牙が如く   作:菊池寛

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今回は結構長めです、宜しくお願いします。


三章 鉄の機兵団②

1年前 2013年4月5日・金曜日

 

 

それはまだ私が総武高校に入学した日の事で。入学式を終えたその日の夜、私は姉さんと一緒に高校の入学祝いに姉妹二人きりで高級ホテル内の高級レストランで食事をしていた時の頃だった。

 

 

高級ホテル レストラン

 

 

レストラン内は店員以外私と姉さんの二人きり、両親は自分の会社の仕事で手が放せずその代わりにこのレストランは一日だけ貸切状態にしてくれていた。テーブル席には私と姉さんが座り姉さんが入学祝いをしてくれた。

 

姉「雪乃ちゃん、総武高校入学おめでとう!!」パァン

 

姉が何処からかクラッカーを取り出し糸を引っ張ってお祝いする。

 

雪乃「姉さん、ここは私達の家じゃないのよ、貸し切りだからってこれ以上はお店の人に迷惑がかかるから。」

 

姉「良いじゃないの!雪乃ちゃんだって本当(ホント)は照れちゃってるクセに~」

 

雪乃「もうっそれを止めてって言ってるの!」

 

こうやって姉さんと楽しく駄弁りながら話すのは昔から楽しかったわ。

 

姉「御免ね、本当は父さんと母さんも来てほしかったけど。」

 

雪乃「仕方ないわ、あの人達は昔から何時も仕事であんまり家には帰って来れない事が多かったから。御詫びにテレビで話題の高級ホテルのレストランで入学祝いが出来るなんて本当に父さん達に感謝しないとね。」

 

姉「雪乃ちゃんは本当に優しいね。」

 

雪乃「姉さん程でもないわ、そろそろ食べようかしら、このまま料理が冷めたら作った人に迷惑がかかるわ。」

 

姉「そうね。頂きましょう!」

 

私と姉さんはテーブルに置かれた温かい料理を食べ互いに笑いながら色々なことを語り合いだした。すると姉さんは自分の鞄から『銀色の丸いペンダント』を取り出す。

 

姉「これ、入学祝いのプレゼント。受け取って。」

 

雪乃「これって!」

 

姉「亡くなったお爺ちゃんから貰った私の大切なペンダントよ、雪乃ちゃん前から欲しい欲しいって言ってたじゃない。」

 

雪乃「でも姉さんいいの?そのペンダントは姉さんにとって大切な物なのに。」

 

姉「いいのいいの。」ガタッ

 

すると姉さんは突然席を立ち上がり座っている私の後ろに回り込み私の胸にペンダントを優しく身に付ける。

 

姉「これは今日から雪乃ちゃんの物だから。」

 

雪乃「姉さん・・・。」

 

姉「このペンダントの中にはね、人の想像もつかない程の価値があるの。だからこれを雪乃ちゃんに託してほしい。一つだけ約束して、もし雪乃ちゃんの身にどんな事があってもこのペンダントを肌身放さず持っていてほしいの。」

 

雪乃「ええ、分かったわ。」

 

姉「有り難う雪乃ちゃん、大好きだよ。」

 

そうして姉さんは後ろから優しく私を抱き締める。姉さんの体が温かくて優しい。託されたこのペンダントを肌身放さず持っていよう。

 

 

 

 

 

 

2014年5月25日・金曜日

午前6時28分

 

 

雪乃の自宅 雪乃の部屋

 

 

雪乃「ん・・・。」パチ・・・

 

自分の部屋のベッドでパンさんぬいぐるみを抱いて眠っていた雪乃がゆっくりと目を覚まし上半身をを起こしだす。

 

雪乃「今のは夢、ペンダント・・・。」

 

すると雪乃は何かを思い出し枕元に置かれた銀色のペンダントを手にする。

 

雪乃「・・・比企谷君。」

 

そして雪ノ下雪乃は決心する、何故自分自信が誘拐されてしまう理由を知る為に。

 

 

 

 

* * *

 

 

 

 

5月25日・金曜日

午後16時20分

 

 

時刻は放課後、由比ヶ浜結衣に強引に奉仕部部室に連れてかれた比企谷八幡は結衣と共に大人しく席に座り来週の期末テストの復習を行っていた。

 

結衣「えっと確か、ここをこうだっけ?」

 

八幡「違うだろ、そこはここだ。」

 

結衣「えーーっ!?こっちが正解じゃないの!?」

 

八幡「だから違うって言ってるだろ!!」バァン!!

 

現在八幡は結衣の赤点回避の為に勉強を教えながら自分の宿題をやっている。結衣は毎回毎回問いを間違え八幡はやり直しをさせる後始末。

 

八幡(このままじゃ俺の宿題も進みやしない。やっぱり断れば良かったか。はあ・・・。)

 

八幡「なあ由比ヶ浜、お前もう小学生からやり直したらどうなんだ?馬鹿。」

 

結衣「馬鹿言うなし!あたしだって真面目に頑張ってるんだよ!!」

 

八幡「その真面目さを何故勉強に使わねえんだ?だから何時も友達と学校帰り際に遊びに行ったりするんだお前は。」

 

結衣「ヒッキーの意地悪!!」

 

八幡「意地悪で結構、次ここの問いだから覚悟しとけよ!」

 

結衣「わ~~ん!!」

 

その時奉仕部の扉からノック音が2回した事を八幡と結衣は気付きだす。

 

結衣「・・・平塚先生はノックしないよね。」

 

八幡「ああ、入っていいぞ。」

 

