管理局から接触した翌日、大樹は森の中に来ていた。
心を落ち着かせ、大岩を殴ru.
大岩にはヒビが入った。
「むっ、けっこ難しいな二重の極みは」
大樹はそう口にして、ニャンコ先生に見せてもらった記憶を思い出す。
体格が一回り大きい僧と鳥頭の青年が食事していた。
僧は自分のことを破戒僧であると告げる。
青年はその破戒僧から仏像を粉微塵にした技を教えてくれと頼んだ。
いくつか質問された青年は破戒僧からは技を教えてもらえることになった。
「まず拳を突き立てて、石に一撃を加える、
そして、一撃目が石の抵抗とぶつかった瞬間、拳を追って二擊目を入れる。
すると、二擊目の衝撃は石の抵抗を受けることなく、石を完全に粉々に粉砕する。
これが、私が十年の修行で会得した破壊の極意『二重の極み』だ」
大樹は落ち着かせ、破壊僧が言っていたことを一字一句思い出す。
高町なのはの父、高町士郎は散歩に来ていた。
木々に囲まれ心が落ち着くと思っていたとき、先客がいることに気づく。
ただし、その先客は散歩でなく立ち止まって何かを考えていた。
「あれは、昨日の子だな」
士郎がそう思っているとき、少年は何か気でもおかしくなったのか、
拳を握り躊躇なく大岩を殴った。
普通なら、少年はそのまま拳を痛めるはずだった。
だが、少年の拳は傷つけるどころか、大岩を粉微塵にした。
「!!」
それを見た士郎は驚愕した。
そして、少年は満足そうな表情をした。
「よし、とりあえず、右拳でできるようになった、あとは左手、
そして蹴りでできれば無駄に気を使う必要はなくなる。
(それに、気を使えばこれと比べ物にならない破壊力も出せる)」
驚くことに少年はまだ満足できていなかった。
「………」
「さて、今のイメージを左拳と両足にしっかりイメージさせて明日試すか
(うまくいけば、思っていた以上に早く傀儡のナギとジャックと戦えるな)」
少年はそう言って、士郎が来た別の道をつかって旅館に戻った。
この時、士郎はその少年に興味を持った。
大樹は旅館に戻り、部屋でゴロゴロしているニャンコ先生に苦笑した。
(似合いすぎる)
「なんだ、帰ってきてたのか、どこに行っていたのだ?」
「いや、二重の極みを習得しようとしてな、
とりあえず、右の正拳でならできるようになった」
「………今なんと言った?」
ニャンコ先生が聞き返した。
「だから、右拳の正拳でできるようになったんだよ、
それより、タマモは?」
「呆れたやつだ、まさかほんの一時間で会得とは、
あの鳥頭の小僧は三日たっても習得できなったものを」
実際は一週間だが、ニャンコ先生は飽きてよその場所に移動したからどうなかった知らない。
「まあ、コツをつかむのには少し手間取ったけど、
つかめば簡単に出来たぞ」
「あやつが言っていた意味がよくわかった」
ニャンコ先生は模擬戦でガトウが言っていた意味を理解した。
「それで、タマモはどこ行ったんだ?
一緒に散歩に行こうとしてたんだけど」
「あの女狐なら山奥の妖怪のところに向かったぞ」
「山奥?」
「ああ、山奥を縄張りにしている妖怪がいてな、
妖怪の情報をよく知っている妖怪だ」
「なんで、そんな妖怪に会いにいたんだ?」
「貴様の折れた刀にかわる武器を探しにいったのであろう」
「そっか、でも、簡単に見つかるか?」
「さあな、ただ、四百年以上前の話になるが、
妖刀の話を聞いたことがあってな」
「妖刀…」
「確か、刀は完成してすぐ、自分を打った人間を斬って殺したとか、
勝手に動くとか面白い噂が流れていた」
「へ~」
「まあ、材料が鬼の牙とか凶暴な妖怪の血を使ったとか噂が流れていたから、
妖刀になってもおかしくないがな」
「どうなったんだその刀?」
「確か、どこかの徳の高い坊主に山奥に捨てさせたと聞いたが、
どこの山とかは知らんな」
「なるほど、タマモはその刀の場所を聞きに行ったのか?」
「そうだろうな、あやつは呪術が得意だからの、
刀の妖力を抑える呪術でも使ってお前にあげたかったんだろ」
「そっか、でも、刀って手入れしないとまずいんじゃなのか?
