Love live is SHOWTIME!!   作:ホームズの弟子見習い

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もう月一更新でいいかなって思ったけど何とか出来たので投稿。来月は投稿できるかどうか…。
御影 玲夜さん、評価☆9ありがとうございます。
お気に入り登録もありがたいことに13人もしてくれました。

今回は(戦闘シーンは)ないです。

それでは、第3話です、どうぞー。


RING.3:ふたつの約束、ひとつの可能性

 

 ファントム、カミオを倒してから数刻後。空は暗くなり始め、部活帰りの学生達ががやがやと話しながら家へと帰ったり、キッチリと背広を着たサラリーマンが歩いている光景が増えつつあった。

 陽人も仮面ライダーウィザードとしてファントムを倒し終えた後、自分が住み構える家に歩みを進めていたところであった。しかし、彼が今向かっている場所は家ではない。幼なじみの家だ。和菓子屋“穂むら”。高坂穂乃果の住処であり、根強いリピーターと観光のお土産に買う旅行者による購入者が多く、それなりの人気がある。陽人もリピーターの一人として度々、饅頭を購入している。六年ぶりに、陽人は穂むらの饅頭を買おうとしていたところだ。

 

「いらっしゃいませー。」

 

 夜に差し掛かる時間であるためか、どこか気怠そうな声が店内に響く。店番をしていたのはやはり、陽人の知っている人物だった。

 

「どうもー、久しぶりにここの饅頭が食べたくなってきたんでやってきたよ。」

「…え?」

 

 軽い調子で応じると、店番の女の子は驚いた表情を見せた。直後に一人ぶつぶつと「いや、まさか…」だの「あり得ない、あり得ない!」などといった具合に自問自答をしていた。

 

「そろそろ頼んでいいか、雪穂?」

 

 店番の女の子の名前を呼びかける。雪穂と呼ばれた女の子は、口をわなわなと震わせた。

 

「は…ハル兄?」

「おう、希月陽人! 六年ぶりに戻ってきたよー。」

 

 震えた声で、少女は陽人を呼ぶ。よく見ると、彼女の目尻には涙が浮かび上がっていた。

 

「久しぶりー! ハル兄久しぶりだあ!」

「そう何回も繰り返すなよ雪穂…。」

 

 ぶっきらぼうに接しながらも、陽人もまた雪穂との再会を喜ぶ。

 高坂雪穂。幼なじみの穂乃果の妹で、姉とは違いしっかり者。というのが周囲の評価だ。実際、基本的にズボラな印象が拭えない穂乃果とは対照的にしっかりしているが、根本的な性格はやはり姉妹。時々雪穂の方も、ガサツな一面を覗かせる事があるのだ。高坂姉妹の母もどこか抜けた一面を持っているので、高坂家の女性は代々そういう所があると言われている。

 

「もう、雪穂…。うるさいわよ…ってあら?」

 

 暖簾をめくりひょっこりと顔を覗かせる、エプロンを付けた一見すると二十代後半にも見える女性。この女性こそが、高坂姉妹の母親で、名を“菜月”と言う。

 

「あ、お久しぶりです! おばさん!」

「もしかして陽人君? 久しぶりね!」

 

 陽人が明るく菜月に挨拶をすると、菜月もまた懐かし気に明るく応じる。後ろからはちらりと高坂家の大黒柱、穂澄が陽人に対して小さく微笑んでいた。寡黙な人物だが、陽人との再会を喜んでいるのは十分にわかった。

 

「ねえねえ、ハル兄! 今日は一人なの? コヨミは?」

「あー…いや…。」

「ただいまー。あ、ハル君!」

 

 雪穂の問いに陽人が答えを詰まらせているところで、穂乃果が帰ってきた。内心この質問に困っていた陽人にとっては、ナイスタイミングで帰って来てくれたと思った。

 

「よう、穂乃果。邪魔してるぜ。」

「うん、いらっしゃいいらっしゃい! 和菓子しかないけどゆっくりしていってねー!」

 

 既に昔のように見慣れたやり取りをしている二人に、穂乃果以外の高坂家は少し口を開けてぽかんとしていた。

 