八幡の言うとおりに扉を開け入室する、材木座以来の『依頼主』。その人物は八幡と結衣の知る人物だった

 

戸塚「失礼します。」

 

結衣「あっ、彩ちゃんだ!やっはろー。」

 

八幡「・・・お前は確か、戸塚。」

 

部室に訪れた人物の名前は戸塚彩加、八幡と結衣のクラスメイトでテニス部部員だった。二週間くらい前3年の先輩達に絡まれていたところを八幡に助けられ知り合った。

 

戸塚「こんにちは、由比ヶ浜さん、比企谷君。」

 

結衣「彩ちゃんが部室に来るなんて珍しいね。」

 

戸塚「うん、実は今日由比ヶ浜さん達に依頼があって来たんだ。」

 

八幡「そうか、立ち話もなんだ、とりあえず席に座っとけ。」

 

戸塚「うん!」

 

そう言って戸塚は部室の戸を閉め席につき八幡と結衣に依頼の内容を説明する。

 

戸塚「実は僕の所属してるテニス部を強くしたいんだ。」

 

八幡「テニスで強く?どういう事だ?」

 

結衣「うちの学校のテニス部毎年地区予選でいつも2回戦辺りで負けちゃうの。・・・あれ?そう言えば彩ちゃん、ヒッキーと知り合いだったっけ?」

 

戸塚「実は僕この前、僕が3年の先輩達に絡まれていたところから比企谷君に助けられたんだ。」

 

結衣「ええっ!ヒッキー彩ちゃんを助けたの!?」

 

八幡「さっきからギャーギャーうるせぇぞビッチ女、あれは只3年の連中がうるさかったから掃除しただけだ。」

 

結衣「そうだったんだ。ってビッチ言うなし!!」ムカーッ!!

 

戸塚「でも僕、比企谷君が戦ってるところを見てこう思ったんだ。僕も比企谷君見たいにテニスで強くなれば・・・。」

 

八幡「・・・。」

 

八幡は戸塚の虚しげな表情を見る。すると八幡は右手で戸塚の頭を優しく叩く。

 

八幡「止めとけ」ポンッ

 

戸塚「あうっ」

 

八幡「俺見たいに強くなるとかは止めとけ、もしお前が、俺のような不良の『力』に溺れちまったら、もう二度と後戻りは出来なくなる。」

 

戸塚「・・・そっか。駄目なんだ。」シュン

 

戸塚は今にでも涙を流しだす程の悲しげな表情をする。戸塚の悲しげな表情を見る八幡はため息をする。

 

八幡「・・・けどよ、お前の目を見て気が変わった。来週は期末テストで部活はないが。再来週の昼休みと放課後練習付き合ってやるよ。」

 

戸塚「えっ!」

 

結衣「ヒッキーいいの?」

 

八幡「ああ、実は最近体が鈍って来たからな。練習ついでに体を鍛え直そうと思ってな。」

 

戸塚「鍛え直す?そういえば比企谷君って運動神経結構良かったね。」

 

結衣「うん。けどヒッキーって何時も喧嘩ばっかりしてるからもしかしたら喧嘩が原因で鍛えられたんじゃないの?」

 

八幡「・・・」ジーッ

 

八幡は自分の腕の筋肉を触れる。

 

八幡(言われて見れば俺の腕の筋肉って結構あるんだな・・・。)

 

結衣「何かヒッキー自分の腕見てキモい。」

 

八幡「キモい言うな、そこはほっとけ。」

 

八幡と結衣の雑談的な会話を見てた戸塚は微笑みながら笑いだす。

 

戸塚「フフっ、何か二人とも楽しそうな顔してるね。」

 

八幡「はぁ?そ、そうか?」

 

結衣「そうかもしれない。」

 

八幡「まあ兎に角練習の付き合いは一応再来週から始めようか。それと悪いな、今日は部活の時間削ってしまって。」

 

そう言って八幡は戸塚に謝罪する。

 

戸塚「いいよ、僕の方からお願いしてきたから気にしないで。」

 

すると部活終了のチャイムが鳴り始める。部室にいた三人は直ぐ様に気付く。

 

戸塚「あっ、もう部活終了時間。そろそろ僕部室に戻るね。」ガタッ

 

そう言うと戸塚は席を立ち上がりテニス部部室にへと戻ろうとする。

 

戸塚「比企谷君、由比ヶ浜さん、今日は有り難う!」

 

結衣「彩ちゃんまた明日ね!」

 

八幡「・・・またな。」

 

戸塚は部室を退出しテニス部部室へと急いで走り去った行った。そして八幡と結衣は直ぐ様に鞄を持ち帰り支度をする八幡は急ぎ足で部室をでるが一度止まり結衣に鍵を投げ渡す。

 

八幡「由比ヶ浜。悪いが鍵を職員室に返してくれ。」ポイッ

 

結衣「ええっ!?何でアタシなの!?ヒッキーが返しに行ってよ!」

 

八幡「今日は駄目だ。ちょっと外せない用事が出来たから鍵返したら先に帰ってくれ。」

 

そう言うと八幡も戸塚と同じく急いで走り去った。

 

結衣「もうヒッキーの馬鹿ーーーっ!!」プンスカ

 

 

 

 

 

* * *

 

 

 

 

 

八幡は片手に靴を持ち校舎を急ぎ足で歩いていた。実は八幡が向かっているのは実は校舎口ではなく屋上だった。部活終了の屋上には必ずしも『ある人物』が入るからだ。

 

 