そういった曰くつきなものだと、そういった手入れをする人に頼めないし」
「なあに、心配するな、そういった物は新品同然だと相場が決まっている。
何しろ、刀に宿っている妖気はかなりのもだと聞いた、
そう簡単に妖気が消えて刀が悪くなることはまずないだろ」
「そういうものか」
「むしろ、妖気が高まって貴様を斬り殺すかもしれんぞ?」
ニヤリと笑みを浮かべて告げるニャンコ先生に大樹も笑みを浮かべて。
「それは面白そうだな」
大樹はニヤリと笑みを浮かべて、ニャンコ先生が語った刀に興味がわいた。
(魔法世界でも魔剣とかの噂は聞いてたが、
実際に見たことなかったな、妖刀に関しては詠春には何度か話を聞いたし、
面白そうだ)
歳相応な笑みを浮かべる大樹。
その頃、アーウェルンクスはプレシア・テスタロッサかを
記憶を操作して『プロジェクトF.A.T.E』に関しての情報を引き出していた。
「これが、すべての情報よ」
「そうか、この部屋で起きたことを忘れ、元の場所に戻れ」
「わかったわ」
感情のない表情でプレシアはアーウェルンクスがいた部屋から出ていった。
「人工生命体に関しては、僕達の世界の方が進んでいるか。
だけど、利用はできるな」
アーウェルンクスはかつての主の死体に触れた。
「さて、魔力を使った遠隔操作で主の代わりはできるが、
以前のような威圧感がない以上、あの男にはすぐバレる……」
アーウェルンクスはどうしたものかと考え、持っていたジュエルシードに目がいく。
「試してみるか」
そう言って、持っていたジュエルシードをかつての主の中に押し込んだ。
「これで少しは、威圧感が出ているな、
これ以上、ジュエルシードを使うと操作が難しくなるな」
アーウェルンクスはそう言って、創造主の死体に残った記憶を元に造った、
「さて、君には働いてもらうよ、弟くん…いや、
この場合息子になるのか? まあいいか」
アーウェルンクスはそう言うと、視線をモニターに移した。
そこには、自分が召喚した悪魔と戦っている大樹が写っていた。
「これだけ、魔力に差があるにもかかわらず、
勝ってしまうとは、サウザンドマスターとこの男といい、
少しは楽しめそうだ…(楽しむ?)」
アーウェルンクスは自分の言った言葉の意味を考えていた。
「僕は楽しんでいるのか……」
この世界に来てから、まず考えたのが体力の回復、そして次は魔法世界に戻り
『完全なる世界』の為に動くことだった。
管理局という存在をプレシアから引き出し、
どんな組織かを見るため、ジュエルシードがばらまく少し前に、ジュエルシードの情報を流した。
そして、先にジュエルシードをいくつか手に入れたアーウェルンクスは、
創造主の力になるためにひとつ取り込んだ。
しかし、ジュエルシードを取り込んでから、彼は変わった。
以前、忠誠を誓っていた創造主の道具という自覚があったが、
今はそれがない。
ゆえに、アーウェルンクスはあるひとつの事に疑問を思った。
それは創造主は人々のために『完全なる世界』を創ろうとしたのかと。
忠誠心が消えたことで、主のために働く気はなくなったアーウェルンクスは、
なぜ、創造主がそんなことをするのか考え、とりあえず人間を観察すことにした。
管理局が現れるまで、二つのジュエルシードを手に入れてフェイトたちを見張っていた。
そして、管理局が現れるが落胆した。
そのあと、かつての敵である紅き翼の一人を見て棚からぼた餅かと思いきや、
その男は魔力を失っていた。
アーウェルンクスはこれからどうするかと持て余していたら、
モニターには自分が残した悪魔が大樹にやられたことを知る。
それ故、彼を試すという目的ができた。
「明日には君に目覚めてもらうよ、2、
そして、これを殺してもらおうかな」
