一週間後、5月23日・木曜日
総武高校の生徒達はある噂が流れ出していた。放課後になっていても生徒達は今もその噂に話題になっていた。
男子生徒A「聞いたかよ。雪ノ下さんまた今日も休みらしいぜ。」
男子生徒B「マジかよ、そういやあ彼女って確か病欠気味な事が何回かあったな。」
女子生徒A「季節外れのインフルエンザだって、雪ノ下さん大丈夫だといいけど。」
女子生徒B「そうね、これからは風邪にもウイルスにも気を付けないと。」
総武高校 2年F組
机でうつ伏せで寝てる彼、比企谷八幡の高校生活に少し変わった事が『2つ』あった。一つは依頼主だった八幡のクラスメイト由比ヶ浜結衣の加入。そしてもう一つはーーー
あの日から雪ノ下雪乃が一週間学校を休み続けている事だった。
彼女の欠席の理由は一つ、学校内では彼女は季節外れのインフルエンザを受け病院で療養している事になっているが。
本来は雪乃が鉄の機兵団の隊長。吉村恵一率いる拾番隊の誘拐。結果は八幡によって未遂に終えたが現在鉄の機兵団拾番隊がいつ雪乃を再び誘拐する可能性も0ではない。
八幡(・・・・・・アイツが学校休んで一週間か。けど雪ノ下、お前何でそんな事言うんだよ、それに・・・。)
雪乃・回想『貴方とはやっぱり『友達』にはなれないわ。』
八幡(そんな悲しい顔しながらはよ流石にきついだろマジで・・・。)
するとクラスメイトである由比ヶ浜結衣が急ぎ足で八幡に近づき声をかける。
結衣「ヒッキー!今日も部活に行こう!!」
結衣は直ぐ様に八幡を部活に誘い込むが対する八幡は直ぐに寝たふりに入った。しかし諦めない結衣は今度は八幡の机めがけ自らの両手で思いっきり叩きだす。
八幡「ZZZ・・・。」
結衣「起きろーーーっ!!」バァン
八幡「何だようるせぇな、放課後から発情期かオイ。」
結衣「違うし!!ヒッキー毎日部活勝手に休むんだし、こうなったらアタシ自ら引っ張ってでも参加させるから!でないと平塚先生に言いつけるよ!!」グイッ グイッ
八幡「痛てぇって分かった。分かったから右腕放せ!!」
結衣「本当にお願いね、ヒッキー『部長代行』。」
八幡「はぁ、分かったよ」ガタッ
奉仕部部長である雪ノ下雪乃の不在により八幡は平塚の命令によって八幡は『奉仕部部長代行』を受け溜まりだした。
八幡「はぁ・・・。」
八幡(平塚先生、
八幡は溜め息をし鞄を持ち結衣と共に教室を出る、しかし直後一人の男子生徒が八幡に声をかける。
???「すまない、ちょっといいか?」
八幡「あぁ?」クルッ
八幡に声をかけた男子生徒の正体はクラスの人気者にしてサッカー部部長の葉山隼人だった。葉山の後ろには同じクラスメイトでサッカー部部員の戸部翔が八幡を見てビクビクしていた。
結衣「あれ?隼人君がヒッキーに声をかける何て、ヒッキーに何かよう?」
葉山「ああ、ちょっと彼に聞きたい事があってな。悪いな結衣、突然引き留めてしまって。」
総武高校2年F組 サッカー部部長
葉山 隼人
八幡「・・・ああ、何の用だ?」ギロッ
八幡は威圧感を葉山ら二人に放ちだす。戸部は怯むが葉山の方は左足を少し下がるだけだった。
戸部「ひいっ!は、隼人君やっぱり止めようよ!!」ガタガタ
葉山「駄目だ。どうしても俺は彼に聞かないとならない。」
戸部「け、けど・・・!」ガタガタ
八幡「さっさと用件言え、こっちは部活で忙しいんだよ。」
葉山「あ、ああ。・・・用って事じゃないけど、今日も雪ノ下さんは休みなのか?」汗
八幡「・・・ああ、今日もらしい。」
葉山「・・・そうか、引き留めてすまないな。」
八幡「行くぞ、由比ヶ浜」コツコツ
結衣「う、うん!じゃあね隼人君!!」タッタッタッ
葉山「ああ・・・、また明日な結衣。」
そう言って結衣は葉山ら二人と別れ八幡を連行し部室へと向かった。
総武高校 部室棟 2階
奉仕部からの依頼はないと流石に思った八幡、だが奉仕部の部室前にトレンチコートを着た太って眼鏡を掛けた男が仁王立ちしていた。
