一応ではありますが、優しい嘘の後になります。
願っていた。
努力すれば叶うと、思っていた。
憧れのあの人に追い付きたい。
ただその一心で…私は。
それは理想。
でも、現実は無情だった。
努力は素晴らしいと云った。
その行為を貶すことは何人も出来ないと貴方は教えてくれた。
嘘だ。
結果が伴わねば意味がない。
貴方が居なくては無意味なのに。
最期まで私は偉大な姉には勝てなかった。
◇
それは、そう何も出来ない。
誰にも必要とされなかった私に与えられた奇跡でした。
一度目は適性のある少女しかなせない大業に、
私が選ばれたと貴方に告げられた時。
二度目は記憶を失わず貴方と再びお会い出来た時。
三度目は貴方の艦隊に配属された時。
きっとないない尽くしの私の人生で、
初めての恋。
私じゃない私の記憶は榛名を苦しめましたけれど、
貴方に認められたくて頑張れたんです。
血の繋がらない姉様たちも優しくて、
だから榛名は大丈夫でした。
…大丈夫だったんです。
「HEY!榛名、浮かない顔してマスね?
悩み事はおねーちゃんに相談して下サイね〜!」
「あっ…お姉様」
榛名は。
「榛名は…大丈夫です」
その笑顔がただ眩しくて。
暗い性根を見透かされている様で。
「…そうデスか?」
金剛お姉様が苦手になりました。
何時からでしょうか。
貴方の瞳が私を見ていないと気付いてしまったのは。
金剛お姉様の事を貴方が好いていると知ってしまったのは。
榛名は、嫉妬してしまいました。
浅ましい心に負けていなければ、
金剛お姉様に正面からぶつかっていれば。
きっと後悔し続けることなんてなかった。
金剛お姉様が被雷して沈んでいく。
偉大な姉の最期の言葉が、
愛しい貴方だけに向けたという事実が。
初めての告白が酷く榛名の胸に刺さるのです。
◇
夏の夕暮れは遅く、海に照らされて赤で世界は包まれる。
ボートに揺らされながら、
貴方の背を見つめるだけ。
その身体は小さく見えました。
あの日、金剛お姉様が沈んでから…
戦争が終わってもう何十年になるのでしょうか。
人を止めてしまったあの日から時が進まない私と、
人間のあるべき姿として老いてゆく貴方。
次第に立ち上がることも難しくなって、
去り際にその手を握りながら遺した一言が私の後悔。
「臆病な男で、すまなかった」
「いいえ、貴方は立派な方でした…榛名は、榛名は幸せです」
「…そうか」
握る手から力が抜けているのが分かって、頬から雫が垂れてゆく。
私は、結局最期まで想いを伝えらなかったという気持ちから。
私だけになってしまったという孤独から。
きっと私は金剛お姉様を、嫌ってなどいなかったのに。
「ごめんなさい…っ、金剛お姉様!提督…」
「榛名は、大丈夫…じゃあり、ません」
榛名は我慢し過ぎて、自分の心ですら
誤解してしまうくらい不器用な娘な印象です。
金剛の事も提督も好きで、だからどうにもなりませんでした。