俺と妹達とアイドルと   作:ユーセー

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今回はあまり恋愛要素がありません。
完全な主人公回です…

興味ない人も多いと思いますけど、暇があればぜひ読んでください!



9話 挑戦者

昨日は色々と衝撃的な1日だった。

花丸ちゃんの意外な事実を聞き、俺は買ったものを忘れてきてしまう…。

また後で買いに行こう。

 

日曜日のため今日もルビィとダイヤは家にいた。

 

暇だしダイヤの部屋に行こうかな。

 

 

ユウ「ダイヤー、勉強頑張ってるか?」

 

ダイヤ「お、お兄様⁉︎部屋に入る時はノックくらいしてくださる?」

 

ユウ「わ、悪かった…それよりも勉強は順調か?」

 

ダイヤ「まぁ…それなりに、という感じですわ。お兄様こそ最近トレーニング時間取れてないようですが大丈夫なのですか?」

 

ユウ「あぁ…まぁ…怪我のこともあるし暫くはゆっくりやっていこうかな?」

 

ダイヤ「……お兄様は、あのデビュー戦悔しくなかったのですか?」

 

ユウ「!?ま、まぁ…負けることはわかってたし…」

 

悔しくないわけがない。あっさり負けてしまい、挙げ句の果てには気を失う。

こんなの悔しくないわけがないんだ。

 

ダイヤ「そう…だからこうしてトレーニングもせず私に構ってられるのですね…」

 

違う、俺はトレーニングをサボってるわけじゃない。

ただ、もう一度あのリングに立つのが怖いんだ。今の自分から逃げてるんだ。

いつも、トレーニングは相手と試合するときのイメージをしなかまらやっていた。

今の俺には…負けるイメージしかできない。

トレーニングそのものが無駄なんじゃないかって思ってしまっているんだ。

 

 

ユウ「そ、そういうわけじゃ…今は怪我もあるからだって…」

 

ダイヤ「それは…逃げるための言い訳ですか?あの時は心配しましたが…あんな無様な試合をして悔しくないなんて…正直考えられませんわ」

 

ユウ「…るせぇよ…悔しくないわけ…ないだろ…」

 

ダイヤ「あら、先ほどは悔しくないとおっしゃっていたじゃありませんか?」

 

ユウ「4年間だぞ!?高校にも行かず、お前らとも離れてまで一生懸命トレーニングを積んで4年間!!その4年間もの時間の答えが、たった3分半だ!!悔しくないわけねぇんだよ!!」

 

俺はこっちに帰ってきて恐らく初めてだろう…大粒の涙を流した。

 

ユウ「4年間…それだけやった結果があれだったんだよぉ…もう…どうしたらいいかわかんねぇんだよ…」

 

ダイヤ「やっぱりね…お兄様は素直じゃないんですよ…」

 

そう言ったダイヤは俺をそっと抱きしめてくれた…

前に俺がダイヤを抱きしめたみたいに…。

 

ダイヤ「お兄様…私の胸で泣いていてもいいですよ…この前のお礼です…」

 

俺は思い切り泣いた。

兄であること、男であること。そんなことを全て忘れて泣いた。

今は…ダイヤにずっと甘えていたかった。

 

俺は暫く泣いた。

5分くらい泣いてたんではないだろうか。

 

ユウ「…ごめん、もう大丈夫だよ…」

 

ダイヤ「あら、もう少し泣いていても良かったのですよ?あんなに可愛いお兄様、滅多に見れないんですから」

 

ダイヤはいたずらに微笑む。

 

ユウ「うるせぇ…もう2度と見せねぇからな…」

 

ダイヤ「そうですわね…これからこの立場は梨子さんのものになるんですものね…寂しいものですわ…」ニコ

 

ユウ「!?な、なんのことだよ!?」

 

やっと落ち着いてきたところなのに…

というかなんでダイヤはそんなことを言うんだ?俺の気持ちは…誰も知らないはず…

 

ダイヤ「なんでもないですわよ?あまり気になさらないでください?」

 

今日のダイヤは俺よりも1枚も2枚も上手だった。

というよりも、いつものダイヤに戻った感じか?俺が帰ってきてからずっとバタバタしていて溜まってた疲れがやっと取れてきたのだろう。

 

