インフィニット・ストラトス―失われた未来―   作:レイブラスト

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第23話 それぞれの臨海学校

「見てセシリア! 海だよ、海!」

 

臨海学校当日。移動中のバスに揺られて海岸へと向かう中、窓から見える海に一夏はすっかり興奮していた。

 

「もう、一夏さんったら。興奮し過ぎですわよ。お気持ちはわかりますけど」

 

「あ、ごめん。あんまり海に行ったことないから、つい嬉しくて」

 

「そうでしたの。それなら十分楽しまないといけませんわね」

 

「うんっ!」

 

一夏のテンションが高いまま、やがてバスは目的地の旅館へと到着した。そして旅館の前に降りて整列すると、千冬が全員を見渡す。

 

「ここが今日からお世話になる花月壮だ。従業員の仕事を増やさないように注意するんだぞ」

 

『『『よろしくお願いしまーす』』』

 

「ほら、お前もちゃんと挨拶しろ」

 

「えっと…織斑春也です。よろしくお願いします」

 

女子達は元気よく挨拶し、春也も緊張しながらではあったが挨拶をする。次に旅館へ入ると、事前に割り振られた部屋に移動した。

 

「わあ、綺麗な部屋」

 

「これが畳ですのね。初めて触りましたわ」

 

部屋に入った一夏は予想してたよりも部屋が良かったことに感嘆し、セシリアは初めて踏んだ畳の感触に興味津々だ。

 

「さてと。じゃあ早速着替えて海に行こうか」

 

「ええ。ですがその前に、サンオイルを塗って下さると有り難いですわ」

 

「お任せあれっ」

 

そう言うと持ってきた荷物の中から水着を取り出し、その場で制服から水着へと着替え始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひゃあ、暑い……今年の夏ってこんな暑かったっけ?」

 

「サンオイルを塗っていなければ、肌が焼けてしまうところでしたわ」

 

砂浜に出た一夏とセシリアは日差しの強さに手を額に当てながら呟く。と、ここで一夏はセシリアの水着姿を改めて見る。青いビキニタイプの水着を着た彼女は、スタイルが抜群なこともあって艶っぽく見える。加えて歩く度に、豊満なバストが揺れ動く。その光景に一夏はポーっと頬を赤く染めていた―――すると。

 

「一夏さん、どうしましたの?」

 

「!? な、何でもないよ。ちょっとボーっとしてただけ」

 

覗き込んできたセシリアに、吃りながら釈明するが、何かに気づいたように微笑むと顔をすっと近づけた。

 

「本当にそうなんですか? 私の姿に見とれていたのではなくて?」

 

「そ、それは……」

 

「ふふっ。……ここだけの話、私もずっと一夏さんに見とれていたんですよ」

 

「え?」

 

「その証拠に、ほら」

 

優しく掴んだ一夏の右手を自分の胸へと持っていく。ドキドキと高鳴る心臓の音が、彼女に手を通して伝わる。

 

「ホントだ……私と一緒だったなんて、何か嬉しいかも」

 

「一夏さん……」

 

「セシリア……」

 

燦燦と輝く太陽の下で、2人は近づけていた顔を更に近づけていき―――そっと唇を重ねた。

 

「何公の場でやらかしているのよ、アンタ達は」

 

「「っ!?」」

 

が、直後に現れた鈴に言われて離れる。よく見れば鈴の顔も赤くなっている。

 

「み、見てた?」

 

「見るつもりは無かったけど。てか、私で良かったけど織斑春也が見てたら無茶苦茶嫌味言われるわよ、きっと」

 

「それだけは御免ですわ!」

 

冗談を言い合っていると、そこへ簪とマドカと箒がやってきた。

 

「相変わらず良いプロポーションだな、一夏姉さんは」

 

「千冬お姉ちゃんには負けるけどね」

 

「あの人と比べたらさすがに負けるだろう。ところで、シャルとラウラは? 私達より先に出た筈だが」

 

「あっちに居るけど……」

 

