インフィニット・ストラトス―失われた未来― 作:レイブラスト
それと最後に、悪維持さんとのコラボでとあるキャラクターが出ます。
「織斑春也の……幽霊?」
保健室にて眠り続けている信吾の傍で、ドロシーは凌馬に対し首を傾げた。他には真白と祐介と咲良が居る。
「非科学的だが、そうとしか考えられない。変身後の姿や声、そして言動。その全てが織斑春也そのものだったんだ」
「非科学的とかそんなんどうだって構いまへん。肝心なのは、織斑春也の霊が居てそれが信吾に乗り移ってるってことや。あの声は資料音声で聞いたんと同じやったし……戦極社長、織斑先生、何か手は無いんですか?」
「手と言われても、現状どうしようもないよ。相手は実体が無い上に、手掛かりになるであろうロックシードと戦極ドライバーは黒樹信吾の体内に入ってしまったんだ」
「目が覚めるのを待つしかありませんね」
「大丈夫? 目が覚めたらまた乗っ取られてるとかない?」
「やめてくれへんかドロシーはん? そうなったら、いよいよわしらにはどうしようもなくなるで」
「……戦うしかないと思います。彼の目的が復讐な以上、放っておいたら危険になりますから」
「そら、理屈で考えたらそうやろうけど……」
苦渋に満ちた表情で真白が言い、祐介が納得できずに言いかけた時、寝ていた信吾の目が開きゆっくりと身を起こした。
「! 黒樹さん、気がつきましたか?」
「…………………」
信吾は無言で真白達の顔を確認した後、ニヤリと笑った。その目は赤く光っていた。
「まずい、乗っ取られている! 可能性としては考えてたけど、こんなに早いとは!」
「ドロシーはんがフラグ建てたからと違うか!?」
「え、私のせいなの!?」
『言い合っている場合かい? 今回はもう容赦しない。さっきは見せられなかった切り札を見せてあげるよ』
立ち上がった信吾……春也は、戦極ドライバーを装着するとザクロロックシードと銀色の無機質なロックシードを取り出し解錠した。
『ザクロ!』 『リベンジャー!』
「リベンジャー?」
『フッ……変身!』
2つのロックシードをドライバーにセットすると、施錠した後すぐにカッティングブレードを倒して輪切りにした。
『ロック・オン!』
『ソイヤッ! ブラッドザクロアームズ! 狂い咲き・サクリファイス!
ハッ! リベンジャーアームズ! 絶・対・勝・者!!』
音声が鳴り、春也は左側と右側が銀色の機械的なアームズに変化した、仮面ライダーセイヴァー リベンジャーアームズに変身した。
『はあっ!!』
セイヴァーアローをいきなり振るってくるセイヴァーに、凌馬達は慌てて廊下に出る。
「君達は下がっててくれ。……変身!」
『レモンエナジー!』
解錠したレモンエナジーロックシードをゲネシスドライバーにセットし、シーボルコンプレッサーを握り押し込む。
『ロック・オン!』
『ソーダ! レモンエナジーアームズ! ファイトパワー! ファイトパワー! ファイファイファイファイファファファファファイト!!』
「はあああああっ!!」
デュークに変身した凌馬はソニックアローを持って接近する。だが……
ドンッ!!
「ぐはっ!?」
突然衝撃が全身を襲い、仰向けに倒れる。見ればセイヴァーの腹部に衝撃砲のようなものがついている。
「い、今のは……」
『まだまだだ!』
衝撃砲発射口が消え、今度は肩にレールカノンが現れ、デュークの身体が金縛りに遭ったかのように動かなくなる。
「今度はAICか!?」
『食らえ!』
レールカノンの弾が直撃し、デュークは後ろに吹っ飛ばされる。
「ぐあっ……その銀色のロックシード、まさかとは思うが、5年前の専用機のデータが入っているのか?」
『正確にはあの戦いで君達が使ったISロックシードのデータだよ。一週間で全部集めるのは苦労したけど、お陰で僕は最強の力を手に入れることができた。……さあ、一夏姉さん達が使っていた武器で殺されるがいい!!』
次いで雨月と空裂を握り締めてゆっくりと歩み寄る。
「お、おい。これ加勢した方がええんとちゃうか!?」
「加勢って、武器も無いのに無茶だよ!」
「せやかて、これ以上ダチの身体勝手に使われて好き勝手されるんは、我慢できんのや!!」
「菊池君……ですが……」
「………………」
祐介の必死の形相と凌馬に迫るピンチに、ドロシーは黙考した後意を決してあるものを差し出した。
「菊池君、これを使って。プロテクトは解除してあるから、実戦モードでいけるよ」
「え、これって……戦極ドライバー!? なして君が……まあええ、理由は聞かん! それよりもこれがあるなら次はロックシードや! マツボックリの奴あるか?」
「マツボックリロックシードじゃさすがに勝てないよ」
