インフィニット・ストラトス―失われた未来―   作:レイブラスト

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第36話 戦士の目覚め

ジンバーピーチアームズの能力で探りながら研究所の中を進んでいた鎧武達は、大型倉庫へと繋がる扉の前に来ていた。

 

「この奥に人質達が居るんだね?」

 

「はい。でも気をつけて下さい。春也達の声も混じって聞こえましたから」

 

「わかっている。……行くぞ!」

 

バンッ!と扉を開けて中に入る。そこには座らされた状態で柱に縄で縛られた虚達と、彼女達を囲むように立っている春也達、そしてガルバトロン含む三機のビークルモードのトランスフォーマーの姿があった。

 

「もう来たんだ。少しは道に迷うと思ってたのに、拍子抜けだなぁ」

 

「春也……!」

 

「テメェ! 虚さん達を放しやがれ!」

 

「そう言われて素直に放す奴が居ると思う? 2人はどう思います?」

 

「居るわけないわよねぇ」

 

「右に同意です」

 

言いながら戦極ドライバーとゲネシスドライバーを腰に装着し、リンゴロックシードとドラゴンフルーツエナジーロックシードを解錠。

 

『リンゴ!』

 

『ドラゴンフルーツエナジー!』

 

そしてドライバーにセットしてロックを掛け、カッティングブレードを倒して輪切りにしたりシーボルコンプレッサーを押してカバーを展開した。

 

『『ロック・オン!』』

 

『カモン! リンゴアームズ! Desire Forbidden Fruit!!』

 

『ソーダ! ドラゴンエナジーアームズ!!』

 

出現したアームズが頭部を覆って展開し、イドゥンとタイラントの姿に2人を変える。変身が完了すると、今度は春也が懐をまさぐり始めた。

 

「何してんだお前?」

 

「千冬姉さんのゲネシスドライバーは奪い返されてしまったからね。僕が僕の為に作った、僕だけのドライバーとロックシードをお披露目しようと思ってさ」

 

春也は認証前の戦極ドライバーとオレンジロックシードに似た、表面が赤く黒い蔦のような模様が描かれた『L.S.-07』と番号の記されたブラッドオレンジロックシードを取り出すとまず戦極ドライバーを腰に宛がった。黄色のフォールディングバンドが伸び、左側のプレートに鎧武のそれと酷似しているが黒い蔦が描かれている鎧武者の横顔が表れる。次に春也はブラッドオレンジロックシードを解錠した。

 

「変身」

 

『ブラッドオレンジ!』

 

頭上にオレンジアームズに似ているが、表面に黒い蔦の模様のある赤いブラッドオレンジアームズが出現してゆっくり降下し始める。

 

『ロック・オン!』

 

素早く戦極ドライバーにセットしてロックするとブラーボやナックル同様のエレキギターのミュージックが流れる中、カッティングブレードを倒してロックシードを輪切りにした。

 

『ブラッドオレンジアームズ! 邪ノ道・オンステージ!!』

 

一気に落下して被さったブラッドオレンジアームズが展開し、全身を包んだライドウェアの上に鎧となって固着する。春也の姿は鎧武にそっくりな、しかしジンバーアームズのようにクラッシャー部が黒く前立てが赤いアーマードライダー・仮面ライダー武神鎧武 ブラッドオレンジアームズに変化した。

 

「!? 鎧武にそっくりだと……」

 

「確かに姿は似ているけど、強さは別格なんだよ」

 

刀身が赤い大橙丸と無双セイバーをそれぞれ左手と右手で持つ。そして鎧武に挑む……と思いきや、インカムに手を当てる動作をして言った。

 

「ただ僕と戦う前に、一夏姉さんにはコイツと戦って貰うけど」

 

直後、トランスフォーマーの内白いBMW・i8とメタリックレッドのランサーエボリューションが粒子状に分解・変形しロボットモードになると、それぞれ右腕を雪片弐型や雪片に似たブレードに変形させた。

 

『あの武装……アレは私と暮桜のコピーです!』

 

「一体ならどうにかなりそうだけど、二対一じゃ不利かな……」

 

「一夏ちゃんは白式もどきを倒すんだ。暮桜もどきは私が相手をするから。他の皆はあの2人を頼む」

 

「わかりました。……行くよ、真白!」

 

『はい!』

 

真白が変化したロックシードを握り締めると、鎧武は迷うことなくそれを解錠する。

 