「お、お姉ちゃん…もうハル兄と会ってたの?」

「うん! ハル君、音ノ木坂学院に編入しててしかも穂乃果と同じクラスだったんだ!」

 

 状況を理解しようと雪穂が訊くと、穂乃果からはこれまた驚く答えが返って来る。陽人の予想通り、高坂母子は見事に驚いた表情を見せていた。

 

「そう言えば穂乃果、あれからどうだった?」

「え、ああ…それが…。」

 

 驚く二人を余所に陽人がいなくなった昼間以降の出来事を穂乃果に訊くと、徐々に沈んだ顔になった。その表情を見て、陽人は察した。

 

「イマイチだったか。」

「うん…あの後学校の部活の成績を見てみたんだけど…どれもパッとしないものばかりだった。」

「まあ…だろうな。」

 

 音ノ木坂学院における良い部分。それを強いて言えば百年前からある伝統校であることくらいしかない。陽人も余裕を見つけてネットで音ノ木坂学院について調べてみたが、良いところが本当にそれくらいしかないのだ。部活の成績がどれか一つでも大きく残っていればまた話は少し変わっていただろうが、結果は穂乃果の言う通りであった。そもそもこの数年以内にでもそのような成績があれば、廃校の話など持ち上がっていないのだ。現状、秋葉原にあるUTX学院に入学する生徒が増えている以上、廃校は必然的と言えた。

 

「あっ、やっぱり音ノ木坂って廃校になるんだ?」

 

 二人の会話を聞いていたらしい雪穂が、間に割り込む。雪穂の学年は中学三年生。受験シーズンを迎えたばかりの少女となると、近辺の高校の情報は耳に入っているようだ。

 

「う、嘘…! 雪穂、もう知ってるの?」

「結構噂になってるよ。私も廃校の噂を聞く学校には受験は遠慮したいから、別の高校受けようと思っているし。」

 

 あっけらかんと話す雪穂の進路事情に、穂乃果は地に膝をつかせた。

 

「じゃあ雪穂はどこを受ける予定なんだ?」

「UTX学院の予定かなぁ。よほどじゃない限り、今はそこしかないよ。」

「なるほどな…。」

 

 そう言われると、陽人としても黙るしかない。自分の記憶が正しければ、UTX学院は五年程前に新設された学校だ。学校が建てられたのが新しいということは、設備も恐らく最新のものとして整っているということだろう。

 

「雪穂、UTX学院のパンフレットあるか?」

「あるけど、今渡した方がいいの?」

「いいよ、雪穂…代わりに穂乃果がやっておくから…。」

 

 未だに沈んだ状態の穂乃果が、雪穂に代わって交代を申し出る。そんな状態で大丈夫かと店内にいる穂乃果以外の全員が思ったが、雪穂がパンフレットを取りに行く間だけなら問題ないはずだ。それに時間帯を考えると、客が来ることなどそうそうない。

 

「じゃあ折角だからご厚意は貰っとけよ。もしもの時は俺も一緒に対処するから。」

「ぶー、ハル君は穂乃果の事何だと思ってるの!?」

「落ち込んでいるままで店番出来ると?」

「うう…。」

 

 六年経っても変わらない二人のやり取りに、雪穂は思わずクスリと小さく笑ってしまう。見ると、母も父も二人に向けて微笑んでいた。

 

「じゃあお姉ちゃん、すぐ戻るからよろしくね! ハル兄に迷惑かけない程度にね!」

「もう、雪穂まで!」

 

 不満気な態度を見せる穂乃果だったが、それを放って雪穂はパンフレットを取りに行く。雪穂から割烹着を受け取った穂乃果は制服の上に着こみ、陽人も待ち人用の椅子に座って雪穂を待つことにした。

 

 

 

「ハル兄、持ってきたよ! 店番ありがとね、お姉ちゃん!」

「おう、サンキューな。」

「いいよいいよ、お客さん全然来なかったし!」

 

 陽人は雪穂からパンフレットを受け取り開く。穂乃果も雪穂に割烹着を返すと、陽人の後ろからパンフレットの内容を覗き込んだ。

 

(やっぱり最近に出来ただけあって設備も申し分ないな。新しい学校とは言えわざわざ地方から受験する子も少なくないようだ…ん?)