アーウェルンクスはそう言って『プロジェクトF.A.T.E』の技術で、
自分と同じ姿をした人形を造り始めた。
「ジュエルシードは残り7つ、内六つは海の中、
そして残り一つの居場所は知っている、そこで君の力を見せてもらおうかなサモンマスター」
翌日。
高町桃子は商店街に夕飯の食材を買いに来ていた。
その帰りに、変わった少年を見かける。
少年はコンビニから出てきた。
それだけならまだ気に求めなかったが、
少年が持っている大量のおにぎりとお弁当に目がいってしまった。
「あの子、そういえば旅館に来ていたなのはの友達よね」
加えて、息子が迷惑をかけた男の子でもある。
コンビニから出ただけなら大して珍しくもない、
けど、彼が持っている弁当の量が尋常じゃない。
「さて、これをおいたらもう一件、コンビニ行くか
それで、当部食事には困らないだろ」
大樹はそう言って急いで家に帰った。
大量に買った理由は、ダイオラマ球で修行するタメでもある。
修行中は食事になんか気を使っていられないため、こうやって大量に買っている。
もちろん、そんなことは桃子が知るはずもなく、知ったとしても放っておけないだろう。
ゆえに桃子はこの時のことを、夕飯の時に家族に話した。
当然、恭也以外は気になり、士郎にいったては彼の身の回りを調べると言い出した始末。
翌日、なのはは大樹に挨拶したとき、大樹の拳には包帯が巻かれていた。
大量の弁当を買った大樹は直ぐにダイオラマ球の中に入った。
ただし、弁当は一日分だけ持っていった。
それから、15時間後、大樹にとっては一五日後、
大樹は気を使った二重の極みを習得した。
「随分と中におったな」
ニャンコ先生はもう少し早く出てくると思っていた。
「いや、思った以上に気で強化した状態での二重の極みは難しいだよ。
気で強化したら威力が高すぎて二擊目を入れる前に目標は壊れたからな」
「で、どうやって習得した」
「簡単だ、最初の一撃を加えたあとに瞬時に気で強化して二擊目を入れる。
もっとも。一瞬で気を練って強化しないといけないから、最初は一瞬で気で強化できるよう修行をした」
「それで時間がかかったのか」
「そのあとは二重の極みを試したが、
タイミングがかなり難しくて、時間がかかったんだよ。
もっとも、今回の修行で身体能力もかなり上げたから有意義な修行だったが」
大樹は満足した表情をしていた。
「あの煩悩ギツネの呪術は役に立ったみたいだな」
「ああ、あれがあるおかげで、見た目の変化はないからな」
大樹はタマモに見た目が変わらないよう呪術をかけてもらった。
そのおかげで、見た目は変わっていない。
「タマモがいなかったら、あまり別荘は使用できないからな。
子供の体はすぐ成長するし、急に姿が成長したら周りに怪しまれるからな」
「全く、人間というのはめんどくさい生き物だ」
ニャンコ先生はそう言うと大樹も同感だと苦笑した。
「それで、そのタマモは?」
「あやつなら、妖刀の在処に目処がついたらしいので現地に調べに行った」
「そっか、、じゃあ、朝飯にするか」
「どうせ、コンビニのおにぎりだろ」
ニャンコ先生は文句を言いながら台所に向かった。
「ほれ、これ」
大樹は苦笑しながら酒瓶をニャンコ先生に投げた。
「こ、これは!?」
「二重の極みを教えてくれた礼だ。
昨日、弁当を買うついでに買っておいた。
弁当の数のおかげで、怪しまれずに済んだからな」
「そ、そうか、にゅふふふ、貴様もいいところがあるではないか」
ニャンコ先生はニヤニヤしていた。
大樹はボロボロになった手は水で洗っただけで、治療せずに学園に向かった。
「大樹君、おは…」
そして、なのはが挨拶してきたが、大樹の拳を見て言葉を失った。
「そ、それ、もしかして襲われたの!?」