総武高校 屋上

 

 

八幡「・・・。」ガチャ コツコツ

 

八幡は無言に屋上のドアを開けドア横の壁に自分の鞄と靴を置き捨て目の前にいる人物の所に近づく。後ろ姿のその人物、八幡の担任である平塚静が煙草を吸いながら夕日を見上げ街の景色を呆然と見ていた。

 

平塚「・・・ここに来たって事は君はもう決心はついたのか?比企谷。」クルリ

 

平塚は八幡の気配に気付き後ろを振り向く。

 

八幡「はい、平塚先生。俺は鉄の機兵団の入団テストを受けようと思います。」

 

平塚「そうか。家族には言ったのか?」

 

八幡「いえ、隠そうと思います。この事が知ったら家族に、特に妹にはかなり心配するかもしれないんで。」

 

平塚「・・・比企谷、もう一度言うが、私は君の行うことを止めたりはしない。これは君が決めることだ。」

 

八幡「・・・。」

 

平塚「それと一つだけ私と約束しろ、『絶対に死ぬな』。」

 

八幡「・・・分かりました。先生との約束、受けます。」

 

平塚「で、まだ私に何か用でもあるのか?」

 

すると八幡は無言になり突然制服の上着を脱ぎ捨てYシャツ姿になり平塚に向けて両拳を握り構え始める。

 

八幡「俺に、戦いを教えてくれ。」

 

平塚(・・・比企谷のあの眼はどうやら本気のようだな、仕方がない、ここは担任としてではなく一人の『不良』として私の喧嘩術を叩き込んでやろうではないか。)

 

すると平塚はニヤリと笑い右手で白衣を脱ぎ捨て両拳を握り戦闘体勢をとり始める。

 

平塚「君の顔に免じて特別に練習相手になってやろう!全力で来い、比企谷!!」

 

八幡「いくぞ、うおおおおおっ!!」

 

そして八幡は拳を構える平塚に向かって全力で走りだす。

 

 

 

 

 

* * *

 

 

5月26日・土曜日

 

 

千葉総合コミュニティセンター前

 

 

『千葉総合コミュニティセンター』

月に2回センター辺りにてフリーマーケットが開催したり、バレーボール、バスケットそして卓球の地区予選場所行われたり、近所の小学生とかがイベントに参加したりする場所である。

時刻は午前10時、今日は『鉄の機兵団入団テスト』の最終日、総武高校のジャージを着こんだ一人の不良少年、比企谷八幡が水や着替えが入ったリュックを背負いセンター前に立っていた。

 

八幡(身軽に動けれる服がうちの学校のジャージしかないとはな、まあ仕方ないか。)

 

八幡はセンターに向かって歩きだす。

 

???「むっ、そこに入るのは八幡ではないか。」

 

八幡「あぁ?ゲッ!?」クルリ

 

八幡は後ろを振り向くとトレンチコートを羽織った太った男が八幡の所に歩き声をかけて来た。八幡はこの男を知っている。材木座義輝、八幡とは違うクラスだが何故材木座がここに入るんだと八幡は思った。

 

八幡「何だ材木座か。」

 

材木座「けぷこん!何だとは何だ!?出会い頭の一言が二文字とは我も流石に泣くぞ八幡よ!」

 

八幡(うぜぇ・・・、というか何故材木座の野郎がここに居やがるんだ。)

 

すると材木座は八幡が総武高校のジャージを着ていることに気付く。

 

材木座「およ?八幡よ、何故うちの学校のジャージを着ているんだ?しかもリュックを背負って。」

 

八幡(不味い、コイツに入団テストの事を知られたら学校での俺の評価が更に落ちてしまう、何とか誤魔化さなければ・・・。そうだ!)

 

八幡は誤魔化し方を思い付き材木座に言う。

 

八幡「ああ、実は再来週戸塚とテニス部の練習に付き合う事になってな一応俺も少しは体力と力をつけようと思って。」

 

材木座「・・・」ジーッ

 

八幡(・・・どうなんだ?)

 

材木座「そういえば再来週の土曜に我が校のテニス部と練習試合があると教室の誰かが言っておったな。」

 

八幡(ホッ、だったらさっさと何処かへ行ってくれ材木座。)

 

何とか八幡は材木座に入団テストの事を誤魔化しホッとする、だが話しはまだ終わらなかった。

 

材木座「ところで八幡、この前我が書いた小説は見終わったか?」

 

八幡「えっ!?」

 

八幡(そういえば雪ノ下の事があったから、コイツの書いた小説の件すっかり忘れていた。仕方ない・・・。)

 

八幡「悪い、お前の書いた小説まだ途中辺りしか読んでなくてな。来週の月曜放課後に返すわ。」

 

仕方なく八幡は材木座に嘘をつきまた誤魔化す。

 

材木座「うむ承知した、では我はそろそろ行く、何せ今日はガンダムエースの今月号の発売日だからな、では」タタタッ

 

八幡(材木座の野郎は行ったか、今のうちに入ろう・・・。)

 

そう言って材木座は本屋へと走り去って行った。八幡は何とかホッとし再びコミュニティセンターに目を写り変え入り口の扉を押し建物の中へと入って行った。

 

 

 

 

 

* * *

 

 

 

 

 

コミュニティセンター 1階 ロビー

 

 

建物内部に入った八幡は中を見渡しながら目の前の受付まで歩きだす。

 

八幡(静かすぎる、俺以外誰もいないな。いや待てよく見たら目の前の受付に機兵団の団員が入る、仕方がない、入団テストの事を聞いてみるか。)

