インフィニット・ストラトス―失われた未来― 作:レイブラスト
半年後―――
『みんな準備はいいかい? それじゃあ、スタートだ!』
スピーカー越しに響く凌馬の声と共に一夏は『L.S.-07』と書かれたオレンジロックシードを、セシリアは『L.S.-08』と書かれたバナナロックシードを、箒は『L.S.-SILVER』と書かれた銀のリンゴロックシードを、マドカは『E.L.S.-03』と書かれたピーチエナジーロックシードを握り締める。
『オレンジ!』
『メロン!』
『バナナ!』
『ドリアン!』
『シルバー!』
『ピーチエナジー!』
各ロックシードを解錠することで一夏の頭上にはオレンジを模したオレンジアームズが、セシリアの頭上にはバナナを模したバナナアームズが、箒の頭上にはリンゴを模したシルバーアームズが、マドカの頭上には桃を模したピーチエナジーアームズが、千冬にはメロンアームズが、ラウラにはドリアンアームズが出現する。
「「「「「「変身!」」」」」」
『『『ロック・オン!』』』
ISモードに変更したドライバーにセットしてロックをかけると一夏と箒の戦極ドライバーからはホラ貝の音が、セシリアの戦極ドライバーからはファンファーレが流れ始め、それぞれカッティングブレードを倒して輪切りにしたり、シーボルコンプレッサーを押し込んだりした。
『ソイヤッ! オレンジアームズ! 花道・オンステージ!!』
『ソイヤッ! メロンアームズ! 天・下・御・免!!』
『カモン! バナナアームズ! Knight of Spear!!』
『ドリアンアームズ! ミスターデンジャラス!!』
『ソイヤッ! シルバーアームズ! 白銀・ニューステージ!!』
『ソーダ! ピーチエナジーアームズ!!』
ロックシードから一斉に音声が流れ、一夏は紺色の、セシリアは赤と白銀の、箒は額に大きな前立のある水色と銀色のライドウェアに全身を包まれ、マドカはピンクと黒のゲネティックライドウェアに包まれ、それぞれアームズが頭に被さって展開。装甲として装着され一夏は仮面ライダー鎧武 オレンジアームズに、セシリアは仮面ライダーバロン バナナアームズに、箒は仮面ライダー
「行くぞ、一夏!」
「今日こそは勝ってみせる!」
「勝負だ!」
「全力で行きますわよ!」
「さあ…始めるか!」
「いざ尋常に……勝負!」
そして、6人のアーマードライダー達が得物を手に戦いを始めた。
「へえ、凄ぇな。3人共この半年間で、劇的な成長を遂げているぜ」
「でしょでしょ! やっぱ凄いよね、いっちゃん達!」
「訓練開始直後はほぼ一方的な試合展開が多かったけど、今じゃ何度か白星を入れているし。そろそろ実戦に出しても……ん?」
その時パソコンに一通の電子メールが届いた。何事かと開いて読むと、凌馬の表情が真剣そのものに変わった。
「もしかして、久しぶりの依頼?」
「正解だ。スコール、シミュレーションを中止させてくれ」
「わかったわ」
鎧武達が戦っていると、突然アラームと共に部屋が通常の無骨なものに変わる。何らかの要因で模擬戦が中止になった証だ。
『諸君、悪いが今日の訓練は中止だ。たった今日本政府から直々の依頼が届いた』
「日本政府から? それでミッション内容は?」
『1時間前、更識家の跡継ぎである更識刀奈とその妹の更識簪が、反政府組織によって誘拐された。彼女達を救出して欲しいというのが依頼内容だ』
「更識家って何? 有名なの?」
「極一部の人間しか知らない、対暗部用暗部組織だ。私も最近まで詳細を知らない程徹底して存在が秘匿されてる筈だが……裏切り者でも出たか?」
『その辺は誘拐犯にでも聞くとして、座標情報を送るからすぐに出動準備をしてくれ』
「了解しました。出撃メンバーは?」
『今シミュレーションルームに居る全員だ。作戦は追って伝える』
「「「っ……!!」」」
凌馬の言葉に鎧武、バロン、冠が緊張する。ついにこの時が来たのだと実感していた。
「聞いたな? ではみんな、行くぞ」
「う、うん」
「フッ、そう緊張することはない。今までの訓練を思い出して、全力でやるんだ」
緊張している3人に向けてアドバイスすると、斬月は部屋の出入り口へと向かった。
森の中にある、開けた場所に立てられた廃屋―――
この中に両手両足を縛られ、身動きが取れなくなっている姉妹―――更識刀奈と更識簪が居た。
(油断したわ……まさか白昼堂々と誘拐するだなんて。休日だからってISをメンテナンスで置いて来るべきじゃなかった)
「お、お姉ちゃん……」
「大丈夫よ、簪ちゃん。私がついているから、ね?」
不安そうな表情と声色の簪を安心させるべく言うが、状況は芳しくなかった。廃屋にはISを装備した女が1人とマシンガンを持った男が2人。外にもIS二機と武装した男が数人で警備していた。
「チッ、まだか? 要求は伝えた筈だろ?」
「焦らないの。いずれ来る筈だから。まあ来なければ……コイツ等は死ぬけど」
ISの武装を2人に向けながら言う女に、刀奈は今後どうすればいいか何度も思考していた。
バァンッ! バァンッ!