結衣「ヒッキー、誰かいるよ、もしかして不審者かも」アワアワ
八幡「そもそもアイツ、不審者か?」
結衣「これじゃあ部室に入れないよ~。」
八幡「・・・仕方がねえ、俺が行ってシメて来る」ハァ
コツコツ
結衣「い、行ってらっしゃい~」片手をフリフリ
八幡は溜め息をし部室前にいる男に声をかける。すると八幡に気付いた男は妙な構えを取りながら八幡に目をつけ話し掛ける。
眼鏡の男「フッハハハハハハ!待っていたぞ我が
八幡「・・・」
結衣「・・・」
眼鏡の男「・・・あれ?」
八幡「・・・誰だお前?」キョトン
眼鏡の男「ズコーーーーッ!!?」ドサーーッ
眼鏡の男は八幡の忘れ台詞で自らわざとらしい廊下にヘッドスライディング風に転ける。
材木座「わ、我を忘れるとは酷いぞ八幡!この剣豪将軍材木座義輝を!!」
八幡「・・・とりあえず由比ヶ浜、隠れてないで出てこい。」ハァ
結衣「う、うん」タッタッタッ
そう言って結衣は八幡の所に近づく。
結衣「えっと、・・・ヒッキーの知り合い?」
八幡「さっき思い出した。コイツ一年の時のクラスメイトだった奴だ。」
材木座「やっと思い出してくれたか!戦友よ!」
このトレンチコートを着ている眼鏡の中二病の男の名は材木座義輝。一年の頃のクラスメイトで体育の授業でペアを組んでただけで八幡に近づく知人の一人である。
結衣「ねぇヒッキー、もしかしてこの中二奉仕部に用があるんじゃあ」
八幡「そうなのか?」クルッ
材木座「うむ、どうしても八幡に頼んでもらいたい事があってな。平塚女史の紹介でここへ来たのだ。」
どうやら材木座は平塚の紹介によって奉仕部部室前で待っていたらしい。すると八幡は奉仕部部室の鍵を手にし鍵穴に鍵を入れて部室の戸を解錠させる。
八幡「さっさと入れ、これ以上廊下にいたら迷惑だ。」ガラガラ
材木座「う、うむ、それでは邪魔をするぞ。」
八幡と材木座は先に部室に入って行った。只一人放置されてた結衣は呆然と見ていた。
結衣「・・・」ポカーン
八幡「何立ってんだ由比ヶ浜?カカシごっこやるなら外に出てやれ。」
結衣「ちょ、カカシは流石に酷いし!!」タッタッタッ
そう言って結衣は遅れて部室に入っていった。
総武高校 奉仕部部室
部室には八幡と結衣そして前の席には依頼主の材木座が座っていた。
八幡「さて、さっさと依頼内容話してさっさと帰れ。」
材木座「けぷこん!?流石に我の扱い酷くないか!?」
結衣「そうだよヒッキー、依頼主に向かって流石にそれは言い過ぎだよ!!」
材木座「見ろ!そこのビッチ風の女子も我の事を客として接しているぞ!」指差す ビシィ
結衣「ビッチ言うな!この豚足中二!!」バンッ
材木座「いや女子もかい!」
八幡「ハァ、・・・これ以上話そらす訳にはいかねえからさっさと依頼内容話せ。」
材木座「う、うむ。実は」ゴソゴソ
材木座はトレンチコートの内側ポケットから一冊のノートを取りだし机に置く。
八幡「このノートは?」
すると材木座は突然と席を立ち上がりヒーローが参上する様な構えやポーズを決め込みだす。
材木座「よくぞ聞いてくれた!この一冊のノートには我の様々な歴史が刻まれているの『ドガアアアン!!』
へ?」
材木座の目の前にはぶちギレ寸前の八幡が思いっきりの力で地面を踏み出す。タイル床はほぼ頑丈だが踏みつけた所には少しヒビが入っていた。
八幡「グダグダやってねえで真面目に言え。」ギロッ
材木座「えっと、要するに我の小説を見てその後感想を聞いてほしいのでございます・・・。」ガタガタ
そして由比ヶ浜結衣は思った。これからは八幡に怒らせないように自ら注意しようと。
結衣(・・・次から気を付けよう。)放心
八幡「小説か・・・。」
八幡はテーブルに置かれた材木座のノートを取る。すると材木座はそそくさに部室を出ようとする。
材木座「か、感想は明日までで良いから。それでは我が戦友八幡!頼んだぞ!!」タッタッタッ
そう言って材木座は逃げるように部室を立ち去っていった。
