インフィニット・ストラトス―失われた未来― 作:レイブラスト
時は流れ、学年別トーナメントの前日。一夏は自室の机の上に置いたゲネシスコアとエナジーロックシード3つを見ていた。寝間着に着替えたセシリアは何となく気になり、一夏に尋ねた。
「一夏さん、どうかしましたの? ずっとロックシードを眺めてて」
「ああ、ゲネシスコアを介したエナジーロックシードの装着、まだ使ったこと無いなって思って」
「戦極ドライバーで使用すると、何らかの特殊能力が得られる……とプロフェッサーは仰ってましたわ」
「ジンバーアームズって言うんだっけ。レモンエナジーは単純なパワーアップで、チェリーエナジーは高速移動ができるみたい。ピーチエナジーは直接戦闘には向かない能力と言ってたけど、何なんだろ?」
「トーナメントで使う訳でもないですし、訓練で使ってみたらどうでしょうか」
「そうしてみる。……っと、もうこんな時間。早く寝なきゃ」
部屋の電気を消した2人は寝る前にそっと口付けをすると、互いのベッドに潜って行った。
翌日のトーナメント開催日。観客席で春也は苛立ちを隠せずにいた。何故なら一回戦の対戦カードが一夏&シャルロットvsラウラ&箒の組み合わせで、本来自分と戦う筈の相手が一夏と戦うことになったからだ。
(シャルとのペアはこっちから切り捨てたから仕方ないとして、アンタがラウラと戦うなんてどういうことだ! これじゃラウラを僕に惚れさせることが……!!)
激昂しかける春也だが、呼吸を整え気持ちを落ち着かせると冷静に考えを纏めていく。
(……まあいい。どうせ今のラウラの様子じゃ、VTシステムは発動しない。保険の数を前より大量にしたのは名案だったな。手に入らないものを始末するのに、余計な策を練らなくて済む)
「どうしたの織斑君? 難しい顔して」
隣に座っているパートナーの相川清香が顔を覗き込んでくる。シャルロットが既に一夏とパートナーを組んでいたので急いで決めたのだ。
「気になってね。どっちが勝つのか」
嘯きながら春也はまだ誰もいないアリーナを見つめた。
「はぁ……」
ピットでISを纏ったシャルロットは深くため息をついた。鎧武に変身した一夏はそんな彼女を見て尋ねる。
「やっぱりラファールのこと、気にしてる?」
「そりゃ気にするよ。性能が第3世代型並に引き上げられてる上に、武器の総量が明らかに増えてるんだもの……反応に困るったらありゃしない」
束の改造により第2世代型の枠を飛び出てしまった愛機にただ戸惑いを感じるが、鎧武に「仕方ないよ。束さんだもの」と言われ「まあ確かに」と、改めて気を引き締めて出撃した。
2人がアリーナに出撃すると、既にラウラと箒が出て待っていた。
「ごめん、遅れちゃった」
「謝らなくていい。こっちも今し方来たところだ」
「それにしても一戦目でお前達と当たるとは驚きだ。上で待つ手間が省けたな」
「同感だね」
大画面モニターに試合開始までのカウントが表示される。4人とも表情が打って変わって真剣そのものになり、相手を見据えながらハイパーセンサーでカウントを確認。数字はもう、0だ。
『試合開始!』
「行くよ!」
「勝負だ!」
「負けないから!」
「参る!」
鎧武とラウラが、シャルロットと箒が得物を構えて相対する。シャルロットは連装ショットガン「レイン・オブ・サタデイ」を初っ端から放つ。箒は右手に握った刀剣型武器・
「シールドで防ぐ訳でもなく、単純に避けるのでもなく、そんな方法を使うなんて……だったらこれで!」
再びレイン・オブ・サタデイを三連射すると、近接ブレード「ブレッド・スライサー」に武器を持ち替え、箒が回避したところに強化された加速能力で一瞬にして間合いに飛び込み、全力で振るう。
「っ! 私に接近戦で勝負を挑むとは……面白い!」
「僕だって、近距離戦闘も負けない自信があるからね!」
二本のブレット・スライサーでシャルロットは箒を相手に、二刀流同士の戦いに突入する。互いに切り結び、火花が飛び散る中、シャルロットは重機関銃「デザート・フォックス」を左手で取り出し近距離で発砲。更に右手でアサルトライフル「ヴェント」を所持し、トリガーを引いた。軽微ながらもダメージを受けた箒は、シャルロットの腕前の高さに感心する。
「武器をいきなり変更して虚を突く。それがお前の戦術ということか、見事だ」
「そう。名付けて
好戦的な笑みを浮かべ、シャルロットは更なる連撃を開始する。ブレッド・スライサーによる接近戦を挑み、前触れもなくレイン・オブ・サタデイやヴェント、デザート・フォックスに切り替えダメージを与えていく。「これなら行ける!」とシャルロットは笑みを浮かべた―――だが。
「やるな! どうやら私も、紅椿の全てを引き出す必要があるようだ……!」
「え?」
疑問に思い首を傾げていると、箒が雨月で突きを放つ。咄嗟にシールドで防御しようとしたが……。
バシュンッ!
