誤字脱字や感想などあったらよろしくです。
ウタが目を開けると書斎の入り口に立っていた。
「………かはっ!はぁ、はぁ。も、戻って来た?小猫ちゃんはいない、みたいだね。あー、疲れた〜。やっぱ時間を自分が飛ぶのは魔力消費激しいな…」
立っているのもやっとという感じで、フラフラと椅子に座り机に突っ伏す。ウタが先程使った魔法は、ごく近い過去のランダムな時間に戻る、という魔法だ。とはいえ、精々戻れるのは一日が限界で、ウタのほぼ全ての力を使い果たしている状態で戻るのが欠点だ。
「そう言えば今何時だろ?流石に一日以上前ってことはないと思うけど…この部屋の時計って…」
そう思いのっそりと顔をあげてみれば先程崩した筈の本が山積みにされている。それをどかして時刻を確認すると昼過ぎ、つまりこの部屋に来てすぐの時間に飛んできたということだ。
「この時間か…また魔法作り直さなきゃじゃん。大体覚えてるけど。っとその前に猫耳を消しとかなきゃね。流石に一日に一回が限度だし。」
猫耳を消し、積み上げられている本の一番下を抜き取る。
「忘れないうちに書いとこう。ってうわあぁぁぁ!…………痛てて。そりゃ本が倒れてくるに決まってるか。はぁ、疲れすぎて動けない…ってか本重すぎ!身動き取れないってどういうこと!?まぁいいや。このまま進めるか。」
幸い下半身が本に埋もれただけなので、ウタはプルプルと震える手でペンを持ち、そのまま魔法の製作に取り掛かる事にした。
「えーと、確かここがこうでそこはそんなだったかな?」
ウタはうろ覚えではあったが、しっかりと魔法を作っていった。
「ふぅ、結構進んだかな。この調子でいけば明日ぐらいには完成すると思うけど…」
休憩しようとするが、未だ力が戻っておらず、身動きが取れない事を思い出し、はぁ、と溜息をつくウタ。
「はぁ、小猫ちゃんは一体いつ来てくれるんだろう…ああ、今以上に小猫ちゃんが恋しかった事なんてないよ!」
「…何やってんですか先輩。」
「え!?本当に来た!よかったぁ。この本どけてくれない?身動き取れなくてさ…」
丁度嘆いているところに現われる小猫。が、一向に助けようとせずジト目で立ち尽くしている。
「小猫ちゃーん!助けてよ〜!…私何か悪い事した?謝るから出して!(もしかして猫耳のこと覚えてる?)」
「いえ、別に呆れてただけですよ。まさか布団が無いからって本を布団代わりにする人がいるとは思わなかったので。」
やれやれ、という仕草をしつつもウタを引っ張り出す小猫。そのままウタは立ち上がるがよろけてしまい、小猫を押し倒してしまう。
「うわぁ!小猫ちゃんごめん!大丈夫?」
ウタはすぐに謝るがジト目だった小猫は見下す様な冷たい目で睨む。
「……………そういう人だったんですね。早くどいてください。(こんなことは知りたくなかった…)」
「違うよ!力が上手く入らないの!起きたくても起きれないんだよ…」
「そうですか、わかりました。」
小猫は上に乗っているウタをドン!と突き飛ばし横に転がる。そして無様に着地してもんどりうっているウタの襟を掴んで引きずりだす。
「ったぁ…一言言ってくれれば…って首引っ張らないで!?せめて逆に、うつ伏せの人の首掴んでいいのは死体だけだから!」
そんな叫びを無視して引きずりリビングにあるソファに放り投げる。
「小猫ちゃん…もうちょっと優しく…」
「さっさと寝て風邪を治してください。」
ややふてくされた様にそっぽを向きながら言う小猫。
「もしかして小猫ちゃん、私の事心配してくれて…」
「まったく…先輩が寝てたら誰がご飯作るんですか?」
「だよねー…今日の夜ご飯どうしよっか。」
と、ウタが小猫に問いかけるが小猫は壁を睨んで返事をしない。
「…先輩、ここに来てからずっとなんですけど、視線を感じます。」
「あ、まだ居たんだ、。みんな〜出て来て〜。」
そう呼びかけると、ひるに招いた猫達が現われる。
「何ですかこの猫の数は…」
「にゃ〜?」
「うーん、あんま大丈夫じゃないかな?エネルギー切れてるからあんまり動けないんだ。」