『白式!』

 

音声が流れると同時に真っ白で機械的な見た目のアームズが頭上に現れ、徐々に降下し始める。鎧武は戦極ドライバーにそれを装填、ロックをかけると素早くカッティングブレードを倒してロックシードを輪切りにした。

 

『ロック・オン!』

 

『ソイヤッ! 白式アームズ! 雪片・セカンドステージ!!』

 

消え去ったジンバーピーチアームズの代わりに落下、展開して装着されると雪片弐型に似た剣を右手に握り、鋭いかぎ爪のついた籠手を左手に装備した白式アームズに鎧武を変えさせた。

 

「そんな姿になったからって、勝てると思わないことだね。さあ、行け!!」

 

BMWとランサーエボリューションが変形したトランスフォーマー(以下、白式フェイクと暮桜フェイクする)と、イドゥンとタイラントが進み出す。

 

「行くよみんな……ここからは!」

 

『私達の!』

 

「『ステージだ(です)!!』」

 

「「「おうっ!!」」」

 

鎧武の掛け声と共に、黒影と数馬が変身した黒影トルーパーはタイラントへ、ダリルが変身した黒影トルーパーはイドゥンへ、デュークは暮桜フェイクへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…………冬…………千冬……』

 

「……ん……?」

 

その頃、千冬は謎の声に呼びかけられ目を開けた。だが周囲の空間が全て真っ白であることから、覚醒したのは意識だけで身体はまだ眠ったままであるのだと悟った。

 

「あれからどれ程眠っていたのかはわからんが、早いところ目を覚まさないといけないな。…………それにしても、私を呼んだあの声は、一体?」

 

『千冬』

 

「っ!」

 

再び名を呼ばれて声がした方を見ると、そこには長い紅色の髪を持つ千冬と同じ背格好の女性が立っていた。

 

「お前は……」

 

『ようやく貴女とこうして話をすることができますね』

 

「まるで私のことを長年知っているみたいな口ぶりだな。だが、お前のような人物とは生憎面識が無くてな」

 

『無理もありません。織斑一夏の、黄金の力を持つ鍵による作用がなければ、私はただ貴女に使われていただけの機械に過ぎなかったのですから』

 

「使われていた? ……まさか、お前は……!」

 

女性の言葉に、千冬は1つの可能性に辿り着き驚愕から目を見開く。そんな千冬の手を女性は握ると、そっと囁いた。

 

『本当ならもっと貴女と話したいことがあるのですが……残念ながら時間がありません。今の目的を、貴女を目覚めさせることを最優先させます』

 

「……また会えるだろうか?」

 

『……ええ、きっと。この戦いを終えたその後に』

 

「戦いだと? 何やら現実ではよからぬことが起きてそうだな……となると、いよいよすぐに目覚めなければな」

 

『負けないで下さい。私も、貴女の力になりますので―――』

 

その言葉と共に手を離され、千冬の視界はぼやけていった。

 

 

 

 

 

「っ、ここは……」

 

再び視界が戻った時、見覚えのある医務室の天井が目に入った。上半身を起こして隣の机を見ると戦極ドライバーとメロンロックシードとメロンエナジーロックシードが置いてあったが、それらに混じってとあるロックシードが置いてあった。

 

「?」

 

不思議に思ってそのロックシードを、本来暮桜が置かれていた場所にあったソレを手に取る。紅いメカニカルな表面に千冬はフッと笑みを零し、ドライバー一式と一緒に仕舞うと立ち上がり端末を片手に廊下に出た。

 

(まずは現状の確認からだが………………何? 春也が世界中に向けて宣戦布告をしただと? 新兵器を配下に置いて?)

 

最新の情報を次々に見て、千冬は目眩にも似た感覚を覚える。

 

(魔道に堕ちたか、春也……私があの時止めることができていれば、或いは―――)

 

「ちーちゃん……?」

 

端末を見て考え込む千冬に、後ろから束が声を掛けた。我に返った千冬はすぐに振り向き親友と顔を合わせた。

 

「いつ起きたの?」

 

「つい先ほどだ。現状確認の為に情報を閲覧している途中だったが、春也のせいでとんでもんないことが起きている様だな」

 

「うん。今は彼と、彼に協力する組織を止める為にみんなが戦いに行っている」

 

「場所はどこだ?」

 

