南洋海戦物語〜人類の勇戦譚〜   作:イカ大王

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雨、大変なことになっていますね。
皆さんは大丈夫ですか?
これ以上亡くなられる人が増えないよう祈っております。


第七十話 南の要衝

6月19日

 

1

 

「うぉ……!」

 

無数の敵弾が正面から迫った刹那、英王室空軍(RAF)第六一飛行隊(61sqn)隊長のイアン・ゴードン少佐は、素早く操縦桿を左に倒した。

 

ホーカー・ハリケーンMk.Ⅱの機体が左に横転し、視界内の乙型重爆撃機(ベティー)の怪異な姿が、右に吹っ飛ぶ。

直後、太い火箭がゴードン機の右下面を通過し、後方へと過ぎ去る。

少しでも回避行動が遅れていたら、多数の二十ミリ弾に真正面から打ち砕かれていただろう。

後続するハリケーンにも旋回機銃座から放たれた射弾が殺到するが、機体を翻して回避する。

 

「出鼻を挫かれた…!」

 

ゴードンは罵声を発し、高度優位を失って見上げる形となったベティー編隊を睨みつけた。

敵編隊は二十機程度の梯団が四組、そのいずれもが高度四千の空域を進んでいる。

ゴードン率いる61sqnのハリケーン十二機は高度四千五百メートルの空域から逆落としに攻撃を加えようとしたが、ペティーが放つ二十ミリ弾の弾幕に射竦められ、回避を余儀なくされてしまったのだ。

現在の高度は三千二百メートル。61sqnの上空を、ペティー八十機が進んでいく。

 

だが、初撃に失敗したのは61sqnのみのようだ。

他の第六二、六三飛行隊(62、63sqn)のスーパーマリン・スピットファイアMk.Ⅴ二十四機、共にラバウルから出撃したドイツ空軍第一八戦闘航空団(JG18)のBf109二十六機は、既に敵編隊に取り付いて攻撃を実施している。

61sqnが弾幕射撃の火力を吸収することになり、他の戦闘機隊の道を開いたようだ。

 

ゴードンは敵重爆編隊の後方に目をやる。

そちらでも空戦が繰り広げられており、一足先にラバウル基地から出撃した零戦と、洋上の空母機動部隊から発進したスーパーマリン・シーファイアーーースピットファイアを艦上機に改造したタイプの機体が、本隊から遅れている敵梯団の周囲を飛び回っている。

 

 

ーーー深海棲艦によるラバウルへの空襲は二週間前から始まっており、ニューブリテン島ラバウル、ニューアイルランド島カビエンに展開している第二航空集団(2AG)は、その対策として三段階の迎撃態勢を敷いている。

第一段階。ブーゲンビル島の沿岸監視員(コースト・ウォッチャー)ないしCH対空レーダーが発見した敵編隊に対して、足の長い零式艦上戦闘機がラバウル基地から急進、洋上に進出して敵機を迎撃する。

今日の邀撃戦では、ブーゲンビル島北方に展開している英空母機動部隊から発進したシーファイアも第一段階に加わっており、日英艦上戦闘機隊が一番槍をつけていた。

第二段階は、いよいよ2AGの主力が出撃する。

ラバウル、カビエンに展開しているスピットファイアやBf109と言った英独戦闘機隊が発進、零戦・シーファイヤ部隊が撃ち漏らした敵編隊を攻撃するのだ。

ハリケーン、スピットファイア、Bf109のいずれとも航続距離が短く、零戦のような長距離渡航攻撃はできない。そのため、ラバウル近海での迎撃が専門である。

この時点で損耗を抑えるため、零戦隊は撤退、または損傷して後方に遅れた敵機のみを攻撃するよう、取り決められていた。

第三段階。英独日戦闘機隊の迎撃を突破した敵重爆編隊を、飛行場やラバウル市街地に設置された多数の高射砲が迎え撃つ。

三段階の迎撃戦によって重爆の数を減らさせ、爆撃による被害を最小限にとどめる。うまくいけば、敵編隊を撃退することも可能である。

 