八幡&結衣「「・・・・・・」」
時刻はまだ15時半過ぎ、八幡は材木座のノートを自分の鞄に入れ、席につきその後の事を考える。
八幡(今考えたが流石にこの後から部室に訪ねる奴は現れないだろ。)ガタッ
結衣「あれ、ヒッキー何処行くの?」
八幡「何処って、もう帰るんだよ。」
結衣「ええーーっ!だってまだ部活動初めてまだ10分も経ってないよ!!」
八幡「仕方ないだろ。どうせやることもないんだしよ。」
結衣「た、確かにやることはないけど。中二見たいに何時別の人が来るか分からないよ!」
八幡「だからだ。今日は家へ帰って宿題したいんだ。お前、来週期末テストだって事忘れてるだろ。何時までも友達と一緒に遊んでると落第するぞ。」
結衣「へ?来週期末テスト?」
すると結衣は『期末テスト』という言葉に反応し固まりだす。
八幡「ああ、来週期末テストだ。」
結衣「あーーーーーっ!!」
すると結衣は突然と叫び期末テストがあった事を思い出し八幡を見て涙目になる。
結衣「どうしようヒッキー、あたし全然宿題やってないよ」ウルウル
八幡「・・・・・・」コツコツコツ
しかし八幡は結衣を無視し部室を出る。結衣は八幡を追って八幡の隣についてくように歩きだす
結衣「ちょっヒッキー待つし!」タッタッタッ
八幡「一応言っておくが宿題は見せないからな、忘れたお前が悪い自業自得だ。」コツコツ
結衣「赤点1つでも取ったらお小遣い下がるの!」タッタッ
八幡「だったらクラスの女子に助け船を求めろ、俺は知らん。」コツコツ
結衣「そんなの友達に頼めないよ!兎に角お願い、ヒッキーだけが頼りなの!」
そう言って結衣は掌を合わせ八幡の宿題を写して欲しいとお願いをする。
八幡「・・・」ハァ
八幡(仮にこのアホが赤点とか取ったら休んでる雪ノ下に何言われるか分からないからな、仕方がない。)
溜め息をついた八幡は鞄から宿題のノートを数札取りだし結衣に渡す。
八幡「・・・分かったからそんな顔するな。俺のノート貸してやる。但し期末テスト終わったら返せよ。」
結衣「ホント、有り難うヒッキー!!」タッタッタッ
結衣は心の底から喜びジャンプしその直後八幡に礼を言う。
八幡「どういたしまして。」
総武高校 校門前
下駄箱で靴を変え校舎を出た八幡と結衣は校門前に多くの生徒達が野次馬となって集まっている所を目撃する。
八幡「何だ、あの人だかりは?」
結衣「何だろう?あっ優美子達入るからちょっと聞いて来るね!」
結衣はそう言って友達の所に向かって走って行く。その後から八幡は結衣の後をゆっくりと追いかける。
結衣「おーい!優美子、姫菜!」
生徒達の野次馬の中には同じクラスメイトの三浦優美子と海老名姫菜がいた。結衣の声に気付き後ろに振り返る。
海老名「あっ結衣、それにヒキタニ君も!」
結衣「何があったの!?」
三浦「何か校門前に『鉄の機兵団』の人達が突然とやって来て学校乗り込もうと思った瞬間平塚先生に呼び止められたらしいのよ。」
八幡「!?」
八幡(機兵団だと?まさか先週の事が知れ渡ったのか!?いや待て未だ分からない、取り合えず聞こえる範囲まで近づいて様子を見よう。)コツコツ
八幡は三浦の『鉄の機兵団』という言葉に反応し。すると八幡は校門前にいる機兵団の団員達と一人の教師が会話をしている。機兵団と話している教師とは担任の平塚静だった。
平塚「困りますな、突然学校の許可もなく出入りしてくるとは。」
???「確かに我々は連絡をせずに勝手に現れた事は謝ります。」
平塚「なら何故貴殿方はこの総武高校に来たのでしょうか?私の質問を答えしたい。」
八幡(・・・流石は平塚先生、元不良であってこの状況でも冷静になる何てな。だが問題は先生と話してる男・・・。)
八幡は平塚が話している男の姿を見る。八幡は男の格好を前に見た事があったのだ。
八幡(あの真ん中の機兵団の人の格好、確か雪ノ下を誘拐しようとした吉村の着てる服と同じ・・・。まさかあの人も隊長か!?)
