インフィニット・ストラトス―失われた未来― 作:レイブラスト
学園祭が最悪の形で幕を閉じたIS学園では、怪我人の救助と応急処置、破壊された箇所の修理、パニックを起こしかけている生徒及び一般客への説明、それらの家族から切れ間無く来る苦情への対処等に追われていた。
「ふぅ……これでようやく一息つけるわ」
生徒会室の椅子に深く腰掛けた刀奈は額の汗を拭いながらため息をつく。疲れ切った彼女に簪がお茶の入った湯飲みを差し出す。
「お姉ちゃん、これ」
「ありがとう簪ちゃん。……ぷはーっ。生き返るわ」
一気に飲み干して安らぐと、少し離れた場所にある椅子に腰掛けている本音に視線を向ける。
「本音」
「………………」
「……本音」
「………………」
「ほ・ん・ね!!」
「!? ……なぁに、お嬢様~?」
「いつもの口調で誤魔化しても無駄よ。……虚ちゃんのこと、考えてたんでしょ?」
「…………うん。お姉ちゃんが心配で心配で……それに、自分が情けなかった」
「え?」
「かんちゃん達がお姉ちゃんのところへ行った時、私は他のみんなと一緒に避難してたの。かんちゃんと一緒に行動してたら、ひょっとしてお姉ちゃんは助けられたんじゃないかって、そう思うと……」
今にも泣き出しそうになる本音に、簪は近寄ると正面からそっと抱き締めた。
「情けなくなんかないよ。自分の身を守ることは、凄く大事なことだもの。それに、もし私達について行ったとしても、虚さんを助けられたかどうかはわからない。逆に捕まっていた可能性もあるんだよ?」
「でも……」
「大丈夫。虚さん達は私達が必ず助けてみせるから。だから安心して、ね?」
手を優しく握って本音に微笑む簪。その姿に刀奈も微笑んだ―――その時だった。
『あー、もしもし。聞こえるかな?』
刀奈達が持っている端末から凌馬の声が聞こえてきた。何事かと2人は更に聞いてみる。
『私は今本社に居るんだけど、皆も大至急こっちに来て欲しいんだ』
「大至急? プロフェッサーがそんなことを言うなんて珍しい……」
「余程のことがあったみたいね。早速行きましょう簪ちゃん」
「うん。……本音、行ってくるよ」
「気をつけてね~!」
廊下に出る刀奈と簪を見送る本音の表情は、いつもの屈託のない笑顔に戻っていた。
場所は変わり、
「お久しぶりです、隊長」
「久しぶりだなクラリッサ。お前達や、まだ面識の無いセカンドチームが集められるとは相当なことがあったようだが、何か知っているか?」
「……実は―――」
「はーい、皆さんご注目~。話を始めるよー」
集められた理由をクラリッサが語ろうとした直前に凌馬と束が前に立ったので、やむを得ず話を中断することになった。
「今回はセカンドチームを含めた全アーマードライダーを集めた訳だけど、どうしてか不思議に思っているだろう。今から理由を説明するが、まずはこれを見て欲しい」
「ポチッとな」
束がリモコンを操作すると部屋の照明が落ちて前に掛けられているスクリーンに様々な国にある軍事基地の映像が分割して映し出される。
一見何とも無いように見えるが、数秒後、どの基地にも大量の車が押し寄せてきた。それらは基地内で粒子状に分解、IS学園で戦ったトラックスやガルバトロン、スティンガーのようなロボットに再構成されて暴れ始めた。
「これは……!」
「織斑春也と、彼と協力関係にある女性権利団体が作ったとされる、新型兵器……彼らはトランスフォーマーと呼んでいたからこれからはそう呼ぶけど、それらが織斑春也らをIS学園から撃退して約一時間後に、各国の軍事基地をほぼ同時に襲撃したんだ。被害は甚大で、配備されていた全ISがコアごと破壊されてしまったらしい」
「全ISが、コアごと!? クラリッサ、これは……!」
「……事実です隊長。我々のISも奴らには歯が立たず、叩きのめされました。幸い全員がやられる前に脱出しアーマードライダーへと変身しましたが、それでも4、5体倒すのが精一杯で、基地を守ることはできませんでした」
