帝国で斬る!   作:通りすがりの床屋

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さて、お兄さんの小説を待っていた人がいるのか疑問に思うところですが、『帝国で斬る!』再会でーす!
長い休みでしたね!ごめんなさい!
でもって早速で悪いんですが今回は幕間の物語
おおよそ出番がないスタイリッシュなあの人の……


幕間 ある少年の記憶

少年の人生は殆どが暗闇に覆われていた

少年の両親は貧しいながら少年を愛し育ててくれた

少年は幸せだった

不満があるとしたら空腹感を満たしたことがないことくらいだろうか

少年は幼いながら、貧しい暮らしでお腹一杯食べれるほど食料がないのを理解していた

でも、子供の少年は我慢できなかった

村の牛があまりにも美味しそうに見えたから、我慢できず食べてしまったのだ

少年は両親に叱られてしまうと困った

でも、食べてしまったものは仕方ない

素直にごめんさないしようと家に帰った

やけに村が静かで雰囲気が違ったけれど少年には分からなかった

家に帰るとお父さんとお母さんが少年の名を呼んだ

呼ばれたから返事をした

そしたらお父さんは怖い顔をして、お母さんは泣いてしまった

どうしてそんな顔をするのか少年はわからなかった

困惑する少年をお父さんは蔵に押し込めた

きっと、牛を勝手に食べてしまったからお父さんはとても怒っているんだ

きっと、人のものに手を出したからお母さんはとても悲しんでいるんだ

少年は蔵の中で謝った

二度としないから出してと何回も何回も

でも、蔵から少年は出してもらえなかった

日の光が入らない暗闇の中で少年は声が枯れるまで謝った

喉が渇いた

お腹が減った

少年はこのままここで死んでしまうんだと泣いた

そうするとどうしたことか蔵が開いた

開けたのはおじいちゃんだった

おじいちゃんは少年にご飯を持ってきてくれた

おじいちゃんは謝りながら蔵から出てはいけないよと少年に言った

なんで?と聞いたけどおじいちゃんは教えてくれない

それからお腹が減るたびにおじいちゃんが食べ物を持ってきてくれた

来る日も来る日も少年は暗闇の中、おじいちゃんがご飯を持ってきてくれるのを待った

もっとも、暗闇の中で少年は朝も夜も分からない

どれだけの時間を蔵の中で生活したのか分からない

やがて、お父さんが動かなくなったおじいちゃんを蔵に放り込んだ

蔵はすぐに閉じられ、おじいちゃんは見えなくなった

お父さんが食べ物を盗む悪い人だと言っていた気がする

少年はおじいちゃんを揺するがそこには冷たいナニカしかなかった

おじいちゃんはどこにいったのだろう?

でも、オイソシソウダ

この日のご飯はとても美味しいお肉だった

 

いつまで経ってもご飯を持ってきてくれない

当たり前がご飯を持ってきてくれるおじいちゃんはここにいて

少年が■■てしまったのだから

 

少年は蔵の扉を叩くが返事は返ってこない

声を出そうとしても獣の呻き声しか聞こえない

声が出せなくなってしまったのか

扉をドンドンと叩く

ドンドン

ドンドンドン!

ドンドンドンドン!

ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!

お腹が減ったよ

ご飯を頂戴よ

じゃないと■■ちゃうよ

 

気付いたら蔵の外にいた

きっと、お父さんとお母さんが許してくれたんだ

少年は喜んだ

いつの間にか手と口元が赤く濡れていた

お父さんとお母さんの姿が見えない

どこに行ったんだろう?

 

村の皆が怖い顔で鎌や鍬を少年に突き付ける

なんで酷い事するの?

なんで痛い事するの?

なんで傷付けるの?

優しかった皆がおかしくなっている

ギラギラした目で少年を怒鳴りつける

『怪物』と

少年は怖くなって逃げた

逃げて逃げてオナカガヘッテ

手を赤く汚して

逃げた先で、知らない人達が襲ってきて

また逃げて

逃げて

タベテ

タベテ

タベタ

嗚呼、オイシイ

もっと、もっと、お肉を頂戴よ

 

※ ※ ※

 

「アラ?急に大人しくなったわね」

 

男の人の声が聞こえた

生きたニンゲンを見るのは酷く久しぶりな気がする

気が付けばいつも少年の周りは赤色だけ

デモ、マダ、タリナイ

 

「この危険種、理性があるのかしら?いえ、違うわね……もしかして人間?」

 

男の人は少年を見ているようで見ていない

この男の人の目は初めてだ

おじいちゃんのように優しい目でもない

お父さんやお母さんの怯える目でもない

底が見えない昏い目だ

 

「食べるほどに際限なく成長する危険種……この子使えば最高にスタイリッシュな兵器が造れる!うふふ、アタシの『夢』に大いに近づくわ!」

 

少年は暗い檻の中でマッドでオカマなサイエンティストに出合う

ご飯をくれるいい人だ

 

 




……実験動物のお話でした
ふと思いついたから書いた
どうせ原作ではあの危険種がどういう経緯で出来たかなんて説明されていないはず!
なら、捏造してもいいじゃない!
オールベルグのギルベルダとカサンドラも生まれつきアレなら名を忘れた少年みたく突然変異で危険種になるのがいてもおかしくないですよね!


前回言ってた息抜きの百合回はなしだ
どう足掻いてもヤンデレ
フラグが足りない
チェルシーは現時点で死ぬ定めではない

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