南洋海戦物語〜人類の勇戦譚〜   作:イカ大王

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いよいよ反撃です!
空の要塞が登場します





*一話から七話まで大規模改訂を実施しました


第五章 墓標ソロモン
第七十九話 ガダルカナルへの尖兵


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人類統合航空軍戦略爆撃機兵団第四十四(44)五十三(53)統合爆撃群(JBG)に所属するB17“フライング・フォートレス”F型九十六機は、ガダルカナル島西方四十浬の空域に到達した。

 

日時は、6月19日。イギリス海軍E2部隊とドイツ海軍ラバウル戦闘群がタ級二隻を中心とする敵艦隊と激突したニューアイルランド島沖海戦から、一週間が経過している。

今まで、ラバウル・カビエンに展開する第二航空集団とニューギニア島ポートモレスビーに展開する戦略爆撃機兵団は基地拡張に力を入れており、飛行場姫がいるガダルカナル島に対して空襲を実施してこなかった。

戦闘機と高性能レーダーを組み合わせた基地防空には力を入れてきたが、B17や一式陸攻がガダルカナル上空に姿を現わすことはなかったのだ。

だが、ニューアイルランド島沖海戦に勝利したことで、統合航空軍を取り巻く状況は変わった。

同海戦では英独で、装甲艦「アドミラル・グラーフ・シュペー」と軽巡「グロスター」「マンチェスター」、駆逐艦五隻を失い、戦艦「シャルンホルスト」軽巡「リヴァプール」「ハーマイオニー」駆逐艦三隻が大破ないし中破の損害を受けた。

だが、与えた損害は敵の方が多い。

タ級戦艦一隻とツ級軽巡二隻、駆逐艦三隻を撃沈し、他にもタ級、リ級重巡一隻ずつに大破と断定される打撃を与えている。

四十センチ砲を搭載した戦艦を撃沈したことは、大きな戦果である。

だが当初、撃沈した戦艦は二隻だと考えられていた。

ドイツ艦隊と戦ったタ級は六本もの魚雷受け、イギリス艦隊と戦ったタ級は魚雷一本と二百発以上の砲弾を撃ち込まれている。

両艦とも損傷が激しく、英独艦隊司令部も撃沈だと考えていたが、夜明け後に哨戒艇が確認に向かったところ、前者は艦底部を晒して横倒しになっていたが、後者は海域のどこにもいなかった。

六本の魚雷を受けた艦が未だに沈んでいなかったのを考えると、それよりも早く海中に没したとは考えにくい。

イギリス艦隊と戦ったタ級は大破しつつも、ビスマルク諸島から離脱したのだ。

 

敵戦艦を取り逃がしたものの、深海棲艦隊のラバウルへの艦砲射撃は阻止しており、それを凌いだことでラバウル、カビエン、ポートモレスビーの拡張作業はさらに活発になった。

そして二日前。大規模な重爆撃隊、高速爆撃隊を基地に迎え入れ、今日、戦略爆撃機兵団はガダルカナル島への反撃に打って出たのだ。

 

「機長より総員、ガダルカナルのルンガ飛行場姫まで約四十浬。敵機の迎撃が予想される。警戒を怠るな」

 

53JBG十七号機にて上部旋回銃塔を担当するクリフォード・トンプソン兵曹のインカムに、機長であるエイブラム・ミラー少尉の雑音混じりの声が響いた。

それを聞いてクリフォードは自らが司るブローニング十二.七ミリ重機関銃二丁の安全装置を外し、今一度周囲の確認と動力駆動銃塔がしっかりと回転するか確かめる。

 

「クリフォード、上方に視界があるのはお前だけだ。頼んだぞ」

 

「任せてください」

 

エイブラムはインカムを切り、肉声でクリフォードに念を押した。

B17の上部旋回機銃はコクピットの上な備え付けられており、パイロットと銃手は比較的コミュニケーションが取れるのだ。

 

十七号機の周囲は他のB17に囲まれており、眼下には南洋の暴力的なまでの日光に照らされてぎらぎらと輝いている広大な珊瑚海が、左方にはソロモン諸島の島々が存在しているのがわかる。

