武昭はひったくりの後を追い掛けた茜を見つけたが………
顔に何らかのダメージを受けたひったくりと赤い顔でスカートを抑えて蹲る茜がいた。
「おいおい、これはどういう状況なんだ?」
「あっ!武昭!!えっとね、その………」
武昭が事情を尋ねようとした時に倒れていたひったくりが
立ち上がると同時に隠し持っていたナイフを出して茜に向かってきた。
「危ない!茜!!」
「キャッ!? 武……昭………」
先に気づいた武昭が茜を庇ったが武昭はひったくりを避けきれなかった。
「嘘………武昭!!」
「大丈夫だ茜、俺は“ちょっとばかり違う体”なんだから……」
武昭が体をずらして茜に見せると“左手”でナイフを掴んでいた。
「なっ!?テメェ!そんな事をしたら……」
「はいはい、あんたは眠ってな!」
ひったくりは武昭に殴られて気絶したので茜が慌てて駆け寄ってきた。
「武昭!なんであんな事したの!?」
「それは茜も同じだろ? 悪いけど俺はあまり“コレ”を見られたくないから……
先に帰ってるぞ」
「あっ、待ってよ武……」
「茜様!ひったくりを捕まえたそうですね!?」
「国民の皆様に一言!!」
「えっと、その………見ないでくださーい!!!」
記者陣に囲まれた茜は自分の上着で顔を隠していたので、まるで犯罪者の様だった。
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帰宅して………
「ふぇ〜疲れた〜〜」
「よっ、おかえり茜」
茜が帰ると私服に着替えた武昭がいた。
「ただいま〜って、武昭が先に帰ったりするから私ひどい目にあったんだよー!」
「別にひどい目って言っても報道陣に囲まれた位だろうに」
「だって……凄い恥ずかしいんだもん……」
「はいはい、悪かったな。それよりもいつまでも制服でいないで着替えてきたらどうだ?」
「うわっ、やめてよー子供じゃないんだからー(へへっ武昭に頭撫でられちゃった)」
自分の部屋に行こうとした茜は武昭に頭を撫でられて喜んでいた。
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着替えた茜がリビングに行くと他の皆がいた。
「茜、武昭から聞いたけど危ない事をしちゃダメよ?」
「だって……困ってる人がいたから……」
「何々ー!?茜ちゃん、また何かやったのー!?」
茜が葵から注意されてると光がソファーの背側を向いた。
「ちょっと!またって何よ!またって!!」
「どうせ、自分から面倒ごとに首を突っ込んだじゃないの?」
「奏姉さんの言う通りだよ。ひったくりを見かけたから被害者の荷物を取り返しに行ったんだ」
「ふーん、そうなんだ……」
「それを言うなら武昭だってひったくりのナイフから私を庇ったじゃない!!」
「バッ!茜!それを言ったら!!」
「へぇー 武昭ー どう言う事かな?お姉ちゃんは聞いてないよ?」
「武昭ー あんたも危ない事をしてたんだー?」
茜に言われた武昭が逃げようとした時に葵と奏が笑顔で肩を掴んだが、その手には凄い力が入っていた。
「えっと……お姉様方?わたくしは何をされるんですか?」
「うーんと、ちよっと注意するだけだよ?」
「そうそう、武昭が危ない事をしない様にね」
「それを断る事は「「出来ると思う?」」ですよねー」
「遥、悪いけど栞を頼んでいいか?」
「うん良いよ武昭兄さん、因みに無事な確率は6%だよ」
武昭が遥に膝の上にいた栞を任せた。
「お姉様、お兄様に酷い事をするの?」
「違うのよ栞」
「そう私達は武昭とお話しをするの」
「そうだから、心配しなくてもいいぞ栞」
「うん……」
武昭に頭を撫でられた栞は笑顔になっていて武昭は葵と奏に引っ張られてリビングを出て行った。