ユウ「はぁ…なんだよそれ…とりあえずありがとな…?」

 

ダイヤ「いえいえ、それと1つ言いたいのは…あなたの4年間は決して無駄じゃなかった。その時間はデビュー戦で負けて終わるためにあったんじゃない。デビューして、そこから始まるためにあったのですよ?」

 

ユウ「……そうだよな…確かに酷い負け方したけど、俺のレスラー人生はあれが始まりだったんだもんな…ダイヤ、お前には助けられてばかりだな」

 

ダイヤ「気になさらなくてもいいのですよ?助け合うのが兄妹ってものですから」

 

ユウ「あぁ…そうだな!ごめんな!時間使わせちゃって!」

 

ダイヤ「お気になさらず…また何かあったらすぐに言うのですよ?」

 

ユウ「本当ありがとな!俺も…前に向かって進むから!」

 

そう言ってダイヤの部屋を後にした俺は久しぶりにジムに向かうことにした。

 

 

 

 

 

ジムの入り口で俺は意外な人物に会った。

 

曜「あれ?ユウさん?こんにちはー!」

 

ユウ「曜ちゃん?なんでこんなところにいるの?」

 

曜「言ってませんでしたっけ?私、筋トレが趣味なんです!高飛び込みをやっているので体を鍛えたいんですよ!」

 

ユウ「おぉ…なんか…曜ちゃんってハイスペックですな…いつも筋トレはこのジムでやってるの?」

 

曜「そーですよ?ユウさんは怪我治ったからトレーニング再開って感じですか?」

 

ユウ「まぁ…完治してるわけじゃないけどそんな感じかな。もう…負けたくないから!」

 

曜「今からトレーニングするなら、私もジムに残ってもいいですかー?」

 

ユウ「別に構わないけど…曜ちゃんもトレーニング続けるの?」

 

曜「違いますよぉ!色々お話したいじゃないですか!……梨子ちゃんのこととか…♩」

 

 

ユウ「だからさぁ…まぁいいや、とりあえず中に入ろう?」

 

ここで話しても長くなりそうだ。とりあえず中に入った。

 

俺は4年間続けてるメニューを始めた。

 

 

 

しばらく黙々とトレーニングをしていると、曜ちゃんがある質問をしてきた。

 

曜「ねぇ…ユウさんって本気で梨子ちゃんのことが好きなんですか?」

 

ユウ「だから……」

 

曜「真面目に答えてください」

 

曜ちゃんの声はとても真剣なものだった。

その声を聞いた俺は、真剣に答えなきゃいけない。そう思った。

 

ユウ「……あぁ…好きだよ…まだ出会って間もないし、お互いのことを何も知らない。だけど、あの短い時間でどんどん惹かれていったんだ。」

 

曜「だと思ってました…」

 

俺の答えを聞いて、声量が小さくなる曜ちゃん。

最近の流れでいくとこれは…曜ちゃんも…

などと考えていた時に、曜ちゃんから言葉が続けられた。

 

曜「梨子ちゃん、ユウさんがデビュー戦で相手したジュンゴって人にかなり惚れられてますよ。梨子ちゃんはずっと断ってるんですけど…」

 

 

どういうことだ?

俺は落ち着いて考えた。

俺がデビュー戦で相手したジュンゴ。実は俺はこいつと知り合いなんだ。

本名は日高正伍。

俺の2つ上の先輩。

こいつには…プロレスの才能があった。

こいつは高校を出た後、18で入門してその年にはジュンゴとしてデビュー。

翌年にはすでにベルトを巻いていた。とんでもないやつなんだ。

 

もちろん、あいつもここで生まれ育っている…梨子ちゃんとすれ違ったりしている可能性はあるかもしれないけど…話を聞く限りそれだけの関係では無いっぽい。

 

それに…

 

ユウ「なんだか…よくわからない関係だけど、梨子ちゃんが断ってるなら別に良いんじゃないか?」

 

俺は思ったことをそのまま口に出した。

梨子ちゃんが断ってるなら俺にはそこまで関係無いんではないかと。

 

