ベルセリア・ゼスティリア転生(仮題)   作:飯妃旅立

20 / 60
私が今まで書いてきた中で、初めてレベルで短いです。
更にゲームプレイしてない人には全くわからない仕様!

でもこの話は入れたかったんです!

サブストーリー3つ目!


『Theodra』

 ――ザビーダ。

「……よぉ、サムサラサン。 なんでアンタ、ここにいるんだ?」

 ――やっと、彼女が戻ってきたから。 暗く、温かい穴の中に。

 

 ブリギット渓谷。 良い風が吹いている。

 日向ぼっこをしていたのだ。 そこへ、ザビーダが来た。

 

「アイゼン達はアルディナ草原にいたぜ? アンタ、あいつらと一緒に行動してるんじゃなかったのかよ」

 ――寝心地が良かったから、寝過ごしちゃった。

「……そうかよ」

 

 本当に心地のいい風だ。

 このまま、千年くらい眠ってしまいたくなる程に。

 

 ブリギット渓谷。 この場所の意味は、崇高。

 今の聖寮が掲げる様な正義とは違う。

 

 ただただ、崇高である場所。 それがここだ。

 

「アンタ前に、聞いて来たよな……。 メルキオルに使役されてた頃、俺は生きていたかって」

 ――そうだね。 答えは出た?

「……あぁ。 アイゼンが気付かせてくれたからな……。 今思えば、この問いも俺に気付かせるため、か」

 ――殺すことが救いになる奴もいる……か。 私から見れば、殺す事じゃなくて、戻すことが救いになるんだけどなぁ。

「……アンタの言う『戻る』ってのは……何の事なんだ?」

 

 今の彼になら話してもいいだろう。 

 世界の真実の一端。 

 

 ――教えてあげる。 生きている者は、みんなこっちに来ているの。 だから戻る事で本来の流れに行きつく。

 

 業魔化すると、本人の意思と関係なくとどまらなければいけなくなる。

 それは、とてもつらいことだ。

 

 ロクロウやベルベットでさえも……。

 

「そりゃ……」

 ――ドラゴン化は呪いじゃないの。 呪いは等しく、業魔化だけ。

「何……?」

 

 風が吹く。 世界を巡る風が、世界を旅した風が。

 寝たい。

 

 ――穢れも祈りも、元をただせば心の力。 存在の力。

「……」

 ――聖隷には許容量が存在する。 それこそが、天界の連中が人間を恐れた理由でもある。 それこそが、ドラゴン化の原因でもある。

 

 そして、人間にも。

 

 あぁ、そうだ。 今なら名乗っても良いだろう。

 

 

 ――私の真名は、エヌエス=ジャーニー。 

 

「真名……すまねェな、俺には心に決めた女が……」

 ――wargxno(フィルクー)xavie(ザビエ)。 久しぶり。 漸く生き返ったね。

「何……? なんでアンタが知って……待てよ、確か生まれたばっかの頃……」

 

 何年経っても変わらず、優しい子。

 彼女も安心したから、アイゼンの拳を受け入れたのだろう。

 

 ドラゴン化した聖隷になんども打たれて、死なないはずがないのだ。

 神の贈り物は、やはりこの子を愛していた。

 

 ――誘惑の罠張り巡らせ、我が懐中へ。 トラクタービーム。

 

 自身に術をかける。

 ふわりと浮きあがる身体。

 

 ――最後に1つ。 シルバもしっかり戻ったよ。 

「……唐突なのは相変わらずなンだな……サムサラ」

 ――またね、ザビーダ。

 

 さて、バンエルティア号はどこかなーっと。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。