「……早速戦うつもりなの? 一ヶ月以上も眠ってたから、身体が訛ってると思うし、それに脳に障害があってもおかしくは―――」

 

「一ヶ月か、それなら問題はない。思考能力にも今のところ何ら影響は無い。十分けじめはつけられるさ」

 

「けじめって、何の?」

 

「……一対一の戦いで春也に負けて、あいつを止められなかったことに対するけじめだ。ここまで春也を増長させたのは、私の責任と言っても過言ではないからな」

 

「そう……」

 

悲しげに言う千冬に束は目を閉じると、千冬が持つ端末を指して告げた。

 

「それに今みんなが行っている作戦の詳細な情報が載ってるから、座標を知りたいなら見た方が早いよ」

 

「束……ありがとう」

 

礼を述べて端末を操作して確認すると、千冬はすぐさま発進場に移動し腰に戦極ドライバーを宛がった。

 

「変身」

 

『メロン!』

 

そしてメロンロックシードを解錠し戦極ドライバーにセットしてロックを掛けると、カッティングブレードを倒して輪切りにした。

 

『ロック・オン!』

 

『ソイヤッ! メロンアームズ! 天・下・御・免!!』

 

現れたメロンアームズが被さって展開し斬月に変身すると、手に入れた新たなロックシードを一旦仕舞いサクラハリケーンを出した―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千冬が目覚め、一夏達が春也と対面してから暫し時が経った頃。各戦場では激闘が繰り広げられていた。

 

「奴らのビットから落とすぞ!」

 

「わかりましたわ!」

 

肩とライフルに付属していたビットを解き放ち、2人は敵が放ってきたビットを狙う。ビットだけの攻撃に限らず、ライフル同士の撃ち合いも行う。

 

「くっ! まるで私達自身と相手をしてるみたいだ……ISの武装だけではなく、操縦者のデータまで組み込まれているのは本当らしいな」

 

「そうですわね。いつ頃のかは不明ですが」

 

「だが良い事実だ。過去の自分に比べてどれだけ強くなったか確かめられるからなぁ!!」

 

言いながらライフルを連射しつつゼフィルスフェイクに突撃する。それに対応すべく相手はビットのいくつかでマリカを囲み、残りを自分の周りに集めた。

 

「んなもんで私が止められるかぁあああああ!!」

 

自身を囲むビットの攻撃を避けつつ更に近づく。ビット及びライフルを放とうとするゼフィルスフェイクだったが、次の瞬間、ライフルがマリカ側のビットによる一斉攻撃を受けて破壊された。

 

「目の前ばかりに集中し過ぎて、周りが疎かになってたみたいだな!!」

 

ここぞとばかりにマリカはゼフィルスフェイクに飛び乗ると、カメラアイにライフルを突き立てた。

 

『サイレントエナジースカッシュ!!』

 

シーボルコンプレッサーを一度押し込み強化された弾丸をゼロ距離で連射。ゼフィルスフェイクの頭部を粉々にした。

 

「やっぱゼロ距離斉射ってのはハイリスクだが、気分がいいよな!」

 

バロンに同意を求めて言ったのか独り言なのかは不明だが、マリカはビットを戻しつつ叫んだ。

 

そのバロンはビットで本体を攻撃しつつ、ライフルで相手のビットを一機ずつ落としていた。ティアーズフェイクもいい加減鬱陶しいと判断したのか、ライフルで本体を狙い撃ち始める。だがそれこそがバロンの狙いだった。相手の銃口をターゲットスコープに納めた瞬間、トリガーを引き弾丸をティアーズフェイクのライフル内に撃って破壊した。

ライフルモードが使い物にならなくなり、相手は銃口を外してマシンガンモードに切り替え連射する。

 

「それも読み通り……ですわ」

 

マスクの下で笑みを浮かべながら銃をマシンガンモードにして足下を撃つ。たちまち土煙が巻き起こりバロンの姿を隠す。ティアーズフェイクはセンサーの感度を上げて姿を探すが見つからない。その時、何かをセンサーで捉えた。だが直後に画面にノイズが走る。煙で視界が無い中、バロンの投擲してきたライフル付属のブレードが首に深く刺さったからだ。

 

「どうやらそこみたいですわね。では遠慮なく!!」

 

『カモン! ブルー・ティアーズオーレ!!』

 

