪

 

 

「ガッグッァァッ!!」

 

ハープの音が響くたびにコカビエルの手が、足が、羽が、嬲るように少しずつ切り取られていく。

 

「お、おいイリナ!何をしてるんだ!もうコカビエルは戦えないみたいだぞ!」

 

あまりの残酷な光景に一誠はイリナを止めようと声を掛けた。

 

「ねぇ……少し静かにしていなさい。じゃないと貴方も殺るわよ」

 

イリナから向けられた殺気にグレモリー眷属達は怯み、動けなくなった。

結果的にコカビエルを嬲ることを止めることができたが。

 

だが、ゼノヴィアとアーシアは殺気により正気を取り戻し、イリナに恐る恐る詰め寄る。

 

「な、なぁイリナ。さっきのコカビエルの話って聞いていたのか?」

 

「んん?聖書の神……主が亡くなったってことのこと?聞いてたよ?」

 

あまりにも軽く答えたイリナにゼノヴィアとアーシアは驚く。イリナもショックを受けているのでは?と思っていたのにまったくもってその様子が見られないからだ。

 

「な。なんでです?平然と言えるんですか?イリナさんはショックを受けていないんですか?」

 

「だってそもそも教えられていたからね。あと、私正確には教会所属じゃないから」

 

「え、ええ?お前はエクソシストだろう?教会所属以外に何かあるのか?」

 

「まあ、知られても大丈夫だし、一応今まで相棒だった誼みで言うけど、私は埋葬機関所属で、序列2位の部下よ」

 

 

 

 

 




このイリナちゃんは原作からかけ離れていて神を信仰していません。
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