 

(今後の戦いは、爆撃機乗りにとって過酷なものになる)

 

クリフォードは周辺警戒を続けながら、これから自分達に訪れるであろう運命に想いを馳せた。

 

ラバウル、ポートモレスビーの基地化が終了した時点で、統合軍南太平洋方面艦隊は次の一手に移っている。

ソロモン諸島の一角であるブーゲンビル島に兵を進め、同島に戦闘機飛行場や早期警戒レーダーを建設すると共に、東方のショートランド島に新たな泊地を整備した。

泊地には南太平洋艦隊隷下の重巡、駆逐艦が展開して攻撃・防衛に備えており、早くも少数の沿岸監視員(コースト・ウォッチャー)が次目標であるニュージョージア島に上陸している。

 

だが、これらの島々に深海棲艦は進出していない。

ブーゲンビル島もショートランド島も、ニュージョージア島も“FS”作戦の遂行には必要な土地だが、あくまでも当面の主目標は「ガダルカナル島」、引いても同島北岸のルンガに建設されているルンガ飛行場姫の完全破壊である。

 

ラバウル、ポートモレスビーの基地化も、ルンガ飛行場姫に対抗するために行われたことだ。

ルンガへの攻撃は、それらに展開する基地航空隊ーーー第二航空集団と戦略爆撃機兵団が担当することになる。

 

ルンガ飛行場姫はクラーク・フィールド飛行場姫に勝るとも劣らない規模を持っており、防空体制も相当なものだろう。

昨年実施された“KD”作戦の航空戦に参加した経験があるクリフォードからすると、そんな迎撃体制が敷かれた敵地に爆弾を投下するなど、二度としたくはない。

だがルンガを落とさなければ、“FS”作戦の遂行は叶わない。

統合航空軍は、ルンガが沈黙するまで幾度となく航空攻撃を実施しなければならないのだ。

その間に何人の兵士が命を落とすのかを考えると、悲観せざる終えなかった。

 

「“ブラックバード・リーダー”より全機。ターゲット・ルンガまでおよそ二十分。激しい出迎えが予想される。各機、今までの過酷な訓練を思い出し、ベストを尽くせ。これ以上、奴らの好き勝手にさせるな」

 

編隊総指揮を執る44JBG司令のレイフ・アンカーソン大佐の声がレシーバーから聞こえた。

レイフの鼓舞に攻撃隊の全員が覚悟を決めた時、「敵機!」の叫びがレシーバーに飛び込んだ。

ほとんど同時に梯団後方のB17が火を噴き、黒い影がその側面を高速で上から下へ通過した。

 

「全機、直上より敵機。撃て!迎撃しろ!」

 

(上空からのトップアタックか!)

 

クリフォードは罵声を発しつつも銃塔を旋回させ、重機関銃二丁の仰角を最大にまで上げる。

もう一機のB17が被弾する。左翼のエンジンが二基とも炎上し、速力を落として高度を下げる。

クリフォードは目を凝らし、頭上を見やった。太陽光が眩しすぎ、急降下中であろう敵戦闘機を視認できない。

だが、素早く色つきのゴーグルに付け直し、凝視する。

 

「見えた!」

 

直角に近い角度で降下する敵機を発見し、照準器の中心に据えてトリガーを引きしぼる。

耳をつんざく音と共に、二門の十二.七ミリ重機関銃から連続して銃弾が吐き出された。一発一発を発射するごとに銃把が振動し、橙色の発射炎が二つの細長い銃身から噴き出る。

照準器に据える敵影は瞬く間に膨れ上がり、右に逸れた。

 

刹那、敵機は猛速で十七号機の左を上から下へ通過している。

風圧が十七号機の機体を小刻みに揺らし、敵弾が命中したのだろう、七、八回甲高い打撃音が機内に響き渡る。

 

畜生(ガッデム)…!」

 

大量に放たれた十二.七ミリ弾は、命中しなかった。

加えて、頭上から近づいてくる敵機は上部機銃を担当する自分が真っ先に発見しなければならない。

自分の気の緩みが、この事態を招いたのではないか…と思わずにいられなかった。

 

「クリフォード!まだ来るぞ!」

 

エイブラムの大声で、クリフォードは我に帰る。

十七号機を狙っている敵機は一機だけではなかった。二番機、三番機が一番機に遅れじと逆落としに突っ込んでくる。

 

(今度はきちっと鉛玉ぶち込んでやる…!)

