インフィニット・ストラトス―失われた未来― 作:レイブラスト
それは納得がいくシナリオにならず何度も書き直したことと、スパロボVに現在進行形でハマっているからです。
某日 IS学園・海岸
「ん~! 綺麗な夕日だ」
水平線に沈みゆく夕日を眺めながら、凌馬は大きく背伸びをする。だが彼の脳裏には、忘れようにも忘れられない光景が映し出されていた。
『うらぁぁぁぁああああああああああ!!』
『い、嫌だ……僕は、僕は世界の王になるんだ! 世界は……僕のものだぁぁぁぁ!!』
「あれから2年、か。一夏ちゃん達ももうすぐ卒業するし、月日が経つのは早いものだ」
かつての親友を屠った場所を見つめると彼は深くため息をついた。
『だが正直なところ、私は安心している。理由がどうであれ、一夏ちゃんのような優しい子に人殺しの十字架を背負わせたくは無かったからね』
(『人殺しの十字架』か……覚悟していたとは言え、背負ってみると結構くるもんだな。やっぱり一夏ちゃんが背負わなくてよかったよ)
しばらく眺めてふと空を見上げると、ゴロゴロと言う音と共に暗雲が近づいているのが見えた。
「おっと、こりゃ一雨来そうだな。そろそろ帰るか」
くるりと背を向けて二、三歩進むと凌馬は肩越しに振り向いて言った。
「……じゃあな」
やがて凌馬は去って行ったが、それ故に気づくことができなかった。春也が倒された場所にザクロロックシードの残骸の1つが落ちていたことを。立ちこめた暗雲から放たれた落雷がソレに直撃したことを。
そして残骸が妖しい光を放ち、人型のホログラムのようなものを発生させたことを。
更に3年後……
「ここがAR学園かぁ」
学園指定の制服に身を包んだ黒髪の青年が、旧IS学園―――現
(ああ、今更だけど不安になって来た。同級生は俺ら2人以外皆落ちたから、知り合いなんてほとんど居ないだろうし……)
ドンッ
「うわっと……!」
上手く友達が出来るかどうか内心悩んでいると、身体の右側に何かがぶつかりよろける。見ると女子生徒が驚いた顔で彼を見つめていた。どうやら考え事をしている間に、距離が近づいていたらしい。
「あの、大丈夫ですか? 申し訳ありません、話に夢中になっていたので……」
「あ、ああ。ていうか、こっちこそごめん。考え事しててつい……」
「真白お姉ちゃん、早く行こうよ。入学式が始まっちゃう!」
「きゃっ。まだ時間はありますから、そんなに引っ張らなくてもっ」
話し相手と思われる別の女子生徒に引っ張られ、彼女は体育館へと向かって行った。
(『真白』って言うんだ、あの子。……可愛かったな)
ぶつかった際に見た女子生徒の顔を思い出しポーッと考え込む。が、すぐに入学式のことが頭を過ぎり、慌てて走るのであった。
入学式を終えた後、信吾は自身が割り振られた教室である一組に来て席に座っていた。
(わかりきってたことだけど、知らない人ばかりで緊張するなぁ)
周りをそっと見渡して表情をやや強ばらせる。と、教室のドアが開いて黒いスーツを着た女性がと茶色のスーツを着た女性が入ってきた。
「おはようございます。全員揃っていますか?」
黒いスーツを着た女性が壇上に登って問う。腰まで届く紅色の髪が特徴的な、凛とした雰囲気を醸し出す姿は美女と言っても過言ではない。
「皆さん、初めまして。一年一組の担任になりました、織斑
「よろしくお願いします」
ショートヘアーで優しげな表情の女性―――里香がお辞儀をする。それを見届けた後、咲良は生徒達を見渡して説明を始めた。
「それでは、これから皆さんが学ぶことになるアーマードライダーについて大まかに説明しましょう。知っている人も多いと思われますが、アーマードライダーはISを男性でも使える様に改良したものです。しかし、そのスペックは過去開発された全てのISを上回ります。幸いにも新アラスカ条約があるので、戦争行為に用いることは禁止されていますが、探査活動、災害派遣、要人警護等の様々な分野に関わっています。ですので皆さんにはこの一年を通して、アーマードライダーの重要性及び危険性をしっかり学んで、正しく扱えるようになって貰います。次の時間ではアーマードライダーの変身訓練を早速行うので、第三アリーナに集合して下さい。私からの連絡は以上です。澤田先生は?」
