インフィニット・ストラトス―失われた未来―   作:レイブラスト

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大変長らくお待たせしました。ようやく番外編の1つが完成しました。ああ、疲れた……
今回は本編に出なかったとあるキャラクターの登場と、そのキャラとラウラに関するオリジナルの掘り下げをしております。色々ツッコミどころがあるとは思いますが、どうぞ宜しくお願いします。


番外編1 AfterEpisode withラウラ

戦いが終わって半年―――

 

「んふふ~♪」

 

篠ノ之束はいつになく上機嫌だった。ニコニコと笑みを浮かべ鼻歌を歌いながらテレビに映されたDVDを見て。だがこれは今に始まったことではない。

 

「……またそれを見ているのかい? 何回目だ?」

 

「ん~、かれこれ20回目かな?」

 

「飽きないもんだねぇ」

 

「何度見たって飽きることはないよ。いっちゃんとせっちゃんの晴れ姿を収めているんだもん!」

 

そう言う束が見ているテレビには、ウエディングドレスを着た一夏とセシリアが神父を前に誓いのキスを交わしている姿が映し出された。

 

「ま、それもそうか……」

 

デスクの上に置かれている写真立てを凌馬は徐に手に取る。写真には真白を挟んで両脇に立ち笑顔を向ける一夏とセシリアが写っている。

 

「ちょっといいかしら?」

 

とそこへ、スコールがノートパソコンを片手に歩いてきた。その表情はいつになく真剣だ。

 

「どうしたんだいスコール? 新たな違法研究所が見つかったのかい?」

 

「大正解よ。これを見て頂戴」

 

ノートパソコンを開いて机に置き画面を見せる。束もDVDを止めてパソコンを覗き込んだ。

 

「ほう、ドイツの研究所か。どれどれ、分野は…『軍事用人造生命体に関する研究・開発』…………これってまさか?」

 

「ええ、ラウラの生まれた場所と見て間違いないわ。この分野に関する研究はドイツじゃここでしかやってないみたいだし」

 

「ふーん。ところですーちゃん、何か変わったところは? ま、何も無いと思うけど」

 

「……残念ながらあるのよ」

 

「と言うと?」

 

「この研究所は極最近……一週間程前までは普通に研究員が活動していたのが、ハッキングした監視カメラの映像から判明しているわ。でもそれ以降は誰も映ってない(・・・・・・・)……」

 

「誰も? 死体さえもかい?」

 

問いかけに対し無言で頷くスコールを見て凌馬は顎に手を当てて考え込む。

 

「どうするりょーくん? いつも通り乗り込んでパパッと調べて、後はドカンと爆破しちゃう?」

 

「いつも通りとはいかないかな。少しばかり戦力を増加する必要があるからね」

 

言うが早いか、凌馬は携帯を取り出し電話をかけ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1時間後、ドイツ・研究所付近―――

 

「で、私達まで呼び出されたという訳か」

 

「そゆこと」

 

サクラハリケーン等のバイクが停車させてある草原にて、千冬はため息と共に凌馬や他の面々を見渡した。

 

「……些か戦力が過剰だと思うのだが?」

 

「何があるかわからない以上、これぐらいは妥当だと思うけど?」

 

研究所に乗り込む為に揃えたメンバー―――鈴・ラウラ・シャルロット―――を見て若干心配顔になる千冬に肩を竦めながら凌馬は言う。

 

「それはそうとプロフェッサー。今回の任務に関して私達を選んだ理由は? ラウラはドイツ出身だからわかるけど」

 

「理由は…そうだね。ラウラちゃんは鈴ちゃんが言った通りで、シャルロットちゃんは任務や訓練で彼女といつも一緒に居るから。んで鈴ちゃんと千冬は……暇そうだからかな?」

 

あまりにもあんまりな理由に千冬と鈴はガクッとなる。だがラウラは彼らの遣り取りも耳に入れず、じーっと研究所を見つめていた。

 

(私の生まれた場所、か……記憶には無いが何故か惹きつけられる。あの中に何があると言うんだ……?)

 

「それで僕達はどうやって侵入すればいいんですか? 正面突破…じゃないですよね?」

 

「そのつもりだけど?」

 

「だ、大丈夫なのか?」

 

「もぬけの殻らしいからね。まあ万が一に備えてドライバーを装着しておけば何とかなるだろう」

 

懐をまさぐって戦極ドライバーを取り出し腰に当てて装着する。千冬達も次々と戦極ドライバーを装着していく。

 

「プロフェッサーが戦極ドライバーつけてるの、初めて見たかも」

 

「いつも使っているゲネシスドライバーがオーバーホール中だからね。さ、あんまり長居していると日が暮れちゃうから、早く行こう」

 

自ら先導し、凌馬は研究所へと歩を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、入ったはいいがどうすればいい? 片っ端から調べろと?」

 

「……いや。その心配は無いらしい」

 