現在は、第二段階が開始された時点であった。

 

 

「“ビーグル”ついてこい!」

 

ゴードンは無線機に怒鳴り、操縦桿を手前に引いた。

ハリケーンが加速しつつ急上昇を開始し、Gが体を締め付ける。頭上に見えていた空が前に移動し、次い頭上に海面が来る。

ゴードンは反転宙返り行い、敵重爆編隊の背後に回り込んだのだ。

終えた後にバックミラーを覗くと、ぴったりと部下のハリケーン十一機が張り付いているのがわかる。

正面には、戦闘機隊の攻撃を免れている最右翼第四梯団の姿が見えていた。

 

「行くぞ!」

 

フルスロットルを開き、ハリケーンを敵第四梯団に突進させる。

照準器には、梯団最後尾に位置しているベティーの姿を捉えている。

ベティーは「く」のような形をしており、巨大なブーメランのように見えた。

そのブーメランの上下面二箇所に、光が瞬く。

合計四箇所から八条の火箭が放たれ、他のベティー数機も機銃を撃つ。

ゴードンは目を見開き、歯を食いしばった。

 

(回避はせん!)

 

ゴードンは覚悟を決め、ハリケーンを突進させる。

いちいち回避をしていたら、ラバウルに到達する前に敵編隊を阻止することなど無理である。

全ての火箭がゴードン機に迫ってくるように感じられるが、そのほとんどが左右、上下に逸れてゆく。

 

ゴードン機の右後方を続いていたハリケーンが、敵弾を浴びた。

真っ正面から二十ミリという大口径機銃弾を喰らい、液冷エンジンのとんがった機首を大きくひしゃげさせる。

三枚のプロペラが吹き飛び、ロールスロイス・マーリンXXエンジンを大きく引き裂かれた。一瞬で推進力を失ったハリケーンは、部品を撒き散らしながらラバウル東方の海域に墜ちていく。

 

その後方を続いていた別のハリケーンにも、敵弾は襲いかかる。

二十ミリ弾によって右主翼がバッサリと分断され、翼内に収納されていた七.七ミリ機銃四丁の弾倉が誘爆した。

ホンコン爆竹のような小爆発が立て続けに起こり、ハリケーンの機影は火焔に包まれて掻き消えた。

火焔が消えるとハリケーンの姿は無く、キラキラとした破片が残っているのみである。

 

後方から接近する方法は、旋回機銃に晒される時間が長くなってしまうのだ。ゴードンは、最も危険な攻撃法を選択したことになる。

だが、彼にとってそのようなことは百も承知であった。

敵重爆編隊は、ラバウルの直近にまで迫っている。

初撃に失敗した以上、再び高度を稼いでの急降下攻撃は時間がかかりすぎるため、一機でも多くの重爆を撃墜するにはこの方法しかなかったのだ。

 

ハリケーンとベティーの最大速度の差は大きい。みるみるうちに近づき、照準器内の敵影が大きくなる。

旋回機銃に撃墜されて十機に減った61sqnは、第四梯団を射程距離に捕捉し、機銃を放った。

 

「墜ちろ!」

 

ゴードンは忌々しさを込めて叫び、親指を添えていた射撃ボタンに力を込めた。

機体が小刻みに振動し、両翼の縁が発射炎で赤く染まる。一射一射の間隔が短く、一つ繋がりになった射撃音がゴードンの鼓膜を震わせた。

ハリケーンMk.Ⅱが装備している機銃は、七.七ミリ機銃八丁。両翼に四丁ずつ搭載している。

後継機であるスピットファイアが二十ミリ機銃二丁、七.七ミリ機銃四丁なのを考えると小口径機銃のみというのは心許ないが、なんと言っても数が多い。

放たれた八条の七.七ミリ機銃弾はひとかたまりの奔流のようにしてベティーに殺到し、ベティーの屈折部を薙ぐ。

火花が散り、外版が吹き飛ぶ。次いでそのベティーは白煙を引きずり始める。

 