「ん、ああこれか、ただの特訓。あんまり痛くないから洗っただけだけど、
目立つか…」
大樹自身はあまり痛く感じなかったから放っておいたが、
なのはの反応を見る限りかない目立っているとわかって、
保健室に向かった。
なのはも心配になって、一緒に行った。
そこで、保健の先生は「ボクシングでも始めたの?」と呆れながら大樹の拳に包帯を巻いた。
「ほ、本当に襲われたわけじゃないの?」
「ああ、さっき言ったように特訓だ。あの鳥頭と筋肉だるまを倒すにはこれくらいやらないと…」
大樹はブツブツと呟き始め、なのははそれでもダイキの拳のことが気になっていた。
「あ、あの、ユーノ君に頼んで治療してもらうのは?」
「治療はいらない」
「え?」
「気を練り上げて、身体を活性化してるから、この程度のキズ、
明日には消えてる。だから、なのはが心配する必要はないぞ」
「ほ、本当に?」
「ああ(詠春と違う意味で厄介な子だぞ、なんでこんなに気になるんだ?)」
そんな二人を遠くから見ているなのはの親友であるアリサにすずか。
すずかは微笑ましく見ているが、アリサは我慢ならないという表情で睨んでいた。
お昼休み、なのはは大樹を誘うと言った。
すずかは了承したがアリスは渋々了承。
三人は大樹のペット来ることを知っているから、
大樹がいつも食べる場所に向かった。
ついたとき、四人にとって思いがけない事が起きた。
「め~し~を食っべにっきったぞ~♪」
酔っ払ったニャンコ先生が登場した。
「あ、あわわわ~」
「「……猫が喋った!?」
「はぁ」
なのはは慌てていて、大樹はため息をついた。
「どうしたのだ~ん? 仙道が四人にいや…12、13…もう数えるのが面倒になってきぞ~、
それより早く飯をよっこせ~♪、今の私は気分がいい、だから、コンビニの弁当でも構わんぞ♪」
今朝渡した酒を飲み干したニャンコ先生は超ゴキゲンであったが大樹は酒を渡したことを後悔した。
大樹はすずかとアリサに視線を移し。
「腹話術だ!!」
と、ドヤ顔でごまかしたが。
「んなわけあるかーーー!!」
アリサから気持ちいいツッコミをもらった。
「仙道くん、流石にその言い訳は…」
「にゃはは…」
「わかってる、言ってみただけだ」
大樹はとりあえず食べながら説明しはじめた。
「コイツは妖怪だ」
「ええーーーーーーーー!!!?」
最初に驚いたのはなのはだった。
「いや、なんでなのはが驚く?」
「だって、てっきり使い魔だって思ったの?」
その言葉で、アリサはなのはに視線を移した。
「その、使い魔って言葉、アンタが最近おかしいことに関係があるのよね?」
「あ!?」
なのははしまったという顔をしていた。
「もしかして、魔法について全く教えてないのか?」
「だ、だ、大樹君!?」
「もう、説明したほうがいいぞ、これから何かあったときは二人がお前の口実に合わせてくれたらいろいろ便利だし、
何より、親友だろ?」
「う…」
二人は真剣な表情でなのはに向ける。
なのはは観念して魔法について説明をした。
「それで、ここ最近あんたの様子がおかしかったのね」
「う、うん」
「水臭いよなのはちゃん」
(ニャンコ先生は加齢臭くさいが…)
内心そう思い大樹はニャンコ先生に視線を向けた。
「で、アンタもなのはに協力してたの?」
すずかが大樹に問いただした。
「いや、この前の旅行で初めてなのはが魔法が使えるのを知ったばっかだ」
「そう…、で、なんで、あんたの拳はそんなに怪我してたの?」
「特訓だけど、俺としてはなんでバニングスはそんなに怒ってるんだ?」
「そういえばそうなの、アリサちゃん何でそんなに大樹君を目の敵にするの?」
なのはは気になって質問した。
「こいつが、ピアノをやめたからよ」