研究所に入った後、凌馬は床に落ちている植物の葉を拾って呟く。

 

「何の葉っぱ?」

 

「見た感じは薔薇だね」

 

短く答えると歩き出して立ち止まり別の葉を拾う。そして再び歩を進め、葉を拾いながら奥へ奥へと歩いて行く。

 

「なんでこんなに薔薇の葉っぱが落ちているんだろ? 植物の研究でもしていたのかな?」

 

「だといいが」

 

物色しながらラウラは次の部屋へと移る。そこで目にした光景に、彼女は疑問を抱かざるを得なかった。

 

「皆、来てくれ。少し様子が変だ」

 

何事かと集まるとラウラはある部分を指した。一見すると何の変哲もない壁だが、床には薔薇の葉がそこに続くかのように落ちていた。

 

「何で壁に続いているのかしら? 何かしら扉とかならわかるけど」

 

「ふむ……」

 

ふと凌馬は近くに備え付けられているAEDボックスに目をやった。これも一目見ただけでは特に変わった様子はないが、凌馬はAEDボックスを急に掴むとガタガタと揺らす。すると……

 

バキッ

 

ボックスが壁から外れ、その下に何かの解除装置と思われるテンキー付きの端末が姿を露わにした。

 

「思った通りだ」

 

フッと笑みを浮かべた後、懐からタブレットと接続コードを取り出すとコードの端をタブレットのソケットに繋ぎ、端末側を見てそこにアダプターを差し込むとコードの反対側を繋いだ。

凌馬はタブレットを操作すると数十秒もしない内にピーッという解除音と共に壁だった部分が手前に開いた。

 

「隠し扉だったのか」

 

驚きながら千冬は扉に手を掛け大きく開ける。隠し扉の内側にはもう1つ白い扉があり、こちらは普通の扉だが『遺伝子強化体実験室 関係者以外立ち入りを禁ずる』と文字が書かれていた。

 

それも開けるとその先は壁・天井・床全てが真っ白な幅の広い廊下になっており、左にNo.Aと書かれたドアとNo.Bと書かれたドアがあり、反対側にはNo.Cと書かれたドアが1つあった。

 

「どこから調べたらいいかな?」

 

「こういうのは番号の若い方から調べるって相場が決まってるのよ。だからまずはここからね」

 

警戒しながらドアを開ける。No.AとNo.Bの部屋を隈無く調べていくが、どちらも液体に満たされた人が入れそうな円筒型カプセルがいくつか立ち並んでいるだけで何もなかった。

 

「残るはNo.Cの部屋だけか。せめてこっちには何かあって欲しいけどねぇ……ってラウラちゃん?」

 

「C……か」

 

感慨深げにラウラはドアに触れる。気を取り直してドア横の壁に背中を貼り付けると、そっと開けた。

 

ヒュッ!

 

「っ!」

 

直後に部屋の中から長槍が飛び出す。普通に開けていたならばそのまま身体を貫かれていたであろう。槍はすぐに引っ込んだがその形にラウラ達は驚いた。

 

「今のは、影松!?」

 

「アーマードライダーが居るのか!?」

 

「みたいだよ。ほら」

 

部屋の中に視線を向けた凌馬の先には、影松を構えた1人の黒影トルーパーが一歩ずつにじり寄って来ているのが見えた。

 

「何故アーマードライダーがここに居るのかはわからないが……!」

 

正面に向かい合うように立ったラウラはドリアンロックシードを出して構える。解錠しようとしたその瞬間、黒影トルーパーはラウラを見て驚いた様に立ち止まり影松を降ろした。

 

「まさか……貴女なのですか? ラウラ・ボーデヴィッヒ」

 

「!? 何故私の名前を……!」

 

「…………」

 

無言のまま黒影トルーパーはロックシードを閉じて変身を解く。そこには黒いバイザーをつけたラウラに酷似した1人の少女が立っていた。

 

「何なのこの子? ラウラに似ている?」

 

「似ていると言うよりは、まるで瓜二つよ」

 

「お前は一体……」

 

「私は『遺伝子強化試験体C-0009』、クロエ・クロニクル。『遺伝子強化試験体C-0037』……ラウラ・ボーデヴィッヒを産み出す過程で作られた失敗作です」

 

バイザーを外し黒い眼球に金色の瞳を向けて少女―――クロエは語る。

 

「私の……同士、なのか……だが何故だ? 私は貴女のことを何一つ知らなかったぞ」

 

「あの状況から考えれば無理もありません」

 

「良ければその辺りの事情を、詳しく聞かせて貰えるか?」

 

千冬の問いかけにクロエは頷くと、息を整えて事の経緯を話し始めた。

そもそもクロエやラウラは『Cナンバーズ』と呼ばれる人造兵士製造計画の一環として生み出された。獣型であった『Aナンバーズ』や『Bナンバーズ』とは異なりヒューマノイド、それも少女型にしたのは敵対する側を油断させ、攻撃の手を緩める心情を誘う為だったと言う。

