Love live is SHOWTIME!!   作:ホームズの弟子見習い

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ただの自己満同然。でもどんな評価がされるのか知りたかったり。
誤字脱字、もっと良い表現がありましたら感想送ってください。
あとがきは予告ショウタイム。


PROLOGUE:指輪の魔法使い

 

 

 

 夢を見ていた。懐かしい夢だ。

 

 

 

―――これ、ほのかにやるよ。

 

 

 

 大事な物を、大切な少女に渡した夢。

 

 

 

―――じゃあほのかは、これをハルくんにあげる!

 

 

 

 少女の大事な物を、少年に渡した夢。

 

 

 

―――別にいいのになあ…。

 

―――いいの! それでね、約束してくれる?

 

 

 

 約束。自分は彼女に、どんな約束を交わしただろうか。

 

 

 

―――ハルくんがまたこの街に戻ってきたときに、お互いに渡したものを見せあいっこするの!

 

―――それだけでいいのかな…?

 

 

 

 随分とあっさりした約束だった。けれど、彼女は「それだけでいいの」と言ってきた。

 

 

 

―――わかった。いつ戻るかわからないけど、戻ってきたら見せあおうか。

 

―――うん、約束だよ! ゆーびきーりげーんまん!

 

―――ウソついたら針千本のーます。

 

 

 

 

 

 指きった。

 

 

 

 

 

 

 そして、自分は夢から覚めた。

 

「…何時ぶりだろうな、こんな夢みるなんて。」

 

 辺りを見回す。今自分がいるのは、ビジネスホテルの一室だ。設備はその名の通りに質素で最低限のものしかない。早々にチェックアウトを済ませようと思った男は顔を洗い、寝間着として使っているジャージ姿から、赤いシャツに黒いジャケットにジーンズといった、彼にとっての“いつもの”服装に着替える。着替え終えると昨夜にホテルの最寄りのコンビニで買っておいたパンと缶コーヒーを口にする。それが終わったら、彼の今日が始まるのだ。

 ホテルのチェックアウトを終えて外に出た男は、人の通りが多い道に出る。360度ぐるりと辺りを見回す。季節のせいもあるだろうが、自分が嘗て知っている街並みとは大分変わってしまったように見える。

 

「久しぶりに戻ってきたけど…変わる所は変わるもんだな…。」

 

 まるで時代の変化に取り残されてしまって孤独感を味わったような気分だ。男は自分の呟いた言葉に寂しさを覚え、ため息を零す。ここで立ち止まっていてもしょうがないと男は気を取り直し、この一年間で“もう一つの足”となっている自分の愛車に跨り、エンジンを起動させ走り始めた。

 六年ぶりに戻ってきた彼は細心の注意を払いながら、バイクで駆け抜けていた。自分が今まで見てきた街の風景の中では、ここが一番平和であるように見えた。とは言え目に見えない部分では、人の悪知恵が働いているのかもしれないので何とも言えない。だが“人間の悪知恵”が働き、犯罪に繋がっていくのならまだいい方だと思ってしまう。それはあくまで人間の領域であり、人間が解決するからだ。人間の領域を超えた悪が蔓延ってしまえば。

 

「きゃああああああああああああああああああ!!」

 

 まるで災害のように止められない悪が現れたなら、誰が解決するのだろうか。

 

「こんな街中で悲鳴とは…只事じゃないってわけだ、悪い予感が当たってなきゃいいが…!」

 

 この街と自分の平穏をことごとく踏み躙らされた気分になった男は、一気にバイクを加速させ、自らの姿も、搭乗していたバイクも変化させる。

 いつからかこの姿は、自分と戦う敵からこう呼ばれていた。

 

 

 

 

 

―――指輪の魔法使い。

 

 

 

 

 

 少女は苦しんでいた。心も、身体も。後ろで幼なじみが自分の名前を必死に呼びかけるが、首を絞められている今の状態では応える事すらままならなかった。

 

(く、苦しい…。)

 

 首を絞められている少女、高坂(こうさか)穂乃果(ほのか)は何故こんな目に合わなければならないのか思い返す。

 春休みとは言えだらしないと幼なじみにどやされ仕方なく起きると、自分の眼前には二人の幼なじみがこれから外出に行くと言わんばかりの格好をしていた。そう言えば今日は三人で遊びに行く約束をしていたんだっけと思い出し、大急ぎで支度をして遊びに出掛けたのだ。そしていつものように遊び、家に帰るはずだった。