「うわっ! ……え? ええっ……!?」
雨月の先端からレーザーが発射され、大きく吹き飛ばされる。そこへ追い打ちとばかりに、空裂を振り抜く……と、そこから斬撃がシャルロット目掛けて飛んでいく。
咄嗟に上に飛んで回避すると、両手を下げて佇む箒を見据える。
「まさかそんな隠し球を持ってるなんて。お陰でシールドエネルギーが一気に削られちゃったよ」
「本当なら二撃目で仕留める予定だったんだが…まあいいさ。次で蹴りをつけるのみだ!」
「言ってくれるね!」
雨月と空裂を構えた箒と二本のブレッド・スライサーを持ったシャルロットが、同時にスラスターを全開にして突撃する。
「「はぁぁぁあああああああああああああああああ!!」」
ザシュッ!!
機体のエネルギーを切り裂く音が響き、互いに剣を振り抜いた状態で背中合わせになる。直後に2人共地面に落下して膝をつく。同時にシールドエネルギーがゼロになったのだ。
「やっぱ無理だったかぁ……でも何で箒の機体まで?」
「さっきの攻撃はシールドエネルギーを消費するから、あの時点でエネルギーは五分だったんだ。無論、回復手段もあるが……それを使っては面白味が無くなってしまうしな」
「そうなんだ。まあお陰であいこに持ち込めたからいいけど、今度は全てを出し切った紅椿と戦ってみたいな」
「またいつか、な」
再戦を誓い、2人は全力で戦えたことに満足して笑い合った。
時間を少し巻き戻して、鎧武とラウラの戦いは、まずラウラがシュヴァルツェア・レーゲンの肩に装備された大型レールカノンを放って序盤から攻め込んでいく。
「うわっ! くっ! 私だって!」
砲弾を避けながら鎧武は無双セイバーの弾をリロードしつつ、トリガーを引いて弾丸を発射するがラウラも回避する。
「さすがに当たってはくれないか」
「まあね!」
レールカノンが再び火を噴く。そうして幾度か射撃戦が繰り広げられ、一進一退のまま鎧武が再びリロードして銃口を向けた時、彼女の動きが停止した。
「! しまった、AIC!」
「今だ!」
ラウラは両肩とリアアーマーから6機のワイヤーブレードを射出すると、大橙丸を弾き飛ばし更に攻撃を加えていき、勢い余って鎧武がAICの拘束から外れて吹き飛ぶ。
「うっ、やったな! だったらこれで行くよ!」
『イチゴ!』
オレンジロックシードの蓋を閉じて外した鎧武は、表面がイチゴを模し『L.S.-06』と書かれたイチゴロックシードを取り出して解錠し、戦極ドライバーに装着。すると消えたオレンジアームズの代わりにイチゴの形のイチゴアームズが降下してくる。そして最後に、カッティングブレードを倒してロックシードを輪切りにした。
『ロック・オン!』
『ソイヤッ! イチゴアームズ! シュシュッと・スパーク!!』
落下したアームズは一度地面にぶつかってバウンドしてから鎧武に被さり、上半身に左右非対称になって展開。派生形態のイチゴアームズへと鎧武を変化させた。
「イチゴのアームズか……」
「こっから逆転していくよ! たあっ!」
クナイ型武器の『イチゴクナイ』を両手に持つと、交互に投げつける。素早く飛んでくるそれをラウラはAICで止めるが、イチゴクナイは鎧武の手の中にどんどん発生し投げつけられる為、次第に処理が追いつかなくなっていく。
「っ、数が……! こうなればダメージは覚悟で―――!?」
「せやぁああああああああああっ!!」
ラウラが見ると、イチゴクナイの連射に隠れて鎧武が高くジャンプし、両手に逆手持ちにしたイチゴクナイを落下しながら突き立てようとしてきた。
「そうはさせるか!」
ガキン!