きっぱりと行ったアリサだが、その意味をなのはとすずかは理解できなかった。
「ピアノ?」
「あれ、俺お前にピアノやってたって教えたっけ?」
「っく、私のことなんて覚えてるわけないか。
どうせ、あの程度あんたの記憶に残らないほど下手ですからね」
「大樹君ってピアノ引けるの?」
「昔少しな(そういえば、アスナやテオドラに引いてやったけ)」
「少し? ふざけんじゃないわよ。こいつはその気になれば世界に狙える素質はあるわよ。
それなのに、手をそんなにボロボロにしてふざけてんの?」
「えーと、アリサちゃんが大樹君を嫌ってるのって、
ピアノをやめたからなの?」
「そうよ! コイツのピアノを聞いて夢を諦めたやつはたくさんいたんだから」
「ああ。悪いんだけど、俺は別に自分からピアノをやったわけじゃないぞ、
両親に無理やりやらされてたからな」
「無理やり?」
「そう、うちの両親は働かなかったからな」
「いや、だったらピアノスクールなんて通えなじゃない?」
「費用は爺さん婆さんが出してたんだよ」
「お爺さんとお婆さんが?」
「そう、両親の実家はかなりの金持ちみたいでな、
両親は末っ子らしく、跡取りと関係ない立場で甘やかされて育ったらしい」
大樹は自分の両親の会話をしているが、赤の他人の話のように話している。
「俺が結果を出せば、両親から俺の教育費をもらってたんだが、
愛人にお金を使って、もっとお金が欲しいからスクールを辞めさせられたんだよ」
「……愛人って!」
いきなり昼ドラよろしく並みのドロドロとした単語に絶句するアリサ。
「まあ、そんなわけだから、俺はピアノに関しては何も思ってない」
「そ、それで、両親とは……その…」
なのはは大樹に質問しようとするが、大樹は両親が死んだことをはなさなければならない自体だと理解して、ごまかすための言葉を頭をフル回転させ探した。
『ご主人様、妖刀の居場所を見つけましたけど、
もって帰りましょうか?』
大樹にとってはナイズタイミングの報告だった。
『いや、今からすぐに行く』
『今からですか!? 授業は?』
『フケる』
大樹はすぐに持っていたコンビニのおにぎりを口にくわえて飲み込み、
ニャンコ先生の首を掴んだ。
「悪い俺、急用ができた、先生には珍しい動物を追いかけに行ったって言っといてくれ」
「え!?」
「んじゃっと、なのは、リンディさん達に今回はいけないと言っといてくれ」
「え!? え!?」
「理由は新しい刀を見つけたから取りに行くって、んじゃ!」
大樹は急いで学校を出ていった。
それをみていたなのは達はポカンと呆然としていた。
「貴様どこ行く? 私はまだ全部飯を食っていないのだぞ?」
「夕飯は出前にするし、酒も出す。
今すぐタマモのところに行くぞ」
「なぬ!! よしきた!!」
ニャンコ先生は返事をして元の姿になり、大樹を背負って飛んでいった。
無論、誰にも見られるずに。
一方、なのは達はとりあえず、食事を再開したが、
アリサは男のようにガツガツ食べ始めた。
「ア、アリサちゃん?」
「仙道くんにピアノのことを聞いたのを後悔してるなら謝れば許してくれると思うよ」
すずかは提案してアリサを宥めた。
「わかってるわよ。 ああもう、あんなことを言うじゃなかった」
アリサは軽はずみにピアノの話しをしたことに後悔していた。
その反応を見るなのははありさが思いやれる性格だと再確認する。
「でも、そんなにすごかったの、大樹君のピアノ?」
「そりゃあ、すごかったわよ、あれを聞いた子の殆どは夢を諦めて、
スクールをやめた子が多かったわよ」
「アリサちゃんもその一人だと」
すずかは苦笑しながら口にすると、アリサは不機嫌な表情で肯定する。
「なのははこれからどうするのよ?」
アリサは話題を変えるためになのはに質問した。