 

 読み進めている途中、ある見開きのページの内容に陽人は思わず手を止めた。穂乃果も気になるようで、陽人の顔とページの内容を交互に見比べ始める。

 

「何だこれ…?」

「スクールアイドル…?」

 

 スクールアイドル。普通のアイドルと何が違うのかいまいちピンと来なかったが、詳細部分を見てなるほどと陽人は納得した。どうやらスクールアイドルとは、あくまでも部活動のようなものとして活動するアイドルの様だ。学生でありながら一アイドルとして活動するのではなく、“部活動の一環”としてアイドル活動を行うということなのだろう。

 

「へえ…なるほど…。」

 

 後ろで穂乃果がうんうんと唸っているところを見ると、穂乃果も理解できたようだ。相当解りやすい説明だったのだろう。穂乃果はこういう事に関しては、理解力は乏しい傾向にある。

 

「ねえハル君、それ穂乃果も見ていい?」

「ああ、いいぞ。俺も大体は見たし。」

 

 そう言って、穂乃果にパンフレットを渡す。パンフレットを受け取った穂乃果はスクールアイドルのページをずっと眺めていた。

 

「ねえ雪穂、これ明日借りていい? 一日だけならいいでしょ?」

「別にいいけど…。」

 

 突然の穂乃果の頼みに、雪穂は少しだけ訝し気な気持ちになったが、あまり気にしないでおくことにした。

 

「おっと、注文するの忘れるところだった。穂むら饅頭、四つお願い。」

「あ、そうだった! ほむまん四つ、かしこまりました!」

 

 注文を受けた雪穂が、穂むら名物品“穂むら饅頭“を四個取り出し、パックに詰める。その間、短い時間だが陽人はスマートフォンを取り出しネットニュースを見ることにした。

 

『仮面ライダー現る、怪人を撃破』

『敵か味方か? 東京に都市伝説が発生』

 

 ちらりと見ただけだが、昼の出来事が早くも出回っていた。画質は粗いものの、自分がウィザードとして戦っている写真も記事の写真として掲載されている。どうやら戦っていたところを一般人が撮影していたようだ。予め変身してから現場に赴いていたため正体がバレる心配はあまりなかったが、本音を言えば目立ちたくないというのが自分の感想だ。

 

「はい、ハル兄。ほむまん四つで五二〇円だよ!」

「おう、五百円玉と百円玉。これでよろしく。」

「はい、お釣りの八〇円! 買ってくれてありがと!」

 

 精算を終えお釣りを陽人に渡す雪穂。品物と小銭を受け取った陽人は当然用事を済ませた訳で、店内を出ようとする。

 

「あっ、ちょっと待ってハル君!」

 

 だがそれを穂乃果が止める。何か自分に用があったのかと考える陽人に、穂乃果は眼前にある物を見せる。

 

「はい、これ! ハル君覚えてる?」

 

 そう言って穂乃果が見せてきたのは、ペンダントだった。

 それは嘗て、陽人が遠い地に引っ越す前に穂乃果に預け渡したものだった。同時に、穂乃果もその時に当時の彼女の大切な物を陽人に渡していた。

 

(ったく…こいつにしちゃよく覚えてるもんだ。)

 

 ペンダントの状態は多少の傷はあれど、手入れされているのか見栄えは悪くなかった。

 陽人と穂乃果の二人の間には、約束を交わしていた。何てことのない、また再会することがあれば預け合っていたお互いの大切な物を見せあおうというものだ。

 

「あー…悪い、穂乃果。今…手元にない。っていうか…物自体、無くなっちまった。」

 

 だが、それも今は果たせない約束となっていた。昔の穂乃果が大切にしていた物が、陽人にはもう失われてしまった。苦い表情の陽人に、穂乃果はしょんぼりと顔を沈ませた。

 

「その代わりだけど、また約束してくれねえか?」

「え?」

 

 突然の新たな約束の持ちかけに、穂乃果は顔を上げた。

 

「どんな事があっても、必ずお前の所に帰るっていう約束。槍が降ろうが矢が降ろうが隕石が降ろうが、お前のもとに必ず帰るっていう約束だ。」

「え…あっ…え…そ、それって…。」

 