プラズマ手刀を発動させ、イチゴクナイの切っ先を掴む。だが鎧武は攻撃が防がれたとわかると一度後退し、イチゴロックシードをドライバーから外して無双セイバーの柄にある窪みに装着する。
『ロック・オン! イチ・ジュウ・ヒャク! イチゴチャージ!!』
「これで決める! やぁああああああああ!!」
カウント音声が流れる中、掛け声と共に無双セイバーを横一文字に振り抜く。すると斬撃が放たれ、更にそれが無数のイチゴクナイを模したエネルギー刃に変化し弾幕の如くラウラを襲い、シールドエネルギーを一気にゼロにした。
『試合終了! 勝者、織斑一夏&シャルロット・フランソワ!!』
(そろそろかな)
試合終了のアナウンスを聞いた春也は、ふと空を見上げた。
「負けてしまったか……だが、久しぶりにお前と良い試合ができた」
「私も。ラウラと全力で戦えて嬉しかった」
試合が終わり、鎧武とラウラは歩み寄って握手を交わす。と、その時―――
ドガァァァアアアアアアアアアン!!
アリーナのシールドが破壊され、
「あの時の無人機!? それもこんな大量に……む、何だ!?」
「あれだけの数のコアを、一体どこから……な、何だ? どうしたレーゲン!?」
「ラファールが……! 一体どうしちゃったの!?」
「まさか、ジャミング装置が……!」
30機全てのISに搭載されたジャミング装置により、箒達のISは機能不全に陥る。鎧武もISモードがエラーになった為、通常モードに切り替えた。
「ならば…箒、変身するぞ!」
「承知した!」
「変身……それなら僕も!」
ISを解除して戦極ドライバーを腰に装着するラウラと箒。それを見たシャルロットも量産型戦極ドライバーを装着する。
「!? 待てシャルロット! お前はアーマードライダーとしての戦闘は未経験だ! いきなり実戦に出るのは―――」
「危険なのはわかってる! でも前に言ったよね、戦う覚悟はあるって。ここで逃げて、自分で決めた覚悟に嘘をつきたくないんだ!!」
「シャルロット……わかった。だが決して無理はするなよ」
「うん。……ありがとう」
(シャルはああ言ったけど、この数じゃ初陣には厳しいかも。どうすれば…………そうだ、ここはアレを使ってみよう!)
ラウラ、箒、シャルロットは各々が所持するドリアンロックシード、リンゴを模した銀のリンゴロックシード、クルミロックシードを取り出し、鎧武は戦極ドライバーの顔の書かれたプレートを外して代わりにゲネシスコアをはめ込みオレンジロックシードと、『E.L.S.-01』と書かれたレモンを模したレモンエナジーロックシードを手に持った。
「「「変身!」」」
『ドリアン!』
『シルバー!』
『クルミ!』
『オレンジ!』 『レモンエナジー!』
『『『『ロック・オン!』』』』
解錠したロックシードを戦極ドライバー(レモンエナジーロックシードはゲネシスコア)にセットしてロックすると、ホラ貝とエレキギターによるサウンドが響き渡り、頭上にドリアンアームズ、シルバーアームズ、クルミの形をしたクルミアームズ、オレンジアームズ、そしてレモンの形をしたレモンエナジーアームズが現れる。ラウラ達は互いの背を預けるように円陣を組みながら、カッティングブレードを倒してロックシードを輪切りに(レモンエナジーロックシードはカバーが展開)した。
『ドリアンアームズ! ミスターデンジャラス!!』
『ソイヤッ! シルバーアームズ! 白銀・ニューステージ!!』
『クルミアームズ! ミスターナックルマン!!』
『ソイヤッ! ミックス! オレンジアームズ! 花道・オンステージ!! ジンバーレモン! ハハーッ!!』
ラウラ達3人は通常のアームズが勢いよく被さって展開するが、鎧武は2つのアームズが融合して全く別のものに変わってから被さり、レモンの断面が描かれた陣羽織状の鎧として展開された。結果シャルロットは仮面ライダーナックル クルミアームズに、鎧武はソニックアローが使用可能になるジンバーレモンアームズに変化し、ラウラと箒もブラーボと冠に変身した。
同時刻、管制室でも二度目になる突然の襲撃に慌ただしくなっていた。マイクを握った真耶が大声で避難の指示を飛ばす。