「そうだったのか。だがクラリッサ達が無事で何よりだ」
悔しそうに握り締める拳の上に手を重ねると、ラウラはクラリッサの顔を見て微笑む。当のクラリッサは部下である自分達の安否を気遣ってくれるラウラに、内心で感激していた。
「後これは一夏ちゃん達、専用機持ちに関わることだが、これを見てくれ」
分割されている映像の1つを拡大したものを映す。そこに流れたとあるトランスフォーマーの攻撃に、真白とセシリアは言葉を失った。
「あの白いロボットの攻撃……私の零落白夜と雪羅と同じです!」
「隣に居る青いのは、ブルー・ティアーズのビットを使っていますわ!」
そう、映像に映る二機の白いトランスフォーマーと青いトランスフォーマーは、白式・雪羅とブルー・ティアーズの武装を使っていたのだ。
「これだけじゃないよ」
リモコンを持つ束が映像を切り替えていく。別の基地では紅椿と甲龍とサイレント・ゼフィルスの、また別の基地ではラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡとシュヴァルツェア・レーゲンの、更に別の基地では打鉄弐式とミステリアス・レイディと……驚くべきことに、嘗て織斑千冬が使っていた暮桜と同じ武装を使うトランスフォーマーがそれぞれ一機ずつ暴れていたのである。それも各操縦者と同じ動きで。
「僕達のISの武器を……何で!?」
「事前にデータを盗んでいたんじゃないかって束さんは思ってるよ。時期としては……シャルルンが罪を着せられそうになった頃かな?」
「何ですって? だとするとアイツは私達がシャルと話し合っている隙に、データを持ち出したってこと!?」
「何て人なの……許せない!」
彼女達は彼が単にデータを持ち出したことだけではなく、シャルロットを罠に嵌めたことすら自分の行動を隠す為のものだったという事実に強い怒りを覚えた。
「軍事基地を破壊しきった後、トランスフォーマー達は車に変形してどこかに転移して行った。そして少し経った頃に、こんな映像が世界中で流れた」
映像が変わり、軍事基地襲撃を緊急報道するニュース特番が再生される。だが十秒も経たない内にノイズが走ると共に、織斑春也を映し出すものへと変化した。
『皆さん、織斑春也です。この度は皆さんに残念なお知らせがあります。インフィニット・ストラトスは、僕達の新兵器トランスフォーマーの前では敵ですらない。そして僕もまた、世の男性達の希望ではない。今日から僕は、この世界の王。皆さんには、僕達の支配に従って頂きます。勿論逆らったらどうなるかは、ニュースの映像を見ていればわかりますよね? 三日間の猶予を与えますのでよくお考え下さい。では、良い返事を期待しています』
そこで映像はノイズと共に困惑するニュースキャスターが映るものへと変わり、そこで束は映像を止めた。レイドワイルドの面々からも「これ俺もテレビで見たよ。すっげぇ驚いたぜ」等の声が上がる。
「ここからが本題だ。この事態を重く見た各国の政府は、彼らを制圧するよう私達に依頼をしてきた。私としてはすぐにでも受けたいのだが……」
今度は何か戦闘機らしきものから地上の建物を映す映像にスクリーンが切り替わる。
「これはトランスフォーマーの転移反応を追った先に存在した、廃棄済の研究施設に飛ばした無人偵察機が送ってきた映像だ」
施設の周囲をぐるぐると回る偵察機。そのカメラは、施設全体を輪を描いて守るようにビークルモードで待機している無数のトランスフォーマーを映していた。
「解析したところ、トランスフォーマーの数は大凡30体。しかし一部には三体に分裂して変形する奴も居るから、実際の数はもっと多い。60体程と言っていいだろう」
「60!? あのロボットが、そんなにも居るのか……」
