インフィニット・ストラトス―失われた未来―   作:レイブラスト

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第10話 対決への火種

「では四時間目の授業を始める……と、その前に再来週に行われるクラス対抗戦の代表者を決めねばな。クラス代表者とはそのままの意味だ。対抗戦だけではなく、生徒会の開く会議や委員会へも出席する。言わば、クラス長だ。なおクラス対抗戦は、入学時点での各クラスの実力推移を測るものだ。今の時点で大した差は無いが、競争は向上心を生む。一度決まると一年間変更は無いからそのつもりでいろ。自薦他薦は問わん。誰かいないか?」

 

授業開始直後に言った言葉で、クラス全体がざわざわとし始める。一夏は「推薦するならセシリアかな?」と、セシリアは「思い切って自薦してみましょうか」と考えていると……。

 

「はい! 織斑君を推薦します!」

 

「私もそれが良いと思います!」

 

1人の女子の発言を皮切りに、一気に春也を推していくムードへと変わっていく。

 

「僕が? できるかなあ(よし、いいぞ。これでもうすぐセシリアがキレる……!)」

 

戸惑った表情の裏で、春也は何もかも予想通りといった笑いを浮かべていた。そして―――

 

「待って下さい!」

 

声を張り上げてセシリアが手を挙げた。手で机を叩いて立ち上がるのでは?と春也は疑問に思っていたが、些細な違いだと気にとめなかった。

 

「何だ、オルコット?」

 

「確かに男性である織斑さんがクラス代表になれば、皆さんが思うように広告塔になります。ですが、クラス代表になるからには実力が伴っていなければいけないと私は思います。そこで―――」

 

一旦言葉を切って間を開けると、一夏をチラッと見て再び千冬に向かって告げた。

 

「―――私は一夏さんを代表として推薦し、且つ私自身も立候補致しますわ」

 

「え! 私も!?」

 

ビクッと体を震わせる。すると周りが再びざわざわし始める。

 

「言われてみるとそうよね。インパクトだけあって実力が無ければ意味ないもの」

 

「手堅く代表候補生がなるのが一番なのかな……あれ? じゃあ何で織斑さんを推薦したんだろ」

 

「実力を認めてるってこと?」

 

「織斑さんも強いのかな?」

 

しばし意見が飛び交っていると、千冬がパンパンと手を叩いて声を張った。

 

「静かに! さて、複数の候補者が出たが……オルコットの言う通り、クラス代表には実力が伴ってなければならない。そこでだ。一週間後の月曜日の放課後に、第3アリーナでISによるクラス代表決定戦を行い、勝ち数の多い者へクラス代表になるならないの権限を与えようと思う。各々、その間にできる限りの準備をするように」

 

「はい」

 

「は、はい(ホントに大丈夫かな……)」

 

(まさかセシリアがあんなことを言うとは……まあいい。結果的には原作通りの流れになったし、これで僕に惚れさせれば……)

 

内心ドキドキする一夏の後ろで、春也はニヤリと誰にもわからぬようほくそ笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、織斑君。教室にいたんですね」

 

放課後。教科書類を整理していた春也のもとに、真耶が書類を持って現れた。「ああ、寮の鍵のことか」と思いながら春也は返事をした。

 

「何か用ですか、山田先生?」

 

「えっとですね、寮の部屋が決まりました。これが鍵です」

 

「あれ? 確か一週間は自宅から通う筈では」

 

鍵を受け取りながら、春也は想定していた質問を口にする。真耶は困ったような顔をしてそれに答えた。

 

「大きな声じゃ言えませんけど、政府の命令で急遽決まったんです。身の安全もありますし」

 

(そりゃあそうだよな)

 

たった1人の男性操縦者が外を出歩けば、どんな危険が待っているかわからないことは彼は十分承知していた。

 

「あ、でも荷物とかどうしたらいいでしょうか?」

 

「安心しろ。既にお前の荷物は手配済みだ」

 

新たに問いかけたところで千冬が現れて言った。いきなり目の前に現れたことに一瞬驚くも、春也は笑みを浮かべた。

 

「ありがとうございます(どうせ最低限度の物しか入ってないんだろうけど)」

 

「では、私はこれで失礼しますけど、確認事項だけ一通り言いますね。部屋にはシャワーがありますけど、大浴場もあります。学年毎に使える時間が異なりますけど、今のところ織斑君は使えません。それから、今後夕食は六時から七時に寮の一年生用食堂で取って下さい。1人部屋ですけど、もし何か問題があったら遠慮無く言って下さい」

 

(やっぱり相部屋じゃないのか。チッ、これも一夏姉さんのせいだ……! このままだとこれから起こる筈のイベントも起きなくなる可能性がある。ここは奴らに連絡しておくべきだな)

 

箒との相部屋ではないことに苛立って一夏に対して怒りを滲ませるが、すぐに納めて考えると指定された部屋へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、一夏とセシリアはこれから一緒に住むことになる部屋を軽く見渡していた。

 

「中々良い部屋ですわね。ただ壁の色が個人的にイマイチな気がしますわ。いっそ壁紙を調達してしまいましょうか?」

 

「そんなことより、何で私まで推薦したの? とてもじゃないけど代表やれる自信なんてないよ」

 

「ええ、わかっておりますわ。ですからならなければいいのです」

 

「? どういうこと?」

 

ベッドに座るセシリアの隣に腰掛けながら、一夏は問いかける。何故彼女は一夏を推薦したのか。少し間を開けて、その真意を語り始めた。

 

「いいですか? 千冬義姉様は『勝ち数の多い者へクラス代表になるならないの権限を与える』と仰いました。つまり、あくまで権限を与えられるだけで別にクラス代表にならなくてもいい筈でしてよ」

 

「そ、そういうもんなんだ……でも、ならどうして推薦したの?」

 

「代表決定戦を発生させ、そこであの男に一夏さんの実力を見せつけて貰う為ですわ」

 

「……!」

 

一夏は目を見開いた。セシリアは彼女に、春也への蹴りをつける為に行動を起こしたのだ。

 

「……勝てるかな? 私に」

 

「一夏さんなら、必ず勝てますわよ」

 

「そっか……そうだよね。よし! 昔とは違うってことを、春也に身を以て教えてやるよ!」

 

「その意気ですわ!」

 

力強く宣言する一夏に満面の笑みを浮かべる。その笑顔に彼女は顔が熱くなり、その様子を見たセシリアもまた気分が高揚していた。

 

「セシリア……今、2人きりだね……」

 

「そう、ですわね……」

 

「……しちゃおっか……?」

 

「……ええ。来て下さいまし……」

 

「じゃあ……んっ」

 

そっと顔を近づけて優しく口付けする。しかしそれはすぐに激しいものへと変わっていく。

 

「ん……んぅ……! 好き…大好き、セシリア……!!」

 

「私も……愛して、んっ! いますわ……一夏さん!!」

 

器用にキスしたまま服をはだけさせ合いながら、2人は倒れ込んで想いを交わした……

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