生み出された個体の数は2人を含めて40人だった。が、その内無事に成長できたのは僅か8体のみであった。

 

「どうしてそんなに減っちゃったのよ? 何か事故とかでもあった訳?」

 

「人工的に生み出された命はとても不安定なものでした。免疫力が低く、少しの刺激にも過剰反応してしまう。8人も生き残れたのはむしろ奇跡に近かったのです」

 

彼女らは姉妹達の存在を認識する前から1人ずつ隔離され、様々なテストを受けさせられた。そこで各々の得手不得手を見極めたのだが……

 

「その中でも特に技きん出た能力を持ったのがC-0037……貴女だった」

 

それ故にラウラは他の姉妹達と出会うより前に違う施設に移され、そこでより戦闘に特化した教育や訓練が行われることとなった。一方でクロエ達は一カ所に集められ(奇しくも、ラウラを除いた生き残り達が初対面を果たす切っ掛けとなった)、ラウラに先んじて疑似ハイパーセンサーである「ヴォーダン・オージェ」の移植実験が行われた。

結果は全て失敗。クロエの眼球は黒く変化しヴォーダン・オージェが常時発動。更に他の6人の内2人が脳への過負荷で死亡、1人が失明することとなってしまった。

 

「そんな……」

 

彼女の話を聞いたラウラは涙をボロボロと流して悲しんだ。今まで不幸だと思っていた軍での出来事はクロエ達の身に起きたことと比べるとマシな方だった。それどころか、かけがえの無い部下や友人達を持てた自分はどれ程幸福であったか。家族同然と言い切れる部隊の皆と出会った裏で、本当の姉妹達は実験により死んでいたと言うのだ。

今にも崩れ落ちてしまいそうな衝撃と言える。

 

「そのような大切なことを、何故私は……!」

 

「自分を責めないで下さい。私達は貴女のことを恨んでも、羨んでもいません。むしろ誇りに思っていました。私達『Cナンバーズ』の存在は無駄では無かったと証明できたのですから」

 

「誇り……本当に、貴女達は私を……?」

 

「ええ。貴女は私達姉妹の誇りであり、大きな光でした」

 

ラウラの涙腺は決壊した。クロエはラウラをそっと抱き寄せ、その胸を貸した。声を押し殺して泣くラウラの姿に、凌馬達は揃って貰い泣きした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくしてラウラが落ち着いたところで、クロエは話を再開させた。

ヴォーダン・オージェの移植が失敗した後、クロエ達5人は廃棄処分される筈だったがそれに待ったをかけた人物がいた。クロエの教育、及びテストを担当した研究員だった。

彼女は研究所の唯一の良心と言える存在であり、ヴォーダン・オージェの実験の際配置換えで生き残ったCナンバーズ全員の担当となった為、その立場を活かして脳への過負荷を抑える特殊なバイザーを開発したのである。名目上は貴重な被験体が全滅するのを防ぐ為であったが。

 

「研究員達の中で彼女だけは、私達を研究材料ではなく人として扱ってくれました。彼女が居なければ私達はとっくに死んでいたでしょう」

 

そこからしばらくは彼女のお陰で平穏な日々が続いていたが、それを崩すことになるものが送られてきた。

 

「それがこれ……戦極ドライバーやロックシードと呼ばれるもの等の設計データです。男性IS操縦者から協力の見返りとして送られてきたと研究員達は語ってました」

 

研究員達はまず得られたデータから量産型戦極ドライバーと、同時に送られてきたISコアを改造してマツボックリロックシードを製作。更にゲネシスコアやエナジーロックシードまでも製作した。

これに味を占めたのか、ロックシードに関する研究は歯止めが効かなくなって行った。設計図には無いオリジナルロックシードを作りクロエ達Cナンバーズをその実験台にし出したのだ。その勢いは最早誰にも止められるものではなかった。

 

「今までの実験が生易しいと思える程、過酷な実験を私達は強いられました。そして一週間前のあの日……」

 

その日はクロエ以外の4人がオリジナルロックシードの実験として戦闘ルームに連れて行かれ、クロエのみ別室で待機していた。だが実験開始から間もなく、突如として4人が入った部屋から植物の蔦のようなものが無数に伸びて来た。何が起こったのかを理解するより早く、植物は研究員達を次々と絡め取ると部屋へと引きずり込んで行った。クロエもあわや捕まりかけたが、1人の研究員に助け出された。最初に彼女の担当をしていた研究員だった。

 

「彼女は私を私達が生まれたこの部屋に連れてくると、万一に備えてここに10日分の非常食を蓄えていたことを教え、戦極ドライバーとマツボックリのロックシードを渡してきました。それから実験を止められなかったことをしきりに謝り……私に『クロエ・クロニクル』という名前を与えて去って行きました」

 

「……なるほど。それ以降君はここに閉じこもり、籠城戦を行ってきた訳か」

 

こくりと凌馬の問いかけに頷いて答える。

 