陣羽織風コートを着用している男改め隊長は平塚に正直に平塚の質問に答える。
???「・・・実は先週、拾番隊隊長の吉村が重傷の怪我を負いまして、現在は病院で入院をしている模様ですが吉村を倒した人物の正体がこの総武高校の生徒と把握したのです。」
すると野次馬と化した総武高校の生徒達は犯人がこの学校の生徒だとざわめき始める。
男子生徒A「鉄の機兵団の隊長相手に勝っちまう何てどんな化け物見たいな奴なんだよ一体!?」ヒソヒソ
男子生徒B「知るかよ、そんな事!」ヒソヒソ
女子生徒A「ねぇ、ひょっとして」ヒソヒソ
女子生徒B「アイツしかいないよ」ヒソヒソ
男子生徒C「こんな事比企谷しかいないだろ!」
周りの生徒達のざわめき音が上昇し騒音の様に騒ぎだす、平塚の額に一滴の冷や汗が流れ落ちる。
平塚「・・・」
???「その人物、・・・ご存知ですよね。」
隊長の冷静で鋭い目付きを平塚に放ちだすも平塚は全くも動じずにいた。このままだと長期戦に持ち込まれると思い見ていた八幡は平塚に声をかける。八幡を見ていた野次馬とかしたF組女子3人が八幡を呆然と見ていた。
只一人海老名はスマホを取りだし八幡を撮影していた。
結衣「ヒッキー?」
三浦「アイツ、一体何を!?」
海老名「愚腐腐・・・。」ジーッ
八幡「平塚先生。」
八幡の声に気付いた平塚は八幡の方を振り向きだす。
平塚「・・・比企谷か、どうした。まだ部活終了の時間じゃないぞ。」クルッ
八幡「来週期末テストでしょう、念のため自宅に帰って部屋で勉強をした方が言いと思いまして。」
平塚「そうか、そういえばもうすぐ期末テストだったな。良いだろう帰宅を許可しよう。」
???「・・・」
隊長は目線を平塚から八幡に変える。恐らく横から入って来たからだろう。
???「間違いない・・・。」ボソッ
平塚「?」
八幡「それじゃあ平塚先生、また明日。」コツコツ
平塚「ああ、気を付けて帰りたまえよ。」
八幡は平塚に別れを告げ平然に隊長の横を素通りし校門を出ようとする。だがその時だった。
???「待て。」
隊長は突然八幡を引き留める。八幡は歩くのを止め隊長の方に振り向く。
八幡「何でしょうか?」クルッ
すると隊長はコートの内側ポケットから一枚の写真を取りだし目にする、その写真には雪乃の住むマンションの防犯カメラで写った雪乃を護りながら機兵団と戦う八幡の姿が写っていた。
???「この写真に写っているのは君だな、比企谷八幡君。」
八幡「!!」
???「君が我々鉄の機兵団相手に暴力行為を行うとは流石と言っておく、だが君が行った事は暴行罪処ではすまない、それに隊長をはじめとする十人以上の団員を怪我させた。もはや言い逃れは出来ないぞ。」
八幡「・・・アンタの目的は俺か。」
???「比企谷八幡、鉄の機兵団隊長をはじめとする十人以上の団員相手の暴力行為の容疑で君を支部まで『連行』する」
八幡「・・・分かりました。」
八幡は両腕を出し隊長は手錠を取りだし八幡の両腕に手錠をかける、すると同時に生徒達は八幡に向けてブーイングを行いだす。
男子生徒A「引っ込め比企谷!迷惑何だよお前は!!」
男子生徒B「もう二度と学校に来るな!犯罪者め!!」
女子生徒A「そーよそーよ!!」
女子生徒B「退学しろ!!」
一番後ろにいたF組女子3人は生徒達のブーイングを只呆然と見ていた。
三浦「まさか本当にヒキオの奴犯罪をやるなんて。ねえ結衣、やっぱりアイツとは関わるのは・・・」
結衣「・・・・・・」ワナワナ
海老名「ゆ、結衣?」
結衣「みんな止めー」
平塚「いい加減にしろ!!この餓鬼共が!!」
結衣が止めようとした直前平塚の怒号が野次馬と化した生徒達の耳に響きだし怯ませブーイングが止みだす。
生徒達「「「!!?」」」ビクゥ!!