ゴードンは射撃ボタンを押しっぱなしにしながらベティーに肉薄し、寸前で機体を左に滑らせた。

巨大な重爆撃機の姿が右に移動し、第四梯団の敵重爆群が視界に飛び込んでくる。

すぐさま別のベティーが、ゴードン機の正面に来る。

その敵機に対しても、ゴードンは機銃の一連射を見舞った。

両翼の小口径機銃群が再び咆哮し、豪雨のような機銃弾をベティーに撃ち込む。

すぐさま機体を右に翻し、三たび正面に来たベティーにも多数の機銃弾を浴びせる。

ゴードンは機体を右に、左にと操り、正面に来た敵機に対して手当たり次第に機銃を撃ちまくる。

 

ゴードン機を追って後続のハリケーンも躍動し、次々と敵重爆編隊の只中に飛び込んだ。

俊敏に飛び回り、ベティーへ機銃弾を叩き込む。

ゴードンは61sqnの先頭に立ち、戦果を確認することなく、猛速で敵編隊の内側を駆け抜ける。

 

ベティーも旋回機銃を発砲させるが、至近距離を飛び回るハリケーンを捉えることは難しい。

逆に多数の七.七ミリ機銃弾を受けたベティーは一機、二機と火を噴き、梯団から落伍する。

ゴードンが最初に攻撃したベティーは、追い抜かれる過程で六機のハリケーンに銃撃され、既に墜落している。

その前方を進んでいたベティー三機は主翼やエンジンに被害を受け、黒煙を引きずりながら高度を落としている

梯団前方では五機が七.七ミリ弾を喰らい、白煙を引きずっている。

 

「いいぞ」

 

敵梯団の只中を後ろから前へと駆け抜けたゴードンは、後ろを振り返って喝采を上げた。

二十機いた第四梯団は三分の二ほどに数を減らしており、そのさらに半数が何かしらの被害を受けて落伍している。

後方から追う形の攻撃となったが、ハリケーンは持ち前の機動力と機銃の手数の多さを生かし、多数のベティーを撃破したのだ。

 

61sqnのハリケーンみならず、他の梯団を攻撃したスピットファイア、Bf109も戦果を上げている。

敵第一梯団は大きく編隊を引き裂かれ、第二、第三梯団も数を減らしている。後方には損傷して速度を維持できないベティーが置き去りにされており、零戦、シーファイアがなおも攻撃を続けている。

 

 

ゴードンは正面を見据えた。

ニューブリテン島とニューアイルランド島の島影が、水平線に薄っすらと見える。

ラバウルとの距離は、まだ遠い。

 

「“ビーグル”もう一度やるぞ!」

 

「イエス・サー!」

 

ゴードンは意気揚々と命じ、部下の返答が唱和した。

素早くハリケーンを180度反転させ、たった只中を通過してきた第四梯団の重爆群を正面に据える。

ゴードンは九機のハリケーンを従え、その編隊に突撃した。

ベティー群の上面二ヶ所に閃光が走り、多数の敵弾が殺到してくる。

 

ハリケーンは、敵弾に包み込まれた。

 

 

2

 

「ラバウルは、十分に持ち堪えているようですな」

 

統合太平洋艦隊首席参謀の風巻康夫(かざまき やすお)大佐は、作戦室に響く声で言った。

 

パラオ諸島コロール島にある統合太平洋艦隊(JPF)司令部庁舎の作戦室である。

室内には白いテーブルクロスのかけられた長机があり、それを挟んでJPF司令官であるチェスター・ニミッツ大将、参謀長であるレイモンド・スプルーアンス少将、他の参謀、各軍連絡官らが座っている。

 

風巻の言葉に、2AG司令部から派遣されているリーガル・マクガイヤ英空軍中佐が誇らしげに口を開いた。

 

「高性能対空レーダーと空戦指揮所を組み合わせ、徹底した迎撃態勢を敷いています。我が本国のロンドンやマンチェスター、バーミンガム等の大都市を守る一大防空システムを、ニューブリテン島周辺に構築したのです」