 徐々に顔を真っ赤にさせていく穂乃果に、陽人は何か変なことでも言ったかと思った。次第に妙に視線を感じるので見回してみると、穂乃果以外の高坂家がニヤニヤと笑みを浮かべながら陽人を見ていた。ここで陽人は、自分が穂乃果に何を言っていたのか思い出す。

 これではまるで告白の類ではないか。穂乃果も頬を赤くさせたまま悶えているので、そういう風に捉えられたのは想像に難くない。

 

「でもまあ…うん、あれだ。どういう意味で…うん、メンドクサイからそのままの言葉の意味でよろしく頼むわ。それじゃあ陽人くんはとっとと帰りますねー。」

 

 意味を訂正させるのも面倒になってきた陽人は、これ以上厄介になる訳にはいかないと思い、踵を返そうと歩き始める。

 

「ねえ、陽人くん? 折角だから、一緒にご飯でも食べて行かない?」

 

 突然の菜月の誘いに、陽人は足を止める。これは暗に逃がさないと言うことなのだろう。だがこれ以上長居していては厄介事に発展するのは事実。主に陽人にとっては、だが。

 

「いやあ、そうしたいのはやまやまですけど…これ以上長居するわけにはいかないっすよ。」

「ふうん…さっきハル兄がお姉ちゃんに言ってた台詞、海未さんたちにバラそうかな…?」

 

 脅しとも言える雪穂の呟きを、陽人は聞き逃さなかった。ここで帰っては二人にからかわれるのは必至だ。特にことりはこういう話には目がない。そうなれば、陽人の選択はもう一つだけしかない。

 

「是非ともご一緒させてください…。」

 

 恥ずかしくも耐え難い屈辱を味わいながら、誘いを受けるしかない陽人であった。

 

 

 

 

 

「ちくしょー…散々な目にあったぜ…。」

 

 夕飯を高坂家で食べ終え、外に出た陽人は独り愚痴を零す。見送りに来た穂乃果も、苦笑いで照れを隠す。先程よりは幾分かマシになっているものの、頬は赤いままであった。

 

「ご、ごめんね…なんか?」

「謝る必要ないさ、俺が口走った結果だし。」

 

 謝罪する穂乃果に、陽人は此方に非があるとフォローを入れる。「そういえば」とふと陽人は少々気になったことを思い出したので、それの話題を入れてみる。

 

「さっき、雪穂からUTXのパンフレット貸してって言ってたけど、どうするんだ?」

「実は明日の朝、UTX学院を見に行こうと思ってるんだ! それでなんだけどさぁ…。」

 

 そこまで穂乃果は言うと、目を細くさせてじっと陽人の方を見つめる。いや、正確には陽人の後ろにある物を見ているのだ。陽人の後ろにあるのは、彼がこれから乗ろうとしている自分の愛車(バイク)であった。

 

「乗っけて欲しいと?」

 

 陽人の確認に、穂乃果はぶんぶんと強く頷く。確かにバイクに乗るという経験は、自分から興味を持たない限りは余程ないだろう。子供のように目を輝かせる穂乃果に、陽人はため息を吐くと「やれやれ」と零す。

 

「わかったよ、何時にお前のとこ行けばいいんだ?」

「いいの!? じゃあ七時にお願い!」

 

 うわーい、と喜ぶ穂乃果に、陽人は小さく微笑む。どれだけ離れていても、年月が経とうとも、どこか純粋で子供っぽい彼女の性格は変わらないと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌朝。輪嶋に俊平への「先に出る」と言伝を頼んだ陽人は、自分のバイクで穂むらまで走っていた。

 

「あ、ハルくーん!」

 

 目的地に近づき徐々にスピードを緩めていくと、穂乃果が此方に向けて手を振っていた。まさか既に起きてそれも自分を待っていたとは思わなかった陽人は、ヘルメット越しに目を見開いた。

 

「珍しいな、お前が早起きなんてさ。」

「ぶー、余計なお世話だよ!」

「はいはい、いちゃつくのは後にしてねー!」

 

 軽口を叩き合う二人に、菜月からの茶々が入る。

 

「もー、そんなんじゃないったら!」

 

 頬を膨らませて穂乃果は否定するが、顔を真っ赤にさせてもそれでは意味もなかった。陽人自身は満更でもないので、否定の言葉は出さずに穂乃果にヘルメットを渡す。

 