平塚「誰だ?アイツの事を『犯罪者』と言った奴は?正直に前へ出ろ、私自ら制裁をくわえてやる!!」グッ
そう言って平塚は自らの拳を力一杯握りだす。生徒達の中には怒号だけで震える者や泣き出す者が現れた。
平塚「・・・申し訳ありません、つい頭に血が登ってしまいました。」ペコリ
そう言って平塚は御辞儀をし隊長に謝る。
平塚「もし良かったら校舎で取調を行ったらどうでしょうか?他の団員の皆さま方も立っていたのでは流石に疲れたでしょう、但し取り調べには私も立ち会わせてもらいます。宜しいでしょうか?」
???「・・・分かりました。」
隊長は平塚の案に了承する。
平塚「それでは案内します、私の後からついて来て下さい」コツコツ
???「・・・」コツコツ
隊長は拘束した八幡を連れて校舎の中へと入って行った。只一人由比ヶ浜結衣は寂しげな表情をし八幡を心配した。
結衣「ヒッキー・・・。」
* * *
総武高校 進路相談室
場所は変え進路相談室を臨時の取調室として使用した。進路相談室前の廊下の左右には団員達が包囲されている。進路相談室には手錠で両腕を封じられた八幡と鉄の機兵団の隊長が互いに席をつき平塚は背中を壁につけながら八幡の取り調べに立ち会っていた。
???「そういえばまだ俺自身の自己紹介がまだだったな、俺は鉄の機兵団『弐番隊』隊長、太田亮だ。宜しくな比企谷君。」
鉄の機兵団弐番隊隊長
太田 亮
太田「俺は本来秋田を拠点としているが吉村が不在のため代理として自らこの千葉へ来た。」
八幡「・・・」
太田「此処へ入ってからまだ一度も喋っていないな。警察以外での取り調べを受けるのが初めてで緊張しているだろう。」
八幡「・・・」
太田「だが安心しろ、俺達機兵団は君を『逮捕』する気は更々ない。」スッ カチャカチャ
八幡「!?」カチャン ドサ
平塚「!?」
太田「比企谷君・・・。」ガタッ
八幡「・・・」ゴクリ
すると太田はポケットから手錠の鍵を取りだし八幡の拘束した両腕の手錠を解錠する。太田の予想外な行動に八幡と平塚は驚きを隠さずにいた。更に太田は席を立ち上がり八幡に向かって御辞儀をする。
太田「今回の拾番隊の一件、本当に申し訳ない!!」ペコリ
八幡「えっ?」
平塚「ど、どういうことだ?」
太田「本来なら君の友人である雪ノ下雪乃さんにも呼び出したいところだが彼女自身にも事情があってな、まずは君に謝罪をしたい、吉村の行った事は犯罪行為だ。彼は後数日したら刑務所に入所する事になっている。」
平塚「刑務所にって、まさか警察が逮捕したのか?」
太田「ああ、俺が部下に頼んで警察に連行し逮捕させました。当分は表に出て来ないでしょう。」
平塚「そうですか、では比企谷が先週行った事は・・・」
太田「無論、無罪放免正当防衛だ。」ニコッ
太田はそう言った直後八幡に向かって微笑みだす。
八幡「有り難うございます!!」ペコリ
八幡は太田に向かって御辞儀をし礼を言う。しかし喜びの束の間平塚は太田に質問をする。
平塚「・・・一つ質問したい太田さん、雪ノ下は吉村に誘拐した理由はまさか、先代会長が遺した『隠し財産』なのではないのか?」
太田「・・・何故そう思うのですか?」
平塚「雪ノ下の両親は『雪ノ下グループ』の会長と副会長それに先代会長の孫娘。吉村は恐らく金を手にいれる為自分の部下を利用して誘拐を行った。まあ私の予測ですがね。」
太田「・・・ハハッ、ハハハハハ!」
すると太田は片手で顔を隠しながら笑い始める。数秒したら太田は笑いを止め真剣な表情に変え八幡と平塚に話し掛ける。
太田「平塚さん、アンタの言う通り吉村は金が目的で雪ノ下さんを誘拐した事は。『半分』正解だ。」
八幡「どういう事ですか!?」
太田は静かに席に座り。八幡と平塚に事件の事を話し始めだす。
太田「・・・5日前の吉村の取り調べの事だ。」
5日前 5月18日・水曜日