 

八幡は機兵団団員のいる受付にへと向かう。機兵団団員は八幡に気付き受付業を行う。

 

八幡「・・・。」

 

機兵団団員「・・・御用件は?」

 

八幡「入団テストを受けたい。」

 

機兵団団員「それはそれは、ようこそいらっしゃいました。入団テストを行う第一体育館は左通路を曲がって直ぐそこです。」

 

八幡「第一体育館?」

 

機兵団団員「ええ、実はここのコミュニティセンターの体育館は二つ有りまして第一は男子、第二には女子で別々に行われています、あと此方を。」

 

受付業の機兵団団員はカウンターの引き出しから何かのマニュアルブックを取りだし八幡に受け渡す。

 

八幡「これは?」

 

機兵団団員「テスト内容は此方のマニュアルに書かれてますので必ずお読み下さい、テストは既に行ってますのでこのままお通り下さい」

 

八幡「・・・有り難う御座います。」コツコツ

 

八幡は機兵団団員の言うとおりに第一体育館へと向かう、すると正面廊下の目の前に大学生らしき三人組の男が真ん中の一人を抱えながらゆっくりと歩いていた。恐らく二人は友人だろう。

 

大学生A「おい、確りしろ!」

 

大学生C「もうちょっとで臨時保健室だからな!」

 

大学生B「ち、畜生痛ェ・・・、み、溝に一撃何て化けもんかよ・・・。」ウウッ

 

八幡「・・・。」大学生ヲ見ル

 

八幡(そういえば確か太田さんが『試験官』として出てるって言ってたな。まさかさっき素通りした大学生を殺ったのは太田さんか?ここは自分の眼で確かめるしかないとな・・・。)

 

そう心の中で言って八幡は第一体育館へと向かった。

 

 

 

コミュニティセンター 1階 第一体育館

 

 

 

左右の壁に入り口を警備する二人の機兵団団員をそのまま素通りし体育館へと入場する。

 

八幡「!?」

 

八幡は突然と驚きだす、体育館の上の観客席には機兵団拾番隊の団員らが座り込みテストを見てる、壁際には武道系の大学生などチンピラ風の輩が準備体操やら体力温存の為に座り込む者達がいた。

だが、八幡が驚いたのはそこではない体育館中央にいる一人の男が剣道部の胴着と防具を着た男が竹刀を持って戦っていた。もう一人は八幡の知る男、鉄の機兵団弐番隊隊長の太田亮が木刀を持って構えていた。

 

八幡(あれは太田さん、それと隣にいるのは俺と同じ入団テストを受けた人か・・・。)

 

剣道風の男「はぁ・・・はぁ・・・」

 

太田「・・・」

 

剣道風の男は竹刀を構え息を切らせていた。だが対する太田の方は目を瞑ったまま木刀を握り構えていた。両者は互いに動かず一分が長く感じられた。剣道風の男は真っ向から太田の頭上に狙いを定めながら向かって竹刀を縦に振り叩き込む。

 

剣道風の男「うおおおおおっ、面んんんっ!!」ブオオン

 

しかし対する太田は木刀の持ち手を左に変え木刀でガードする。その直後太田は眼を開きガードしたままの状態で剣道風の男を吹き飛ばす。

 

太田「・・・・・・むんっ!!」ドオオン

 

剣道風の男「ぐわああっ」ドサアッ

 

剣道風の男(な、何でだ。何で防具を身に着けてるのに吹き飛ばされるんだ!?それに、あの試験官『俺に一撃を決めたら合格』だと!?冗談じゃねぇ、何処にも隙が見当たらねぇじゃねぇか!!)汗

 

太田「どうした?全力で来い。」

 

剣道風の男「ふざけやがって、うおおおおおっ!!」

 

太田「むんっ!!」ガッ ゲシッ

 

そう言って剣道風の男は再び真っ向から竹刀で太田に叩き込もうとするしかし太田はまた木刀でガードをし同時に剣道風の男の腹目掛け左足蹴りを決め込む。

 

剣道風の男「がはあっ!?」ドサアアッ

 

八幡「・・・」コツコツ

 

八幡は入団テスト参加者達の入る壁際に向かい太田の戦いを見届けていた。上の観客席から見ていた機兵団団員達が八幡に気付きざわめき始める。

 

機兵団団員A「あ?また一人来やがったぞ。」

 

機兵団団員B「しかも今度はガキだぞ。たしかあのジャージは近くの高校のヤツだ。」

 

機兵団団員C「あれ?でもアイツ何処かで・・・。」

 

因みに読者諸君は気付いてると思うだろう、観戦してる機兵団団員の半分は拾番隊である。

 

太田「ん?」チラッ

 

太田はチラリと目線を壁際に写す壁際には八幡が真剣な眼差しで見ていた。太田はクスリと小さく微笑む。

 

太田(来たか。)

 

剣道風の男(この隙に、うおらあああっ!!)

