ベルセリア・ゼスティリア転生(仮題)   作:飯妃旅立

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茶番オンリーのサブストーリー4つ目!


dai ni jur wa otona no jikan

 トラクタービームの有用性というか、汎用性がすごく高い。

 小規模展開をするために大規模展開している円周部を反転したトラクタービームで削る、というアナグロな手法を取っているために霊力の消費量が2倍3倍所ではないという欠点こそあれど、自分や味方、物体の移動・攻撃・防御等様々な用途に転用可能だ。

 どう足掻いてもやはり私はノルミンと言うことなのか、人間と関わらない生活を何十何百何千と送っていると、術の改良や発展をせずにげーんなり、けだるーく生きてしまうようだ。 

 

 さて、現在私はタリエシン港上空にいる。

 バンエルティア号に帰ろうかとブリギット渓谷を飛び立って、ベンウィックに交信を繋げてみるとあら不思議。 真下と言ってもいい所に彼がいるではないか。

 そして直後に感知する、空間の歪み。

 

 知識の覚えている場所に目を向けててみれば、円に五芒星という酷く見覚えのある形をした転移陣とねこにんの姿が。

 

 ふわっとねこにんの前に降り立つ。

 

「わわ! 空からノルミンが降りてきましたにゃ!」

 ――ねこにんの里……行っていい?

「あ~、本来は一見(いちげん)さんお断りにゃんですけど……」

 ――ねこスピ、幾つ欲しい? 11,330個あるけれど。

「……では、全部もらいますにゃ! ねこにんの里を楽しんでくださいにゃ~!」

 

 全てのねこにんBOXを開けるのに必要なねこスピが11,330個。 その全てを持っていかれた。 ぼったくりかな。 まぁまだ倍以上あるんだけど。

 円に五芒星の転移陣に入る。 守る強さを知り続けた青年の領地でよく聴く音が鳴る。

 

 にゃあ~お。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぅ……身体が……甘辛いッ……!」

 

 あれ、入って早々秘伝の醤油ダレに付け込んだすっぽんみたいな匂いが。

 ……美味しそう。

 

 とりあえずお取込み中っぽいベルベット達に見えない様に、ニャバクラへ向かう。

 

 

 ――金はある。 ねこスピもある。 歳は数万。 名前はサムサラ。 入っても?

「おぉ……女性の方でも、ニャバクラは歓迎いたしますニャ! サムサラ様、一名ご案内ニャ~!」

 

 ふ、これが年齢の差という奴だ、という思いを込めた視線をアイゼンに送ってみるも、絶賛ダークかめにんと戦闘中だった。

 

 ――以下省略。 ヴァイオレットペイン!

 

 術をダークかめにんに放って店内に入る。 ここからはオトナの空間だ。

 

 ――『四つ腕の青鬼』『菱鉱心水(インカローズ)』『緋髪(あかがみ)の魔王』『いばら姫』と……『地念どど~ん』入れて。

「ウチの最高品を羅列するニャんて……お客さん、ウチは初めてじゃないのかニャ?」

 ――そう言うってことは、『日々寧日』は置いてないんだね。 残念。

「なんとにゃ!? 試されていたのかにゃ!! ……次のご来店までには、仕入れておくニャ……」

 

 次に来るのは多分千年後だけど……。 いや、千年寝かしたと考えれば……。

 

 ――ちゃんと、保管しておいてね。

「お任せあれにゃ! 『四つ腕の青鬼』『菱鉱心水(インカローズ)』『緋髪(あかがみ)の魔王』『いばら姫』『地念どどーん』入りますにゃ~!」

『ありがとうございますにゃ~!』

 

 今度ダイルに自慢しよーっと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダークかめにん様一名ご案内~!」

「俺も心を洗濯するッス~!」

 

 戦闘が終わったらしい。 そういえばこのかめにん、ここでニャバクラに嵌って未来で横領するんだっけ。 

 まぁ、私には関係の無い事だ。

 

 ――ねこにん。 ダークかめにん(あのお客さん)に『すっぽん酒』。 タワーで。 一回目だけ私が御代払ってあげる。

「まいどありニャー! ささ、お兄さん。 これが当店自慢の名物、ニャンパンタワーですニャー!」

 

 当然ながら、一回目以降はダークかめにんの支払いである。

 

 さて、そろそろ出よう。 いい感じにベルベット達に合流するかバンエルティア号に辿り着けばいいだろう。

 

 ――ねこにん、勘定。

「はいですニャー! えーっと、合計で360万ガルドになりますニャ」

 

 

 ――幸運招きし金色の雨降らし、汝の名はゴルドカッツ。

 

 

 ――じゃ、コレ。 400万ガルドくらいあるから。

「お客さん今どこから出しましたニャ? まぁ、ありがとうございましたニャー! またのご来店をお待ちしておりますニャー!」

 ――じゃ、千年後までに『日々寧日』をとっておいてね。

「うぉぉぉおおおおお! もっと注ぐッス~! やる気が湧いてきたッス~!」

 

 