「非常事態発生です! 現時点を以ってトーナメントは中止! すぐに教師の鎮圧部隊を送りますので、生徒の皆さんは至急避難して下さい!!」
「(まずい流れだな……)楯無、私達も対処に当たるぞ」
「了解しました。みんな、準備はいい?」
「うん!」
「勿論ですわ」
「とっくにできてるわよ!」
「いつでも行けるぞ」
千冬が楯無を通してその場に居るアーマードライダーの面々を促し、管制室から出て歩きながら一斉にロックシードを握り締める。
「「「「「「変身!」」」」」」
『メロンエナジー!』
『マツボックリエナジー!』
『ドングリ!』
『バナナ!』
『ブドウ!』
『ピーチエナジー!』
各ロックシードが解錠されると、それぞれの頭上にメロンエナジーアームズ、マツボックリを模したマツボックリエナジーアームズ、ドングリを模したドングリアームズ、バナナアームズ、ブドウアームズ、桃を模したピーチエナジーアームズが出現する。同時に千冬達は各ドライバーにセットしてロックし、シーボルコンプレッサーを押し込んでエナジーロックシードのカバーを展開したり、カッティングブレードを倒してロックシードを輪切りにした。
『『『『『『ロック・オン!』』』』』』
『ソーダ! メロンエナジーアームズ!!』
『リキッド! マツボックリエナジーアームズ! ソイヤッ! ヨイショッ! ワッショイ!!』
『カモン! ドングリアームズ! Never Give up!!』
『カモン! バナナアームズ! Knight of Spear!!』
『ハイーッ! ブドウアームズ! 龍・砲・ハッハッハッ!!』
『ソーダ! ピーチエナジーアームズ!!』
頭部にアームズが被さり、ライドウェアやゲネティックライドウェアで身体を包まれ、展開したアームズが鎧となって上半身に装着。彼女らを斬月・真、仮面ライダー黒影・真 マツボックリエナジーアームズ、仮面ライダーグリドン ドングリアームズ、バロン、龍玄、仮面ライダーマリカ ピーチエナジーアームズに変身させた。
そしてすぐさま走り出してアリーナに急行した。
「な、何なのあの数……それに、織斑さんと同じISがあんなに……!?」
一方観客席では、無人ISの大群と新たに出てきたアーマードライダー達に清香が驚きを隠せないでいた。
「気になるのはわかるけど、避難指示も出たし早く逃げよう。ほら」
「う、うん」
(他にも居るかもと思ってたけど、こんなにとは……これじゃあアリーナへの乱入も奴らの始末も無理か。でも予備を用意しておいたのは正解だったな……フフフ、倒すのが無理でも足止めぐらいはしてくれよ。僕のステージを邪魔させない為にね)
清香の手を引いた春也は、そんなことを思いつつ他生徒達と共に避難を始めた。
アリーナではアーマードライダー達が合流して2人一組で編成を組んで、無人機と二機ずつ戦っていた。
ブラーボと組んで戦うナックルは、初陣にも関わらず無人機相手に両腕の大きなグローブ、クルミボンバーで善戦していく。
「はあっ! せいっ! とりゃあああっ!!」
「ふんっ! ……やるじゃないか、シャルロット! 初陣にしては上出来だ! はっ!」
「そうか…なっと!」
ドリノコやクルミボンバーによる連撃で敵IS二機の強固な装甲を完膚無きまで叩きのめしていき、少し距離を取ったところでそれぞれカッティングブレードを二回倒す。
『ドリアンオーレ!!』
『クルミオーレ!!』
「「はぁぁああああああ……たぁぁあああああっ!!」」
ブラーボはドリアッシェを発動してドリノコから、ナックルはクルミボンバーからエネルギー弾を放ち、敵機に直撃させて粉々に吹き飛ばした。
IS学園での変身が初めてな黒影・真とグリドンは、先端に十字の刃が、反対側に鋭い形状の刃がついた槍型武器の影松・真と金槌型武器のドンカチを武器に、ガトリング装備の無人IS二機に接近戦を挑む。
「行くわよ、てりゃあああああ!!」
「この……! えぇぇーいっ!!」
懐に入り込むことでガトリングを使わせず、リーチの短さを逆に武器にして無人機にダメージを与えていく。同時に位置を調整し、二機を背中同士ぶつけることに成功する。