 

太田が余所見している所を気に剣道風の男は真っ向から太田に向かって不意討ちを仕掛ける。だが太田は余所見をしたまま左手で剣道風の男の持ってた竹刀を掴み止める。

 

剣道風の男「なっ!!?」

 

太田「・・・・・・不意討ちを仕掛けるとはな、まあ俺が余所見している方が悪いから仕方がない、だが俺に不意討ち何て百年早いぞ!!はあああっ!!」ブンッ

 

その瞬間太田は竹刀を持った手を男ごと投げ出し宙に浮く。太田はその間を見逃さず木刀を強く握り剣道風の男の腹目掛け強烈な突きを放つ。

 

剣道風の男「ぐわあああっ!!」ドサッ ドサァ ドカアアアン‼

 

剣道風の男は二度床をバウンドし三度目に止むも白目を向け気絶してしまう、更には胸に身に付けていた防具がかなりひび割れている。その戦いの光景を八幡は驚きを隠さずにいた。

 

八幡「す、すげぇ」汗

 

太田「誰かコイツを臨時保健室にまで運べ、此処に置かれたら迷惑だ。」

 

機兵団団員×2「「は、はい!!」」

 

そう言って見張りをしていた二人の機兵団団員が駆けつけ剣道風の男の担いで臨時保健室まで運び去っていった。そして太田は目線を壁際に写り変え入団テストの参加者達に言う。

 

太田「さてと、次は誰だ?」

 

入団テストの参加者達はざわめき始める。

 

参加者A「おい、お前がやれよ!」

 

参加者B「無理だって!防具までも破壊されたんだぞ!」

 

参加者C「な、何か急にお腹が痛くなってきた・・・。」ガタガタ

 

参加者D「こんなチート野郎に一撃何て出来るわけねえだろ!!」

 

八幡「・・・」ハァ

 

八幡(仕方がないな・・・。)

 

八幡は参加者達のざわめきを目にし溜め息をする。仕方なく八幡は覚悟を決め目線を太田に写り変え歩きだす。

 

参加者A「え、おいっ見ろよ!」

 

一人の参加者のかけ声で他の参加者達は目線を太田に向かって歩きだす八幡に写り混み驚きだす。

 

参加者B「アイツも入団テストに受けるのか?」

 

参加者C「で、でもよく見たらまだ高校生じゃないか!!」

 

参加者D「アイツ即オワタな・・・、こりゃ秒殺確定だぞ。」

 

八幡「・・・」

 

太田「・・・来たか、このまま来ないと思ってたが待っていたぞ。」

 

八幡「前にアンタが言っただろ。雪ノ下を守る方法は一つしかないと言ってたからな。」

 

太田「そう言えば言ってたな。今なら辞退しても良いぞ。」

 

八幡「悪いが、・・・俺は最初から辞退する気は更々ない。」

 

八幡は死んだ魚の眼をしながら太田に睨み付ける。だが太田は何も動じず静静と落ち着き八幡を見る。

 

太田(腐った眼だがあれは覚悟を決めた眼だ。)

 

太田「ルールは簡単だ。俺から『一撃』を決め込めば合格だ。武器は刃物、銃火器以外なら何でもいい。今だけなら武器の使用を許可する、使用する武器を用意したまえ。」

 

八幡(武器か・・・。あれは。)

 

八幡は左目線に写り床に落ちてる竹刀に気付く、その竹刀はさっき太田が保健室送りにした剣道風の男が使用していた市内だった。八幡は竹刀を拾いポンポンと軽く2回叩く。

 

八幡(竹刀か・・・。コイツはさっきの剣道の人が使って戦ってたな。仕方がない、相手も武器を持ってるし使用するか。)ポンポン

 

八幡は目の前の太田に目線を変え竹刀を構え始める。

 

太田「ほう、さっき保健室送りにした剣道経験者の奴が使っていた竹刀か。『使える物なら何でも使う但し武器として』有名なフリージャーナリストが使っていた名言だ。」

 

八幡「知らねえな」

 

太田「フッ、まあ五年位前だからな、そろそろお喋りは止めにして始めようか、君の実力を俺に見せてもらおう、比企谷君。」

 

そう言って太田は木刀を構え始め戦闘体勢をとる。対する八幡も竹刀を構え戦闘体勢をとる。

 

太田「覚悟はいいな?」

 

八幡「はい。」

 

太田「うおおおおおおおおっ!!!!」

 

突如放った太田の叫びで壁際に入る参加者達と上の客席にて見ている機兵団団員達の耳に響きだす。その者達の

中には耳を塞ぐ者や絶えずに頭を抱える者もいた。

 

 

 

 

 

鉄の機兵団 弐番隊隊長

VS 太田 亮

 

 

 

 

 

太田「手加減はしない、来い!!」

 

八幡「うおおおおおっ!!」ダダダダッ!!

 

太田が木刀を左手に持ち八幡に挑発を仕掛ける、八幡は

太田の挑発に自ら誘い竹刀を右手に持ちながら太田に向かって走り出す。

 

八幡(昨日平塚先生に一日だけ叩き込まれた喧嘩術。通じるかどうかは分からないがやるしかねぇ!!)

 

八幡「はああっ!!」ブンッ

 

太田「むんっ!!」ガッ

 

八幡は太田目掛けて竹刀で叩き込む、しかし太田は木刀を左片手に持ち自らの力でガードする。だが八幡は太田の行動を予想していた。

 

八幡(予想通り、これなら!!)ブンッ

 

八幡は竹刀で攻撃したまま自らの左足で太田の頭目掛けてローキックを仕掛ける。

 

太田(成る程そう来たか、だが!)

 

太田「はああっ!」ガッッ

 

太田は八幡のローキックを右腕でガードする。

 

太田(ガードと同時に蹴りで押し込む)グッ

 

太田はガードをした状態で八幡の腹目掛け蹴りを放ちだす。

 

太田「はあああっ!!」ゲシッ

 

八幡「ぐはあっ!」ドサッ

 

八幡は太田の蹴りの衝撃で吹っ飛び床に倒れる。だが八幡は立ち上がり再び太田に向かって竹刀で叩き込む。

 

八幡「おるあああっ!」ブンッ

 

太田「むんっ!!」ガッ

 

竹刀で攻撃。しかし太田は木刀でガードそしてそのまま力で吹き飛ばす。

 

太田「でやああっ」ドオオン!!