「要するにここも、織斑春也が関わったせいで破滅したってことね…………あんの疫病神が…………!!」

 

「自業自得と言えばそれまでだけど、彼が切っ掛けを作りさえしなければ……」

 

「クロニクル。籠城戦をしていたということは、お前は外の状況を知らなかったのか?」

 

間接的とは言え元凶である春也に対する怒りを滲ませる鈴と、改善されかけていた環境を台無しにされたことに対する悲しみを見せるシャルロットに対し、千冬はあくまで冷静にクロエに尋ねる。

 

「はい」

 

「では他の姉妹がこの一週間でどうなったのかもわからないか……」

 

「だったら探してみましょうよ。いいですよね、プロフェッサー?」

 

「勿論良いとも。むしろ私からその話題を振るつもりだったし、反対しない要素は無いよ。千冬、君もだろう?」

 

「フッ、お見通しか」

 

「……だそうよラウラ。あ、言っとくけど私も探すのに賛成だから」

 

「そうか……感謝する」

 

シャルロットの言葉を皮切りに、残る姉妹達を探そうとメンバー全員が意見を揃える。ラウラは込み上げる感情を抑えて短く礼を言うと、驚き目を見開いているクロエを見る。

 

「何故そこまで……私は何も頼んでないのに」

 

「私も今改めて驚かされたが、これが私の仲間達だ。頼まれなくても、誰かの為に行動することができる。それに……そう言う貴女も本当は探して欲しいと思っていたのでは?」

 

「それは……ええ……」

 

「だったら何も問題はない。一緒に……私とクロエ姉さんの姉妹を探そう」

 

「! ……はい!」

 

微笑みながらラウラは言うと、クロエは目に涙を浮かべつつ笑顔で頷いたのであった。

 

「じゃあ探索を再開するけど、ここから先の道案内は君に任せてもいいかな?」

 

奥のドアの前に立った凌馬が、やや後ろでバイザーをつけ直しているクロエに聞く。

 

「はい」

 

「早速だがこの向こうの部屋はどうなってたんだい?」

 

「ロックシードや戦極ドライバー等の研究・開発を行っていました。以前はISの武装に関する研究をしてましたが」

 

「何かしらの手掛かりはあるということか」

 

一言呟くと全員に目配せしてからドアを開ける。中は窓がないことと電気がついてない為かかなり暗かった。

 

「えっと、電気電気……」

 

近くの壁を触って探るとスイッチらしきものが指先に当たる。パチッとスイッチを入れると部屋の電気がつく。だが一安心も束の間、彼らの前に驚くべき光景が広がっていた。

 

「っ!? これは……!」

 

全員が息を呑んだのも無理はない。先ほど話に出てきた謎の植物が壁や天井をびっしりと覆っていたからだ。しかも床は踝の高さまで水で浸っている。

 

「な、何かとんでもないことになってるけど、大丈夫なのこれ?」

 

「わかりません……あれから何があったのか、それすらも知らずにあの部屋にいましたから」

 

「とりあえずまずはここを探そう。ロックシードを開発していたなら、幾つか置いてあってもおかしくはない」

 

積極的に部屋を探していくラウラに、思わず面食らっていた鈴とクロエ、そして全員が加わる。しばし探していると……

 

「……あれ? これってエナジーロックシード?」

 

「何? ちょっと見せてみろ」

 

シャルロットが見つけたなにかを千冬が見てみる。彼女の右手にはゲネシスコアが、左手には『E.L.S-06』と番号が振られ、表面が栗を模したマロンエナジーロックシードが握られていた。

 

「見たこともないエナジーロックシードだな」

 

「織斑春也が設計したもののようだね。ここに証拠がある」

 

復旧させたパソコンを凌馬は操作すると、春也が送ったと思われるマロンエナジーロックシードの設計図を見せた。

 

「こちらではマツボックリロックシードを複数発見した。が、それ以外にめぼしいものは無かったな」

 

「そうか。……うん?」

 

ふと足下に落ちているものを2つ拾い上げる。両方共同じ形状のロックシードだが、凌馬にとってそれらは自分の知識に全く無いロックシードだった。

 

「このロックシードは何なんだ? 表面が薔薇の花だからローズアタッカーかと思ったけど、明らかに変身用だし……設計図はあるかな?」

 

ブツブツと呟きながらマロンエナジーの設計図があったパソコンを弄る。ピッという音と共に画面が切り替わり別の設計図が映し出された。

 

「これか。えーっと…………はあ? 何だこりゃ?」

 

「どうした?」

 

「ヘンテコなものを作りやがって。何が改良だ、こんなの改悪以下の屑鉄がいいところだ」

 

「だからどうしたんだ? わかるように説明してくれ」

 

急にイライラし出した凌馬に困惑しながら千冬は尋ねる。薔薇のロックシードを指しながら凌馬は皆に聞こえる声で言った。

 

