ベルセリア・ゼスティリア転生(仮題)   作:飯妃旅立

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つぎはぎです。
捏造独自設定あります。


dai yon jur yon wa kaikou to tettai soshite sousaku

 夜が明けた。

 

「つーワケで。 またよろしくな、サムサラサン?」

 ――よろしく、ザビーダ兄さん。

「……」

 ――……。

 

 軽口を叩きつつ、私はまたザビーダの腰元に……という事なく。

 乗り心地の良い、ミクリオの肩に乗っかる。

 一瞬「えぇ……」という怪訝な顔をしたザビーダとミクリオの両名だが、1100年も一緒にいたのだ。 ザビーダゲージは振り切っているので、ミクリオゲージを溜めなければ。

 

「そういえばサムサラはザビーダと一緒に旅をしていたんだっけ?」

「ま、ちーぃっとばかしな。 旅をしていた、なんつっても俺の腰元にストラップみたいに括り付けられてほとんど眠ってただけだけどよ」

「それは今とあまり変わらないな……」

 

 みんながみんな、努めてエドナの傘を見ないようにしているのが面白い。

 あとフェニックス。 何故ドヤ顔なんだ。 バレてないと思っているのか。

 

「じゃあザビーダも海賊だったの?」

「いやいやいや。 ロゼちゃん、俺がそんな野蛮人に見える? 俺はアイフリード達と正面切って殴り合う流離の喧嘩屋だっただけだっての」

「十分野蛮な気がするのですが……」

 

 まぁあの頃は文字通り野蛮人(Berseria)だからね。

 喰えばわかるさ系刺突剣士に斬ればわかるさ系二刀剣士に殴ればわかるさ系海賊副長と3大野蛮人が1つの場所にいたのだ。 そりゃあザビーダでも霞む霞む。 突けばわかるさ系対魔少女も若干野蛮だった気もするけど。

 ……ライフィセットはいいとして、マギルゥが常識人枠にいるんだなぁ……。

 

 あ、ライフィセットもとりあえず殴ろう少年になったんだっけ?

 

「で、どこ行くんだ?」

「……とりあえず、グレイブガント盆地に行ってみようと思う」

「最初にヘルダルフに遭遇した場所だからね」

「グレイブガント盆地な。 わかったぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ザビーダ。 ……それと、サムサラ。 あの話の事を聴かせなさい」

「あの話ィ? って、なんだっけ。 告白の返事の事か?」

「誤魔化さないで。 さっき言ったでしょ……お兄ちゃんと決着をつけるって」

「そのままの意味さ。 アイゼンとは、ちょっと因縁があってね」

「それがどんな因縁かを聞いているの」

「『妹さんを僕に下さい』って言ったら殴られた」

「嘘ね」

「でも絶対やるだろ、アイツ」

「……答える気はない、って事ね。 サムサラ、ずっと黙っているけれど、アンタも同じ?」

 ――私は決着を付ける気なんてないから。 

「……エドナちゃん。 ソイツは誓約でアイゼンの野郎には手を出せないんだとよ。 どんな誓約かは知らねぇが、聞いて面白いもんじゃないと思うぜ?」

「……そ。 あなた達が別れていたのはそういう理由。 仲間、ってワケじゃないのね」

 

 

「ヒヒヒ。 アイゼンが心配するワケだ」

 ――よく似ているからね。 変なこだわりがあるところも、家族思いな所も、内に秘めているつもりだろうけど全く隠せてないのも、全部そっくり。

「全くその通りだなァ。 エドナちゃんの方が数千倍可愛い気があるってトコくらいじゃね? 似てないの」

 ――そんなことないよ。 アイゼンにも可愛げはあった。 特に遺跡について語ってる時とか。

「……微妙に想像ついちまうのがなんか嫌だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふひぃ~……」

「ぬくぬく、ですわね……」

「……暑いわね」

「そりゃサウナなんだから暑いのは当たり前だってー」

 

 男共を宿屋に残して、サウナなう。

 渾身の隠蔽術を全体にかけているが故に、例えカノヌシであろうと中を除く事は出来ない秘密の花園仕様(シークレットガーデン)。 覗こうとするのはザビーダぐらいだろうけど。

 

