精霊小噺   作:マデリアン

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こういうのもありじゃないかな。


自称神との遭遇

 どこにでもあるような、築うん十年か数年そこらの二階建ての住居。その一室、月が照らす真夜中2時過ぎ煌々と明かりが照らされていた。受験勉強に追われて必死に猛勉強しているからとか、突如現れた謎の美少女に『実は私は宇宙人なんです!!』 なんてこともなく。来年成人式を迎える、寝間着に身を包んだ女はあたりに散らばらせたカードと、びっしりと書き込みがされたメモ帳を見ながら一枚づつ手に取り、山を築いていく。

「あー、出来上がり? かな」

 多分きっとメイビー、とパラパラ手の上で上から下へと落としていく。2,3度繰り返したのち、上から順に5枚床に並べ、さらにその上にWを描くように置き、右から左へ、左から右へ、右左と交互に、五芒星のように重ねていき、やがてすべて5つの束になり、ランダムに気まぐれに上に下に真ん中に並べ置き、シャッフルする。気が済むまで混ぜ合わせると、上から五枚カードを引く。

 緑、緑、緑、緑、緑。5枚の緑のカードが手にそろう。フルハウスである。さらに一枚引く。これもまた緑

「っふー! いい手札じゃない!! ほれぼれするねい、毎度のことながら」

 しかしこれしきの事、彼女にとってはいつものことである。ある時は出したいカードが来ず、またあるときは使うタイミングの間違ったものばかり引き、そしていつも負けた後で、思い出したかのように理想の順番で、出番を待つ山札……

別次元からの侵略に対して少数精鋭部隊『なんたらーず』を結成し、次元戦争を止めるんだ! とか偶然拾ったカードに導かれて幾多の戦いを繰り広げる~や、夢の中で現れた美少女が現実にも表れ『あなたは英雄のうんたらかんたら』や『救世主がどうのこうの~』とか、そんなことこのお話では、関わることのないどっかの物語である。

 これから起こるのは、みんな大好き奇妙奇天烈摩訶不思議な、とっても意味☆不明なほのぼの系非日常物語である。

 

 

 真っ赤だ、よくある白や黒の何もない空間だとか、どこまでも続くような青空とそよ風に揺らめく緑の大地じゃなく、燃えるような真っ赤。血のようにどす黒い赤でも、ピンクの様なかわいらしい赤でもなく炎のように赤い紅。現に今も彼女の周囲を取り囲むようにメラメラと燃え盛っている。

「ぁー、うー」

 目をごしごしとこすり、言葉にならない声を上げる彼女はただただ眠く、周囲のことなどお構いなしに寝ようとしたが、目の前に光の球が現れ徐々に、手が生え足が生えおまけに翼も生え形作られていく。

『そこの人間』

「…………」

『我が名は三幻神の最高位に座すものであり、太陽神の化身『ラー』である』

 頼んでもいないのに、突然自己紹介を始める金ぴか神さま(自称)その様子をトロンとした目で眺める。

『我はほかの二柱と共に地底奥深く眠っていたはずだが、何の因果かこうして目覚めた……』

「…………」

『どうやら不完全な形で目覚めてしもうた、そこで貴様の精神をいただき、完全に復活するまでの憑代とさせてもらう!!』

「…………」

『喜べ人間よ貴様の魂は、神によって天上の国々へと召し上げられるのだ!!』

 金ぴか神さま(自称)は彼が眠った後もぐだぐだとしゃべり続ける。

『ん? あまりの喜びに声も出ぬか!! ハッハッハッハ!! 気にせずとも良い、我はめったに人前には姿を見せぬ……我の姿を見ただけではなく、供物としてその身を捧げてもらうのだからその喜びは得もいえぬものであろう!!』

「…………」

『…………おい人間、まさか寝ている……のか?』

「グゥゥゥ……スピー、スー」

 彼女が寝てしまっていることに今更気が付く金ぴか神さま(自称)

『起きろォ!! 人間!!』

「……ぁえ?」

『神を前にしてよくも、ずうずうしく寝れたものだなぁ!! 愚か者めが!!』

 口から炎が漏れるほどの怒りを持って目の前の恥知らずに、視線だけで殺せそうなほどの眼光を向ける。対して彼女はいまだ覚醒しきっておらず、薄ぼんやりとしたふわふわとした気分のまま、ふらふらと揺れる。

「やすしさん?」

『我が名はラーだ!! 太陽神ラーだ!! 神をよくも愚弄しおって……っ!!』

「ラー油?」

『違うわぁ!!』

「桃屋の?」

『貴様、ふざけているのか』

 右前脚でがしりとつかみ、目の前に持ち上げる。少し痛かったのかうめき声をあげ、そうしてやっと意識がはっきりとしたのか、首を動かし周囲を見て、目の前の激おこ状態の金ぴかを見て一言。

「おこなの?」

『死ね』

 握る力が増し、体が痛みの悲鳴をあげ始めたところでまたしゃべりだす。

「どうしてこうなった? てかこの状況何? 猿夢? あとあんたは誰? まっくろ黒スケ?」

『説明しただろう、我が名は太陽神ラーと』

「なんのことだか、サッパりんぐ。あと離してほしいな、この状況じゃ満足にお話もできないでふ」

『一つ質問する。貴様いつから寝ていた?』

「意味不明すぎてワロタ、あとでスレ立てとく」

 口を開き炎をためる。じりじりとした熱気が離れた位置からでもわかった。

「なんでそんなに怒ってんのか知らないけど、いつからというか、あなたにニギニギされるまで寝てたんだけど」

『本当か?』

「この状況で嘘言ったら焼かれるもん、あなたの気分次第でわっちはつぶれたトマトか、焼き焦げたウィンナーに早変わりするからね。まぁ本当のこと言っても嘘だ! っていわれるかもだが」