 だがそれが、一瞬にして崩れ去った。

 帰り道の最中に突然起こった周囲の爆発が、自分の世界に終わりを告げようとしていた。必死に逃げようとしてもどうにもならず、やがて自分は何者かに首を絞められてしまった。

 

「今日のゲートはこいつか…。ふん、人間というものはやはり弱いものだ。」

 

 声色からして女と読み取れるもの。まるで自分が人間ではないような物言いだが、首を絞められている穂乃果がそれに気付くはずもない。

 

「貴様の人生もここで終わりだ…。さあ、絶望するがいいさ…。」

 

 まるで呪詛のように語りかけてくる人物に、穂乃果は頭の中をぐるぐると考え込ませた。自分はここで死ぬのか。絶望して終わりなのか。嫌だ。まだやりたい事は沢山ある。それに、だ。

 

(ハル君との約束…まだ、果たしていない…!)

 

 嘗て遠い地に引っ越していった大切な人との約束を穂乃果は思い出す。そうだ、まだここで死ぬわけにはいかない。生きて約束を果たさなければいけないのだ。その想いが、穂乃果に生きる気力を僅かながらに与えた。

 

「…生意気な目をしている。私はそういう目をする人間が、一番嫌いなのさ!!」

 

 怒りとともに声の人物は感情に身を任せて、穂乃果に“蛇”を喰らわせようとする。後ろで幼なじみが自分の名前を叫ぶ。今度こそ、駄目なのか―――。

 

【FLAME. SLASH STRIKE. Hea hea HEA! Hea hea HEA!】

 

 そう思いかけた瞬間だった。

 “希望”を名乗る魔法使い(ウィザード)が、彼女を救った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 男は少女を左手で抱き抱え、右手には自らの武器となるメタリックシルバーの銃を眼前の女に向ける。男の姿は生身ではない。前面にルビーの如く赤い宝石のような仮面と装甲を、そして身体全体には黒いローブのようなスーツを身に纏わせていた。

 眼前には自らが倒さなければならない敵がいる。その敵は憎々しげに此方を見つめていた。

 

「まさか貴様が来るとはな…! “指輪の魔法使い”!!」

「こちとら、悪いことを見過ごせる性分じゃないんでね。」

 

 怒気を孕んだ女の威圧感に怯むことなく、“指輪の魔法使い”と呼ばれた男は平常心で言葉を返す。

 

(こ、この人…一体何なんだろう?)

 

 現在進行形で抱き抱えられている穂乃果は、命を失われる瀬戸際だというのに何故かそんな疑問を頭に浮かべた。同時に、心が暖かくなるような不思議な感覚も覚えていた。

 

「さて…悪いな、ちょっと下がっててくれ。」

「あっ…はい。」

 

 魔法使いが優しく穂乃果に対応したおかげか、穂乃果の声色は自然と恐怖心が取り除かれていた。次に巡ってくるのは、安心感。もしかしたら、彼ならこの状況を打開できるのではないか。不思議と穂乃果は、それを確信していた。

 穂乃果を下がらせた魔法使いは、左手の中指に嵌め込んでいる指輪を見せ、言い放つ。

 

「さあ…ショータイムだ。」

 

 静かに放たれた宣言。彼の言葉に、女が苛立たないわけがなかった。

 

「そのショータイムとは…貴様が死に逝く様が見られるのかな?」

 

 女はそう言うと、黒い煙のようなオーラを自身に纏わせる。それは自分を本来の姿に変化させることを意味していた。女は自らに纏ったオーラを掃うと、自分の正体を曝け出した。その姿はまるでギリシア神話の怪物、メデューサのように髪を蛇に見立て、全身もそれを彷彿とさせるほどの怪人になっていた。

 

「漸く御出座しかい…ファントムさん? いや…こういう時はメデューサと呼べばいいのかな。」

「貴様が呼びたい名で呼べばいいさ。尤も…同士には後者で呼ばれてるがな!」

 

 老若男女の怯えた声を余所に、二人は会話を進める。誰がどう見ても異常な光景に終止符を打ったのは、魔法使いの敵…メデューサだった。メデューサは自身の右腕から触手を出現させると、それを魔法使いに放った。

 

「よ…っと! そう簡単にくらうか!」

 

 魔法使いはメデューサの攻撃に動じることなく、持っていた銃を剣の状態に変化させ、触手を斬る。だが触手は無尽蔵に魔法使いに対して攻撃を仕掛け、手を緩めることはない。ジリ貧の状況に、両者はもどかしさを感じていた。

 

「ハアッ!!」

 

 拮抗を破ったのはメデューサの方だった。今まで通りに触手を放つのか。魔法使いは身構えるが、何故か触手は彼の横を通り抜けていったのだ。

 

(後ろ!?)