「私はフェイトちゃんとお友達になりたいの!」
「だったら、自分の思った通りにやりなさいよ、
んでもって私たちに紹介する、OK?」
「そうだね、その時は歓迎会でも開くから、
頑張ってね」
「うん!!」
なのはは二人と約束して自身の決意を固めた。
それから、二時間後、大樹はタマモと合流した。
「けっこう、時間がかかったな」
「全く、私は貴様のタクシーじゃないぞ」
「文句言うなよ、お酒も出すんだから」
「約束、忘れるなよ」
「お前少しは遠慮しろ」
タマモは呆れた表情でニャンコ先生を睨んだ。
「タマモが気にすることないぞ。それと、
タマモもありがとうな。で、褒美は何がいい」
「ご主人様の抱き枕になりたいと所望します!!」
迷い無き答えに大樹は苦笑した。
「ま、まあ、お前が望むなら構わないけど…、
で、この穴か」
大樹は樹海の中にある穴に覗く。
「はい、ここに捨てられてるようです。
か~な~り~厄介な妖気を放ってますよ」
「ああ、感知能力がない俺でも冷や汗が出てるからな、
しかも、こんな所じゃ地元の人間も絶対来ない場所ときた」
大樹達がいるのは山の樹海の奥、しかも、獣道を通らないと行けない場所である。
「さて、拝みに行きますか。お前たちはここにいろ」
「は~い、気をつけてくださいましご主人様」
大樹はそう言って、穴に飛び込んだ。
「結構深いな、15Mぐらいか、暗くて見えないがかなり広いな、
……刀の場所が見えてると言ってもいいくら禍々しい妖気を放ってるな、おい」
大樹はおもちゃを見つけた子供のように笑みを浮かべていた。
「こういう、曰く付きの物を見るのは始めてだからワクワクするな」
大樹が刀に近づこうとすると、カタカタと刀はひとりでに動いた。
「うひょ~、幽霊がいるみたいだな、
あるいはマジ物の幽霊だったりして」
大樹は素直な感想を言いながら懐中電灯をつけた。
彼の目に映ったのは、綺麗な刀、
そして、小動物の死骸だった。
「おいおい、血を求めてるっていうの大げさって感じじゃないな」
大樹はそう口にして、刀の柄を握った。
瞬間
何かに精神を食われた錯覚に襲われた。
「こりゃあ、面白い。
本来武器に頼るのは好きじゃないが、
これはアリだ」
大樹は気を練って、刀を構えた。
「以前と違って、一体感があるな、
まじでアリかもしれない。詠春が業物を使う理由がわかるわ、
っと、そんなことよりここを出るか」
大樹はそう言って、飛行魔法を使い外に出た。
「それが妖刀ですか」
「ああ、で、コイツの名は?」
「ないぞ」
大樹の質問にニャンコ先生が答える。
「ないって、マジ?」
「マジです。 打った本人を殺して、
直ぐにこの場所に捨てられたため、名前もつけられなかったんですよ」
「で、どうする? どうせなら私が名づけてやろう」
「どんな?」
「名無しの妖刀だからナナシノヨウちゃんでどうだ?」
「…………っ」
ニャンコ先生が提案した名にタマモは絶句した。
「よし決定!」
大樹は迷いなくその名前を名付けた。
「ちょ!? ご主人様正気ですか!?」
「なんだ貴様、私が考えた名前に不満があるというのか」
「大アリじゃあボケェ!! どんだけネーミングセンスが無いんじゃ貴様はぁ!!」
「貴様にいわれたくないわ、アホギツネ!!」
こうして、大樹は新しい刀、
妖刀ナナシノヨウちゃんを手に入れた。
家に戻った大樹は出前を頼み夕飯食べた。
その後、タマモがジュエルシードの発動を感じて、
すぐに現場に向かった。
そこには、なのはとユーノ、管理局のクロノ、フェイトにアルフ、
黒いドレスを着た少女、コートを着た長い髪の人物、そして、アーウェルンクスに似た男が戦っていた。
新しい武器を手に入れ、
アーウェルンクスは創造主の真似事という回でした。