「いいかい? まず前提条件としてロックシードの材料にはISコアが必要不可欠だ。アームズを生成する負荷に耐えられるのがそれしか無いからね。だがこのロックシードは、その肝心要となるISコアが組み込まれてないんだよ」

 

「え? それじゃあ何が入っているんですか?」

 

「ISコアを用いずに安定したロックシードを作るには同質量のレアメタルが必要になる。だと言うのにここの連中と来たら、独自に作った特殊合金で賄ってる」

 

「ではこの植物は……」

 

「間違いなくロックシードの暴走によるものだ。それもここまでのものとなると、巻き込まれた者はおろか使用者もどうなっているか……」

 

「そんな! あの日は私以外の全員がそのロックシードを使った実験を……!」

 

「何だと!? では!」

 

「ぐずぐずしている場合じゃないな。クロエちゃん、次はどの扉だい?」

 

返事として指し示された方向にあるドアを確認すると、気をつけつつ開ける。

 

ドンッ

 

「うわっと! 何かぶつかっ……!?」

 

入った直後にぶつかったものを見て凌馬は、いや全員が絶句した。天井に蔓延った植物に絡まり逆さ吊りになった死体があったのだ。それもミイラ化した……

 

「ひっ! な、何よこれ!? ミ、ミイラ!?」

 

「服装からしてここの研究員に違いない。だがこうなったのは……植物に養分を吸い尽くされたのか?」

 

「映画にでも出てきそうだけど、ビンゴっぽいよ。ほら」

 

凌馬の向けた視線の先には同じく研究員らしきミイラ化した死体が幾つか転がっていた。部屋があまり広くないのもあり、死体が密集しているようにも感じられる。

 

「うっ…見ているだけで気分が悪くなってくる…………あれ?」

 

生理的嫌悪を感じ顔を顰めたシャルロットは、近くに倒れている女性研究員らしき遺体の胸ポケットから何かがはみ出ていることに気づき、それを恐る恐る手に取った。

 

(メモ帳?)

 

掌サイズの小さなメモ帳をシャルロットは捲っていく。書かれていたのは簡易的な日記のようなもので、内容はクロエが話していたこととほぼ同じで薔薇のロックシードによる実験が行われた日から先は何も書かれてなかった。……が、最後のページに書かれていたものを見て驚いた。

 

「これって……」

 

「? どうしました?」

 

思わず上げた声に反応したクロエが覗き込む。彼女もシャルロットと同じ―――否、それ以上に驚いた。

 

『C-0007 ケイリー・クロニクル C-0009 クロエ・クロニクル C-0015 ルーシー・クロニクル C-0024 シャイン・クロニクル C-0025 クレア・クロニクル』

 

最後のページにはクロエ含む5人のナンバーと名前が書かれていたのだ。

 

「私の名前と、他の姉妹達の名前でしょうか……? もしかしてこれは……」

 

「君が話していた研究員のもの?」

 

「ほう、ということはこの女性が……?」

 

聞こえてきた声の方を2人が見ると、しゃがんで先ほどの女性の遺体を調べていた凌馬と目が合った。

 

「エイミー・クロニクルって言う人らしいよ。知ってるかい?」

 

「! エイミー……間違いありません。その方が、私達の…………ああ、そんな…………!」

 

ミイラ化した遺体に近寄ってしゃがみ込むと名札を確認し、顔を見つめた後に肩を震わせながら嗚咽を漏らし始めた。凌馬は立ち上がるとシャルロットの傍へ行き、メモ帳を拝借する。

 

「ケイリー、クロエ、ルーシー、シャイン、クレア……どれも『美しい』や『光』といった意味を持っているな。シャルロットちゃん、君はどう見る?」

 

「……きっと、一段落したら養子にすることを考えてたんだと思います。そうじゃなかったら、自分と同じ名字をつけたりは……」

 

「そうか。私も、そうだと思うよ」

 

悲しげな顔で言うシャルロットに賛同すると、凌馬は傍に歩み寄ったラウラに縋り付いて、泣き続けるクロエを他の皆と共に沈痛な面持ちで見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……落ち着いたか?」

 

「ええ……」

 

一頻り泣いた後、クロエはラウラから離れバイザーを外して目元を拭う。落ち着いたクロエを見て安心したラウラは遺体を見下ろす。

 

「感謝する、エイミー・クロニクル。私の姉達を人として扱い、名前を与えてくれて。出来ることなら、貴女と話がしたかった」

 

言い終えると同時にラウラはエイミーに対して敬礼した。半ば無意識だったと、後になって彼女は語った。

 

「まだ余韻があるかもしれんが、戦闘ルームに行かなければな。こちらで良かったか?」

 

「はい。この先に4人が居る筈です」

 

クロエの確認を得ると、千冬は警戒しながら戦闘ルームへと続くドアを開けた。

 