「ロゼさんはお肌ツヤツヤですわね……」

「ライラこそ、って、天族じゃん!」

「確かに私達は肌荒れとは無縁の存在ですけれど、精神に重きを置く天族だからこそ、弛みや怠惰はそのまま見た目に現れます。 存外、気を遣わなければいけないんですよ?」

「……」

 ――何故こっちを見たのか言わないと氷水かけるよロゼ。

「それは無理! いや、サムサラって基本だらけてるイメージで……ノルミンだから肌とかよくわかんないけど、そこんとこどうなの?」

「ノルミンと私達天族は微妙に種族的な部分で違いますから、私もそういう健康情報は知りませんわね……」

「肌荒れするノルとか聞いた事ないけど」

 ――ノルミンも太ったり肌が変質したりするよ。 今は大分離れちゃった元サウスガンド領にいるノルミンなんかは、肌が黒くなってたりするし。

「日焼けするの!?」

 

 グリモワールの事である。

 ……黒いし、間違ってない。

 

「そういえばロゼ。 気になっていたのだけれど……あなた、こういう場にも武器を持ってきているわよね。 錆とか考えないの?」

「あれ、気付かれてたんだ。 まぁ錆びない素材使ってる奴だから、大丈夫。 いつどこでヘルダルフが襲ってくるかわかんないし……武器くらいはもってないと」

「その場合バスタオル姿で戦わなければならなくなるのですが……。 そういえばこのバスタオルはサムサラさんの私物だったようですけれど、何故こんなものを?」

 ――1100年前、それを着たまま旅をする6人の戦闘集団がいてね。 時の導師とも、災禍の顕主ともそのままの装備で戦っていたよ。 ちなみにバスタオルじゃなくてニャスタオルね。 これは彼女らから貰った物。

「こ、この恰好でですか!? 男性はザビーダさんの例があるのでいいにしても……女性は、その、色々と……」

「いやいやザビーダが半裸なのもおかしいから」

 ――ちなみにアイゼンも半裸だった事あるよ。

「……詳しく聴かせなさい」

 ――そんなあなたに朗報。 エドナが今使っているニャスタオルこそアイゼンの使用していたニャスタオルでございます。 洗ってあるけど。

「!?」

 

 ライラのはベルベットので、ロゼのはエレノアの物。

 違い?

 

 胸囲だよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 グレイブガント盆地にヘルダルフはいなかった。

 お前わかってたんだろ早く言えよ的な目線が地と風から飛んできているのだが、実はわかってなかったりする。 いや、史実から見るのならばわかっている事になるのだろうけれど、今の私は全身に隠蔽術式を纏う隠行中。 マオテラスと繋がっているヘルダルフを察知しようものなら逆探知必至である。 地脈と接続しているというのはそれだけで脅威なのだから。

 

 そして一行はアイフリードの狩り場へ向かう。

 

「ヘルダルフ!!」

 

 そこに、奴はいた。

 獅子の顔を持つ、穢れの塊。

 災禍に相応しい暴虐をまき散らす存在が、仁王の如く立っていた。

 

 そして始まる、導師と災禍の顕主の戦い。

 付け焼刃の決心に付け入られ、仲間を奪われ、従士を失いかけ……しかし、導師は雌雄を決すことを今にしなかった。

 

 去っていく、災禍。

 領域が消え、重苦しい空気も消え去る。

 

 ――紡ぎしは抱擁、荘厳なる大地にもたらされん光の奇跡にいま名を与うる。 リザレクション。

 

「……ありがと、サムサラ」

「闘う前はいたのに……」

 ――諸事情あって。

 

 まだだ。

 あの時に蒔いた種は、まだ発芽していない。

 私はサムサラ。 だけど、誰かさん(わたし)でもあるのだから。

 

 一行はヘルダルフを倒す為にマオテラスの浄化を優先し、マオテラスの所在を求めてメーヴィンを探すため、ローグリンへ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ザフゴット原野を抜けて、塔の街ローグリンへ辿り着いた一行。

 入って早々お目当てのメーヴィンと邂逅。

 彼から助言を貰い、一行は瞳石を集める事となった。

 

「え、ここに残るって?」

 ――うん。 私は瞳石の記憶を見る事が出来ないし、私が居ると地脈間移動も出来ないでしょう?