 

八幡「ぐっ、とおっ!」フワッ グルン シュタッ

 

再び太田の押し込みが八幡を吹き飛ばされる、しかし八幡は宙に浮き床に倒れる瞬間パルクールじみた前縦回転をし着地する。

 

八幡「ハァ・・・ハァ・・・」

 

太田「中々やるな。だが疲れきってるぞ。」

 

八幡「まだ、行けます!」ダッ

 

そう言った瞬間八幡はまた再び太田に向かって走り出し竹刀で叩き込む。しかし太田は今度はガードをしていない。

 

八幡(何だ?ガードをしてこない。ならここで決める!!)

 

八幡「はあああっ!!」ブンッ

 

八幡は面打ちを太田の頭上に狙いを定め叩き込む。しかし太田は軽々とサイレントスウェイをし同時に八幡の面打ちの瞬間に竹刀を持った右腕を上げ力一杯竹刀に向かって叩き込む。

 

太田「気合と努力だけは認めてやる、君には期待していたが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『残念』だ。」ブンッ

 

『残念』と言い終えた瞬間八幡の持ってた竹刀がへし折られてしまい八幡は唖然とした表情をする。

 

八幡「なっ・・・」( ; ゜Д゜)

 

太田「・・・終わりだ。」

 

八幡「いやまだだ、まだ終わっていない!!」ダッ

 

その瞬間八幡は折れた竹刀から素早く両手から放し前進スウェイで太田に近づくその距離、『零距離』。

 

太田(なにっ!?)

 

がら空き太田の腹目掛け八幡は右腕に全ての力を溜め込めた強烈なストレートを放つ。

 

八幡「でやあああああああああっ!!!!」バキィィィィィィッ

 

太田「ぐうっ!?」ドゴォォォ

 

太田は八幡の全力のストレートを受け一度左膝を崩したまま身体を崩すも再び立ち上がりだす。太田は疲れきって筈が意地で立ち上がってる八幡を見る。

 

太田「・・・。」

 

八幡「ハァ・・・ハァ・・・。」ゼェ ゼェ

 

太田は八幡に話し掛ける。

 

太田「まさか竹刀が俺を油断させる『フェイク』とはな・・・。君の拳、かなり効いたぞ・・・。」

 

八幡「・・・。」ゼェ ゼェ

 

太田「比企谷八幡君、君は『合格』だ。」

 

『合格』その言葉を聞いた瞬間八幡は疲れきった状態で膝を崩してしまう。壁際にいた参加者達や観客席に座っていた機兵団団員達も八幡と太田の戦いを見て唖然とし驚きを隠さずにいた。

 

参加者A「嘘だろあの高校生、試験官と互角に渡り合えるなんて。」

 

参加者B「何者なんだアイツ・・・。」

 

参加者C「あんなガキが出てるんだ!俺だって、俺だって!!」

 

すると壁際の参加者達は突如強気になり始める。

 

機兵団団員A「あり得ない、太田隊長と渡り合えるなんて。」

 

機兵団団員B「あのガキも化け物かよ・・・。」

 

機兵団団員C「ま、間違いない。」プルプル

 

機兵団団員D「おい。どうした?」

 

その時一人の機兵団団員が突如立ち上がり八幡に指を指す。

 

機兵団団員C「思い出したぞ、アイツ、吉村隊長を倒した比企谷とかいう不良高校生だ!!」ガタッ

 

機兵団団員D「な、何だって!!」ガタッ

 

八幡「ん?」クルッ

 

機兵団団員E「そういえばコイツ見覚えあるぞ!!」

 

機兵団団員F「間違いない、拾番隊の先輩達を病院送りにした奴だ!!」

 

機兵団団員G「何で狼が入団テストに出てるんだ!!」

 

機兵団団員H「辞退しろ!!てめぇ見たいな不良はなこの組織には必要ないんだよ!!」

 

突如観客席に座っていた機兵団団員達が立ち上がり八幡に向かって怒号のブーイングを言い放ち始める。

 

機兵団団員C「引っ込め!!」

 

機兵団団員D「お前のような奴が合格なんて認めるか!!」

 

機兵団団員E「そうだそうだ!!」

 

機兵団団員F「とっとと、消えろ!!」ブンッ

 

その時一人の機兵団団員が八幡に向けて空き缶を投げだす。しかし八幡は避けはせずキャッチしようとした瞬間突如太田が横から入り投げた空き缶を左手でキャッチする。

 

八幡「太田さん・・・。」

 

機兵団団員F「た、隊長何で・・・」ガタガタ

 

太田「何をやってるんだ貴様ら!!」

 

機兵団団員達「「「「「!?」」」」」ビクッ

 

突如太田は機兵団団員達に向かって怒鳴りだす。

 

太田「入団テストの合格者向かって怒号を言い放つ、それとゴミを当てようとしたな。お前達の『正義』は薄れきって悪に満ちたか!!」グシャア

 

そう言い終えて太田は空き缶を握り潰す。

 

太田「いいか貴様ら、この比企谷八幡は『不良』でありながら入団テストに合格した。合格した者が例え元犯罪者、元暴力団組員でも我々と同じ志しを持つ『仲間』となる、肝に命じておけ!!」

 

機兵団団員「「「「「は、はっ!!」」」」」ビシィ

 

機兵団団員達は全員起立し太田に向かって全員敬礼し始めた。

 

八幡「・・・。」

 

太田「部下達がすまなかったな、少し頭に血が昇ってしまった。」クルッ

 

八幡(少しって見えないだろどうみても!)