「対して我々の戦力はここに居るのが全てだが、ワンオフのを装備しているのが12人。レイドワイルドが30人。シュヴァルツェ・ハーゼ隊が20人。合計62人だ。数ではほぼ互角だが、奴らを倒すには少なくとも一体につき4人がかりで挑まなければならない。しかも人質救出の為の人数を割かないとならないから、かなりの激戦になると思われる。死人が出てもおかしくはない。よって今回は志願制を取らせて貰う。作戦開始時刻は今から三時間後なので、その間に家族や友人と十分に相談して参加するか否かを決めて欲しい。それでは、解散」
プロジェクターが停止してスクリーンが巻き上げられ、照明が点灯される。途端に会議室がざわめき立つ。
「家族や友人、か……セシリアはどうする? やっぱりチェルシーさんのところに行くの?」
「そうですわね。これから私がどんな作戦に参加するのか、せめて話しておきませんと」
「……家族か。久しぶりに姉さんと話してみるか」
一夏達も与えられた一時間を、どう過ごすのか互いに相談し合っていた。そして―――
イギリス、オルコット邸。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
ローズアタッカーで帰ってきたセシリアを、チェルシーは恭しく礼をして迎えた。
「本日はどのようなご用件で?」
「織斑春也のことは御存じですわよね?」
「……ええ。先ほどテレビに映ってましたので。彼がどうか?」
「その織斑春也の拠点を制圧する任務を受けましたの。非常に危険な任務ですわ。もしかしたら死―――」
言いかけたセシリアの口にチェルシーは人差し指を当てて制すると、笑顔で述べた。
「そんな弱気のまま戦いに行くのはおすすめしません。必ず勝って帰ってくる、その覚悟を持って戦って下さい。私もお嬢様が生きて帰ることを、信じていますから」
「チェルシー……ありがとう」
幼い頃からの親友の激励にセシリアは感謝し、同時に今までにない戦場に赴く為の覚悟を得たのであった。
中国、鈴の実家。
「……お母さん、ただいま」
「鈴!? どうしたの急に! IS学園が大変なことになったって聞いたけど……」
「大事なことを話しに来たの」
「大事なことって、何? テレビでやってた、変な演説みたいな奴のこと?」
「うん……」
訥々と鈴は母に作戦のことをできる限り噛み砕いて説明した。最初は黙って聞いていたが、説明し終えた後には目を見開き鈴の肩を掴んでいた。
「鈴貴女、そんな危険な戦いをしに行くつもり!? ダメよそんなの! 絶対反対だわ!」
「………………」
「他に代わって貰える人はいないの? 貴女が持ってる……戦極ドライバーっていうベルトをその人に渡せば、貴女は戦わなくて済むのよ。何なら私が!」
言うが早いか鈴から戦極ドライバーを奪うと、腰に当てる。だがフォールディングバンドは出ず、腰に装着することはできなかった。
「何で……どうして!?」
「……それは最初に変身した人しか使えないの。誰かが代わりになることはできないんだよ……」
「そんな……」
絶句した鈴の母は長く思案していたが、もう一度鈴の表情を見つめると再び肩を掴んで尋ねた。
「……絶対に死なないって、約束できる?」
「え?」
「本当なら無理にでも引き留めたいけど、貴女にしかできないことなんでしょう? でもさっきの約束ができなきゃ、行かせてなんかあげないわよ」
「お母さん……うん、約束する! 私は絶対に死なない! 死んでたまるもんか!!」
母と約束を交わし、鈴はどんなことがあっても必ず生きて帰ることを頭に叩き込んだ。
篠ノ之神社
「こうして箒ちゃんと2人で来るのも久しぶりだね」
「ええ。小学生の頃以来でしょうか?」
箒と束の2人は数年ぶりに姉妹揃って、篠ノ之神社へと訪れていた。懐かしげに目を細め、あの頃の日々を回想する。
「箒ちゃんの舞、綺麗だったなぁ。今でもはっきり覚えてるよ」