問いかけられた里香はメモ帳を確認した後に、「大丈夫です」と頭を振った。
「わかりました。ああそれと、時間厳守ですので遅刻しないよう気をつけて下さい」
そう言うと咲良は里香と共に教室を後にした。その後の教室は少し賑やかになっていたが、青年は先ほど咲良が言った言葉を噛み締めていた。
「(重要性と危険性か……アーマードライダーもISも、使い方によっては人を殺す兵器になってしまうんだ。忘れてちゃダメなことだよな)よし……って、うわっ!?」
改めて気を引き締めて顔を上げると、目の前に男子生徒の顔があって思わず彼は仰け反った。
「よっ、信吾」
「って祐介じゃないか。心臓に悪いな」
「いやー、わいもそこまで驚くとは思っとらんかった」
そう言い、ツンツンした髪型が特徴の男子生徒―――
彼は大阪出身で、中三の夏頃に家の都合で信吾の通う学校に転校し、同じクラスで席が隣同士になったのを切っ掛けに仲良くなったのである。
「にしても中学に続きまたも同じクラスになるとは、驚きやなぁ」
「席も前後で、去年みたく近いし。俺と祐介の間がごっそり抜けてるからなんだろうけど」
「それもそれで驚きやな……」
一体何人もの受験生が難問の前に撃沈したのか、と考える祐介に苦笑した信吾はふと右隣の席を見た。
「あっ……」
またもや彼は驚いた。緊張していて気づかなかったが、隣には先ほどぶつかった女子生徒―――真白が後ろの席の女子生徒と話をしていた。彼女も信吾に気づいたらしく、彼を見て「あっ」と声を発した。
「貴方は先ほどの……」
「ん? なんや、知り合いか?」
「知り合いと言う程じゃ……さっき会ったばかりで名前も知らないし」
「ふうん。……あ、わいは菊池祐介。こっちは黒樹信吾と言うんやけど、君は?」
祐介の問いに彼女は優しく微笑んで言った。
「真白・オルコットです。真白、と呼んで頂けると嬉しいです」
「ちなみにちなみに! 私はドロシー・オルコットって言うの。真白お姉ちゃんの妹だよ! ドロシーって呼んでねっ」
先ほど真白と会話していた金髪の女子生徒―――ドロシーが身を乗り出して元気よく言う。
「(オルコット? そういえば伝説のアーマードライダー、鎧武とバロンに変身している同性夫婦も同じ名字だったような……)わかった。よろしくね真白さん、ドロシーさん」
「おう、よろしくな。ドロシーはん、真白はん(妹と言う割には髪の毛や目の色がちゃうような……まあ、あんまり根掘り葉掘り聞くのも失礼やし、ツッコまんとおこう)」
「……って、自己紹介はいいけど早く行かなきゃ!」
「やばっ! 初日から遅刻は洒落にならんで!!」
2人の慌てる声に、信吾と真白も急いで教室を出るのであった。
同時刻
「そうか。うん、了解」
「どったの?」
「咲良からの定期連絡だよ。もうすぐ今年最初の授業が始まるそうなんだ。……彼女達は上手くやっているかな?」
「ん? 心配してるの? りょーくんにしては珍しいね」
「まさか。彼女達の社会適応能力が凄まじく高いことは君も知っているだろ? その点に関して心配事はないさ」
「さーちゃんなんか、一番最後に実体化したのに、もう教習プログラムを終えてるもんねぇ……じゃあなんで?」
ソファーに座ってティーカップを持ちコーヒーを飲む凌馬に、もたれかかりながら束は言う。
「楽しみなのさ。思春期の男の子と触れ合うことで、彼女達にどのような変化が起きるのかがね」
「変化って、例えば~……私とりょーくんみたいに?」
「……恋仲になると言いたいのかい? まあ否定しないけど…そんな感じかな」
「むーっ。りょーくんの鈍ちんめ~」
「? 何だい鈍ちんって……」
何のことやらと束を見ると、彼女は慈愛のこもった眼差しで自分の腹部を撫でていた。凌馬はティーカップを思わず落としそうになった。
「え……ええっ!? い、いや、待ってくれ! マジか? マジなのかおい!?」
「んふふ~! だって毎晩あんなに、激しくされたら……ねぇ~?」