 

 振り向くと、後ろには穂乃果達がまだ腰が抜けていたのかへなへなと座り込んでいた。敵の意図に気付けなかった魔法使いは思わず舌打ちをする。触手は穂乃果達まで後数メートルというところまで迫っている。今から走っても間に合うはずがない。

 

「だったらこいつだ!」

 

 魔法使いはすぐさま指輪を取り出し右手にはめていた指輪を付け替えると、その手をバックルにかざした。

 

【DEFFENDER PLEASE.】

 

「何っ!?」

 

 メデューサの声に驚きが混じる。それもそのはず、メデューサは魔法使いを避けて本来の目的である高坂穂乃果を絶望の淵まで追い込ませようとしていたのだ。それが魔法使いが使用した魔法によって阻まれてしまったのだ。

 彼が使用した魔法は鳴り響いた音声の通り、“防御”の魔法。彼は穂乃果達に向けて手を差し出したことで、彼女達の前に魔法陣を出現させ、メデューサの攻撃を防いだのである。

 

「ふぃー…なんとか危機一髪ってな?」

「やるじゃないか…指輪の魔法使い…!」

 

 魔法使いの調子のよい台詞に、メデューサは苛立ちを込めて称賛する。メデューサの称賛に魔法使いは彼女の機嫌を知ってか知らずか、「もっと褒めてくれていいんだぜ?」と煽るかのように更に称賛の言葉を求めた。

 

「…ふん、どうやらここで相手をするには少々分が悪いようだな。ここは引くとしよう。」

「待て!」

 

 踵を返そうとするメデューサを、魔法使いは追いかけようとする。だが彼の行く手を幾人もの灰色の鬼のような怪物が阻んだ。

 グール。メデューサのような上級ファントムが使役する、所謂戦闘員的な存在だ。だが言ってしまえばそれだけの存在。既に戦歴を重ねている魔法使いからすれば容易く倒せるものであった。

 

「ったく…メインが退場して前座が出てくるなんてどういう考えだか!」

 

 消えてしまったメデューサに魔法使いは悪態を吐き、複数体いるグールに視線を向ける。

ざっと数えて十体は軽く超えている。あまりにも多勢に無勢過ぎる状況だが、魔法使いは全く動じていなかった。

 

「そら、行くぜ!」

 

 軽快な調子で戦いの合図と言える声を上げると、魔法使いは自分に一番近い一体のグールに接近した。

 

「そりゃ! はっ!」

 

 魔法使いの接近に反応できなかったグールは、彼からそのまま飛び膝蹴りを顔面にくらい、次いで肘打ちを当てられた。グールは滑るように後方に倒れ込み、動けないのか蹲っていた。

 

「まだまだ、こいつももらっとけよ?」

 

 これだけで魔法使いの攻撃が終わるはずもない。彼は右手にメタリックシルバーの剣を今度は銃形態に変え、一体一体、正確に弾丸を放つ。

 銃弾は確実に命中し、グールを仰け反らせるには十分だった。

 

「グオオオ…」

 

 それでも怯まずに此方に向かってくる個体も幾つかはいた。そういう個体も偶にはいる。依然として変わらず、魔法使いは立ち向かってくるグールに受け身の姿勢で迎えていた。

 

「はっ! せい! ふん!」

 

 向かってくるグールに少しだけ距離を置き、魔法使いは拳法の構えをとると、両手で襲い来るグールの攻撃を翻していた。同時に、両足を使って敵にダメージを与える事も忘れない。

 向かってきた全てのグールは、まとめて倒れ転がっていた。

 

「す、凄い…。」

「あんな華麗な身のこなし…只者じゃありません…。」

 