 

リーガルに変わって、JPF司令部を訪れている2AG参謀長の酒巻宗孝(さかまきむねたか)少将が言葉を続けた。

 

「現在、ラバウル、カビエンの航空基地設備は拡張途中ですが、草鹿中将(草鹿任一(くさかじんいち)中将:第一一航空艦隊および2AG司令官)のご裁量により、同基地に展開しているのは戦闘機のみとなっています。加えてガダルカナルから飛来する敵重爆編隊には、護衛戦闘機が付いておりません。この二点が、ラバウル・カビエン方面を支えられている要因なのです」

 

ニューブリテン島ラバウルは二週間前の6月5日から敵の空襲を受けており、以来連日のように乙型重爆がラバウル上空に姿を見せている。

それに対し、ラバウルとニューアイルランド島カビエンに展開する基地航空隊は、徹底した守りを固め、深海棲艦に出血を強いているのだ。

 

「“FS”作戦の遂行上、初頭でラバウルを失うわけには行かぬ。第二航空集団の奮闘は、これからも続いて欲しいものだ…」

 

ニミッツが思案顔になりながら机上の地図に視線を落とす。

 

南北はトラック諸島からオーストリア北東部にかけて、東西はサモア諸島からラバウルにかけて網羅された南太平洋の地図だ。

トラック、ラバウル、カビエンには人類統合軍を示す駒が、ソロモン諸島ガダルカナル島から東にかけてニューカレドニア島、フィジー諸島、サモア諸島には深海棲艦を示す駒が置かれている。

 

 

ーーー日米英軍が極東方面での戦闘に明け暮れていた頃、深海棲艦が南太平洋に持つ占領地は、ニューカレドニア島とオーストリア大陸東海岸の一部のみであった。

だが“KD”作戦が成功して極東から敵部隊が一掃されると、深海棲艦は新たな獲物を求めるようにして南太平洋へと部隊を進め、サモア、フィジーを占領、ニューカレドニアに飛行場姫を建設し、オーストラリアへの地上軍増援を強化した。

加えて最近では西進の傾向も見せ始め、ソロモン諸島東部のガダルカナル島にまで進出している。

深海棲艦は同島に新たな飛行場姫を建設し、オーストラリアへの輸送航路の安全確保と、ラバウルへの空襲を実施しているのだ。

 

 

人類統合軍では、それに対抗して「南太平洋島嶼の奪還」「南太平洋に展開している深海棲艦海空軍の撃滅」。それに伴う「オーストラリアへの敵地上軍増援航路の分断」を目的とした作戦が立案された。

 

 

それが『“豪州分断(FS)”作戦』である。

 

 

作戦としてはラバウル、ポートモレスビーに展開した航空部隊、新編された南太平洋方面艦隊が協力してブーゲンビル島、ガダルカナル島、ニューカレドニア島と島伝いに攻略。各島に飛行場を建設して制空権を確保しつつ軍を進め、最終的にはフィジー(F)諸島とサモア(S)諸島までを奪還する。

各々の戦いで南太平洋に展開する深海棲艦部隊を撃破し、南太平洋を介して実施されているオーストリアへの敵部隊増援航路を断ち切るのだ。

 

この作戦が成功すれば、深海棲艦艦隊兵力に大きな打撃を与えられ、かつオーストラリアも救うことができるが、作戦はまだ始まったばかりだ。

ガダルカナルからの空襲でラバウルが使用不能になれば、作戦は頓挫する。

ニミッツは、そのことが気がかりのようだった。

 

「ラバウルの防空に関しては、統合航空軍を信じるしかありますまい。我々は作戦の遂行に集中しましょう」

 

スプルーアンスが指揮棒でラバウルを叩く。

 