曜「そうだったんですけど…ジュンゴって人がこの前またベルトを巻いたことで調子に乗ったみたいで、次の初防衛戦に勝ったらおれと結婚することを約束しろ。なんて言ってきたんですよ。そうしなければ、俺の父親のところで働いているお前の親をクビにするって…」

 

ユウ「待て待て待て、そもそも梨子ちゃんとあいつの接点ってなんなんだよ?どこで知り合ったんだよ?」

 

曜「梨子ちゃんと同じピアノ教室に通ってたらしくて、そこからずっと言われてるみたいです。」

 

そうだ、あいつは小さい頃から高校を出るまでずっとピアノを習っていたんだ。

あいつの父親は会社を自ら経営している、母親はピアニストと超エリートだ。

最初は母の影響でピアニストを目指していたのだが、俺があいつもプロレスを見に行った時にレスラーを目指していると言った。その時、あいつもプロレスの魅せられて、俺に負けないレスラーになることを決意したらしいんだ。

 

 

あいつは才能の塊だ。すごく羨ましい。

でも…

ユウ「それは…初防衛戦の相手に頑張ってもらうしかないよな…相手はもう決まってるのか?」

 

曜「はい…ユウさんは気を失っていたのでわからないと思うんですけど、あの後チャンピオンとしてのマイクで、

『俺はどの分野にしてもこいつの上にいたかった。こいつは中学出てすぐにこの道に進むことを決めてたらしい。俺もこいつとプロレスを見に行って、その時レスラーになりたいと思ったんだ。けど…こいつの気持ちは俺よりも強かったんだ…こいつは高校に入学せず、真剣にこの道と向き合っていた。こいつは本当はこんなもんじゃない。こいつと本気でぶつかり合いたい。本気を出すならベルトをかけなければいけない。』

と言って、次の挑戦者はユウさんに決まったんです…」

 

 

あいつは周りに自分を良い奴に見せたがる。客の前では、こいつはこんなもんじゃないとか言ってるけど、内心は今のこいつからなら楽に勝てる。

簡単に梨子ちゃんと付き合える。

そう思ってるに違いないんだ。

こいつは昔からそういうやつだ。

 

 

だけど…俺は勝たなくてはいけない。

梨子ちゃんを不幸にするこいつなんかに俺は負けたくない。

 

ユウ「曜ちゃん、教えてくれてありがとう。俺勝たなくちゃダメなんだよな。」

 

曜「はい…私はユウさんのことを応援してます。梨子ちゃんが幸せになれる場所はきっとユウさんの隣なんです。だから…負けないでください」

 

ユウ「うん…わかった。俺はしばらくここでトレーニングするつもりだけど、曜ちゃんはそろそろ帰らなくて大丈夫?」

 

曜「伝えたいことは伝えたのでこれで失礼します」

 

曜ちゃんは帰っていった。

それを見届けた俺はダイヤに電話してどうして教えてくれなかったのか質問した。

ダイヤは

『今までのお兄様は不安定でした。この状態で伝えても折れるだけでしょ?お兄様がまた立ち上がった時、つまり今日帰ってきたら話そうと思っていたのです。』

とのこと。

 

さすがは出来のいい妹だ。俺のことを良くわかってらっしゃる。

 

確かにこんなことを言われていたら心は折れて、もう立ち上がれないところだった。

 

 

 

 

だけど、今は違う。

今だからこそ、勝たなくてはいけないという気持ちが強くある。

 

花丸ちゃんからの気持ちもあるから、勝って俺が梨子ちゃんと付き合うってことはできないが、

少なくとも、梨子ちゃんを不幸から遠ざけることができる。

 

 

 

 

俺は……必ず勝つ。




レスラーとしてデビューしたものの、全く試合も組まれないためその設定を忘れられがちな主人公…
今回は初心に帰るためにもその主人公の気持ちにスポットを当ててみました。
梨子ちゃんのことが大好きなユウですが、花丸ちゃんのことも傷付けたくない。そんな想いがあるそうです。

ですが、まずは梨子ちゃんとジュンゴを遠ざけるためにここら頑張らなくてはなりません。


今後この話はどうなっていくんでしょうか…?
そう、それは作者にもわからないのです…
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