 穂乃果とロングヘアーの少女、園田(そのだ)海未(うみ)は魔法使いの戦いぶりに感嘆の言葉を漏らす。スタイリッシュに、且つ大胆な彼の戦いぶりには、まるで演武でも見ているかのような感覚を植え付けられるほどの美しさがあった。

 

「そろそろ終わらせるかな。」

【Ca mo na SHOOTING Shake Hands!! Ca mo na SHOOTING Shake Hands!!】

【FLAME SHOOTING STRIKE. Hea hea HEA! Hea hea HEA!】

 

 持っている銃に、金に縁取られた黒い手のような意匠の部分に左手を添えると、流暢な英語の音声が鳴り響いた。音声が鳴り終えると、魔法使いはグールに銃口を向けた。グールは立ち上がり、一斉に魔法使いに突進してきた。

 

「はあっ!」

 

 重くも静かな叫びとともに、魔法使いは銃口から炎の銃弾を何発も放つ。銃弾はそれぞれのグールに一発ずつ命中する。弾丸を貫かれたグールはやがて蹲りだすと、唸り声とも言える悲鳴を上げながら爆発した。

 突然起こった爆発に、穂乃果達は思わず目を覆う。次に目を開けた時には、そこに残っているのは魔法使いただ一人だけであった。

 

「ふぃー…ひとまずはこれで終わり、と。」

 

 辺りを見回し他にも異常がないかを確認すると、魔法使いは右手に指輪を付け替え、バックルにかざした。

 

【CONNECT PLEASE.】

 

 音声の直後に彼はバックルにかざしていた手を前方に向け、魔法陣を出現させた。魔法使いは魔法陣に手を潜り込ませると、そこからある物を引き寄せた。

 

「ば、バイクだ…。」

 

 穂乃果のもう一人の幼なじみである(みなみ)ことりが、物体の名を呟く。

 “指輪の魔法使い”と言われていたのだから、てっきり空飛ぶ箒でも出てくるのかと思ったが、実際は文明の利器だったのだ。思わずそう呟いてしまうのも無理はない。

 

「あ、あの…!」

 

 バイクに跨りこの場を立ち去ろうとする魔法使いを、穂乃果が呼び止めた。魔法使いは無言で穂乃果達の方に振り向いた。

 何と言えば良いのか分からないのか、穂乃果は「えっと、その…」だの「あー、うー…」といった具合に言葉を詰まらせていた。

 

「た、助けてくれてありがとうございました!」

 

 漸く口から出たのは、お礼の言葉だった。魔法使いは仮面の下で小さく微笑むと、

 

「どういたしまして。」

 

 という返事とともに「じゃあな」と言わんばかりに右手を振る。そして自ら乗車しているバイクにエンジンを入れ走らせると、彼の背中はバイクとともに小さくなっていった。

 辺りには穂乃果達三人だけしか人はいない。先程の喧騒、そこから続く悲鳴や怒号が嘘のように感じられるほどに周囲は静かになっていた。

 

「指輪の…魔法使い。」

 

 穂乃果は、怪人と対峙していた戦士の呼称を呟く。どこからともなく現れ、怪人を退け、バイクで颯爽と去って行ったあの魔法使い。

 

「仮面…ライダー。」

 

 仮面ライダー。それは日本に留まらず、世界各地で実しやかに語り継がれている都市伝説の一つ。

 一般的に語り継がれているのは、昆虫のような仮面と身体に赤いマフラーをした戦士が、世界各国で現れては危機を救っているという。それだけではなく、仮面ライダーも様々な種類がいる、という話だ。

 日本だけでも、二色の身体の戦士や宇宙服をモチーフにしたと思われる白い戦士。どこかの山中には楽器を武器にして戦う、鬼の戦士もいると言われている。

 今助けてくれたあの魔法使いも。仮面ライダーに充分該当するのではないかと、穂乃果は思う。だが同時に、奇妙な違和感を覚えていた。

 

 

 

(初めて見たはずなのに、何度も会ったような…。)

 

 

 

 未だかつてないほどのデジャヴを、彼女は自身に感じさせていた。

 

 

 

 

 

 




次回、Love live is SHOWTIME!!


「陽人、お前には一年間音ノ木坂学院に通ってもらう!」

「“仮面ライダー”としてこの街を守って欲しいの。」

「ここ…廃校になる噂があるんすよ。」

「ったく…まさかここまでショックだとはな。」


さあ、ショータイムだ!
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