「私も覚えてます。何度か裾を踏んだりして、苦労したこともありましたけど」
「今となっちゃ良い思い出だよね~」
「ええ……」
そこで会話は一旦途切れ、思い出の詰まった神社を見上げていた。そして、沈黙を破ったのは束だった。
「……私がISを発表して、色んなものが変わっちゃったけど……こんなことになるなんて予想できなかったなぁ」
「姉さん?」
「今更だけどごめんね、箒ちゃん。本当なら私が落し前をつけないといけないのに、それを貴女達に押しつけて……恨んでるよね?」
「姉さんっ」
自責の念に駆られる束を見て、箒は咄嗟に束の手を握っていた。
「私は、私達は姉さんを恨んでなんかいません。姉さんがいなければ戦極ドライバーもロックシードも量産できず、一夏やシャルロットを救うこともできなかったんですよ? それに、もし織斑春也のことを言っているなら、それはアイツが勝手に愚かなことをしただけです。姉さんは悪くありません」
「……そう?」
「はい。だからそんな顔をしないで下さい。みんなに笑われるぞ……お、お姉…ちゃん……」
「!? い、今箒ちゃん、私のこと何て!?」
「な、何でもありません。さ、さあ早く戻りましょう!」
「照れなくてもいいじゃん~! ね、もっかい言って!」
「そ、そのことはもう良いじゃないですか!」
結局照れてしまったが、勇気を持って言った一言は束のいつもの笑顔を取り戻すことに成功したのであった。
一夏とマドカと真白は未だ目覚めぬ千冬に会いに来ていた。生命維持装置をつけて規則正しく呼吸をする千冬の手を握った一夏は声を掛けた。
「千冬お姉ちゃん……私達、春也を止めに行ってくる。もうこれ以上、春也に好き勝手なことをさせない為に。それと、春也をここに連れてきて謝らせるから」
「心配はいらない。一夏姉さんは私達が責任を持って守るし、私も死ぬつもりはない。必ず千冬姉さんのところに戻ってくる」
一夏の手の上からマドカが手を重ねながら言う。それから手を離すと、真白が何か伝えようとしているのに一夏は気づいた。
「真白、どうかした?」
「……一夏。実は折り入って頼みが―――」
コンコン
「失礼する……む? 邪魔したか?」
ノックの後に扉を開けてラウラとシャルロットが入ってくる。何か話そうとしていた真白の様子に一旦外で待っていようと考えたが、真白は「大丈夫です」と告げる。
「また後で言いますから。それより2人はどうしてここに?」
「家族や友人に会って来いと言われたが、私にとっての家族はシュヴァルツェ・ハーゼの皆だからな。互いに意気込みを語り合って、時間が余ったから千冬お姉様に会っていこうと思ったんだ」
「僕はそもそも会うような家族がいないから、せめて千冬さんを見舞いに行こうって思ってここに来て、その途中でラウラと合流したんだ」
「そうだったんだ……」
「それで様子はどうだ?」
「今までと変わらず、眠り続けている。千冬姉さんのことだから、必ず目を覚ますと信じているが……」
「……そうか」
ベッドに歩み寄ったラウラとシャルロットは、穏やかな顔で眠り続ける千冬の顔を見た。
「きっと目を覚ますよ。それがいつなのかはわからないけど……だからこそ、織斑春也は僕達の手で止めなくちゃ。千冬さんもそれを聞いたら安心するだろうし」
「むしろ悔しがるだろうな。私の出番は無いのか?って」
「あ、何となくありそうかも。ふふっ」
起きて早々にそんなリアクションをする千冬を想像して思わず笑いを零す一夏。とそこへ、再びノックと共に病室の扉が開けられた。
「失礼するよ」
「プロフェッサー? 何かありましたか?」
「決戦に赴く前に見舞いに来たのさ」
言いながらベッドの近くに寄ると懐から修復した戦極ドライバーとメロンロックシードとメロンエナジーロックシード、そして待機形態のISらしきものを隣の机に置いた。
「千冬お姉ちゃんの戦極ドライバー……修理終わってたんですか?」
