光秀が子供になってしまいます。
静かな研究室に検査機の電子音だけが響く。研究室の主は顕微鏡を見つめたまま置物のように動かない。
そんな主の隙をぬって薄い頭がコーヒーメーカーに近づいた。
コーヒーメーカーそばに置かれた砂糖の瓶に少量の粉末を混入させる。
そうして目的を達した犯人は再び床を這いつくばるようにして研究室を後にした。
廊下に出た犯人はドアをそっと閉めたところで大きく口を開かせる。
「ふはははは!もうおまえより年上なんて言わせんぞ!!」
犯人はどや顔で笑いながら地下廊下を歩き立ち去って行った。
それから三十分ほど経った頃に外科部長が研究室を訪れる。
「石黒、生きてるかー」
「………生きてます」
顕微鏡を見つめたまま動かない石黒から返事が来たため外科部長はそれならと向かい側の椅子に座る。
だらけるようにうなだれた外科部長に石黒はやっとのことで動き出した。
コーヒーメーカーでコーヒーを入れながら疲れているのかと問いかける。
「んー……いつも通りだろ」
「血糖値が低いようなので、コーヒーに砂糖を入れますよ」
「んー、任せる」
普段はブラックコーヒーを好んで飲む外科部長へ微量の砂糖を入れたコーヒーを差し出す。
それまでぐったりとうなだれていた外科部長はコーヒーの香りに誘われるように頭をあげた。
「だりぃー」
「ですから、低血糖なんですよ。いっそのこと緋田からガムシロップを……」
「あー、石黒の入れてくれたコーヒーうまそーだなー」
ガムシロップは嫌だとばかりに外科部長はカップのコーヒーを一気に飲み干した。
だが外科部長は眉を潜めて空のカップを見つめる。
「なんか変な味だったな」
「いつも濃すぎるコーヒーを飲んでいて舌がおかしくなりましたか?」
外科部長の言葉をさらりと流した石黒は資料を取りに行くべく隣室へ移動した。
資料室へ移動して数分後、研究室に叫び声が響き渡る。
資料室にいた石黒は何事かと慌てて研究室へ戻り、同時に研究室の表側から前木が飛び込んできた。
「みっちゃんどうした!!」
「……………………」
入り口に立つ前木からは見えない机の下に子供がひとり潜んでいる。
机の上にはコーヒーのカップがあり、椅子には外科部長の上着がかけられている。
そして机の下の子供。
「前木、何もありません。それよりそろそろ小児科へ行く時刻では?」
「あっ、そうだった。後でおにぎり差し入れするからって言いに来たんだった」
じゃーなーと手を振り前木は研究室から出ていく。
それを見送った石黒は、改めて机の下から出てくる子供を見た。
年の頃なら10歳くらいか。いつもの険しい顔ではなく、成長途中の幼い顔がそこにはあった。
「明紫波、ですよね?」
「俺どうなった? 全身すげぇ熱い」
「子供の姿になっていますよ!」
「はあっ!?」
何がどうなってんだと叫んだ声はいつもの外科部長のものとは明らかに違っていた。声変わり前の可愛らしい声で研究室を走り姿見の前に立つ。
主にその姿見は前木が使うもので、置いて行ったのも彼だ。
そしていま、そこには幼さの残る顔立ちの少年がぶかぶかの服を引きずって立っている。
「石黒……どうなってんだよ……俺この後も仕事があるんだぞ」
「幸いなことに今日この後のカンファレンスは外科部長抜きでもできます。それに今日の仕事はあらかた片付けたのでしょう?」
「…………まぁ、な。あとは明日搬入予定の機材の取説を頭に叩き込むくらいだ」
「ではこちらに来て下さい。貴方の状態を調べましょう」
石黒は奥の部屋に手を向けて進むよう促した。
狭い室内にぐちゅぐちゅと濡れた音が響く。向かい合う形で石黒の肘に乗せられた少年は、幼い下肢を握られ揉みほぐされていた。
「石黒……もう……」
「いつもより早いですね。幼くなって堪え性も無くなりましたか?」
「…ぅる、せ……んぁあああっ!」
細い身体を痙攣させて小さな自身から半透明の液体がポタタとこぼれる。
「まだそちらも成長途中のようですね」
「もうだまっ……ぁぁっ」
後ろに手を伸ばした石黒に秘部をほぐされなから少年となった光秀は文句をぶつけた。
しかし口を開いても出るのは文句よりも喘ぎ声だった。
「ほら、逃げていては身体検査はできませんよ」
石黒のやや熱のこもった声が耳のそばに聞こえて光秀の身体がゾクゾクと震える。
やがて三成の巨大すぎるものがあてがわれ光秀は全力で首を横に振った。
「大人の時でもおまえのはきつかったろーが!」
「おや、そんなこと初めて聞きましたよ」
幼い悲鳴のような声に三成は笑って返した。普段の光秀が、そんな弱気なことを言うわけがないのだ。
やがて三成のものがゆっくりと幼い光秀の中に入り込んでいくと、光秀の口から幼く甘い声が漏れていった。