精霊小噺   作:マデリアン

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この物語中における世界観のざっくりとした説明? かな。
あと
  満足民! お許しください!!


満足式決闘疾走

 お昼ご飯を食べ、授業中スヤスヤとお昼寝し、気持ちよく目覚めた由々香。午後の授業を適度に聞き流し、現在帰宅中。

「キング・クリムゾン!」

『突然どうした主よ』

「なんだかこう、やらなくちゃいけないような気がした!」

『元気いっぱいだな』

「しっかりお昼寝したからね」

 片手にレジ袋をぶら下げ、ルンルンと鼻歌交じりにラーと会話する。気づけばいつのまにやら自宅前、ラーはなぜだか少し疲れた気分だった。

「ただいま~……ラーも言わなきゃダメだよ?」

『……なぜ?』

「一緒に住んでるから? 外飼いのペットなら言わなくてもいいけd『ただいま帰ったぞ! これでいいか?』うむ、よろしい」

『神をペット扱いとは……』

 リビングに上がり、体を伸ばし寝そべりくつろぐ。冷蔵庫に買ってきたものを入れながら由々香は犬みたいだなとこっそり思った。

 時間を見ると6時過ぎ、お腹が空いていたのでこのまま晩御飯を作ろうと用意を始める。

「今日の晩御飯はカレー!」

『嬉しそうだな主よ』

「ラーメンマンの体の色って黄色でしょ そこから『あ、カレー食べたいなって』思って」

『その名前の間違え方気に入ってるのか? 我が名はラーだ。あと我が体は黄色ではない! 黄金色だ!!』

「似たようなもんじゃないの?」

『にとらんわ』

 買ってきたライダーカレー2袋を白いご飯の上にかけ、レンジで温めている間に、いくつかの野菜を取出し水洗いし、適度な大きさにちぎり大皿に盛りつけ……たところでラーに尋ねる。

「サラダにドレッシングかける? あと晩御飯食べる?」

『む、野菜に何かかけるのか? 我は精霊だが、ふむ食べてみようか』

「あー、じゃあ色々持っていくねー」

 クルクルと食卓と台所を行ったり来たりする様子を、ラーは興味深げに見ている。そうこうしてる間にこたつ机にはカレーと大皿に盛られたサラダ、醤油やポン酢、ゴマだれに餃子のたれなどなど……調味料が並べられていく。

「いただきまーす」

『い、いただきます……主、これは』

 ラーはカレーの入った器の横に置かれている、から揚げの入った小皿を見る。温めたのだろうかホカホカと湯気が立ち、肉の油の甘いにおいが鼻をくすぐる。

「お昼にいっぱい食べたからねー、ラーも食べたいかなーって思って」

『……礼を言うぞ主よ、こうして誰かとものを食べるのは……初めてかもしれん』

「いいよ~そんなこと。早く食べよ、あったかいうちの方がもっとおいしいよ」

 カレーを一口すくい口に頬張り、幸せそうに食べていく。ラーも真似してスプーンで食べようとし……たが、慣れないものを使って食べるのは、神でも難しかったようでなかなか食べれない。

「あーごめんね、あとで練習しよ?」

『すまぬ主よ……』

「いいよいいよー、知らずに出したこっちも悪いし。今は気にしないからさ直接食べて、こう……ガバッとワイルドに」

『神として……そんな獣のような真似は……まぁいいのかこれは?』

「気にしなーい、気にしない」

 口に含み、広がっていく辛みと旨さに内心ほろりと涙を流す。あぁうまい、と2口、3口とスプーン、いやくちばしが進む。

 その様子を見てにへらと笑う由々香。このまま食事を続けるのもいいが、少しさびしいのでテレビをつけ、何かないかチャンネルを回し始める。パッパッパと切り替わる画面を横目で見ながら、ラーは昼に食べたから揚げとは違う、ほかほかのから揚げを、ハフハフと口の中でころがし、あふれる油におぼれそうになりつつ。

 チャンネルはなお変わっていく、二人の男がマイクを挟んでしゃべっているもの、家庭でもできる掃除のコツ、複数人を一人でなぎ倒していく番組……

 なかなかいいのが見つからず、バイクに乗ってデュエルする番組を変えたあたりでラーが声を上げる。

 