「それはそうかもしれないけど……」

 ――時間、有り余ってるわけじゃないでしょう? 地脈間移動出来ないってリスクを被ってまで私を連れていくメリットは無いはず。 回復ならミクリオがいるし、エドナも出来るからね。

「……うん。 じゃあ、手早く集めてくるから……待っててくれ、サムサラ」

 ――ええ。 頑張りなさい、導師スレイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……お前さんは高い所が好きなのか?」

 ――地面が遠いからね。 空は遠くても良いけど、地面が近いのは嫌なんだ。

「俺も、高い所はそれなりに好きだぜ」

 ――世界を見渡せるから?

「あぁ」

 

 心水。

 銘を、『霧狐』。 数を減らして消えゆく2匹の狐の片割れが人に恋をして人となり、残された片割れが人となった狐に結婚祝いの尾を送った――『仲間』を意味する心水。

 別名をカリンという。

 

「……白靄の心水ってな、中々珍しいな」

 ――手作りだからね。 まろやかだけど、どこか切ない。 味はそれなりに自信あるよ。

「んぐ……。 ……あぁ。 美味いぜ」

 ――ありがとう。

 

 静かな時間が流れる。

 

「……未練、って奴……だろうな」

 ――もっと世界を見たかった?

「ああ……遺跡が好きってな、嘘じゃねぇんだ」

 ――けれど、悟ってしまったんだね。

「もしかしたら未練なんて綺麗なもんじゃなく……後悔かもしれねぇ」

 

 景色を手のひらの上に乗せる様に、手を伸ばす。

 その様は、欲しい物に手を伸ばす少年のようだった。

 

 ――私と話すことが、そもそものタブーだというのなら……私も、1つだけタブーを犯してあげる。

「ほう? ソイツぁ……魅力的だな」

 ――記憶を持って、次なる生を……天族への転生(てんしょう)を望むのなら。 

「……!」

 ――満足をしてはいけない。 情念を、怨念を、絶対に諦めないという心を以て、戻りなさい。 幸せを感じてはいけない。 満ち足りる事は受容。 拒絶を示すのなら、次なる生すらも掻き抱いて離さないという意思を持ちなさい。

 

 この世界の、システムの話。

 私が管理する魂が、何故転生という例外を許すのか、という話。

 

 キャリーオーバー。

 洗い落とす穢れが、信仰が……あの世界で流しきれない程に多い場合にだけ起こる。

 満足した魂は真っ新となって転ず。 私が推奨するのはその形。

 他者の意思で憑魔化・ドラゴン化した者は長きを経て転ず。

 

 けれど、戻ってくる時に多量の想いを抱え続ける者は……落としきれずに出て行ってしまうのだ。

 

 例えば、セリカ・クラウ。

 例えば、オスカー・ドラゴニア。

 

 もし、それを望むというのなら。

 幸せになるな。 満足するな。

 それが唯一の方法。

 

「……じゃ、俺には無理だな」

 ――諦めるんだ。

「あぁ……俺にだって情熱はあるがよ。 けど、導師に全てを託すって決めた時にゃもう……満足してるはずだぜ」

 ――そう。

「しかし、長年疑問だった仕組みがこんな場所で明かされるたぁな。 当たりはついてたが、これでわかったぜ、アンタの名前」

 ――最初の文字は?

「レ」

 ――じゃあ、正解。

 

 本当はあまり好きな名前じゃないのだけれど。

 理由はビエンフーと同じだ。 私の性格とあってない。

 無駄に仰々しい。

 

「……良い風だな」

 ――うん。

 

 

 

 

 

 

 

 

《!》サブイベント 『受け継がれる二刀小太刀7』

 

「俺は刃を打つ技術を受け継いだゼログリン! 兄弟達から話は聞いてるぜ! ソイツが例の二刀小太刀だな? 俺がその身を最上の物に引き立ててやる!」

「あ、うん。 頼むよ。 でも大丈夫? 刀身は殊更に硬いけど……」

「力だけが刃打ちじゃないからな! 安心してくれ!」

「じゃ、任せた! ……ところでさ、マーリンドにいるのって……」

「五男のフォーリンドだな」

「その人が受け継いだ技って……」

「防具造りだな」

「……行かなくていいかな?」

「そこは嬢ちゃんに任せる。 ……が、兄弟としては行ってやってほしい」

「だよねー……」

 

 

 二刀小太刀クロガネ+10を手に入れました。

 











霧狐(ハーツのサブクエスト)は個人的趣味で入れました。
二刀小太刀クロガネが最終になるまでもう少し。

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