「トドメ、行くよお姉ちゃん!」
『カモン! ドングリスカッシュ!!』
「ええ、任せて頂戴!!」
『マツボックリエナジースカッシュ!!』
「「はぁぁぁあああああああああああああ!!」」
カッティングブレードを一回倒し、駒のように高速回転してドンカチで殴りつけるグリドンインパクトと、シーボルコンプレッサーを一回押し込んで影松・真で刺突攻撃を行う影縫い突きで挟み撃ちにし、纏めて破壊した。
「チッ! AIの癖して、妙に連携が取れている」
「だったら取らせぬまでだ。はあっ!!」
ブレードとガトリングでタッグを組んだ敵機が連携を取りつつマリカと冠を攻めるが、すぐさま各個撃破に切り替えた2人が別々に相手をする。そしてソニックアローにピーチエナジーロックシードをセットしたり、カッティングブレードを一回倒したりして手早くトドメに移る。
『ロック・オン!』
「連携を前提としている機体なら、私達と戦うこと事態が間違いだったな……!」
『ピーチエナジー!!』
「行くぞ、バラバラにしてくれる!!」
『ソイヤッ! シルバースカッシュ!!』
ソニックアローの弦を引いて狙いを定めたマリカは、強化された光矢を放つソニックボレーでガトリング装備型を撃ち抜き、高くジャンプした冠は蒼銀杖でブレード装備型を一刀両断。敵機はほぼ同時に爆発四散した。
ブレード装備型同士で組んでパワーで押してくる無人機に対し、バロンと龍玄はやや苦戦していた。
「っ…! やっぱこのアームズじゃ接近戦には向かないか! なら―――」
「力業で来ますわね……! でしたら私も―――」
一度バックステップで距離を置くと、2人はブドウロックシードとバナナロックシードを外して、代わりに表面がキウイとマンゴーを描きそれぞれ『L.S.-13』や『L.S.-11』と書かれたキウイロックシードとマンゴーロックシードを取り出して解錠する。
「「目には目を、よ(ですわ)!!」」
『キウイ!』
『マンゴー!』
ブドウアームズとバナナアームズが消滅し、龍玄の頭上にはキウイを模したキウイアームズが、バロンの頭上にはマンゴーを象ったマンゴーアームズが出現してゆっくり降下してくる。そこで素早くカッティングブレードを倒してロックシードを輪切りにした。
『『ロック・オン!』』
『ハイーッ! キウイアームズ! 撃・輪・セイヤッハッ!!』
『カモン! マンゴーアームズ! Fight of Hammer!!』
認証音声と共にアームズが一気に落下し、龍玄をキウイアームズに、バロンをマンゴーアームズに変化させた。
「とあっ! やぁああああっ!」
圈型武器のキウイ撃輪を振り回し、龍玄は敵ISのブレードを受け流しカウンターを入れる。通常のISなら一溜まりもないであろう振動ブレードは、キウイ撃輪の切れ味に負け両方とも真っ二つに両断された。
「はぁあああああ! せぇやぁぁああああああ!」
アリーナの地面に若干めり込む程の重量のある、メイス型武器マンゴパニッシャーをバロンは軽々と扱い、先端部に付属した刃と棘にその重量も相まって敵のブレードを文字通り粉砕した。
『ハイーッ! キウイオーレ!!』
『カモン! マンゴーオーレ!!』
「「これでお終い(ですわよ)! はぁぁああああああっ!!」」
反撃不能に陥った敵を見逃さず、カッティングブレードを二回倒すとキウイ撃輪とマンゴパニッシャーを振るい、斬撃と先端部を模したエネルギーを飛ばして敵を爆散させた。
「やっ! そりゃっ!!」
「ふんっ! はっ!」
鎧武と斬月・真はソニックアローを駆使して接近して斬りつけたり、距離を取って光矢を放ったりしてダメージを与えていく。
「これがエナジーロックシードの力……今までよりも、強い力を感じる!」
「やはり初めは驚くか。だが油断はするなよ!」
「言われなくても!」
ドライバーからエナジーロックシードを外し、各々のソニックアローに装填して施錠する。更に鎧武は戦極ドライバーのカッティングブレードを一回倒す。
『『ロック・オン!』』