 

太田「改めて比企谷八幡君、『鉄の機兵団』へようこそ。」サッ

 

太田は右手を差し出し八幡に握手を求める。

 

八幡「はい」サッ

 

八幡は太田に握手をする、しかしその時予想外の事が起こった。二人の間に何処からか木刀が投擲し二人は間を互いに離れ回避する。

 

八幡「な、何だ!?」クルッ

 

木刀の投げた方向、第一体育館の出入口に一人の女が立っていた。彼女の目線は八幡と太田に写りだし二人の所に歩きだす。

 

???「『鬼の弐番隊長』と呼ばれてた貴方が随分と面白い事やってるじゃないですか、太田先輩。」コツコツ

 

太田「相原!」

 

突如第一体育館から入場してきた相原と名乗る赤髪の女、彼女の容姿は太田と同じく機兵団の隊長が着用する陣羽織風コートしかもチャックを解放しへそ丸出しの黒の胴着風のジャージを着用したいた。

 

太田「お前は確か第二体育館で女子の入団テスト参加者の試験官を受けていた筈!」

 

相原「とっくに終わっちゃいましたよそんなの、結構居ましたけど皆直ぐやられちゃって退屈してたんですよ。太田先輩とそこの少年の戦い見たらあたしの体が熱くなっちゃいましてね。」

 

八幡「第二体育館・・・。」

 

八幡(そう言えば受付が言ってたな。第二体育館は女子が受けてるって・・・。)

 

相原「ふーん。」コツコツ

 

すると相原は突然八幡に近づく。相原は八幡の顔をじっと見つめる。八幡は相原から眼を反らす。

 

八幡「あの、何か?」

 

その直後相原は太田に向かってとんでもない事を言い放つ。

 

相原「ねえ太田先輩、この子私と『付き合って』いい?」

 

八幡「へ?」

 

突然の相原の爆弾発言で八幡は驚きだす。

 

太田「・・・何を言っている?」

 

八幡「ちょ、待って下さい!いきなり『付き合って』って言われましても俺まだアンタの事知らないんだが!?」汗

 

相原「・・・君さ、何か勘違いしてない?」ピタッ

 

八幡「は?」

 

相原「あたしの言っている『付き合って』てのはねーー

 

 

 

 

 

こういう事さ!!」ブンッ

 

八幡「うおっ!?」ガッッ

 

突如相原は素早く振り向き八幡に向けて右ストレートを

放つ。しかし突然の不意打ちに驚くも八幡はクロスガードを行い相原の拳をガードするしかし相原の力の衝撃で八幡はガードしたままの状態で吹っ飛び床に倒れ込む。

 

八幡「ぐあっ!」ドサッ

 

相原「そういえばまだ自己紹介がまだだったね、あたしは鉄の機兵団『陸番隊(ろくばんたい)』隊長の相原御影(あいはらみかげ)、まあとりあえず宜しくね新人君(ルーキーくん)。」

 

 

 

 

 

鉄の機兵団陸番隊隊長

相原 御影

 

 

 

 

 

八幡「『付き合って』って、そっちの方かよ・・・」ムクリ

 

相原「へーっ、あたしの拳を受けて立つなんて流石男の子と言ったところかな。」ヒョイ

 

そう言って相原は先程投げた木刀を拾う。

 

八幡「有り難う、御座います!!」ダッ

 

相原「そらぁっ!」ブンッ

 

八幡は礼を言う瞬間相原に向かって走りだし殴りかかろうとする、しかし相原は木刀を八幡に向けてブーメランのように投げる。

 

八幡「うらぁっ!」バシィ

 

だが八幡は相原の投げた木刀を弾き返す。だがこれは相原の罠だった。相原は瞬時に自らの腰に装着してるケースから電磁メリケンサックを二つ取りだしながらジャンプし八幡に飛び掛かると同時に八幡の顔面ギリギリに電磁メリケンサックを近づかせるさる

 

八幡「なっ!?」

 

相原「アタシの勝ちだね。」

 

太田「・・・残念だが相原、『引き分け』だ。」

 

相原「は?何言ってるんですか先輩。これどうみてもアタシの勝ちでしょ。」

 

太田「ハァ・・・、お前の腹を見ろ。」

 

相原「・・・なっ!?」チラッ

 

すると太田は溜め息をつかせながら相原に自分の状況を確認する。すると八幡の左手には先程太田との戦いで使用した折れた竹刀の剣先部分を相原の腹に当たっていたところを気付き相原は驚きだす。

 

相原(アイツ、・・・いつのまにアタシの腹を。)

 

太田「もしこれが実戦だったらお前は今頃致命傷を受けてるところだ。」

 

相原「・・・これは一本とられましたね。」汗

 

相原は焦りだす。

 

???「両者、そこまでだ」

 

その時だった。また一人この第一体育館に新たな人物、一人の男が出入口方面に立っていた。男は前髪をオープンと後ろ長髪の髪型をし太田、相原と同じく陣羽織風コートを着用していた。

 

太田「倉持・・・、副団長。」

 

相原「あっ、やばっ。」

 

すると観客席に座っていた機兵団団員達が倉持に気付きざわめつき始める。

 