戦闘ルームはその性質上、かなり広い造りとなっていたが今し方居た部屋よりも凄惨な状況になっていた。

水嵩は膝辺りまで来ており、植物の侵食も壁や天井を覆うどころかそこら中に小さい薔薇のようなものが自生している有様だ。遺体の数も先ほどより増しており残る全ての職員が集められていることを感じさせる。極めつきに部屋の奥には、五メートル程はあろう一輪の薔薇が咲いており、しかもラウラやクロエに似た4人の少女達が、囚われているかのように絡み合った蔦から目を閉じた状態で身体を覗かせていた。

 

「あれは……」

 

ザブザブと音を立てながら近づいていく。すると4人の内1人が眠りから覚めたように目を開け、クロエを見つめた。

 

「C-0009……久しぶり、ね……」

 

「C-0015……」

 

「隣に居るのは、C-0037……ラウラ・ボーデヴィッヒかしら?」

 

「ああ。初めましてになるな」

 

ラウラの言葉に呼応したのか、残る3人の内2人が目を開け、1人は目を閉じたまま顔を向けた。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒが居る……? 本当なんですかそれ?」

 

「……本当みたいだよ。C-0009も居るし」

 

「今の声がそうなのかな?」

 

「C-0024、C-0025、C-0007……」

 

「見つけたのはいいが、この状況はどうしたものか……」

 

「? C-0009、周りに居る人達は一体?」

 

考え込む凌馬と呆然とする鈴とシャルロットと冷静に務める千冬を見て、C-0015が疑問を投げかける。

 

「ラウラと共にここへ調査をしに来た方々です。私は彼らと出会い、貴女達を探していたのです」

 

「そう……でもごめんなさい。私は、私達はここから出ることはできないわ」

 

「!? 何故です……?」

 

「私達の身体はとっくに死んでいるの。だからこの植物から離れられないんだ」

 

「死んでるって……でもアンタ達は今もこうして!」

 

「彼女達が言っていることは、どうやら本当のようだ」

 

反論する鈴に、タブレット端末に繋いだ検査機械のようなものを4人に向けて何やら調べていた凌馬が言う。

 

「4人が巻いている戦極ドライバー。それぞれに薔薇のロックシードが装着されているだろう? アレの暴走によってこの有様になった訳だが、本体であろうあの薔薇は誕生後にクロエちゃんを除く全ての研究員から養分を吸い尽くして成長したらしい。無論、彼女達からもね。今4人が生きているのは、装着したロックシードと戦極ドライバーを介して薔薇からエネルギーを送り込まれているからだ」

 

「そんな……でも何であの4人だけ!?」

 

「今調べてわかったことだが、薔薇のロックシードは植物を誕生させたと同時にその心臓部になったようだ。そこにエネルギーを送り込む際、戦極ドライバーを経由して繋がっている彼女達にもエネルギーが行き渡る。だから生きているのさ。最も……偶発的なことだとは思うけど」

 

「……貴方の言う通りよ。さあ、わかったのなら私達を―――殺して頂戴」

 

「!? な、何を言うのです!?」

 

「さっきも言ったけど、私達は既に死んでいるわ。勿論、私達自身納得がいくものではなかったけれど……でももういいのよ」

 

「うん。最後にC-0009だけじゃなく、ラウラ・ボーデヴィッヒと出会うことも出来たし」

 

「私の場合は姿はわからなかったけど、ちゃんと声は聞こえたから満足だよ」

 

「だからお願い。私達を解放して下さい……こんな姿を晒してまで、生きていたくないんです……」

 

「っ……!」

 

姉妹達の覚悟にクロエは拳を握り締め、しばらくして凌馬達の方に向きを変えた。

 

「……お願い、します。彼女を……姉妹達を、楽にしてあげて下さい………っ!」

 

「……本当にいいんだな?」

 

無言のままコクリと頷く。

 

「ならば、その役目は私が引き受けよう」

 

「ラウラ……?」

 

「姉にばかり辛い役目を押しつけてはいられないからな……」

 

言い終えるとラウラは4人のもとに歩み寄っていく。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ……貴女の手で逝けるのなら、本望よ。さあ、早く私達のロックシードを破壊して。そうすれば……」

 

「その前に、言いたいことがある。貴女達の世話をしていた、エイミー・クロニクルという女性が居たな?」

 

「……ええ。ロックシードの暴走に巻き込まれてしまったけれど……」

 

「彼女が貴女達に遺したものがある」

 

そう言うと凌馬が所持していたエイミーのメモ帳を広げる。思わず確認して「いつの間に」と後ろで凌馬が呟いていた。

 

「メモ帳? それに何か書いてあるの?」

 

「ああ……貴女達の名前だ」

 

「! 名前、ですって?」

 

「C-0009にはクロエ・クロニクル、C-0007にはケイリー・クロニクル、C-0015にはルーシー・クロニクル、C-0024にはシャイン・クロニクル、C-0025にはクレア・クロニクルという名前が割り振られている。姓が同じクロニクルなのを見ると、引き取って娘にするつもりだったんだろう」