「にゃ!?にゃにゃ!!」
『にゃー!!!』
一匹の猫が呼びかけるとウタの元にどんどん集まり、やがて猫達に埋もれてウタは見えなくなってしまった。
「先輩!?大丈夫ですか!?」
「あ、小猫ちゃん?平気だよ。ちょっと息苦しいけどね。」
そんなやり取りをしていると猫達はウタから離れる。
「ふう。助かったよ〜。みんなありがと!」
「にゃ!にゃーにゃー。」
「あ、もう帰るの?うん、ばいばい。」
嵐の様に去っていく猫達を小猫はポカンと眺めている事しかできなかった。
「さて、多少は力も戻ったし夜ご飯作るけど、何がいい?」
「先輩…あの猫達は?」
「ああ、あの子達が昨日言ってた友達だよ。」
「…そうですか。動物と話せる魔法でもあるんですか?」
「え!?あ、うん、そうそう!師匠が作ってたんだ!」
慌てているウタを少し不審に思った小猫だが、ウタはそのままキッチンに行ったので、特に気に留めることもなかった。
「ぱくぱく、先輩、その怪しさ全開の本は何ですか?もぐもぐ。」
無事に復帰したので夕食を食べている二人だが、ウタの隣にはいかにも魔導書、と言った感じの本が置かれていた。
「これ?これは私が作った魔法が書かれた本だよ。今も作りかけの奴があるから、食べ終わったら続きをしようと思ってね。」
「そうですか。その本を読めば私も魔法を使えますかね。」
「うーん、どうだろ。少なくともここの魔法は全部私に合うように調整されてるから、ここの多分使えないかな〜。」
その言葉に若干落ち込むような素振りを見せたが、ウタはすぐに、でも、と続ける。
「私は大衆向けの魔法は作るつもりはないけど、小猫ちゃん向けに調整することが出来ないわけじゃないよ。かなり試行錯誤しそうだから時間はかかるだろうけど。」
そう聞くと少しだけ嬉しそうな顔をした小猫だが、真顔に戻って「…そうですか。」と素っ気ない返事をする。
「ま、私はまだやったことないからあんま期待しないでね?」
「…別にしてませんよ。それで、今はどんな魔法を作ってるんですか?」
「んー、そこまで新しい訳じゃないけど、改良って感じ?今作ってるのは任意の空間同士を繋げるってやつ。」
「?今までと何が違うんですか?」
違いがわかってない小猫が問いかけるが、説明が難しく頭を抱えるウタ。
「うーん。じゃあ、小猫ちゃんが家に弁当を忘れたとするじゃん。」
「忘れませんよ。」
「えー。じゃあ私が寝坊して後から届けるつもりだったのに忘れたとするじゃん。」
「そんな事したら怒りますよ?」
「…えっと、それで、怒られたくない私はその魔法を使えば一発で小猫ちゃんの所にお弁当が出てくるの。すごいでしょ!」
「そうなんですか。それで今までと何が違うんですか?」
ドヤ顔で説明を終えたが質問に答えることが出来ていないことに気付き、少し恥ずかしかったが説明を続ける。
「今までだと、任意の地点と自分のごく近くとしか繋げることが出来なかったんだよね。まあ一回作れば固定出来るから離れてもいいけど。だから、さっきの話だと私が一回自分の元に一回送ってから小猫ちゃんの所に送るって感じで二度手間だったんだ。」
「…凄く地味ですね。」
率直な感想に肩を落とすウタ。が、反論しようと、もし、と言うが、小猫が「そろそろ時間なので行きますね、ご馳走様でした。」と言って部室に行ってしまった。
「行っちゃった…続きをやるか。」
魔法作成は順調に進めて行きあと少しとなったが、少し眠くなったので明日にしてお風呂にでも行こうと時計を見ると十時五十分だった。
「うーん、なんか忘れてるような?ま、いっか。」
思い出せずに風呂場にきて服を脱ぐウタ。が、ズボンを脱いだ時にクシャ、と紙の音がしたので、何かな?と取り出すとメモ用紙が出てくる。
「…………あ!電話するの忘れてた!」
そう言えばウタの見た目とかあんまり詳しく説明してないな〜と思い、絵を描けば良くね?と一瞬思いましたが、棒人間位しか描けないことを思い出しました。
絵心欲しいです…