「起きて、起きてよ」
「ん…んん……」
「あ、やっと起きたよー。おはヨーソロー!」
俺が目を開けると灰色がかった髪の少女がいた。俺の幼馴染みの渡辺曜だ。因みに俺は水谷宗、曜と同い年で今年から高校2年だ。
「『おはヨーソロー』じゃねえよ。曜、なんでお前がここにいるんだ。」
俺は寝起きの低い声で問いかける。
「え?昨日LINEで『明日、新学期早々遅刻したくないから起こしにきてくれ。』って言ってたじゃん。」
俺は覚えてない…。ふと枕元を見ると真っ黒な画面のスマホが置いてある。
「なるほど、昨日寝落ちしたから覚えてなかったんだな。」
そう呟くと曜は悪戯な笑みを浮かべた顔を向けてくる。なんだ、嫌な予感がするぞ。
「人に頼んどいてそれは酷いですなぁ~。こんな寝坊助にはお仕置きが必要だなぁ~。うんうん。」
「本当に悪かった。また今度ジュース奢る。」
「お金で物事を済まそうとするのはねぇ~……」
「じゃあどうすりゃいいんだよ。」
「学校まで自転車の後ろ、乗せてってよ。」
(面倒くせぇ…。)
そう思いながらもこのままじゃ済みそうにないので
「わかったよ。とりあえず着替えるから部屋から出てけ。」
と返事をした。
すると曜は満足そうな顔をして部屋を出ていった。
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着替え終わったのはいいが、曜はどうしようか。外で待たせるのは悪いし……。リビングでくつろいでてもらえればいいか。親は文句言わないのかって?
「あらー曜ちゃん。宗を起こしてくれたの?ありがとうね。ほんと、宗のお嫁に欲しいわ~。」
なんて朝からふざけたことを言うぐらいだから問題はないだろう。てか、むしろ歓迎しそうだな。
「曜、俺が用意してる間はリビングでテレビでも見て待ってろ。」
そう言うと曜は
「適切な処置が出来てよろしい。」
と笑顔で言い、ソファに座りテレビをつけた。おっと、俺も早く用意済ませないと。
朝食のパンをトースターに入れ、タイマーを回す。パンが焼けるまでの間にコーヒーを入れておく。毎朝やっているので慣れている。『今日はパンの上にチョコでも乗せようか。』と思いながら冷蔵庫にある一口チョコの袋に手を伸ばす。………一粒しかない。パン一枚にはせめて三粒は欲しい。仕方ない。今日はそのまま食べるか。このチョコは曜にあげよう。
「おーい、曜。」
「んー?何?」
「ほらよ、これ最後の一粒だ。やるよ。」
そういって手を出すと曜は
「最後なんでしょ?本当にいいの?」
と首をかしげて聞いてくる。
「いいよ、遠慮すんな。」
と俺は答える。どうせ一粒じゃ足りねえし。
「ありがと♪」
一言そう言うとチョコを口に入れ、幸せそうな顔をする。トースターが「チン!」と高い音をあげる。よし、食べるか。
朝食を食べ終えた俺は手早く歯を磨き、寝癖を直す。
「寝癖、直してあげよっか?」
等と曜が言ってくる。
「アホか。ほら、外出ろ。行くぞ。」
俺は恥ずかしさを隠して答える。
曜は
「ごめんごめん。」
と笑いながら言う。
なんかからかわれた気分だ。いつか仕返ししてやろうか。なんて思いながら靴を履く。
「じゃあ行ってくる。」
俺がそう言うとわざわざ母親が玄関まで来てやたら笑顔で
「いってらっしゃい♪」
と返してくる。一体何考えてるんだ。
少し怖い。
「わざわざ来なくていいっての。」
俺が低い声で言うと笑顔のまま部屋に戻っていった。
読んでくれた方、ありがとうございます。これからも一話3パート(予定)で連載を続けていきたいと思っています。定期連載は難しいのでいつ次話が出るかわからないのですが、たまに見ていただけると嬉しいです。これからも温かい目で見守ってください。