 

口中で叫び、引き金を引く。

再びブローニング重機関銃が咆哮し、直進性に優れた十二.七ミリ弾が上空に駆け上がった。

空中で十二.七ミリ弾と敵戦闘機から放たれた機銃弾がすれ違い、十七号機の胴体に命中して火花を散らせる。

射撃戦は数秒で終わる。

二番機は先の一番機と同じく、機影も確認できないほどの高速でB17の脇を上から下へ通過し、下部機銃塔の追撃を避けながら下方へと消える。

だが、三機目は捉えることができた。

敵機の機首に十二.七ミリ弾が命中し、相対速度の大きさが相まって大きく引き裂かれた。黒煙を吐き出し、きりもみ状態になりながら海面へと落下する。

 

「オスカーじゃない⁉︎」

 

被弾墜落してゆく敵機を見ながら、クリフォードは驚愕の声を上げた。

 

深海棲艦は、黒い二等辺三角の胴体に白い歯、機銃、エメラルドグリーンの発光部を乗せた甲型戦闘機(オスカー)と、屈折部に半球を乗せた巨大なブーメランのような乙型重爆撃機(ベティー)の二機種しか保有さていない。

甲型戦闘機は多用途機の性能をはらんでおり、戦闘・急爆・雷撃に対応できたため、深海棲艦はたった二種類であらかたの航空作戦を実施することができたのである。

だが、今B17編隊を襲撃している敵機は、オスカーやベティーに似ても似つかない。

オスカーやベティーは紛れもなく異形な軍用機だが、曲がりなりにも航空機である。人類の機体と似通う部分はいくつかあった。

だが深海棲艦の新型機は、完全に航空力学を無視した形状をしている。

オスカーと違って白を基調としており、完全に球状だ。

球の上部にはネコ科動物の耳のような補助翼が付いており、球の左右には小さながらも主翼のようなものを確認できる。

そんな機体の中でもっとも目を引くのが、ギラギラの歯を並べたデカイ口と、オレンジ色の光を発する二つの目である。

オーストラリアの地上戦で猛威を振るっているBDを、少し小さくして白で塗って空に飛ばしたような機体だ。

 

「敵機は新型機だ!注意しろ!」

 

レイフ大佐の緊迫した注意喚起が響き、被弾した敵新型機が黒煙を引きずりながら脇を通過する。

完全な撃墜を確認する前に、クリフォードは自機を狙う敵機が他にいないか目を配る。

その時に眼前に広がった光景を見て、クリフォードは息を呑んだ。

 

十機前後のB17が黒煙を引きずっており、それとほぼ同数が編隊から落伍している。

何機の敵新型機が襲いかかったか分からないが、頭上からの不意をついた急降下攻撃によって、一個梯団分の機体が大きな被害を受けたのだ。

損傷が激しい機体は爆弾を投棄し、比較的近いブーゲンビル島の飛行場を目指して反転する。

それが叶わぬ機体も北へと針路を取り、出来るだけ島に近い海域での不時着を試みる。

それすらもできない機体は海面に叩きつけられ、または誘爆したのか空中で爆発四散し、十名の航空兵が命を散らす。

 

B17はただの爆撃機ではない。合衆国が満を持して送り出した「護衛なしでもやっていける」四発戦略重爆撃機だ。

二十ミリ弾にも耐えうる強固な防弾板が機体中に張り巡らせされており、死角がないように多数の十二.七ミリ旋回機銃が搭載されている。加えて、自動消火装置などのダメージコントロールも秀でている。