「ほら、行くぞ?」

 

 

 

 

 

「うわああ…凄いねえ…!」

「ぱっと見、ただの高層ビルだろこれ…。」

 

 UTX学院前までやってきた陽人と穂乃果が、感想を口にする。陽人の言う通り、一見するとただの高層ビルにしか見えないが、視線を前方に向けると学院の制服を着た生徒が既に何人も中に入っている。学院内に入る際も、身分証明書をゲートにかざしてから通るという、近未来的なものだった。

 

(ハイテク過ぎんだろ…。)

 

 普通の学校でもここまでセキュリティは電子的に対処していない、陽人は口には出さないものの驚きは隠せずにいた。

 陽人がそんな事を思っていると、徐々に周囲にざわざわと声が上がった。辺りを見回すと、人々の視線は上に向けられていた。陽人も周りに倣って視線を上にあげると、そこには三人の女性が歌いながら踊っている映像が映し出されていた。

 

「何だあれ…あれがスクールアイドルなのか?」

「はあ!? アンタまさかスクールアイドル知らないっていうの!?」

「うわっ! び、吃驚した…。いや、知ったのもつい最近なんでね…。」

 

 突然自分に対してあきれ果てた声が聞こえたことに陽人は驚いた。声の主は、春に着るには厚いコートを纏い、サングラスにマスクを付けていた少女だった。如何にも顔がバレたくないので隠していると言わんばかりの姿だったが、少女のツインテールと今の姿は却って印象に根付きそうな感覚を覚えるものだった。

 

「ふん、まあいいわ! 今映っているのは“A-RISE”。綺羅(きら)ツバサ、統堂(とうどう)英玲奈(えれな)優木(ゆうき)あんじゅの三人で構成されているスクールアイドルユニットよ。」

 

 ツインテールの女の子は、そのままA-RISEの解説に移った。流石にそこまでの興味はもてなかった陽人は、解説は聞き流してモニターの映像に集中することにした。数十秒ほど経過した頃だろうか。後ろから足音が聞こえてきた。テンポからして、走っているようだった。横目で見ると、オレンジのショートカット、眼鏡をかけたショートボブの音ノ木坂学院の女子生徒がモニターの映像に近づこうとやってきたようだ。何故音ノ木坂学院の生徒だと陽人に判ったのかというと単純なことで、制服を着ていたからだ。

 

「あれ…そう言えば穂乃果は…。」

 

 穂乃果の事を忘れていた陽人が、思い出して周囲を見る。すぐに見つけることは出来た。幸いにも群衆から外れた位置にいたので、穂乃果に近づいてみる。

 

「おい、穂乃果?」

 

 話しかけてみるが、反応はない。穂乃果の視線の先にあるのは、他の群衆たちと同じくA-RISEが歌うPVだった。映像と穂乃果を交互に見てみると、穂乃果の身体が小さく震えていた。陽人が呼びかけようとするが、彼女の雰囲気が、それを許さなかった。

 やがてふらふらと群衆から離れると手摺にもたれかかり、何やらぶつぶつと小声でしゃべり始めた。

 

「これだ…これだよ!」

 

 いきなり大きな声を上げた穂乃果に、近づいていた陽人は驚いた。

 まさか何か突拍子もない事を思いついたのか。陽人は思う。穂乃果の目は輝きを増し、表情もこれ以上にない名案を思い付いたようなものだったからだ。

 

「ハル君!」

「ふう…どうした?」

 

 ハイテンションな調子の穂乃果が、陽人を呼ぶ。対照的に陽人は、一気に気だるげな調子になっていった。

 

「近くのコンビニまで連れて行って! スクールアイドルの雑誌を買うの!」

 

 穂乃果の頼みを聞いた時、陽人は彼女の考えていることが解ってしまった。

 

 

 




次回、Love live is SHOWTIME!!


「はっきり言って、スクールアイドルの案は無しです!!」

「ねえ、あなた! スクールアイドルやってみない!?」

「だったら、例え五人以上揃っても認める訳にはいかないわね。」

「まあ要するに、ここから先は俺達でやらせてもらうって事で。」


叶え、私たちの夢―――!
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