鉄の機兵団 千葉第一支部 第一取調室
鉄の機兵団の取調室は警察のとは違い広さが1.5倍の広さをもつ、更に第一取調室の出入り口の扉前には左右に弐番隊団員が犯人を監視する。もし犯人が怪しげな行動を起こした場合直ぐに拘束する様に準備も怠っている。
互いの席には弐番隊隊長の太田が両腕を手錠で拘束された拾番隊隊長の吉村に尋問を行っていた。
太田「あれから48時間経過した。まだ何も話す気はないみたいだな、吉村。」
吉村「・・・」
太田はコートの内側ポケットから雪乃の写真を机に置き吉村に見せる。
太田「もう一度言うぞ、何故彼女を誘拐しようとした!?」
吉村「・・・太田さんよぉ、何度も言わせるんじゃねえよ俺はアンタに喋る気は更々ねぇ」
太田「だがお前が写真の彼女に行った事許されない、お前の部下が先ほど大人しく吐いたぞ。」
すると吉村は眼をそらし舌打ちをする。
吉村「チッ、役立たず共が、余計な事を言いふらしやがって・・・。」
太田「・・・素直に話す気はないようだな。」ハァ
沈黙を続ける取調室の二人、吉村はそう簡単には口を開く気配は更々ない。すると太田は再び溜め息をし頭を下げ小言を言い始める。
太田「・・・仕方がないな。」ボソッ
吉村「ああん?何か言ったか?」
太田「気にするな。・・・話は変わるが吉村、お前『喉が乾かない』か?48時間まだ一滴も水を飲んでないだろう。」
吉村「は?・・・そういやあ喉が乾いたな。とりあえずコーラを持ってこい!キンキンに冷えた奴をな!!」
太田「良いだろう、おい!」
太田は出入り口の見張りをしてる弐番隊団員に声をかける指示をする。
弐番隊団員「はっ!」
太田「コーラを持ってこい。キンキンの『特別な氷』が入った奴だ。手錠をしてるからストローも忘れるな。」
弐番隊団員「『特別な氷』・・・、了解しました!!」
弐番隊団員が急いで取調室を出て何処かへと向かい走り去る。
吉村「気が効くじゃねえか、太田さんよ。」
太田「飲み物の減りが悪くてな、本来ならカツ丼を出したいところだが飯だと喉が通り難いからな。」
すると弐番隊団員がストローと氷の入ったジョッキと瓶入りコーラと栓抜きを持って戻ってきた。
弐番隊団員「御待たせしました、隊長!」
太田「ご苦労だったな、机に置いといてくれ、取り調べはもう少しで終わるから辛抱してくれ。」
弐番隊団員「はっ!」
弐番隊団員は太田の指示通りにストロー付き氷ジョッキ
と瓶入りコーラを机に置き見張りの仕事に戻る。太田はビンの蓋を栓抜きで開けコーラをジョッキに入れ吉村の前に置く。
太田「取り調べはコーラを飲んだ後にしようか。」
吉村「それもそうだな。」
吉村(ケッ、太田の野郎何を考えてるかは知らねえがそう簡単には喋らねぇぜ、太田の野郎が秋田に帰ったら即刻あの女を捕まえて大金を手にいれてやる!ついでにこのコーラは飲ませて貰うぜ。)
吉村はニヤリと笑いながらストローを加えコーラを飲み始める。すると吉村は目の前の太田の表情を見て驚きだす。そう、太田はニヤリと笑っていたからだ。
吉村(な、何でコイツ笑ってるんだ!?ま、まさかこのコーラに、・・・『毒』を盛りやがったのかあああ!?)ゴク ゴク
吉村「うわああああああっ!!!」バッ ガシャアアアン
吉村は青ざめながらコーラの入ったジョッキーを振り払い破壊する。だが彼の表情は焦り震え始める。
太田「そんなに慌ててどうした?まるで自分から『毒』を飲んだみたいな顔をして?」
吉村「てめぇ、何を・・・何を・・・、何を盛りやがったあああ!!!?」
太田「『毒』など入っていないから安心しろ。入れたのは只の『薬』だからな。さて取り調べを再開しようか。もう一度言うぞ何故彼女を誘拐しようとした?」
吉村「簡単な事だ。この女には数えきれない程の金を隠し持ってるとな!!」
吉村(な、何で!?何故俺勝手に喋ってんだ!!?)