そんな機体をいとも簡単に撃墜したとなると、新型機はオスカーよりも強力な機関砲を搭載しているのかもしれない。

 

「右から来るぞ!突き上がってくる!」

 

右側面機銃を担当するマーティン・ブリックス軍曹の声がインカムから飛び込み、クリフォードは銃塔を右に旋回させた。

急降下攻撃を終えて低高度に降りた敵機が、新たな獲物を求めて上昇してきたのだ。

上部に設置されている旋回機銃では、下方の敵機は銃撃できない。敵機が攻撃を終えて頭上に飛び出した時に、射撃を見舞うつもりだった。

クリフォードは銃座から身を浮かし、下方に目をやる。球状をした敵機の数は三。

折しも、十七号機の右方を並走する十五、十八号機を攻撃しようとするところだった。

 

マーティン軍曹の右側重機関銃と、機首下部の連装ガンターレット、下部の動力駆動銃塔が射撃を開始する。

狙われている十五号機、十八号機も、その前方を飛行する十二号機も下方を射界に収めている機銃を撃つ。

青白い曳光弾を含んだ火箭が三機に降り注ぎ、一機が白煙を引きずって高度を下げる。

弾幕を突破した二機が機銃を撃ちっぱなしにしながら十五号機に肉薄し、B17の右前方をかすめるようにして通過する。

クリフォードはその未来位置目がけて機銃を放った。放たれた火箭は敵機の尾部をかすめて虚空に消える。

クリフォードが空振りを悟った時、十五号機の右主翼から炎が躍り、破片と黒煙が噴出した。

十五号機は瞬く間に減速し、梯団から落伍する。

 

「メーデーメーデー。こちら“ブラックバード15”。被弾した!墜ちる、墜ちる!」

 

続いて、前方を進むB17が機首に被弾する。

きらきらとしたものが舞い、機体が大きく傾く。

コクピットを粉砕されたのか、海面に向けてまっしぐらに墜ちてゆく。

続けて左後方で一機がやられる。

敵機から放たれた機銃弾が水平尾翼を吹き飛ばし、そのB17は機体全体が独楽のようにくるくると回りながら墜落する。

 

「また来るぞ、正面だ!」

 

味方機が続々と撃墜される中、エイブラム機長の絶叫がインカムに響く。

クリフォードが敵機に対応すべく銃塔を正面に向けた時には、敵新型機は十七号機の頭上を高速で通過している。至近距離ですれ違ったらしく、クリフォードは敵機の発する凄みに身をすくめた。数発が機体をかすめ、鋭い打撃がB17の巨体を震わせる。

敵機は、明らかにオスカーよりも速い。

オスカーを相手にしているつもりでやると、放つ射弾は敵機の後方を貫くだけだ。

いつもよりも素早く反応しなければ、こいつとは戦えない…!

後方から真っ赤な光が届いた。

十七号機を攻撃した敵機が、後続のB17を撃墜したのだ。

間髪入れず、新たな敵機が後ろ上方から迫る。

クリフォードは目まぐるしく銃塔を旋回させ、照準器の十字に敵機を据えた。

 

「墜ちろ!」

 

小さく叫び、動力銃塔のトリガーを引いた。

周囲のB17も上部機銃を発砲し、青白い曳痕が縦横に飛び交って地吹雪さながらの様相を呈す。

迫り来る射弾に怯んだのか、敵機は距離があるうちに機銃を撃ち、左に旋回して高速で離脱する。

それに対し、クリフォードは銃塔を旋回させて追従した。放たれた火箭は敵機の前方に飛び、敵機は自ら十二.七ミリ弾の奔流に突入することとなった。

機体中を弾丸がえぐり、その敵機は空中分解を起こす。

一機撃墜確実の戦果を上げ、十七号機の機内に歓声が湧く。

 