「なら他の奴は!?」
「1つだけ……とっておきのがあるからそれを貸してあげるね」
焦る祐介に答えたドロシーの言葉に、真白と咲良は唖然としていた表情を更に驚愕とさせた。
「ドロシー、貴女まさか!」
「ダメです! 一般人の前でそれを使っては!」
「ごめんなさい真白お姉ちゃん、咲良さん。でも私、プロフェッサーのピンチを見過ごすなんて出来ない! ……菊池君、私を使って!!」
そう言うとドロシーの身体が光り、青いロックシードとなって祐介の手に渡った。
「うぇええええええええええええ!!?? ド、ドロシーはんがロックシードになったぁぁぁあああああああああああああ!? ど、どういうことなんやこれ!!」
『ごめん、今は説明してられない! とにかく私を使って変身して!』
「しかも喋ったぁ!? ああもう! 訳わからんけどやってやろうやないけぇ!!」
『ブルー・ティアーズ!』
勢いでドロシーが変化したブルー・ティアーズロックシードを解錠し戦極ドライバーにセットする。音声を聞いたセイヴァーとデュークが驚いて見る中、カッティングブレードを倒して輪切りにする。
『カモン! ブルー・ティアーズアームズ! Snipe the Target!!』
アームズが頭に被さって展開し、祐介をブルー・ティアーズアームズに変化させた。
「っしゃ! 次は何をすればええ!?」
『ビットを飛ばして! 肩とライフルに装備されてるから、それに意識を集中させるの!』
「肩とライフルに……こうか!」
言われた通り意識を集中させると、両肩とライフルからビットが離れて浮遊する。
「おお、出来た! なるほど、こんだけ簡単なら後もできるやろ! 行けぇ!!」
『あ、待って! 闇雲にやっても―――』
言い切る前にビットからレーザーが発射され、彼自身もライフルの引き金を引く。発射された弾は一部デュークを掠めつつセイヴァーへと向かった。
『甘いね!』
だがセイヴァーは余裕綽々といった様子でレーザーを弾いていく。だが油断し過ぎていた為、弾いたライフルの弾が床で跳弾し、ザクロロックシードに直撃してしまった。
『ぐあああっ!?』
苦しみ蹲るセイヴァー。デューク達は何事かと顔を見合わせる。
「……効いたんか?」
「どうもそうらしい……」
『くっ、よくもやってくれたな…………ぐっ!?』
立ち上がったセイヴァーは頭を押さえた。本体であるザクロロックシードにダメージを受けた事で、信吾との同調がズレ始めたのだ。その証拠にセイヴァーの身体から這い出る様に信吾の手や顔が見えてくる。
「よ、よくわかんないけど、このチャンスは逃がさない……!」
『ぼ、僕から離れようと言うのか!? そうはさせないぞ……!』
「っ! 皆、彼を引っ張るんだ!」
「おっしゃ!」
『な、何をする!?』
咄嗟にデュークが呼びかけたことでその場の全員が信吾の腕を引っ張る。ややあって、必死に抵抗するセイヴァーから信吾が完全に抜け出た。
「うおっと!? だ、大丈夫か信吾?」
「ああ、大丈夫だ。心配掛けて、ごめん」
「構へん構へん! 君が無事ならそれでええんや」
「気を抜くのはまだ早いよ。まだ戦いは終わってないんだ」
『せ、折角の人質が……! だがまだだ! リベンジャーアームズがある限り、僕の勝利は揺るがない!』
フラフラと立ち上がりながら、己が作った最強のロックシードに信頼を寄せる。そんな彼を尻目に、デュークは真白達を見た。
「さて、ドロシーちゃんはもうやってるみたいだけど、彼の力に対抗するには真白ちゃん達の力を借りる必要がある。できるかい?」
問いかけに真白と咲良は顔を見合わせると、同時に頷いた。それを確認するとデュークは信吾を見た。
「黒樹信吾君。救出したばかりで悪いけど、君にも協力して貰うよ。何せ数が足りないからね」
「変身しろってことですか?」
「そうだ。戦極ドライバーは真白ちゃんが持ってる筈だから、それを使ってくれ」
言い終えると同時に真白が信吾に戦極ドライバーを渡す。
「あー、信吾? いきなりで訳わからんと思うけど、次はロックシードの話になると思うから、もっと訳わからんくなるから気ぃつけや」
「え?」
「真白ちゃん、頼む。咲良は私を頼むよ」
「はい」
「任せて下さい」
2人の身体が光に包まれてロックシードに変化し、それぞれ戦極ドライバーを巻き付けた信吾とデュークの手に収まった。
「えええええええええええええええええっ!? な、何だこれぇぇぇぇえええええええええええええええええええ!!!!」
「……な? 驚くやろ?」
「悪いが説明している時間も惜しい。早く変身を!」
「うぇ!? は、はい!」
『白式!』
『暮桜!』