 ダークかめにんの覚醒したような声を聴きながらニャバクラを後にする。

 やっぱりお酒は良いなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「よ、サムサラ」

「サムサラ、起きた方がいいぜ。 ついに手に入ったってよ!」

 ――ダイル、声が大きい。 ベンウィック達に見つかる。

「あ、すまねぇ……。 で、だ。 ロクロウ」

「おう。 コレがルカレラチーズだぜ」

 

 

 ロクロウが取り出したるは、一見普通のチーズ。 しかし、見る角度によっては銀に見えたり阿修羅が見えたりする不思議なチーズだ。 味もなよなよしいかと思えばいきなり辛くなったり、しっかりした味かと思えば急にヘタレる。 そんなチーズ。

 しかし、これをイリアーニュの赤葡萄心水と一緒に食べると、その味は固定される。

 

 

「これがイリアーニュの赤葡萄心水だ。 それと、俺が捕まえたオクトパジェントルメンだぜ」

 ――こっちが私の提供するコーダチーズ、エルマニア、蒼翔魚のひれ、スパーディッシュサラミにアンジョルノ。

「……いつのまに集めたんだ? ん、これは……葉っぱ?」

「アンジョルノまであんのか。 そりゃエルマニアって葉っぱらしいぜ。 くぅ~、こうなってくるとリカルデンが欲しくなる所だが……」

 

 

「――リカルデンなら俺の秘蔵のモノが一本ある。 俺も混ぜるというのなら、栓を抜こう」

 

 

「うぉ、アイゼン!?」

「静かにしろ。 ベンウィック達に勘付かれる」

 ――ま、1000歳ならオトナかなって。 イリアーニュの赤葡萄心水の取り分は減るけど、リカルデンがあるならいいでしょ?

「いや、今は業魔とはいえ元人間の俺からしたら1000歳は十分に大人なんだが……。 ダイル、アイゼンも混ざっていいか?」

「船に乗せて貰ってんだ。 ベンウィック達みたいなガキにはやれんが、アイフリード海賊団の副長にやれない酒なんてあるはずがねぇ」

「既に持ってきている。 肴は……ほう、オクトパジェントルメンだな。 ダイルが仕留めたのか」

「これでも海の男だからよ。 さて……乾杯と行こうじゃねェか?」

「だな。 心水も肴も早く喰ってくれって叫んでいるようだ」

 ――アイゼン、折角だから乾杯の音頭取ってよ。 注ぎ終わったから。

「俺でいいのか。 ……なら、そうだな……。 余計な言葉はいらねぇ。 乾杯だ」

「おう、乾杯」

「乾杯だぜ」

 ――乾杯。

 

 

 イリアーニュの赤葡萄心水を煽る。

 情熱の赤と二丁拳銃を幻視した。

 

 

「――っはぁ……うめぇ」

「あぁ……染み入るなァ」

「琥珀心水とはまた違う良さだな……」

 ――ほら、ルカレラチーズを早く食べた方がいい。 味が激変してるから。

「少しくらい余韻に浸らせてくれ、とは思うが……ま、サムサラの言うとおり早くルカレラチーズを喰った方がいいなァ」

「じゃ俺から……」

 

 

 ロクロウがルカレラチーズを切り分けて口に入れる。

 しばらく口をもごもごしていたロクロウだったが、ある一点でカッと目を見開いた。

 

 

「……天空の……城?」

 

「イリアーニュの赤葡萄心水とルカレラチーズを初めて一緒に食べた奴は、みんなそれを見るんだ。 んじゃ、俺も頂くぜ……。 あぁ、美味ェ」

「……成程……これは美味い……」

 

 

 美味しい。 本当に。

 ニャバクラの雰囲気とはベクトルの違う、心水の楽しみ方の一つだろう。 

 

 

「オクトパジェントルメンをエルマニアで巻いてだな、さらにコーダチーズを巻き込んでみろ。 美味いからよォ」

 ――スパーディッシュサラミとルカレラチーズを切り分けてアンジョルノに乗せるのもいいよ。 塩味といい具合にマッチするから。

「一度に言うな一度に! アイゼン、お前も……って、何してるんだ?」

「いや……何故かバンエルティア号が海を滑るように空を飛んでいる姿を幻視しただけだ……気にするな」

「そ、そうか……。 おぉ、こりゃ美味いな!」

 ――ロクロウ、少し声が大きい。 気を付けて。

「ん、あぁすまん。 あまりに美味いからつい、な……」

 

 

 

 その後、リカルデンとの組み合わせも色々試して大の大人4人の飲み会は続いたのでした。 めでたしめでたし。

 




オワラナイヨ!


サムサラが関わらない・関わり辛いサブストーリは飛ばしますので悪しからず。



ルカレラチーズ:チーズ
イリアーニュの赤葡萄心水:酒
スパーディッシュサラミ:サラミ
コーダチーズ:チーズ
エルマニア:紫蘇的な葉っぱ
リカルデン:酒
オクトパジェントルメン:タコ
アンジョルノ:チップス

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