「いやどちらかと言うと、求めて来たのは君の方で……はぁ、どっちでもいいか。できたのなら、ちゃんと責任を取らないとな」
「えへへ♪ ありがと、りょーくん♪ ……そうだ! 折角だからちーちゃんにも教えよっか?」
「……やめた方がいいんじゃないか? ただでさえ最近結婚に焦っていると言うのにそんな話をされたら、どんな顔をするやら」
「ほう……それは今私がしている顔で間違いないか?」
「あ、そうそう。こんなか……お……」
突然聞こえた声に普通に受け答えようとして、凌馬と束はフリーズした。噂をしていた本人がいつの間にか背後に立っていたからである。
「2人とも。先ほどの話……詳しく聞かせて貰えるか?」
迫る千冬を見た凌馬と束は後にこう語った。「あの時の千冬(ちーちゃん)は、ある意味一番恐ろしかった」と。
AR学園 第三アリーナ
「確か変身訓練をする言うてたな。どのロックシードを使うんやろ?」
「学校での訓練だから、多分Cクラスのマツボックリロックシードじゃないか?」
特殊スーツ(ISスーツとは異なり、各部に防御用プロテクターが施された最新タイプ)に着替えてアリーナに集まった後、信吾と祐介は実習で行うことについて思った、様々なことを話していた。少ししてダンデライナー二機が彼らの前に着陸し、黒影トルーパーが地面に降り立つと同時に変身を解除。咲良と里奈の姿に戻った。
「お待たせしました。それでは授業を始めます。まず班を4人一組で作って下さい」
言われた通り、生徒達は班を作り始める。大抵は男子同士や女子同士で班を組んでいくが、中には男女2人ずつで班を組む者達も居る。信吾達も同様だった。
「2人ともさっきぶりだね。よろしく~!」
「改めて、よろしくお願いします」
「こちらこそ、改めてよろしゅう!」
「あ、はい。こちらこそ」
ドロシーと祐介、真白と信吾が互いに握手を交わす。
「……組み終えた様ですね。では次に、各班を代表して一名が、こちらにある戦極ドライバーとロックシードを取りに来て下さい」
生徒全員を見て確認した咲良が里奈に目配せすると、彼女はダンデライナーの後ろに固定してあった箱を開けて、量産型戦極ドライバー&マツボックリロックシードのセット40組を用意した。
「誰が取りに行く?」
「俺が行くよ」
「ええんか?」
こくりと頷くと信吾は走って箱まで行き、ドライバー一式を人数分持って戻ってきた。丁度その時、咲良から変身訓練開始の許可が出された。
「じゃあ早速……」
「やってみっか」
量産型戦極ドライバーを腰に当てて、フォールディングバンドを伸張し装着。次にマツボックリロックシードのスイッチを押して解錠する。
『『『マツボックリ!』』』
真上にマツボックリアームズが出現し、ゆっくりと降下し始める。
「おおっ! 一瞬で現れおった! てかどういう原理で浮いとるんや?」
「うわ、真下から見ると中々の迫力だな……」
徐々に自分に向かってアームズが降りてくるという現象におっかなびっくりしながら、ロックシードを戦極ドライバーの窪みに取り付けて施錠する。
『『『『ロック・オン!』』』』
ホラ貝のサウンドが流れる中、信吾と祐介はカッティングブレードをそっと倒してロックシードを輪切りにした。
『『『『ソイヤッ! マツボックリアームズ! 一撃・イン・ザ・シャドウ!!』』』』
待機していたアームズが一気に頭に被さり、身体全体にライドウェアを着させると展開して上半身に鎧となって固着。黒影トルーパー マツボックリアームズになった。
余談だが最新型のドライバーは従来型に搭載されていたISモードの代わりに、競技用モードが搭載されている。読んで字の如く、アーマードライダーを用いた競技等に使う際のモードで、ISに隠匿する必要が無くなった為にPICに当たる機能が省かれている。
学園で使われるものは基本的に競技用モードの状態でロックが掛けられ、ロックシード側も危険防止の為アームズウェポンが使えないようになっている。
「変身……したのか、俺…………本当に変身したんだ!!」
「うおおおおおおおおおおおおおお! マジで変身した! メッチャ凄い! わいカッコイイやん!!」