太田「数えきれない程の金だと?それは一体どういうことだ?」
吉村「く、詳しくは知らねえ。けどアイツが言った。『この娘には数えきれない程の金を隠し持ってる』と。畜生!!何で口が勝手に喋るんだ!?」
太田「このジョッキーに入ってる氷は水と溶かした『自白剤』を混ぜ合わせた『特別な氷』でな。飲んだ瞬間どんな人間も糸も簡単に自白する様になっている。次の質問だ吉村、さっき言ってた『アイツ』とは誰なんだ?」
吉村「ぐ・・・、十日ぐらい前だ俺は何時も通りに千葉の街を見回りしていた。何時も通りだった。だがある男が突然俺に話しかけてきた。俺が隊長だと知って、アイツは俺に多額の金を約束され仕事を引き受けた。」
太田「その男の特徴は?」
吉村「・・・素顔は分からない。フードで顔を隠してるが顔の下半分は見え顎に短い白い髭を生やし黒い肌をした後左手には蛇のタトゥーをしていた。多分『黒人の男』だと思う。」
太田「『黒人』・・・、その男は何者だ!?」
吉村「ぐ・・・。」ガタガタ プルプル
吉村は突然と震えながら怯え始める。太田は机を強く叩き吉村に質問する。
太田「答えろ!!」バァン
吉村「・・・国。」ボソッ
太田「なに?」
吉村「・・・・・・過激派組織、・・・『E国』、日本支部!!」汗
太田「!!?」
吉村の突然の発言で太田は予想外に驚きだす。
太田「何だと・・・。」
太田は深く考え今回の雪乃の誘拐事件と総理に与えられた任務『E国日本支部に勝利せよ』という目的が関わっていた。太田は冷静さを取り戻し取り調べの状態に戻る。
太田(『日本支部』の目的は雪ノ下グループか!!今回の吉村の誘拐も
太田「ご苦労だったな、もう取り調べは終わりだ。」ガタッ
吉村「・・・終わったのか、ならアンタはもう帰ってくれ!」
太田「いやまだだ。お前は団員達を利用し誘拐を行った事は許されない。」ギロッ
吉村「ひいいっ!!?」ガタッ ピタッ
吉村は太田の目から放つ威圧感によって席を立ち上がり壁に怯えながら張り付く。
太田「吉村恵一、本日を持って鉄の機兵団拾番隊の隊長の権限を全て『剥奪』、同時に鉄則第二条を破ったことにより貴様を『解雇』する!!」
太田は言い終えた同時に取調室から四人の弐番隊団員が入室し吉村を拘束する。
吉村「は、放せお前ら!放しやがれええええええ!!!」
太田「あとの事は警察に任せる。連れていけ。」
弐番隊団員×4「「「「はっ!!」」」」
そう言って団員達は吉村を警察にへと連行する。
吉村「てめぇ太田、俺をこんな事して許さねぇぞ!!放せてめぇら!!俺は鉄の機兵団拾番隊隊長だぞ!!俺様の命令に従え!!放せお前ら、放しやがれえええええええええ!!!!」
そう言って吉村は弐番隊団員達に連行され警察にへと連れていった。取調室一人残った太田は懐のポケットからスマートフォンを取りだし誰かに連絡する。
太田「太田です、貴方の予想通り吉村は『クロ』でした。ですが拾番隊隊長の席は暫く空席になります。それともう一つ『E国』の件ですが、早めに手をうった方が最優先です。はい、拾番隊の方は暫く俺が指揮を取ります。ええ、それでは失礼しますーーー
『団長』」
回想終了
総武高校 進路相談室
平塚「『E国』、まさかあの過激派組織の『E国』か!?」
太田「そうです、吉村は『E国』に多額の金で雇われ雪ノ下さんを誘拐しようとしたのです。」
八幡「野郎、本当に許さねぇ!」ギリ
八幡は歯を食い縛りながら両拳を強く握りだす。
平塚「だがまたいつ雪ノ下が誘拐されるか分からないぞ?太田さん、何とかならないのか?」
太田「その可能性も低くありません、現在拾番隊の団員達には雪ノ下さんの自宅辺りの警備は強化させています。しかしまた何時第二第三の吉村が彼女を誘拐するかは分かりませんので。」
八幡「アンタらだけじゃ無理なのか!?」
太田「残念だが無理だ。実は拾番隊の中には吉村と協力した輩もいて現在拾番隊の戦力はほぼ3割に近い状態になっている。それに何時俺も秋田に戻らなきゃならないかも分からない状況だからな。」
平塚「ここの団員も随分と減っているんだな・・・。」
太田「ああ、だてに武装自警機関と名乗られてるからな。」
すると八幡は歯を食い縛りながら悲しげな表情をし自信の両拳を握り机を強く叩きだす。
八幡「・・・アイツを、雪ノ下を守るにはどうしたらいいんだ!?」バンッ
太田「・・・」
平塚「比企谷。」
再び進路相談室は沈黙に落ち始め3人は考える。すると太田は八幡の目に気付き何かを思いつかせ突然と席を立ち上がりだす。