第三次ルソン島沖海戦で「ノース・カロライナ」に座乗中、艦橋の被弾で右腕を失ったスプルーアンスだが、入院の後に復帰し、参謀長の役職についている。

風巻としてはスプルーアンスが第八任務部隊司令だった頃から共に戦い、語り合った仲のため、また一緒に仕事ができるのは喜ばしいことだった。

 

「爆撃機兵団の展開状況はどうなのですか?」

 

風巻は、会議に列席している同兵団参謀のトーマス・クランシー中佐に聞いた。

戦略爆撃機兵団は航空集団とは一線を画する部隊であり、防空戦闘機を除けば重爆撃機のみで構成されている。

兵団所属の重爆はニューギニア島ポートモレスビー基地に集結しており、敵拠点への爆撃で“FS”作戦の遂行を支援することが求められていた。

 

「問題はありません。指揮下の各爆撃隊は続々と基地に集結しており、いつでも攻撃が可能です」

 

トーマスは胸を張って言った。

 

「ラバウル、ポートモレスビーの現状はわかった。概ね予定通りであるということも。次にオーストリアの状況だが…」

 

ニミッツは作戦室内を見渡す。

 

「それについては、私から御説明させていただきます」

 

三和義勇大佐が我こそはと言わんばかりに立ち上がり、手元のノートをめくる。

三和は“FS”作戦の概要を説明をするためにオーストラリア軍団司令部に出張しており、ついさっき帰ってきたところである。

オーストラリア大陸の視察も任務に入っており、現状をありのまま伝えることが求められていた。

 

「オーストラリアの戦況は芳しくありません。慢性的なガソリン不足に悩まされており、軍団は部隊を無闇に動かさず、拠点を防衛することとで消費を抑えようとしています。“FS”作戦の実施は歓迎されましたが、『敵の補給航路分断では、すぐに効果が出ない』という意見もありました」

 

「ふむ…」

 

ニミッツは唸った。

仮にガダルカナル島を奪還してニューカレドニア島までを勢力下に置いても、深海棲艦はフィジー航路、サモア航路でオーストリアへの増援を続けるだろう。

完全にオーストリア大陸の深海棲艦地上軍を立ち枯れさせるにはフィジー、サモアの奪還が必須だが、それにはまだ時間がかかる。

 

大陸の戦況は予想よりも悪い。

“FS”作戦が効力を発揮するまで、オーストラリアは保つだろうか……という心配がニミッツの心中にあった。

 

「対処療法の域を出ませんが、潜水艦などで通商破壊を強化してはいかがでしょう。少しでもオーストリアの戦況改善に加担するには、それしかありません」

 

副首席参謀のアーサー・E・パリサー英軍大佐が言った。

統合太平洋艦隊は多数の潜水艦を保有しとおり、名高いUボートも二十隻以上が太平洋に展開している。

既に何隻かを情報収集や攻撃のためにソロモン諸島に放っているが、パリサーはこれをさらに増やしてはどうか?と言っているのだ。

 

「そうだな。私の名で、潜水艦による通商破壊の強化を命じてくれ。そしてミスター・サカマキ、ラバウルの基地化を早めるよう…アドミラル・クサカにーーー」

 

ニミッツが各部署に命令を発している最中、唐突に作戦室の扉が開いた。

入ってきたのは、連合艦隊通信参謀の一人である。

右手に紙切れを握っており、息が荒い。室内の視線がその参謀に向く。

 

「第二航空集団司令部から入電です」

 

その参謀は肩を上下させながら日本語で言った。

同司令部の参謀である酒巻が立ち上がり、通信参謀から紙切れを受け取る。

それを一読するや、酒巻は顔色を変えた。

 

「ミスター・サカマキ。どうかしたのかね?」

 

スプルーアンスが伺うように聞く。

日本語がわからない米国や英国の軍人が訝しげな表情を浮かべる中、酒巻は声を震わせながら言った。

 

 

 

 

「ソロモン諸島に深海棲艦の艦隊が出現しました。戦艦二隻を中心としており、ラバウルへの針路を取っているようです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第七十話「南の要衝」

 

 






打つ手が早いな、深海棲艦!


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