 

それを聞いた4人は皆一様に涙を零した。ナンバーのみを与えられた実験体の自分達が、人としての名前を貰えるとは思っていなかったからだ。

 

「そう……エイミーは最後まで私達を想っていてくれたのね。これでもう、思い残すことは無くなったわ」

 

「……行くぞ」

 

いよいよラウラは薔薇のロックシードを破壊する為に変身しようと、ドリアンロックシードを取り出す。いざ解錠しようとしたその時―――ラウラに蔦が襲いかかった。

 

「っ!?」

 

咄嗟に回避できたが蔦は勢いよく地面に突き刺さり穴を開けていた。あのまま食らっていたら命はなかっただろう。

 

「いけない! コイツが攻撃体勢に入っている! みんな、気をつけて!!」

 

C-0025―――クレアの言葉にラウラ達は気を引き締め、下がりながら薔薇を睨み付ける。

 

「どうやらラウラちゃんが自身の命を脅かすと思って、反撃に出たらしいな」

 

「面倒な……でもやるしかないか!」

 

全員が一斉に各ロックシードを取り出すと、次の攻撃が始まる前に解錠をした。

 

『ドリアン!』

 

『マツボックリ!』

 

『レモン!』

 

『メロン!』

 

『クルミ!』

 

『ブドウ!』

 

そして戦極ドライバーに装填してロックを掛けると、エレキギター、ホラ貝、ファンファーレ、銅鑼と二胡のサウンドが鳴る中カッティングブレードを素早く倒してロックシードを輪切りにした。

 

『ドリアンアームズ! ミスターデンジャラス!!』

 

『ソイヤッ! マツボックリアームズ! 一撃・イン・ザ・シャドウ!!』

 

『カモン! レモンアームズ! Pierce of Rapier!!』

 

『ソイヤッ! メロンアームズ! 天・下・御・免!!』

 

『クルミアームズ! ミスターナックルマン!!』

 

『ハイーッ! ブドウアームズ! 龍・砲・ハッハッハッ!!』

 

出現したアームズが頭に被さり、ラウラはブラーボに、クロエは黒影トルーパーに、凌馬はデューク(戦極ドライバーver)に、千冬は斬月に、シャルロットはナックルに、鈴は龍玄に変身した。

 

「来るぞ!」

 

直後に襲いかかってくる無数の蔦を各々の武器で迎え撃つ。相手は植物なので切ったり千切ったり潰してしまえばもう襲いかかってくることは無いが、すぐさま別の蔦が襲ってくるので中々本体へと進むことができずに居た。

 

「ああもう! 次から次へと切りが無い!」

 

「それにこのパワー、まるでアーマードライダーと戦っているみたいだよ!」

 

ブドウ龍砲を連射する龍玄とクルミボンバーで殴り飛ばしているナックルが思わず愚痴を零す。

 

「ロックシードから生まれた化け物だ。それぐらいの力は持ってても不思議じゃないさ!」

 

「とは言うが、これ程の数となると……ゲネシスドライバーが無いのが痛いな」

 

「それは言えてるね」

 

背中合わせにレイピアと無双セイバーで蔦を斬り伏せるデュークと斬月は、ゲネシスドライバーを持って来られなかったことを悔やむ。

 

(! そういえばさっき……!)

 

2人の言葉でナックルは先ほど回収した、マロンエナジーロックシードとゲネシスコアを思い出して取り出す。

 

「っと、私としたことがその考えを失念していたよ」

 

「なるほどな、その手があったか」

 

その様子を見ていたデュークと斬月も、もしもの時にと持ってきていた予備のゲネシスコアと、ドラゴンフルーツエナジーロックシードとメロンエナジーロックシードを取り出す。だが―――

 

ヒュッ!

 

「うわっ!?」

 

突如飛んできた二本の蔦がデュークを縛り持ち上げる。突然のことにゲネシスコアとエナジーロックシードを放してしまう。

 

「プロフェッサー!」

 

ブラーボがドリノコをブーメランの様に投げ、蔦を切断する。バシャッと着水したデュークは素早く蔦を取り払いながら起き上がる。

 

「ふう、酷い目に遭ったよ……」

 

「プロフェッサー、これを」

 

そこへ先ほどデュークが落としたゲネシスコア一式を持った龍玄が近寄る。

 

「君が使っていいよ」

 

「え?」

 

「いや、元々君に渡そうと思って取り出したんだ。だから気にせず使ってくれ」

 

驚く龍玄を余所にデュークは戦闘を再開する。若干首を傾げながらも、龍玄は言われた通りにナックルや斬月同様にプレートを外してゲネシスコアを取り付け、エナジーロックシードを解錠する。

 

『ドラゴンフルーツエナジー!』

 

『マロンエナジー!』

 

『メロンエナジー!』

 