『真実だな? 先ほどまで寝ていたというのは』

「真実です、真です、嘘偽りのない証言です」

 ハァとため息をつき、若干荒く地面におろされる。その場に寝転がり目を閉じ

「おやすみ」

『寝るな貴様、まだ話は終わっておらん』

 寝ようとしたところで阻止される。そこで金ぴか神さま(自称)からもう一度説明があった。

「……ようは『変な感じに目が覚めたから、腹いせにいけにえになってよ』ってこと?」

『どういうものの聞き方をしたら、そうなるのだ』

 頭を抱え地に伏せる、金ぴか神さま(自称) その姿を見上げ、気になっていたことを聞く。

「あなた、お腹空いてない?」

『何を突然聞き出すのだお前は、あと我が名はラーだ』

「いやだって、ここ夢なんでしょ、だったら思えば何でもできるんじゃないかなって、え? ヲー?」

『どういうことだ、まるでわからんぞ。我が名はラーだ!』

「考えるな感じろ、さすれば道は開ける。私は今たこ焼きが食べたーい。え? ラーメン?」

『貴様と話していると、頭が痛くなってくる……』

 グダグダと炎に囲まれながら一人と一柱は会話を交わす、今日の出来事、明日の授業に苦手なのが入っていること、翼が欲しいことなどなど……

「でね、私は友達に言ったんだ『ハッテン場という名称があるなら、女子にもそういうものがあってもいいじゃないかと』 ただその時にはいい案が思いつかなかったんだ……」

『……一人でべらべらしゃべっている分、聞き役に徹せられるのは楽だが貴様の話は脈絡というものがないのか? 先ほどまでのネコの話はどこへいった』

「ひどーい、何か意見聞かせてよ……人外代表、太陽神なんちゃラー」

『もう突っ込まんぞ』

「ナニを?」

 どうしてこんな奴の精神に入ってしまったのだろうと、再度頭を抱える金ぴか神さま(自称) ふと目を向けると彼女は気が抜けふにゃっとした笑顔で、ニコニコし体をゆらゆらさせている。

『人間……名は何という?』

「どうしたの? ナンパ?」

『……名前はなんだ』

「私の名前は『(しきみ) 由々香(ゆのか)』だよ、あなたのお名前は?」

『由々香というのか……我が名は三幻神の最高位に座すもの!』

 ふわっと笑う由々香を前にすっと立ち上がり、翼を広げ威厳たっぷりに名を告げる。

『太陽神! ラーだ!!』

 

 

 

 

 

「ふぁ……ふにゅ……」

 よだれの広がる枕から顔を離し、近くの時計を確認する。6時13分……めざましの鳴る1時間ほど早く、起きてしまった。

「なんだかすごい夢を……見てた気がする……けど、なんだっけ?」

 のそのそと布団から這い出て、着替え始める。途中少し胸が苦しいかな? と思う以外特に何もなく、眠気が覚めないのかとろんとした目のまま自室を出て、リビングへ降りる。

「おはよう……誰もいないけど」

『む? 意外と早く起きたな由々香、ただそのだらしない格好は我が主としては……恥ずべき姿だ。顔でも洗ってしゃっきりしてこい』

 親元から離れて一人で暮らす由々香は、防犯意識とさみしさを紛らわせるために『おはよう』や『いってきます』などを口にする。今日も習慣づけられた癖で誰もいないリビングに朝の挨拶をする……が、今朝は返事が返ってきた。驚きのあまり目が極限まで、見開かれたのは仕方がないことだ。

 返事を返した全身金ぴか4足歩行有翼動物(?) は、のそりと立ち上がり近寄ってくる。

『どうした、すごい顔になっているぞ。元我が主も裸足で逃げ出……す程ではないが、とにかく顔を洗ってこい』

「え、お、おう……」

 冷水を顔にぶっかけ、さっぱりしたところで寝癖を直しにかかる。ただ特別なスプレー等は使わず、水をつけてぐしゃぐしゃっとかきまぜ、くしを入れるだけで終わった。鏡には由々香と後ろ足で立ち上がり覗き込むヘンテコ動物がうつり、若干不満そうだがうんうんとうなずく金ぴか動物は

『まぁ……及第点といったところか、新たな我が主として、女性としてもっと身だしなみには気を付けてほしいものだが……今後の課題としよう。では朝食と行こうか、今日のメニューはなんだ?』

「なんか驚きすぎてスルーしてたけど……あなたは誰? まっくろ黒スケ?」

 隣を歩く忠犬のような金ぴかは、ソファの上に優雅に座り、昇りつつある朝日に目を細めため息を一つ。

『我が名はラーだ』

「ラー油?」

『…………なんでこの女に憑いてしまったのだろうか……』

「よくわかんないけど……あきらめたらそこで終了だよ?」

 にへらと笑いながらご飯をチンする由々香を見て、金ぴか有翼動物こと『ラー』はがっくりとうなだれた。




一応物語の落ちは決めてあるけど、そこまで完走できるか不明である。
キャラの設定を描いたメモ帳には
ラー:苦労人
と一言だけ。
次回も書き上げられたらいいなって。
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