混乱しながらもデュークと共にロックシードを解錠。戦極ドライバーにセットし、カッティングブレードを倒して輪切りにする。
『ロック・オン!』
『ソイヤッ! 白式アームズ! 雪片・セカンドステージ!!』
『カモン! 暮桜アームズ! 零・落・白・夜!!』
出現したアームズを頭から被り、2人は白式アームズと暮桜アームズに姿を変えた。
「えっと……正直開いた口がふさがらない程に驚いているけど、その、あ、改めてよろしく。真白さん」
『ええ、よろしくお願いします』
「ではまず私が先陣を切る。黒樹君は後に続いて攻撃。菊池君は後方からの援護を頼む」
「「わ、わかりました!」」
「行くよ咲良!」
『はい!』
『カモン! 暮桜スカッシュ!!』
カッティングブレードを倒し、雪片のエネルギー刃を展開する。一連の流れを見ていたセイヴァーは、忌々しげにカッティングブレードに手を掛けた。
『今更ISアームズが3つ出てきたところで無駄だ! 僕は全ての力を一度に使える! 数が違うんだよ!!』
『ソイヤッ! ザクロスカッシュ!! リベンジャースカッシュ!!』
音声と共に衝撃砲、ビット、クロスボウ型ブラスターライフル、雪片、雪片弐型等の武器が一斉に召喚される。
『死ねぇぇぇぇええええええええええええええ!!』
手に握った雪片と雪片弐型を向けることで一斉攻撃が始まるが、デュークはそれらの攻撃を潜り抜けてセイヴァーに一太刀浴びせた。
『がっ!? ば、バカな……!』
「さっきは驚いてバカ正直に食らったけど……考えれば、一夏ちゃん達の方が鋭かったよ」
『ふ、ふざけ―――』
「2人とも、今だ!」
『ソイヤッ! 白式スカッシュ!!』
『カモン! ブルー・ティアーズスカッシュ!!』
「「はああああああああああああああああああ!!」」
カッティングブレードを同時に倒し、まず信吾が接近し雪片弐型で横一線に切り裂く。続いて祐介がライフルで狙いをつけ、ビットの一斉射をお見舞いした。
『ぐあああああああああああ! そ、そんな……ぼ、僕はまた負けるのか!?』
「織斑春也。私が言えることじゃ無いかもしれないが、こう言う言葉があるのを覚えた方がいい。……この世に悪が栄えた試しは無い、ってな」
『あ、悪……僕が、悪……!? うあああああああああああああああっ!!』
自分が悪だと指摘されて動揺したまま、セイヴァーは爆散した。それを確認してデューク達は変身を解除。同時に真白達も元に戻った。
「終わったのか……?」
「多分……」
「……さてと。黒樹信吾君に、菊池祐介君。ぶっつけ本番で戦ってくれたことに心から感謝する。だけど、君達は真白ちゃん達の秘密を知ってしまった。ま、ドロシーちゃんの独断と私の指示のせいだけどね」
「うっ…ごめんなさい……」
「お、俺達はどうなるんですか?」
「心配しなくてもいいよ。別に社会的に抹消したりとかそんなことはしない。ただ、記憶を消して秘密を忘れるか、全てを知って私達の仲間となるか……そのどちらかを選んで貰う。ちなみに、リスクが低いのは前者だと予め言っておく。後者の場合だと、無断で誰かに話したりしない様監視がつくからね」
凌馬の言葉に2人は顔を見合わせる。
「今すぐどうするか言わなくても構わないよ。じっくり考えて返事を決めて欲しい(と言っても、彼らの目を見ていれば返事は自ずとわかるけど。それに……秘密の内容やこちらからスカウトしたかの違いはあれど、遣り取りは箒ちゃん達の時とほぼ同じなんだよね)」
どこか懐かしさを感じつつ信吾達の話し合いを眺める。が、その途中でセイヴァーが爆散した場所を見た。
(それにしても一週間でこんなロックシードを作るとは……余程執念深かったってことか。バカは死ななきゃ治らないとは言うが、お前の場合死んでも治らなかったみたいだな)
リベンジャーロックシードの残骸を拾いながら、凌馬はそんな皮肉を考えた。
AR学園 海岸
『はぁ……はぁ……リベンジャーロックシードが破壊されるなんて……何故だ! 一夏姉さん達が使っていた時は、トランスフォーマーを圧倒していたのに!!』
ホログラム状態でノイズを走らせながら、春也は這々の体で海岸を歩いていた。リベンジャーロックシードを犠牲にしたものの、爆発に紛れて辛うじて逃げていたのだ。
「力を力としか捉えてないようじゃ、負けるに決まっているわよ」
『! 誰だ!?』
声を掛けられその方向を見る。そこには1人の少女が春也を見据えて立っていた。
「アタシは兵鬼薫。織斑春也……貴方の魂を回収しに来た者よ」
彼女が何者でどこから来たのか。それを語るには、少々時間を巻き戻さねばならない。
という訳で、悪維持さんのところのキャラクター、兵鬼薫が登場しました。彼女が来た理由等は次回明らかとなります。