カッティングブレードを二回倒してからトリガーを引き、突き刺さったブレード目掛けて弾丸を撃ち、奥深くまでブレードを押し込む。そこへビットが集中攻撃を仕掛け、ティアーズフェイクは機能を停止させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別の場所では打鉄フェイクがグリドンと黒影・真をロックしマルチミサイルランチャーを発射した。

 

「させない!」

 

『カモン! 打鉄弐式スカッシュ!!』

 

カッティングブレードを一回倒したグリドンが同じくミサイルを放ち、相手のミサイルを撃墜する。

 

「ナイスよ簪ちゃん。じゃあ私も……ぐっ!?」

 

黒影・真を突然爆発が襲う。レイディフェイクがナノマシン入りの水を気化して散布し、爆発させたのだ。

 

「痛たた……やるじゃない。でもやられたらやり返さないと、お姉さん気が済まないのよね!」

 

『ミステリアスエナジースカッシュ!!』

 

シーボルコンプレッサーを一回押し込むと水が霧状となって散布され、いくつかの黒影・真の分身が現れレイディフェイクに攻撃を仕掛ける。レイディフェイクは所持したガンランスで反撃するが、攻撃はすり抜けてしまう。センサーでよく調べると幻影だとわかったので次からは放置することを決める。しかし4人目を感知したセンサーは、それがただの幻影でないでは無いことを教えた。だが―――

 

「もう遅いわよ。……ドカーンってね」

 

分身が至近距離で爆発する。その隙に黒影・真は再びシーボルコンプレッサーに手を掛ける。

 

『ミステリアスエナジースパーキング!!』

 

レイディフェイクは聞こえてきた音声に警戒する。そして上空からキックを放つ黒影・真の姿を捉えてガンランスのガトリングガンから弾丸を発射した。直撃し黒影・真は大爆発を起こす。

 

「ざ~ん念。それはお・と・り・よ♪」

 

背後から聞こえる声に振り向けぬまま、レイディフェイクは影松・真で首を刎ねられる。さっきの黒影・真はナノマシンによる爆弾分身だったのだ。

 

「凄い……私も!」

 

感嘆の声を上げるグリドンに、再びミサイルが向かう。グリドンは着弾寸前で前に走り、回避すると同時に打鉄フェイクに薙刀を突き出す。

相手も薙刀を用いて斬り合いを行う。グリドンは小回りを効かせて攻撃を躱し、打鉄フェイクは焦ったのか背面のキャノン砲を肩に担ぐように展開させ、エネルギーを溜め始める。

 

『カモン! 打鉄弐式スカッシュ!!』

 

「防いで見せる!」

 

『カモン! 打鉄弐式スパーキング!!』

 

対抗してグリドンもカッティングブレードを倒し、背部のキャノン砲を同じように展開・エネルギーチャージを開始させる。ほぼ同時に両者の砲門から荷電粒子砲が発射されてぶつかり、爆発を起こす。その直後、打鉄フェイクに無数のミサイルが命中する。キャノン砲展開前に発動した技が、時間差で襲いかかったのだ。

 

「今っ!!」

 

『カモン! 打鉄弐式オーレ!!』

 

怯んだ隙にカッティングブレードを二回倒し、胸部に薙刀を深く突き刺す。そのまま一気に真上に振り上げ、頭部を下から真っ二つに両断・破壊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブラーボ達の戦場では、レーゲンフェイクがAICを発動させて苦しめていた。

 

「クソッ! 集中力が必要ないと、こうも厄介だとは……!」

 

部下共々身動きが出来ずに足掻いていると、レーゲンフェイクの真上からダンデライナーに乗った黒影トルーパー達が銃撃しながら垂直降下してきた。レーゲンフェイクはショルダーキャノンでそれらを狙い撃つが……

 

「利用させて貰おうかな。それっ!」

 

ラファールフェイクの右腕に組み付いたナックルが、ショットガンで至近距離から肘関節を撃ち抜き、自由を奪ったところで強引に向きを変えると指ごと引き金を引いて弾丸を放ち、レーゲンフェイクに当てて注意を一時的に逸らした。

 

「! 停止結界が……ならば!!」

 

『シュヴァルツェア・レーゲンスカッシュ!!』

 

停止結界が解けた隙にカッティングブレードを倒し、逆にレーゲンフェイクを停止結界で封じると接近して手刀で胸部に突き刺した。

 

「こいつもおまけだ、食らっておけ!!」

 

