恋の形   作:ククルス

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勢い榛名です。
一応ではありますが、優しい嘘の後になります。


悔いて綴る

 

願っていた。

努力すれば叶うと、思っていた。

憧れのあの人に追い付きたい。

ただその一心で…私は。

 

それは理想。

 

でも、現実は無情だった。

努力は素晴らしいと云った。

その行為を貶すことは何人も出来ないと貴方は教えてくれた。

 

嘘だ。

 

結果が伴わねば意味がない。

貴方が居なくては無意味なのに。

最期まで私は偉大な姉には勝てなかった。

 

 

 

 

 

 

それは、そう何も出来ない。

誰にも必要とされなかった私に与えられた奇跡でした。

 

一度目は適性のある少女しかなせない大業に、

私が選ばれたと貴方に告げられた時。

 

二度目は記憶を失わず貴方と再びお会い出来た時。

 

三度目は貴方の艦隊に配属された時。

 

きっとないない尽くしの私の人生で、

初めての恋。

 

 

私じゃない私の記憶は榛名を苦しめましたけれど、

貴方に認められたくて頑張れたんです。

 

血の繋がらない姉様たちも優しくて、

だから榛名は大丈夫でした。

 

…大丈夫だったんです。

 

「HEY!榛名、浮かない顔してマスね?

悩み事はおねーちゃんに相談して下サイね〜!」

 

「あっ…お姉様」

 

榛名は。

 

「榛名は…大丈夫です」

 

その笑顔がただ眩しくて。

暗い性根を見透かされている様で。

 

「…そうデスか?」

 

金剛お姉様が苦手になりました。

 

 

何時からでしょうか。

貴方の瞳が私を見ていないと気付いてしまったのは。

 

金剛お姉様の事を貴方が好いていると知ってしまったのは。

 

 

榛名は、嫉妬してしまいました。

浅ましい心に負けていなければ、

金剛お姉様に正面からぶつかっていれば。

 

きっと後悔し続けることなんてなかった。

 

 

金剛お姉様が被雷して沈んでいく。

偉大な姉の最期の言葉が、

愛しい貴方だけに向けたという事実が。

初めての告白が酷く榛名の胸に刺さるのです。

 

 

 

 

 

 

夏の夕暮れは遅く、海に照らされて赤で世界は包まれる。

 

ボートに揺らされながら、

貴方の背を見つめるだけ。

その身体は小さく見えました。

 

あの日、金剛お姉様が沈んでから…

戦争が終わってもう何十年になるのでしょうか。

 

人を止めてしまったあの日から時が進まない私と、

人間のあるべき姿として老いてゆく貴方。

 

次第に立ち上がることも難しくなって、

去り際にその手を握りながら遺した一言が私の後悔。

 

「臆病な男で、すまなかった」

 

「いいえ、貴方は立派な方でした…榛名は、榛名は幸せです」

 

「…そうか」

 

 

握る手から力が抜けているのが分かって、頬から雫が垂れてゆく。

 

私は、結局最期まで想いを伝えらなかったという気持ちから。

 

私だけになってしまったという孤独から。

 

 

きっと私は金剛お姉様を、嫌ってなどいなかったのに。

 

 

 

「ごめんなさい…っ、金剛お姉様!提督…」

 

「榛名は、大丈夫…じゃあり、ません」

 

 




榛名は我慢し過ぎて、自分の心ですら
誤解してしまうくらい不器用な娘な印象です。

金剛の事も提督も好きで、だからどうにもなりませんでした。
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