インフィニット・ストラトス―失われた未来―   作:レイブラスト

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第22話 一時の日常と暗躍する者

「結局のところ、無人機のコアは全部未登録の物だったんだね」

 

事件が終わった翌日。一夏はセシリア達と学食で朝食を食べながら昨日の出来事について、色々話をしていた。

 

「むしろ登録済みのだったら別の意味で怖いわよ。まあどっちにしろ大問題に代わりは無いけど」

 

「情報を徹底的に隠蔽したお陰で外部に漏れる心配は無くなりましたけど、無人ISが20体も襲って来たんですもの」

 

「下手をしたら世界中がひっくり返るな」

 

「何にせよ、今は事態を収集できたことに安心するとしよう。さすがに疲れが残ってるからな」

 

「あの後事情聴取とかもあったからね……ふぁ……」

 

「クラスメイトから他のアーマードライダーについて質問攻めされたし……説明するだけで疲労困憊だよ」

 

眠たそうに簪が欠伸をし、他の面々もそれに釣られる中、シャルロットが隣に座っているラウラに向かって言った。

 

「そういえば、ありがとねラウラ」

 

「何がだ?」

 

「ほら、肩貸して貰った後、僕そのまま寝落ちしちゃったみたいだから……ベッドまで運んでくれたお礼だよ」

 

「ああ、そのことか。別に礼などいい。お前が無事ならそれで十分さ」

 

「そ、そう……そう言ってくれると、僕も気が楽になるよ」

 

笑みを浮かべたラウラに頬を赤くしながら笑顔で言うと、ラウラもまた顔を赤らめる。そのまま2人はじっと見つめ合い……

 

「んんっ! あのさ、早く食べないと遅れるわよ?」

 

鈴の咳払いで慌てて食べかけの朝食を再び食べ始めた。そんなシャルロットとラウラに、もしやと問いかけた。

 

「アンタ達さ、一夏とセシリアみたいに互いのことを好きになっちゃったの?」

 

「ふぇえええっ!? い、いきなり何言ってるのさ! ねえラウラ……」

 

「……そうかもしれんな」

 

「えっ!!?? ど、どうして!?」

 

シャルロットは驚いて口を手で押さえながら尋ね、一夏達も目を丸くする。

 

「どうしてかと聞かれると、私にもよくわからん。シャルロットを救って、戦う覚悟と芯の強さに触れて……気がついたら、そういう感情を抱いていた。……お前はどうなんだ、シャルロット?」

 

「僕は…………僕も、実は……」

 

「やっぱり。切っ掛けは?」

 

「わからない。強いて言うなら、春也に利用されて絶望していたところに救い船を出してくれたから……かな」

 

「曖昧だな。ま、恋愛なんて大抵はそんなもんかもしれないが」

 

「誰かを好きになるのに明確な理由は無いから、曖昧でもいいんじゃない?」

 

マドカと簪の言葉を聞き、ラウラはしばし考えた末に思い立った顔つきになると、シャルロットを見てこう告げた。

 

「よし、決めた。シャルロット! 今からお前を、私の嫁とする!」

 

「へ、嫁!? 何で!?」

 

「前にクラリッサから、日本では気に入った相手を嫁にするという習わしがあると聞いたんだ。ダメ、だったか?」

 

((((((おかしい。間違っている知識なのに、今だけは間違ってないなんて……!!))))))

 

誤って覚えた知識が正しく活かされるという異例の事態に、一夏達が驚いていると顔を真っ赤にしていたシャルロットが恥ずかしがりながらもそれに応えた。

 

「……いいよ。僕で良ければ、ラウラのお嫁さんに…して下さい」

 

「シャルロット……」

 

感極まり、ラウラはシャルロットの両手を包むように握る。直後、成り行きを見守っていた他の生徒達から拍手や黄色い歓声が上がる。そういえば学食だったと恥ずかしくなるが、2人は満更でもない気持ちになる。だが……。

 

(またこの展開か……一夏姉さんといいセシリアといい、女同士で恋愛するなんて、バカみたいだ)

 

ただ1人、春也だけが冷たい目で見ており、ため息と共に食堂から出て行った。そんなことに気づかない一夏達は、騒ぎが収まったところで話題を変えた。

 

「ところでさ、今度臨海学校で海に行くみたいだけど、水着はどうする? 私はこの際新調しようと思うけど(折角束さんに傷跡を綺麗に消して貰ったんだし)」

 

「私も新しいのを買うつもりですわ。最近サイズが合わなくなって来ましたし」

 

「あー、それ僕もだ。もう止まるとは思うけど、困っちゃうよね」

 

「大きすぎて肩が凝って仕方ないしな。簪ぐらいが丁度いい塩梅かもしれん」

 

「そうかな?」

 

楽しく言い合う5人だが、一方で鈴とマドカは暗い雰囲気を出して俯いていた。

 

「何が肩が凝るよ……そんなの些細なことじゃない。凝るまでも無い私達に比べれば、どんなに恵まれていることか……」

 

「千冬姉さんや一夏姉さんはああなのに、理不尽だ……なあ、そう思うだろラウラ!?」

 

「いや……というか、何故そこまで胸の大きさに拘る?」

 

任務の都合上、狭い通路を何度か通ったことのあるラウラは、胸の大きさで悩む2人の気持ちがよく理解できずに困惑するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、食堂から去った春也は……。

 

「もしもし、聞こえますか?」

 

『ええ、聞こえるわ。それで何の用かしら?』

 

「例の無人機ですが、臨海学校の分は確保していますか?」

 

『勿論、抜かりなく準備しているわ。でもさすがに軍の新型をハッキングするのは無理よ。それに追加の無人機も足止めができれば良い方の出来だし、第一どのタイミングで出せばいいのかは私達にもわからないわ』

 

「大丈夫です。そこは前に言ったように、全部僕がやりますので」

 

『……本当に貴方には脱帽するわ。それじゃあ、バレないことと成功を祈っているわ』

 

件の女性権利団体との電話が切れ、春也は窓から水平線の彼方をじっと見つめた。

 

(今までは邪魔をされたが、今後はそうはいかない。奴は僕が仕留める。そして一夏姉さんを、確実に殺してやる)

 

クラスメイトには見せられない、歪んだ笑みを顔に浮かべながら彼は廊下を歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(結局今回も彼は尻尾を出さなかった……。次のチャンスは臨海学校……ここで織斑春也は何か大きな動きを必ず見せる筈だ)

 

春也が悪巧みをしているその頃、凌馬は1人臨海学校で起きるであろう出来事について考えていた。

 

「(福音の暴走を束が行う確率はゼロ。となると奴が暴走させるとは思うが、果たしてそれだけで済むかどうか)どうにも嫌な予感がするんだよねぇ」

 

レモンエナジーロックシードをくるくる回しながら、凌馬は1人ごちた。

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