機兵団団員A「嘘だろ、倉持副団長だぞ!?」

 

機兵団団員B「何で機兵団のナンバー2が入団テスト会場に来てるんだ!?」

 

機兵団団員C「恐らく視察だと思うぞ、もしかしたら!」

 

機兵団団員D「と、とりあえず挨拶をしておこう!!」

 

すると観客席に座っていた機兵団団員達が席から立ち上がり下の倉持に向かって敬礼する。

 

機兵団団員達「「「「「副団長、お勤め御苦労様です!!」」」」」ビシィ

 

倉持「良い、今日だけは楽にしろ。」

 

機兵団団員達「「「「「はっ!!」」」」」ビシィ

 

団員達は再び倉持に敬礼しその直後再び席に座り込む。倉持は八幡のいる所に歩きながら向かいだす。

 

倉持「鉄の機兵団副団長を勤めている倉持貴志(くらもちたかゆき)と申します。」

 

 

 

 

 

鉄の機兵団副団長

倉持 貴志

 

 

 

 

 

倉持「立てるかい?」サッ

 

すると倉持は八幡ら三人の所に近づき目線を八幡に写し変えると同時に自らの手を差し出す。

 

八幡「・・・どうもすいません」ガッ

 

八幡は倉持の腕を掴み引っ張られ立ち上がる。

 

倉持「太田との実戦試合それと先程の相原の戦いぶり、一部始終見せてもらったよ。それと相原、さっさと第二体育館に戻れ、先程また入団テスト参加者が入ってきたから直ぐに迎いなさい。」

 

相原「あう・・・。了解しました。」

 

相原はとぼとぼと歩きながら第二体育館へと戻っていった。

 

倉持「すまないな、相原はああ見えて乱暴に見えるが良い奴だ。」

 

八幡「いえ、途中竹刀(コイツ)を拾わなかったら俺は負けました。只の運に過ぎません。」

 

倉持「・・・そうか。」

 

太田「それよりも副団長、彼にも『例の情報』を知らせた方が。」

 

倉持「ああ、分かっている。太田君は引き続き試験官の仕事を続けてくれ」

 

太田「了解しました。」ビシィ

 

そう言って太田は倉持に敬礼する。

 

倉持「比企谷君、直ぐに私と一緒に来てくれないか?君と一度話がしたい。」

 

八幡「・・・わかりました。太田さん、それでは失礼します。」

 

太田「ああ、縁がまた会おう。」

 

八幡は倉持の案内により太田が試験官を勤める第一体育館を後にした。

 

 

 

 

 

* * *

 

 

 

 

 

コミュニティセンター 2階 相談室

 

 

コミュニティセンターの2階の相談室は四畳位の広さを持つ、相談室内にて居るのは普通に席に座り込む八幡一人、すると相談室の戸が開き倉持がホットコーヒーを二つと角砂糖が入った瓶を載せたおぼん片手に入室する。テーブルにおぼんを置き互いの目の前にホットコーヒーを置き倉持は八幡の前の席に座り込む。

 

倉持「どうも誰かと話すときは必ず飲み物用意しなきゃならない。まあ気にしないでくれ、これは気紛れに俺が用意したから。ああ、ホットコーヒーに砂糖入れるかい?」

 

八幡「あ、はい、頂きます。」ズズッ

 

八幡は瓶の蓋を明け角砂糖を三つ取りだしコーヒーに入れ数回かき混ぜ一口啜る。

 

倉持「すまないね突然同行してしまって。どうしても君と一度話をしなきゃならない事情があってね。」

 

八幡「いえ、・・・ところで倉持さん、実は・・・。」

 

倉持「・・・詳しい事は太田から聞いたよ。」

 

八幡「知ってたんですか。」

 

倉持「ああ、まさかあの吉村を倒したのが高校生だとは流石に驚いたよ。それに雪ノ下雪乃さんの事をエスコートしながら一人で拾番隊の団員達を相手にするなんてな。」

 

八幡「いえ、あれは雪ノ下を護るため仕方なかったんです・・・。」

 

倉持「分かっている、悪いのは隊を利用し彼女を誘拐しようとした吉村だ。だが吉村は鉄則を破り機兵団から追放され刑務所に留置している、肝心の吉村の『穴』が空け太田が隊長代行であるもこれ以上千葉に居続ける訳にはいかないからな。」

 

八幡「倉持さん、・・・俺に何をするんですか?」

 

倉持「・・・実は折り入って引き受けてもらいたい『仕事』があってね。これは千葉出身の君にしか頼めない。雪ノ下さんを護るには。」

 

八幡「その『仕事』って、・・・まさか!」

 

倉持「比企谷八幡君、追放したこの吉村の『穴』を・・・・・・、『拾番隊』の隊長を引き受けてほしい。」

 

倉持からの『仕事』、それは吉村の穴、鉄の機兵団『拾番隊』隊長の全権限を八幡に託す事だった。

 

八幡「俺に、隊長を。」

 

鉄の機兵団の入団テストに合格した八幡、新たな人物達の出会いで八幡の運命は変わり始まった。弐番隊隊長の太田、陸番隊隊長の相原、副団長の倉持、そして突然の『拾番隊隊長』の就任。だがこれはこれから始まる『強大なる戦い』の幕開けとは八幡はまだ知らなかった。

 

 

 

 

 

続く




今回は長くて申し訳ありません。次回は登場人物紹介その1ですので。次の話はしばらく時間がかかります。

次回、八幡、始めての戦場。
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