感慨深げに信吾は拳を握り締め、祐介は興奮して叫びながら変身した自分の身体を見ていた。彼らだけではなく、ほぼ全員が初めて変身したことで驚いたり喜んだりと様々な感情を露わにしていた。
「で、変身した後は何するんやろ? 組み手かな?」
「いきなりそんなことはしないと思うけど」
「出来るんですか、組み手?」
「こう見えて柔道の心得があるんや。ちょっとやそっとの数じゃ、へこたれんで」
「おお、それっぽい構え」
などと言って構えを取る祐介にドロシーが感心する。その後、授業は何事もなく進んで行った。
放課後 寮 1021号室
「よっこらせっと……」
ベッドに腰掛けた信吾は疲れを取るかの様にふぅ、とため息をつく。
「正直……君と同室になるとは思ってなかった」
「わいもや。なんや運命めいたものを……って、男同士で言うても気持ち悪いだけやな」
窓を開けて風に当たっている同居人―――祐介に向いて言うと、ベッドから立って彼の隣へと赴く。しばらく景色を眺めていると、祐介は彼にあることを尋ねた。
「……なあ。信吾はなんでこの学園に入学しようと思ったんや?」
「え? 藪から棒にどうしたの?」
「よう考えたら時期が時期だけに忙しゅうて、理由とか聞いたり話したりする余裕もなかったからな。わいも後で話すし、な? ええやろ?」
「うーん……そういうことなら、話してもいいか」
信吾は少し考えると窓の近くにあった椅子に腰掛け、祐介は近い方のベッドに座った。
2人が座ったのとほぼ同時。海岸にて人の形をしたホログラムが浮かび上がり、真っ直ぐ彼らの部屋を見つめていた。
『そろそろ頃合いかな……』
そう呟くと人型はゆっくりと歩を進めた。
「俺が入学を決めたのは…姉さんに憧れたのが理由だな」
「姉ちゃんに?(そういえば信吾の家族の話はあまり聞いたことないな)」
「ああ。姉さんは俺とは大分歳が離れてて、俺が物心ついた頃には防衛大学に入ってたんだ」
「防衛大学!? てことは、姉ちゃん今は自衛隊員なんか!?」
「IS部隊に所属してて、何度か基地や自分が訓練しているところを見学させたりしてくれたんだ。その姿がカッコよくて、俺も姉さんみたいになりたいなって思うようになって……」
「なるほどぉ、それでここを選んだんやな」
「で、祐介は?」
「わいか。理由としては似たようなもんやな……わいの場合は祖父ちゃんなんやけど、うちの祖父ちゃんも昔自衛官をやっとってな。ようわいに話を聞かせてくれたんよ。そんで聞いてる内に国や人を守る仕事に憧れて、それに最も近づけるところとしてここを選んだんや」
「ホントに似てるね」
「その祖父ちゃんも2年前に、老衰で亡くなってもうたんやけどな……信吾の姉ちゃんは元気しとるか?」
「………………………………………………」
「……信吾? どないしたんや?」
突然苦々しい顔になって押し黙った信吾に、祐介は何かまずいことでも聞いてしまったのかと不安になる。果たしてその不安は的中することになる。
「俺の姉さんは…………5年前に亡くなった」
「なっ……!? ご、5年前言うたら、織斑春也の!」
「……奴が世界中の軍事施設に嗾けたトランスフォーマー軍団。そいつらの攻撃から同僚の女性を庇って、姉さんはISごと…………」
「(道理であまり家族のことを話題に……)……すまん。そないなことになっとるとは知らずに、わいは……」
「いいよ、気にしなくて。引き摺ってないと言えば嘘になるけど、大分割り切ってはいるからさ」
「ほんまか……?」
「本当」
「そっか……ありがとうな。そう言って貰えると、ちょっとは気が楽になるわ」
落ち込む自分を気遣ってくれた友人に、この話にはもう触れないでおこうと祐介は心の中で固く誓った。だがこの一連の遣り取りを窓際に近づいていた人型が見ていた。
(話に夢中でこっちには気づいてないみたいだ。でも万が一を考えると、こっちに行った方がいいかな)
人型はホログラムを消してザクロロックシードの残骸に戻ると、空中を漂い開けっ放しの窓から部屋に侵入。そのまま信吾の制服の上着のポケットに入った。そのことに2人は気づかない……
久々すぎてこんな出来でいいのか不安ですが、とりあえず今回はここまでとさせて頂きます。