「それにそのISは……暮桜、ですね?」
「正解だよ真白ちゃん。せめてお守りになればと考えてね。本当ならゲネシスドライバーも直しておきたかったけど、間に合わなくて。……っと、そろそろ作戦前のミーティングが始まる時間だ。私はもう行くから、君達もなるべく早く来るんだよ」
病室を後にする凌馬。それを見た真白も「私達もそろそろ行きませんと」と一夏達を促す。
「うん……行こうか」
一夏の言葉にマドカ達も従い部屋を出て行く。最後に千冬を一目見やると、一夏は扉をしめた。
そして医療施設を出たところで、鈴、刀奈、簪、箒、束が彼女達を出迎えた。
「遅かったじゃない。プロフェッサーも、もう来ないかと思ってたわよ」
「冗談。行くに決まっているじゃない」
「その意気込みがあれば十分ね」
「そりゃどうも。……ところで真白、お前一夏に何か言いたいことがあるんじゃなかったか?」
「あ、いけない。忘れるところだった。結局何だったの?」
「それなんですが……一夏、どうか白いロボットとの戦いで私を使ってくれませんか?」
「へ?」
思わず素っ頓狂な声が出るがすぐに何を意味しているかを理解した。真白は自分が変化したロックシードを戦いで使ってくれと言っているのだ。
「確かに一応はロックシードだから使えるとは思うけど、何でまた?」
「……許せないんです。盗み取った私のデータを、あんな破壊目的のロボットに搭載したことが。皆さんもそう思うでしょう?」
「言われてみれば……紅椿のデータを勝手に盗られた挙げ句、破壊の為に使われるのは―――気分が悪いなんてものじゃない」
「私達のISに対する冒涜と言っても過言ではありませんわね」
「あー、そう考えたら無性にイライラしてきたわ。一発ぶちのめしてやらないと気が済まないかも」
「ぶちのめすだけじゃダメだよ。徹底的に破壊しなきゃ」
「レーゲンの名を汚す不届き者め。戦場で会ったら覚悟しておけよ……!」
「みんな血気盛んねぇ。私はクールに急所を狙っていたぶるのがいいわね」
「文字通り手も足も出ないようにするってのは?」
「お前等も大概だな…………だが嫌いじゃない」
悔しさを滲ませる真白に触発され闘争心を沸き立てさせる。すると彼女達の想いに反応したのか、極ロックシードが光り始めた。
「え? な、何が!?」
慌てて懐から出して右手の平に乗せると、箒達が肌身離さずつけている待機形態の紅椿、甲龍、ブルー・ティアーズ、ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ、シュヴァルツェア・レーゲン、サイレント・ゼフィルス、打鉄弐式、ミステリアス・レイディが彼女達の体から勝手に離れて浮かび上がる。極ロックシードから漏れ出た黄金色の輝きがISを包むと、形がISからロックシードやエナジーロックシードへと変化した。
「!? 紅椿が……!」
「甲龍まで、ロックシードに……」
恐る恐る各々のISが変化したロックシードを手に取る。不思議とそのロックシードから声が聞こえてくるような感じがした。
「そう……貴女も悔しいんですのね、ティアーズ」
「無慈悲な破壊の為に力が使われるのは、君も納得がいかないんだね。気が合うよ」
「奴らが気に入らないか。奇遇だな、私も同じだ」
「お前を使えだと? フッ、いいとも。奴と対面したその時が来たらな」
「任せて。貴女を使って必ず倒してみせるから」
「これでもう足手纏いにはならない? 私は一度たりとも貴女をそう思ったことはないわ。だから……今までもこれからも、私に力を貸して頂戴」
「? 皆そのロックシードと何を話しているんだい? というか、ロックシードが語りかけてきているとでも……?」
「ふーむ、研究のしがいがある―――けど、今は時間がないからやめとこ」
「っとそうだった。皆、早く行かないと」
束の一言で我に返った凌馬に促され、一夏達は他の面々が待つ場所へと向かうのであった。