ベルセリア・ゼスティリア転生(仮題) 作:飯妃旅立
と言っても、ベルセリアのエンディングやゼスティリアのストーリーを加味した上での物になるので、完全なオリジナルではないのですが。
dai ni jur san wa sonogo no nakama tachi
「んで? いいのかよ。 アイフリード海賊団の船員に話つけなくて」
――ベンウィックだけには、言ってあるから。 別れの言葉。
「そうかよ。 さて……どっか行きてぇトコあるか?」
――ストーンベリィかロウライネかな……。 前者は心水、後者は忠告。
「あからさまに大事そォな忠告と心水が同列かよ……。 ま、気ままに行こうや」
――うん。 私はストラップになるから。 じゃ、おやすみ。
「……はァ……」
ベルベットがカノヌシと喰らい合って封印を為し、ライフィセットがマオテラスと成って新たなる五大神となった。 そして、『やり直すチャンス』を与えられた業魔達は皆人間に戻り、今度は間違えない様にその生を謳歌するのだろう。
人々の霊応力は降臨の日の前……つまり、余程の素養が無ければ聖隷を目視する事すら不可な状態にまで戻り、使役されていた聖隷や人の文化に紛れていた聖隷は姿を消す事となる。
ノルミンだってそれは同じ事。
グリモワールはまた
ビエンフーは元よりマギルゥと共にいたし、マギルゥはマギルゥで霊応力の素養が最高峰(メルキオルやシグレ・ランゲツが居なくなった今、恐らく最高)なので見えなくなる、なんて事は無く、2人仲良く吟遊詩人を始めるらしい。 吟遊詩人メーヴィンと名乗るのだそうな。
ロクロウは『俺より強い奴に会いに行く(意訳)』と言って旅に出たし、アイゼンは『あいつらと一緒に旅をして……その後はどうなるかわからん』と残してアイフリード海賊団の元へ戻って行ったらしい。
エレノアはライフィセットとの呼応で霊応力の底上げがあったせいか、聖隷を見る事は可能だと言っていた。 一行の動向はエレノアとの交信で聞いたのだが、意味深な別れ方はやめてくださいと説教された。 当のエレノアはストーンベリィの発展を手伝うらしい。
ダイルはヘラヴィーサに……なんて事があるはずもなく、なんと本当にアイフリード海賊団に入ったそうな。 業魔化が解けたし、割とダンディなおっさんだったしお似合いかな。
モアナとメディサは2人で静かに暮らすらしい。 いつの日か、モアナにも真実を離さなければいけない。 その役目をメディサが自ら買って出た。 まぁ、モアナも聡い子だ。
恐らく、既に……。
クワブトはヴァーグ樹林へと還され、オルとトロスもアバルへと帰って行った。 オルとトロスの意思を確認してみた所、ベルベットへの恨みは残っていない様だった。
パーシバル殿下とグリフォンは王宮へ。 導師の伝承を曖昧に書くと言っていた。
そんなことよりグリフォンと共に表だって遊べる事が嬉しくて仕方ないようだったが。
「着いたぜ。 んで、忠告って何すんの?」
――中広間まで行って。
「へいへい」
とまぁ彼ら彼女らの動向はこの辺りだろうか。 ノルミン島の子達が大陸に渡ろう、という所まで決意して、結局ほちゃほちゃしてるとかそんな情報もあるけどどうでもいいだろう。 ミヤビはペンギョン達と楽しくやっているらしいし。
「ん? なんか集まってンな」
「む……我らはこれからの聖隷の在り方を話し合っていたのだが……お前は?」
「俺はザビーダってんだ。 ま、用向きがあるのは俺じゃねェ。 こいつだ」
「……ノルミンか?」
――うん。 ノルミン。 忠告だけど、そこの隅にあんまり霊力溜めない方がいいよって事言いたかったの。
「……何かの術か。 それで、何故だ?」
「あン? そこって確か……」
――大分拡散したけど、名残りが残ってるから。 切っ掛けを与えるだけで黒水晶が生えると思う。
「……黒水晶だと?」
「やーっぱりあン時の黒水晶はお前の仕業だったのか……」
――もう言うことは無い。 ザビーダ、行こう。
「あー。 もう言うこと無ぇんだってよ。 そんじゃーな」
「ちょ、ちょっと待ってくれ! 黒水晶がどういう……」
――ぐっらっく。
そんな仮面してると
「あぁ! ちょ、ちょっと行ってきますね!」
ストーンベリィに着いて早々、何か角材を運んでいたエレノアがこちらに気付いた。
度重なる戦闘故か、ロクロウに感化されてか。 かなり気配に敏くなっているようだ。
ストーンベリィの大半の人間には私達が目視できないので、とりあえず場所を変える事にした。
「いやぁ、仕事ほっぽり出してまで駆けつけてくれるなんて……良い男冥利に尽きるねェ」
「あなたではありません! サムサラです!」
「……ちょっと傷ついた」
――や、エレノア。 元気だった?
「あんな別れ方をして……はぁ。 交信だけで済ませようと思っていなかった所だけは褒めてあげますけど」
「あら、俺はいらない雰囲気? んじゃちょっくら……アイツに会ってくるぜ」
――行ってらっしゃい。
風となってザビーダはアルディナ草原の方へ行った。
「ザビーダ……」
――それで、何か用?
「何か用って……いえ、特に用向きは……というか、あなた達があったんじゃないんですか?」
――私は心水を飲みに来ただけだし。 あぁ、まだ完成してない奴じゃなくて、琥珀心水ね。
「そんな事聞いてません。 ……はぁ。 あなたは変わりませんね……」
――ねぇ、
「……はい?」
――ひと段落したら、ローグレスに行くといいよ。 星の巡りに会えるから。
「はぁ……?」
――ロマンチックに言うなら……運命の相手?
「へ? ……えぇ!?」
――それじゃ。
「で? 何を言ったんじゃ~? ほれほれ、言うてみぃサムサラ~」
――マギルゥ、密かにエレノア応援してたんだね。 やっぱり気になるの?
「ち、違うわ! 儂は吟遊詩人メーヴィンとしてあ奴を面白おかしく……」
「マギルゥ姐さんは、エレノア様がミスしそうに成る度に息を押し殺しながら、なんでそこでそうするんじゃ! とか、そこは違うじゃろ! とか言ってるんでフよ~」
「余計な事を言うでないわ!!」
「びぇえええええ!!」
ぐいっと首を絞められているビエンフー。 うん。 元気そうで何より。
「……お主は何処へ行くんじゃ、サムサラ」
――
「儂も同じじゃのぅ……。 お師さんもいない、身寄りもない。 ビエンフーと一緒に世界を面白おかしく練り歩いていくわい。 コレもあるし、のぅ?」
そう言って取り出したるはレアボード。 あ、マギルゥが持ってたんだ。
哀れビエンフー。 解放されず。
――
「なんじゃあ? かしこまって」
――神器の事、頼んだよ。
「……全く……。 のんびりさせてくれん仲間達じゃ~」
――ばいばい。
――もういいの?
「あぁ……テオドラはもう『戻った』ンだろ?」
――うん。
「ならいいさ。 カワイコちゃんを見つける旅に出ないといけないしな!」
――頑張って。 応援してる。 きっと見つかるよ。
「……ぜってェ応援してねェ……」