各ゲネシスコアに取り付けると、ナックルと龍玄の戦極ドライバーのサウンドが斬月と同じホラ貝のものに変わり、頭上にドラゴンエナジーアームズと毬栗を模したマロンエナジーアームズ、そしてメロンエナジーアームズが現れる。次にカッティングブレードを倒してロックシードを輪切りにし、エナジーロックシードのカバーを開く。

 

『ソイヤッ! ミックス! ブドウアームズ! 龍・砲・ハッハッハッ!! ジンバードラゴンフルーツ! ハハーッ!!』

 

『ソイヤッ! ミックス! クルミアームズ! ミスターナックルマン!! ジンバーマロン! ハハーッ!!』

 

『ソイヤッ! ミックス! メロンアームズ! 天・下・御・免!! ジンバーメロン! ハハーッ!!』

 

分離したアームズが各エナジーアームズと融合しジンバーアームズへ変化すると3人に被さって展開し、龍玄はソニックアローを所持したジンバードラゴンフルーツアームズに、ナックルは毬栗型手甲のマロンボンバーを両手に装備したジンバーマロンアームズに、斬月はソニックアローとメロンディフェンダーを同時装備したジンバーメロンアームズに強化変身した。

 

そして蔦に苦戦するブラーボの元へ駆けつけ、一気に蔦を排除にかかる。

 

「ラウラ! コイツ等は私達に任せて行きなさい!」

 

「薔薇の化け物を倒して、彼女達を解放するんだ!」

 

「私達のことは気にするな! この程度でやられる程、柔ではない!!」

 

「……すまない!」

 

短く礼を述べると薔薇の方へ走る。当然蔦が襲いかかっていくが……

 

「そうは行かん!」

 

「邪魔はさせません!」

 

斬月が投げたメロンディフェンダーがブラーボの周囲を漂いながら、球状の電磁バリアを発生させて蔦を防ぎ、そこへ斬月がソニックアローのアークリムで、黒影トルーパーが影松で斬りかかる。

それでも尚、蔦は壁や天井等から伸びてくる。

 

「元から断たないとダメってことかな。だったら!」

 

『ソイヤッ! クルミスカッシュ! ジンバーマロンスカッシュ!!』

 

マロンボンバーで蔦を排除していたナックルは、カッティングブレードを一回倒してジャンプすると空中で錐揉み回転し、マロンボンバーの棘を周囲に飛ばしまくる。全て飛ばすと中から栗の中身を模した小ぶりのマロンボンバーが現れる。

棘は刺さると同時に爆発し、壁等に蔓延る植物を燃やしていく。

 

「まだまだぁっ!」

 

『ソイヤッ! クルミオーレ! ジンバーマロンオーレ!!』

 

「うおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

 

更にカッティングブレードを二回倒し、マロンボンバーに炎を纏わせると勢いよく地面を殴りつけ、膝ほどあった水を全て蒸発させた。

補給源である水が無くなり薔薇はいよいよ焦ったのか、頭部と思われる花弁をブラーボに向け中央に何かしらのエネルギーを溜め込む。

 

『ロック・オン!』

 

『ソイヤッ! ブドウスカッシュ!!』

 

「悪あがきは、みっともないわよ!」

 

『ドラゴンフルーツエナジー!!』

 

龍玄が放ったソニックボレーは、ソニックアローから双頭の龍の形となって薔薇へ向かい、花弁に炸裂した。

 

「っ……うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

ブラーボは一気に接近すると、4人の戦極ドライバーに手を伸ばした―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「ありがとう……ラウラ……」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、連れてきたのがこの子って訳?」

 

「まあね」

 

亡国機業(ファントム・タスク)の一室にて、凌馬とラウラに連れられたクロエを束は観察するように見る。

 

「目の色以外はらーちゃんそっくりだねぇ。バイザーをつけてないと脳に負担がかかり過ぎて死んじゃうんだっけ?」

 

「ああ。だから私達の技術でどうにかできないかなと」

 

「うーん。やってみなきゃわかんないけど、ま、大船に乗ったつもりでいてよ。ね、くーちゃん♪」

 

「(く、くーちゃん?)は、はい。よろしくお願いします」

 

「そう緊張しなくてもいい。何考えているのかはわからんが、悪い人ではないからな」

 

「さらりとディスられた!?」

 

緊張気味のクロエを宥めた後、ラウラは研究所に居た4人の姉妹達に思いを馳せた。

 

(ケイリー姉さん…ルーシー姉さん…シャイン姉さん…クレア姉さん…貴女達のことは忘れない。だからどうか、安らかに眠ってくれ……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、亡国機業(ファントム・タスク)が所有する見晴らしのいい土地の1つに、質素な墓が建てられた。

墓石にはエイミー・クロニクルの名と、彼女が名付けた4人の少女の名前が刻まれていた―――




という訳で、ラウラの姉に当たるクロエとその他オリジナル姉妹達の登場回でした。上手く書けたかなぁ……
尚、龍玄、ナックル、斬月のジンバーはこれまた強引に出しました。
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