太田「・・・本来ならこのまま帰るところだが気が変わった」ガタッ
八幡「え?」
太田「・・・一つだけ方法がある。だがこの方法は君自信が命懸けになる、最悪『死ぬ』事もなるだろう。」
八幡「教えて下さい、その方法は一体何ですか?」
太田「・・・その方法は只一つ。比企谷八幡君、『鉄の機兵団』に入る事だ?」
平塚「なっ!?」
八幡「・・・機兵団に、入る!!?」
一つだけの方法、それは八幡が鉄の機兵団に入ることだった。
* * *
自宅 八幡の部屋
時刻は午後19時12分、何とか先週の事件の容疑者から完全に外れ見事無罪放免になった八幡はベッドに横たわりながらライトノベルを読んでいた。
八幡「・・・。」
しかし小説の事が頭に入らず八幡はポケットから一枚のカードを取り出し目にする。カードにはこう書かれていた。
『鉄の機兵団入団テスト 日付5月24~26日
場所名、千葉総合コミュニティセンター』
八幡(入団テスト・・・。)
八幡は太田から貰ったカードの事を思い出す。
回想
別れ間際校門前にて太田はポケットから一枚のカードを八幡に渡す。
太田「『入団テスト』を受ける覚悟があるならカードに刻まれた場所へ来い、俺もこの入団テストに『試験官』として参加する。その間テストまで自分の能力を鍛えておけ。」
八幡「はい」
それともう一つ平塚にも八幡に言われたことを思い出す。
平塚「比企谷、私は別に出るなとは言ってはいない、ここから先は自分の意思で決めろ、今私に出来る事はそこまでだ。」
回想終了
八幡「入団テストは受けるが、問題はどうするか・・・」
無論八幡は迷わず入団テストを受けるが問題はあった。自分の家族に、特に妹である小町に反対される可能性があるからだ。しかし八幡は雪乃を守るために自分の事情を隠すしか他に方法は無かった。すると自分の部屋の扉からノック音が聞こえた。因みに両親は今日も仕事で残業、小町以外いないのだ。
八幡「小町か、どうした?」
小町・八幡の部屋の前「お兄ちゃん、ご飯出来たから早く降りてきてー。」
八幡「ああ、分かった。直ぐ行く。」
そう言って八幡は自分の部屋から出ていきリビングにへと向かった。
自宅 リビング
小町の作った夕飯にゆっくりとありつける八幡は目の前にいる食事中の小町を見ながら話すタイミングを狙っている。
八幡「・・・・・・」モグモグ
小町「どうしたのお兄ちゃん、今日は何時も以上に目が腐ってるし何か元気が無いよ?・・・もしかして小町の今日作ったご飯不味かった!?」
八幡「いや、旨いぞ。」
小町「よ、良かったー、てっきり小町砂糖と塩間違えたかと思ったー。でもお兄ちゃん本当に元気ないよ、どうしたの?」
八幡「・・・・・・。」
予想外に小町から先に八幡に話し掛けてきた。八幡は迷わず真剣な表情に変え小町に『嘘』の事情を告げる。
八幡「小町、飯食いながらでいいから少し大切な話がある。いいか?」
小町「・・・お兄ちゃんが小町に大切な話があるなんて珍しいね、もしかしてお兄ちゃん不良やめて普通の男子高校生に戻ります的な!?」
八幡「それはない、本当に真面目な話だ。」
小町「分かった。で、大事に話って?」
八幡「・・・実は俺、近々アルバイトを始めようと思ってな、一応報告しておこうと思って。」
小町「・・・・・・。」
八幡は迷わず小町に話し続ける。だが小町は無言のまま一度も喋ってはいない。
八幡「そのアルバイト先の仕事はちょっと警備関連系のヤツでな、もしかしたら帰りは毎日遅くなるかもしれない、それに休日中に緊急の呼び出しもあるかもしれないからよ・・・。」
小町「・・・・・・」
八幡(さっきから小町の奴一度も喋っていない。俺はまだ機兵団に入る事は言っていない、だが小町は俺と同じく勘が鋭い)
小町「・・・そっか、お兄ちゃんバイト始めるんだ。」
八幡「!」
すると小町が口を開き八幡に話しかける。まさか反対されると八幡は覚悟を決めた。しかし待っていた問いは。
小町「良いよ!バイト始めるなら仕方ないよね、お兄ちゃんが決める事だし小町にとってはお兄ちゃんが不良になってから真面目になるなんて小町的にポイント高いよ!」ニコッ
八幡「ああ、有り難うな・・・。」
小町「けど、怪我とかはしちゃ駄目だよ!小町的に結構ポイント大幅ダウンだから!!」
八幡「わーったよ!」
その一瞬八幡は小町に気付かれずに顔を下げ悲しげな表情をする。
八幡(・・・御免な小町。)
目の前の妹に向かって心の中で謝ったその後、残った夕飯を食べ尽くし自分の部屋に戻り直ぐ様に眠りに落ちた。
続く
次回、激闘、入団テスト!!お楽しみに!!