奏とのデートを終えた日から数日後の朝……
「ふぅ……あれ?奏姉さん、今日は学校が休みだよね?何で制服を着てるの」
武昭が起きると制服に着替えた奏が朝食を食べていた。
「おはよう武昭、今日は生徒会とクラス委員での話があるから早めに行くのよ」
「そうか、だったらたまには俺も行くか何か手伝えるかもしれないから 母さん良いかな?」
「えぇ武昭が構わないなら良いわよ、先に顔を洗ってきなさい」
五月に言われた武昭は洗面所に向かった。
朝食を終えた武昭が玄関に行くと奏が待っていた。
「ごめんね奏姉さん、待たせて」
「別に良いわよ、私も早く起きてたから……それに
「ウチにいるクラス委員て………あぁ……」
武昭が何かに思い当たると二階から誰かが慌てて降りてきた。
「嘘っ!もうこんな時間!?カナちゃん!何で起こしてくれなかったの!?」
「何で私が起こさなきゃダメなのよ?」
奏が茜に言った。
「確かに今朝ばかりは奏姉さんの味方だな、茜、そんな事よりも早く着替えた方が良いぞ」
「あぁーっ!そうだったぁー!!」
茜は慌てて着替えると朝食を食べ始めた。
暫くして………
「もう、本当に茜さんは……」
「ごめんねカナちゃん……」
「けど、ちゃんと奏姉さんも茜を待ってるんだから」
「そ、それはたまたまですわ!!」
「まぁ、茜が早起きしないのも悪いんだけどな」
「うっ………それはその……あっ!猫ちゃんだ!!」
「コラッ!待ちなさい!」
「全く、茜は……なっ!?茜っ!!」
「ふえっ!?」
武昭と奏がノラ猫を追いかけたので注意しようとした瞬間、猛スピードのトラックが迫っており
それを見た茜と奏は対応が遅れたが……
「茜っ!間に合えっ!!(これじゃ直ぐに壊れるか…けど、俺の図体のデカさなら茜だけは…)」
武昭だけは道路を錬成して壁を作ったが強度が無く脆かったので茜を庇った。
その瞬間……
ドンッ!
「はぁ……ギリギリ……間に合いましたわ……」
「ん?コレって……姉さん?」
武昭が自分に衝撃が来ないので確認しようとするとトラックとの間に黒い大きな壁があった。
「大丈夫!?茜!武昭!!」
「う、うん……私は武昭が庇ってくれたから………」
「俺も大丈夫だよ……」
「おいおい!急に飛び出してくるんじゃねえ…なっ!?桜田家の……」
トラックの運転手が降りてきて文句を言いに来たが奏達に気付くと顔を青くした。
「私の弟と妹がご迷惑をお掛けしました……
ですが、あなたの方もかなりのスピードを出していたのでは無いですか?」
「ど、どこに、その証拠があるって言うんだよ!?」
「証拠ですか?奏姉さん、悪いけどメジャーを作ってくれる?代金なら後で払うから…」
「メジャー?それくらいなら別に良いわよ はい、これで良かった?」
「うん、ありがとう姉さん」
武昭はメジャーを受け取るとトラックの方に向かい何かを計測して戻ってきた。
「あなたのトラックのタイヤのブレーキ痕の長さと信号までの距離を測ったら…
かなりのスピードを出していた事がわかりました
ふざけんなよ」
武昭は運転手の服の襟を掴むとそのまま持ち上げた。
「あんなスピードで走ってて俺達じゃなくて他の人達を轢いてたら、どうするつもりだったんだよ!!」
「武昭、それ以上はやめなさい 今回は特に被害も無かったから良かったですけど……
もし、私の弟や妹に何かあったら……」
「わ、分かりました!申し訳ありませんでした!!」
「そうですか、わかってくれたのなら私からは何も言いません、それでは失礼します
行きましょう2人とも」
「あぁ、わかったよ奏姉さん けどその前に
茜、悪いけどお前の能力で軽くして何処かの空き地に運んでくれ」
「うん、わかったよ」
茜は能力を発動させるとそのまま壁を近くの空き地に持って行った。
それを終えた3人は学校に向かいながら話していた。
「ねぇ、カナちゃん、あの壁って何なの?」
「あぁ、アレは未来に作られる衝撃吸収の壁よ」
「そうなんだ、けどあれだけ大きくする必要あったの?」
「そ、それは確実にトラックを止める為にですわ!」
「そっか、じゃあ俺は、もう何も言わないよ」
「ね、ねぇ、カナちゃん 悪いからあの壁の代金を払うよ」
「別に良いわよ、金額を言ったところで払える訳ないんだから無理よ」
「そ、そんな事無いよ!私だって少しは貯金とかあるんだから……」
「じゃあ言うけど、4000万円よ」
「えっ!?よ、4000万!?何で、そんなに高いの!?」
「多分だけど、あの壁は今はまだ出来てない素材だから、それだけ高いんだよ
その証拠に、俺が理解しようにも出来なかったからね、そうでしょ?」
「武昭の言う通りよ、だから無理だって言ったでしょ」
「じゃ、じゃあバイトでもしてお金を……」
「人見知りの茜がバイトなんて出来るのかしら?」
「うっ……出来ません………」
「だから言ってるでしょ、払わなくて良いって、それよりも早く学校に行くわよ」
3人は学校に向かった。
その後、会議を終えて………
「では、今日の会議はここまでにします、皆さんお疲れ様でした」
「ふぇー疲れたぁー……じゃあ帰ろうよ武昭、カナちゃん」
「悪いけど茜は玄関で待っててくれない?ちょっと私は武昭にやってほしい事があるから」
「うん、私は良いけど……何だったら私も手伝うよ?」
「別に茜に手伝ってもらわなくても武昭だけで十分よ、じゃあ行きましょう武昭」
「うん、分かったよ奏姉さん 茜、悪いけどカバン良いか?」
「良いよ、それじゃ玄関で待ってるから」
茜が玄関に向かったので部屋には武昭と奏だけになった。
「奏姉さん、俺にやって パァン!ね、姉さん!?」
武昭が理由を聞こうとした時に奏がビンタをしたが、その瞳からは涙が流れていた。
「武昭……何で私が叩いたか分かってるの?」
「思い当たる理由は……朝のトラックの件かな?」
「そうよ……あなた、あの時に茜を庇ったわよね?自分が傷付く事も構わないで……」
「あぁ、あの時に錬成した壁だけじゃ無理だったから茜だけでもと思ったんだ……」
「バカッ!それで武昭がケガだけじゃなくて死んでたらどうしてたのよ!?
そんな事になれば私や茜だけじゃない!父さん達も悲しむ事になるのよ!!」
奏は泣きながら武昭の胸に飛び込んだが武昭は優しく背中を撫でていた。
「ごめんね奏姉さん……けど、これが俺なんだよ………」
「分かってるわよ………だから武昭は
「奏姉さん……その話はやめようよ………
俺は
「武昭……」
「ほら、姉さん、そろそろ帰ろうよ 茜も待ちくたびてれるだろうから……」
「えぇ、そうね……(武昭……必ず私があなたの体を……)」
奏は先を歩く武昭の背中を見ていた。