『なんだいまの主!? バイクに乗って?! デュエルしてたぞ!?』

「え? え~と……」

 ポチポチとチャンネルを切り替えていく。5つ目ぐらいでバイクにまたがり、高速を今まさに駆け出した2人のデュエリストが映し出される。

『何をしているのだこれは!?』

「ライディングデュエルだねー」

『ライ、ディング?』

「そーそ、見た通りDホイールっていう特殊なバイクに乗って、専用道路でデュエルすることでねー。えっと……普通では味わえないスリルとフィール? を感じられるデュエルだって」

『危なくないのか? その、事故とか……あとフィールって?』

「んー危ないんじゃない? けがしてる人もいるしー病院送りになったって話も聞くしね。フィールはよくわかんない、聞いたのをそのまま使っただけだからー」

『刺激を求めてこうなったのか……あと主よ知らない言葉をポンポン使うな』

 しばらくハイウェイを駆け、先行を取ったのは白いデュエリストだった。

 白いデュエリストは手札からモンスターを召喚し、魔法カードを使い、効果で手札からモンスターを呼び出し、さらに効果でモンスターを呼び出し、何やら口上を叫び2体を墓地に送り、白いカードのモンスターを召喚、モンスターの効果で墓地のモンスターを呼び出し、さらにモンスターを場に出し、また墓地に送り白いモンスターを召喚する。またそのモンスターの効果で墓地のモンスターを呼び出し、またモンスターを召喚し……

『長いわ! いつまで続けてるんだ!? というかあの白いモンスターはなんだ!?』

「ソリティアだねー、ライディングデュエルではよくある光景だよ。あとあの白いカードはシンクロモンスターだね」

『シンクロ?』

「そーそ、チューナーっていうモンスターとそれ以外のモンスターのレベルを合わせてエクストラデッキから召喚するモンスターでね、えっと、今テレビに出てるモンスターは【XX-セイバーガトムズ】っていってね、レベルは……9だったかな、だからレベル3のチューナーモンスターとレベル3モンスターを2体足した数があれなんだよ」

『不思議な召喚方もあるのだな』

「だね~」

 カーブを曲がり、スロープを駆けのぼり、トンネルを潜り抜け5分経過したところでやっとエンドフェイズを宣言し黒いデュエリストへとターンが移る。

『やっと後攻か……見ているだけで疲れるな、ライディングデュエルは……』

「そうかな? 今日はまだ優しい方だと思うよ」

『これで? 優しいだと?』

「うん、だって先攻ハンデスループしてないし」

『なんだそれは……いや言わなくていい、大体察しがついた。しかしそれでは相手をなめてるのでは? やれることをやらずにターンを渡すのは……』

「う~ん、まぁ『普通』のデュエルなら舐めプか、そういうデッキじゃないってなるんだろうけど……これライディングデュエルなんだよね」

『どうしてそれにつながった?』

「だって……手札0にしたら『満足』されちゃうもん」

『満足? それはどういうことだ?』

 ラーが疑問を浴びせた瞬間

 

『ヒャーッハッハッハッハ!! ライディングデュエル初心者さんンンン!! ここでの満足式決闘疾走ってやつを叩き込んでやる!! デュ↑エル↓だァ!!!』

 

 黒いデュエリストが……はじけた。

『!? へ? 主よ?!』

「あーやっぱり満足民さんだったね」

『1人で納得するな、主!』

「まぁご飯食べようよ、説明は食べてから……ね?」

 困惑をよそに、もしゃりもしゃりと手を動かしご飯を食べる由々香。ラーはコップの中の水を飲みほし、頭を落ち着かせてから、同じくカレーを食べ始める。

 チラリと目をテレビへと向けると、黒いデュエリストがいつのまにか手札0になった状態で、白いデュエリストがやったように、ソリティアを始めた姿が飛び込んでくる。

「まぁ説明するとね、ライディングデュエルって『ケガするかもしれない危険なデュエル』なんだよね」

『それはさっき聞いたが』

「まぁ落ち着いて、昔ね5D'sっていうライディングデュエルのモチーフになった遊戯王のアニメがあるんだ、放送前はみーんな『バイクに乗ってデュエルってwww』みたいな感じでさ、でも放送が終わって新シリーズになると今度は『どうしてバイクに乗ってデュエルしないんだ?』っていい感じにマヒした視聴者が増えてさ、でだれかが言ったんだ『ソリッドビジョンが現実にある、バイクもある……あとはわかるな?』って」

 そこでいったん息を継ぎ、カレーを口に頬張り飲み込んだところで話し出す。

「最初は公道を使ったり、夜の峠道を使ってライディングデュエルをしてたんだ、当然ネットで動画や画像で知られていって、ニュースにもなったっけ? でね、どっかの会社が『えぇやん、気に入ったわ』って言ってそこからはルールを細かく設定したりとか、利権とかその他もろもろの調整をして、3年後お茶の間のゴールデンタイムの特番に組まれるほど人気になったわけだよ、うん」