だが、撃墜に成功する銃座は少ない。

墜落するB17は増加するばかりである。各機の銃座は必死の表情で射弾を放って敵機を近寄らせじとするが、一機、また一機と被弾し、梯団から落伍する。

敵新型機はオスカーよりも速度、火力共に上であり、同機に慣れた銃手たちでは補足するのが困難なのだ。

敵機はB17群の周囲を俊敏に動き回り、機銃弾を叩き込む。B17は大量の火箭をむちのようにしならせて弾幕を張り、対抗する。

全体の一割が海面に墜落し、二割がなんらかの傷を受けているが、レイフ大佐から撤退命令が下る事はない。

B17群は何かに突き動かされているかのように、ガダルカナル島を目指して進撃を続ける。

 

一機撃墜の戦果を上げた十七号機にも、敵機は迫る。

 

「左後方から回り込んでくる。撃て撃て!」

 

尾部機銃を担当するアッシャー・フランク軍曹が叫び、尾部の十二.七ミリ連装機銃が火を噴く。

やや遅れて、クリフォードも後方に向けて射弾を放った。

計四条の青白い曳痕が、回り込んでくる敵機に殺到する。だが敵機はそれを横ロールでかわし、水平飛行に戻る力を利用して機首を十七号機に向けた。

真っ赤な閃光が走り、敵弾が迫る。

オスカーが装備する機銃は二十ミリ一門のみだったが、新型機は二十ミリかそれ以上の機関砲を束で装備しているようだ。凄まじい数の敵弾が投網のように迫りくり、一条が上部動力銃塔の頭上をかすめて前方に消える。

それにクリフォードが怯んだ時、十七号機を衝撃が襲った。

尾部から機首までを衝撃が貫き、クリフォードは銃塔を覆う風防に後頭部を強打する。

機体が不穏な振動を続ける中、敵機は身を翻して下方へ離脱した。

十七号機の振動は激しくなる。心なしか機体が右へ左へと振り子のように揺れ始めた。

 

「…!」

 

垂直尾翼が大きく損傷している。

縦五メートル以上の方向舵が欠損しており、十五、六個の弾痕が目立つ。外板が剥がれており、骨組みが覗かせている。

巨大な尾翼だが、空気抵抗に耐えきれなかったのだろう。数秒後には根元からちぎれ、後方へと吹き飛んだ。

それを境に、B17はがぐんと振動する。巨大な四発機は安定性を失い、落下を開始した。

凄まじいGがクリフォードの身体にかかり、遠心力によって銃座に押さえつけられる。

十七号機はくるくると回転しており、視界には空と海が交互にくる。

 

「き…機長!エイブラム機長…!」

 

クリフォードは身体から声を絞り出し、インカムで機長を呼び出す。

エイブラム機長は第一次ルソン沖海戦の航空攻撃にも参加した経験があり、軍歴はクリフォードよりも遥かに長い。

そのベテランの技量を持って、この状況を打破してくれ…と期待したのだ。

だが、エイブラム機長から返信が来ることも、機体の安定が回復することもない。

海面との距離は瞬く間に詰まる一方であり、波の一つ一つまでが、はっきりと見えるようになる。

B17では搭乗員全員にパラシュートが装備されており、機外に出れば生存の可能性がある。その考えに至ったクリフォードは脱出しようともがくが、身体は恐ろしく重い。

銃座に肉体が張り付いたようになり、指一本動かせない。

クリフォードの口から絶望の呻きが漏れる。

視界を珊瑚海の青々とした海面が占めた時、それは絶叫に変化した。

最後の断末魔でさえ、風切り音に遮られる。

刹那。凄まじい衝撃が機体を揺らし、けたたましい音が耳をつんざく。

十七号機は海面に激突し、木っ端微塵に砕け散った。

 

ーーー攻撃隊は、なおも進撃する。

やがてガダルカナル島を視界内に収め、著しく数を減少させながらも島上空へと侵入する。

戦闘機に変わって、凄まじい高射砲の弾幕が攻撃隊を出迎えた。

 

 

 

 

 

 

 

第七十九話 ガダルカナルの尖兵




今回はB17の死闘と深海棲艦の新型戦闘機を描きました。

史実と同じく、ガダルカナルの飛行場は守りが堅そうですね。戦局はソロモン諸島の覇権に移りました。

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