手を引き抜いた後、損傷した箇所にショルダーキャノンを連続で叩き込む。中枢部を滅茶苦茶にされたレーゲンフェイクはカメラアイの光が消えて倒れた。

 

「さすがラウラ、仕事が早い。僕も負けていられないな!」

 

一度ラファールフェイクから離れたナックルは、ブレードに変形した左腕の攻撃を避けつつそれに飛び乗り、高くジャンプすると―――

 

『ラファール・リヴァイヴスカッシュ!!』

 

「取った!!」

 

カッティングブレードを倒しながら飛び越して右手で頭を掴むと、左腕のリボルバー式パイルバンカーを突き刺し6発連続で打ち頭部を粉々にした。

 

「どんな装甲だろうと、撃ち貫いてやるだけさ……!」

 

薬莢を排出しながら、ナックルは呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冠と龍玄は、レーザーと斬撃、衝撃砲を切れ間無く連続発射してくる紅椿フェイクと甲龍フェイクに手を焼いていた。

 

「うわっと! ああもう、鬱陶しいったらありゃしないわ!」

 

「片方だけでも注意を逸らせればいいんだが……」

 

「……あ、何か思い浮かんだかも。ちょっと聞いてくんない?」

 

ひそひそと冠に耳打ちする龍玄。一度顔を見合わせると互いに頷き、まず龍玄がカッティングブレードを一回倒す。

 

『ハイーッ! 甲龍スカッシュ!!』

 

「これでもぉ……食らえっ!!」

 

柄同士を連結させた青竜刀を投擲するが、それは二体を素通りして飛んでいく。今度は冠がカッティングブレードを二回倒す。

 

『ソイヤッ! 紅椿オーレ!!』

 

「この切っ先、触れれば切れるぞ!!」

 

日本刀の刀身にエネルギーをチャージし、紅椿フェイクに向けて走り出す。それに対し甲龍フェイクが衝撃砲で迎撃しようとするが―――

 

「甘いのよ、薄鈍が」

 

ザシュッ!!

 

―――ブーメランのように戻ってきた青竜刀が甲龍フェイクの左膝の関節を切断し、バランスを崩させる。当然ながら迎撃はできない。

 

「仲間に頼ったのが仇になったな。受けろ!!」

 

肉薄した冠は紅椿フェイクの刀を避けつつ、まず左腕の関節を斬撃で両断。続いて右腕に飛び移ると肘関節に一本突き刺した後、レーザーを放って爆破し距離を取る。両腕部を失った紅椿フェイクは、千切れた部分をパージしてジョイントを見せると背面部から分離したパーツを胸部に連結・クロスボウ状にして冠に向けた。

 

「ならば!」

 

『ソイヤッ! 紅椿スパーキング!!』

 

三回カッティングブレードを倒すと胸部装甲が分離・変形してクロスボウ型武器になる。グリップを握った冠は銃口を紅椿フェイクへと向ける。

 

「食らうがいい……!」

 

引き金を引き、光矢が放たれ同時に相手側からも光矢が放たれる。2つは空中でぶつかり合い僅かな拮抗の後、冠側が押し切り紅椿フェイクを砲門ごと貫通。カメラアイから光を奪い去った。

 

「やったか……むっ!?」

 

一息ついたところに、甲龍フェイクの衝撃砲が襲ってくる。

 

「アンタの相手は私よ! 忘れんじゃないわよ!」

 

『ハイーッ! 甲龍スカッシュ!!』

 

それを阻止せんと、龍玄が衝撃砲を放って注意を自分に逸らす。甲龍フェイクはすぐさま衝撃砲を発射するが―――

 

「っと、危ない危ない。でもって、一瞬のラグの間に!」

 

『ハイーッ! 甲龍オーレ!!』

 

カッティングブレードを二回倒すことでエネルギーを溜め込んだ青竜刀を、全力で投げ飛ばして砲門に突き刺す。

 

「せりゃああああああああああああああああ!!」

 

そして必殺の龍玄脚を柄の部分に蹴り込み、奥深くへと突き入れる。それだけではなく、龍玄自身も甲龍フェイクの内部へと入り込みそして―――

 

『ハイーッ! 甲龍スパーキング!!』

 

―――連続で衝撃砲を撃ち、甲龍フェイクを内部から粉々に吹き飛ばした。

 

「悪いけど、コピー商品は嫌いなのよね」

 

地面に転がった甲龍フェイクの頭を踏みつぶしながら、龍玄はそう口にした。

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