どことなく気まずそうに指を差す簪の先には、確かにシャルロットとラウラが居た……居たのだが。

 

「しかし、だ。何度見ても似合っているな、嫁の水着姿は」

 

「そう言うラウラも、似合ってて可愛いよ」

 

「そ、そうか」

 

「……めっちゃイチャついてるわね」

 

思わず鈴はため息をつく。女同士とは言え、あちらこちらでイチャイチャされていては、見てる方としてはたまったものではない。

 

「鈴さんも恋人を作ればよろしいのでは?」

 

「それって男? それとも女? 後者だったら遠慮しとくわ。私はノーマルだもの」

 

「だが実際問題、IS学園に通いつつ彼氏を作るとなると厳しいぞ」

 

「親しい人物が居るなら別だがな。ほら、前に中学の同級生が居るって話してただろ」

 

「弾と数馬のこと? 無理よ、互いに友達って割り切ってるから」

 

「焦らず気楽にいけばいいんじゃないかな?」

 

簪の締めの言葉により、「そうしよう」と意見が一致したところでこの話題は終了となり、それから昼食時まで海で泳いだり雑談等をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜。1人露天風呂に浸かっていた春也は防水加工された端末を取り出し、本来一般人が見ることができない筈の軍用ISのプログラムデータを見ていた。

 

(僕が作った暴走プログラムはちゃんと入ってるみたいだな。束さんが先にハッキングした場合は自動消滅するようにしてるし、後は僕が上手く立ち回れるかどうかか。……きっと大丈夫さ。世界で唯一の男性操縦者である以上、最後に笑うのは僕なんだから)

 

自分本位な思考をする春也は長風呂をして暖まると、成り行きが上手くいくように祈りながら部屋に戻って眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日付と場所は変わり、早朝のハワイ沖。

ここでは米軍所属のIS操縦者、ナターシャ・ファイルス中尉が新型の軍用ISを纏って随伴機と共にテストを行っていた。

 

「各部チェック……問題無し。コンディションは最高よ」

 

『よし、このまま稼働テストに移ってくれ。武装のロックは外すなよ?』

 

「わかっているわ」

 

冗談混じりに言う試験官に肩を竦めながら言うと、ナターシャはディスプレーを操作していく。

 

ビーッ! ビーッ!

 

突如として警告音と共に目の前がエラー画面で埋め尽くされる。

 

「な、何よこれ!? 一体何が!?」

 

『緊急停止装置は……ダメだ、作動しない! 機体を解除しろ!』

 

「無理よ! 完全に制御できなくなってるわ! このままじゃ暴走してしまう!」

 

『仕方がない……通信兵は直ちに軍に通達を! 終えたらすぐにここから逃げるんだ! 死にたくなければ急げ!!』

 

指示のすぐ後、軍用ISは完全に操縦者の制御下から外れて暴走。その場で見境無く暴れ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二時間後、亡国機業(ファントム・タスク)にて。

 

ピピピピッ! ピピピピッ!

 

「ん?」

 

デスクに座る凌馬のパソコンからアラート音が聞こえ、キーボードを操作すると表示された画面を見て顔色を変えた。

 

「(ついに来たか)みんな、ちょっと来てくれ。厄介なことになった」

 

ソファに座っていたスコール、オータム、束が凌馬の傍に集まってパソコンを見る。

 

「新型軍用ISの暴走を止めてくれ? 内容も内容だけど、アメリカから直接依頼が来るなんて、唯事じゃないわね」

 

「てか二時間も暴れてたのかよ。現在は移動してるらしいが…………っておい! コイツ一夏達のとこへ向かってるぞ!?」

 

「わかっている。束、私と一緒に合宿先に行こう。そこでみんなに指示を出す」

 

「オッケー!」

 

「で、俺達はここで待機か?」

 

「ああ。衛星を使って福音の周辺を常に観測しててくれ。じゃ、行ってくる」

 

そう言うと、ロックシードを2つとゲネシスドライバー一式を持って携帯を使って電話しながらピットへと向かった。

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