『それが……なんなのだ? 主よ、さっぱりわからんが』

「長々しゃべるのは苦手だし……うー、あー、簡単に言うとライディングデュエルをしているのって18歳以上のデュエリスト、で3つのタイプだけなんだよね」

『3つのタイプ?』

「競技人口っていうのかな? 1つ目は一般的なデュエリスト、シンクロしたりエクシーズしたりペンデュラムしたり融合したり……そんな普通のデュエリスト」

『エクシーズやペンデュラムとか、また我の知らん単語が……』

「あとで教えてあげる、でね2つ目がさっきの白いデュエリストがやったソリティア『不動性ソリティア理論』使いの人たち、一時期は先攻トリシューラ3体とか、DDBワンキルとかでライディングとスタンディング両方の環境を制圧した人たち、エラッタとか制限改定とかで速度は落ちたけど、今でも理論を使ってる人はまだ、確実に存在します」

『なんだそのトンデモ理論は……思いついた者はおかしいぞ』

 テレビに1人と1柱は目を向けると、黒いデュエリストがカップ麺からサメを特殊召喚し、それを使い虎をシンクロしていた。

『まだ回しているのか……で、主よ3つめは?』

「3つめはね遊戯王界きっての変人揃い『満足同盟』っていうの、今墓地から【インフェルニティ・デーモン】を呼び出した黒い方がそれだね、で、その人らのことを『満足民』って呼ぶの」

『その同盟は何をするのだ? 碌なことしないと思うが……』

「まぁロクでもないね、だってやってることが【20ターンかかる特殊勝利条件を1ターンで満たしたり】【手札・墓地・フィールド・デッキを1ターンですべて除外したり】【遊戯王のカード全てを選択して使えなくして勝利する】とか考え付く頭の香ばしい集団だからね」

『アホだろ! なんでそんなこと……え? いや、えぇぇぇ……』

「満足民はループすることに命と情熱かけてるような、集団だからとしか……満足民は普段は礼儀正しい紳士が多いけど、いざデュエルとなったら……」

 

『ヒャーハッハッハ! 踊れ新人ンンン!! 死のダンスをォ!!』

 

「こうなっちゃう」

『頭いかれてるだろ……』

「実は、私も満足民になろうかなって……思ってたりします」

『やめてくれ主、後生だから、何でもするから』

 頭を床にこすり付け拝み倒す神さま、そこに威厳など微塵もなかった。自分の主がこんな世紀末な集団の仲間になるのは耐えられないようである。

「で、ループが始まると止める方法がほぼ無くなっちゃうから、普通のデュエルだと負けちゃうんだよね」

『ライディングデュエルでは、その状況下でも止めることができると?』

「うん、簡単だよ相手より先にゴールすればいいんだよ」

『デュエルとは一体……』

「仕方ないねー、ちなみに先に5周した方が勝ちだよ、あと周回遅れになった時点で負けとか」

 細かいルールはまた今度ねー、とぺろりと食べつくし、2杯目をつぎに行く。デッドヒートを繰り広げるテレビ画面を見つつ、ラーはハフハフと残りのカレーを食べきる。

『まだ食べるのか主は』

「最低2杯は食べなきゃ、落ち着かないのよ~」

 レンジで温めたご飯にわさびふりかけを大量にまぶし、お箸で一口パクリと。舌から鼻を通り抜けるツンとした辛さ、暖かなご飯の優しい甘みととけあい、顔が幸せいっぱいにほころんでしまう。

「ラーも一口欲しいの?」

『おいしそうなんでな』

「はい、あーん」

『(なにやら恥ずかしいな)あ、あーん…………カ、ハァァァ!! は、鼻が! 痛い!!』

 初めて食べるわさびの味に涙を流し、悶える神さま。由々香はその様子にケラケラと笑っていた。




 Xセイバーとか使ったことないから、途中のループを書くのが出来ない……雰囲気さえ伝わればえぇかと、こんなことに。あと身内にXセイバー使いがいないのもあるか。
 周囲の使うデッキは大体現環境のカードが入ってるし、ウォールバーンなんてデッキ自分以外使わないだろうしね、仕方ないね♂
 ソリッドビジョン的なものが実際にあれば、ライディングデュエルをやりだす決闘者は絶対いると思う。
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