『ソイヤッ! オレンジスカッシュ!!』
ソニックアローの弦を引き、鎧武は斜線上に折り重なって現れたオレンジとレモンの断面を模したエネルギーを、斬月・真は備え付けのポインターを照準として狙いをつけ、強化された光矢を放った。
『レモンエナジー!!』
『メロンエナジー!!』
駆体を撃ち抜かれた二機は、機能不全になりながら爆発した。
一先ず戦いが終わり、ライダー達が合流すると斬月・真が全員を見渡して労いの言葉を掛けた。
「皆、よく戦ってくれた。シャルロットも、初陣にしては上出来だ」
「ど、どうも……はぁ……」
「フラフラだな。まあ無理もない、私が肩を貸そう」
「ありがと、ラウラ」
変身を解除すると、シャルロットはラウラに肩を担いで貰う。グリドン、斬月・真、マリカ、冠、バロン、龍玄も変身を解除していき鎧武と黒影・真もロックシードに手を掛けた、その時―――黒影・真に通信が入った。
「ん? 虚ちゃん? どうしたの……………………ええっ! まだ敵が居る!?」
『『『っ!?』』』
思わず叫んだ言葉に全員が驚愕し、黒影・真はより詳しい情報を通信相手の布仏虚から聞き出す。
「座標は……避難している人達の近く!? こんなの、今からじゃとても!」
「(そんな、それじゃあ危なくてバイクも使えない! どうすれば…………そうだ!)その座標、最短ルート毎私に送って下さい!」
「いいけど、何か良い考えでもあるの?」
「ちょっとした賭けですけどね」
左手にチェリーエナジーロックシードを持った鎧武は、レモンエナジーロックシードを外してそれのロックを解除した。
『チェリーエナジー!』
オレンジロックシードのカバーが閉じ、ジンバーレモンアームズが消えて頭上にオレンジアームズとチェリーエナジーアームズが同時に現れる。ゲネシスコア部にチェリーエナジーロックシードをセットしてロックすると、鎧武はカッティングブレードを倒してオレンジロックシードを輪切りにし、チェリーエナジーロックシードのカバーを開いた。
『ソイヤッ! ミックス! オレンジアームズ! 花道・オンステージ!! ジンバーチェリー! ハハーッ!!』
2つのアームズが融合して被さると、再び陣羽織になるが先ほどとは違ってサクランボの断面が描かれたジンバーチェリーアームズになった。
「ルートも送られてきた。よし、行ってくる!!」
ジンバーチェリーアームズの特殊能力である高速移動能力を使い、残像を残しながら鎧武は目的の座標に急いだ。
「こっちだ、早く!」
一方、春也は避難する生徒達の先導になって廊下を走っていた。だが―――
ドォォオオオオンッ!!
突然目の前の廊下の壁が破壊され、そこから三機の振動ブレード装備型の無人ISが現れた。
「そ、そんな……私達、ここで死んじゃうの……!?」
「そんなことはさせない! みんなは僕が守る!」
白式を展開した春也は雪片弐型を強く握り、
(前は確認できなかったけど、僕が相手だと無抵抗になる上に僕の攻撃で余裕に壊れるのは確かみたいだ。このまま一気に―――)
ザシュッ!
「なっ!?」
「ま、間に合った……!」
更に敵を撃破しようとした時、鎧武によって擦れ違い様に無人機を転ばされてしまった。
「一機は春也が倒したのね。後は私に任せて!」
「待てよ一夏姉さん! コイツ等は僕が倒す。貴女の指示なんか聞く気はない!」
「私だって、貴方に頼むのは嫌だよ! でも、頼めるのが他に居ないから!」
「っ……わかったよ! みんな、こっちだ!」
渋々といった様子で、春也は他の生徒達と共に別ルートへと向かう。それを見た鎧武はすぐさまカッティングブレードを二回倒す。
『ソイヤッ! オレンジオーレ!! ジンバーチェリーオーレ!!』
「みんなに手は出させない……! はああああっ!!」
高速で移動しながら、エネルギーを溜めたソニックアローで敵機を一気に切り裂いて、二機の胴体と下半身を泣き別れにした。
そして変身を解除すると安堵のため息をついて千冬達と合流すべく急いだ。
春也……正確には無人ISの秘密が明らかとなりました。鈴との戦いでもこの特性を利用して余裕の勝利を決めるつもりでした。