「きゃあっ! な、何!?」
当の外では、ISの一機に弾丸が命中し操縦者が悲鳴と戸惑いの声を上げていた。武装兵達の視線と銃口が一斉に向けられると、無双セイバーの銃口を向けた斬月とマリカ、冠が歩いて来ていた。
「貴様等、何者だ!?」
「その姿……まさか、噂に聞くアーマードライダー!?」
「答える気はない。ただ、貴様等を倒す存在とだけは言っておこう」
「そう警戒するな。安心しろ、抵抗しなければ命までは取りはしない」
「向かって来る以上はどうなっても責任は取らんがな……!」
斬月達はメロンディフェンダーと無双セイバー、ソニックアロー、杖型武器・蒼銀杖を構え、武装兵達を睨んだ。
「? 外が騒がしいわね……何かあったのかしら」
廃屋内では外の戦闘音に気づいたIS操縦者が武装兵と共に入り口へと近づく。刀奈と簪も何が起きたのかと顔を見合わせた―――そのタイミングで裏口から鎧武、バロン、ブラーボが鍵を破壊して侵入。鎧武とバロンが刀奈と簪の拘束を外しにかかる。
「!? 貴方達は……!」
「待ってて下さい。もうすぐ外れますから」
そして外し終えた丁度その時、ハイパーセンサーで動体反応を探知したIS操縦者が銃器を構えて振り返った。
「アンタ達何者!? 人質を逃がそうってんなら、そうはいかないわよ!!」
「くっ、まだか!?」
「もう少し……外れましたわ!」
「こっちも!」
「彼女達は私に任せろ。敵の対処は頼んだぞ!」
そう言うとブラーボは刀奈と簪を連れて裏口から外に出て、鎧武はオレンジの断面を模した片刃剣・大橙丸を、バロンは槍型武器・バナスピアーを構えて立ち上がる。
「行きなさい!」
操縦者のが立場が上なのか、命令された武装兵達が前に出てマシンガンを撃ちまくる。しかし鎧武とバロンは多少痛いと思いつつも銃弾の中を突っ切り、それぞれの武器でマシンガンを弾き飛ばすと首に手刀を当て、気絶させた。
「やっぱり通常火器は効かないか。でもいくら
ドガガガガガ!
「お生憎様! はああああああ!!」
放たれる弾丸を回避しながら接近し、鎧武は大橙丸と無双セイバーの二刀流でISを斬り伏せる。
「これはISではございませんのよ!」
怯んだところにバロンがバナスピアーで突きをかまし、ISに膝をつかせる。これだけの攻撃でシールドエネルギーが半分も減っていることに操縦者の女は驚いた。
「そんな……ISが負けているだなんて!?」
「ISも決して絶対って訳じゃないんだよ! 行こう、セシリア!」
「ええ!」
ISの前後で挟み撃ちにする形に位置取ると、鎧武は大橙丸と無双セイバーの柄の底を合体させてナギナタモードにし、戦極ドライバーから外したオレンジロックシードを無双セイバーの窪みにセットしてロック。バロンはカッティングブレードを一回倒す。
『ロック・オン! イチ・ジュウ・ヒャク・セン・マン! オレンジチャージ!!』
『カモン! バナナスカッシュ!!』
「はあああああああああああああああ!!」
「輪切りにしちゃうんだから! セイハァァァアアアアアアアアアア!!」
無双セイバーから放った光刃がISの動きを封じ、バロンが巨大なバナナを模したエネルギーを纏ったバナスピアーで突き飛ばす。吹き飛んだ先に居る鎧武が大橙丸でISを切り裂き、機能停止に追い込んだ。
同時刻、外ではマリカと冠がISと一対一で優位に戦っており、斬月は武装兵達を手玉に取っていた。
「はあっ! せえいっ! どうした!? 向かって来る奴はもういないのか!」
残り1人となった武装兵に斬月は無双セイバーの切っ先を突き付けながら言うと、持っていた銃を捨て降参してしまった。彼女は内心、「骨の無い奴だ」と毒づいた。
ISと戦っていたマリカと冠は、頃合いを見計らってゲネシスドライバーのシーボルコンプレッサーを一回押し込み、カッティングブレードを一回倒した。
「一気に決めるか!」
『ピーチエナジースカッシュ!!』
「一撃必殺、覚悟しろ!」
『ソイヤッ! シルバースカッシュ!!』
マリカはソニックアローの両端についた刃・アークリムにエネルギーをチャージして振り回し、冠はエネルギーを溜めた蒼銀杖をジャンプしながら突き刺し、ISのエネルギーを一気にゼロにした。
「量産型とは言え、この程度か」
「これがアーマードライダーの力……プロフェッサーが無闇にひけらかすなと言っていたのが、改めて実感できる……」
戦闘を終え、IS操縦者や武装兵達を拘束していると裏口から脱出したブラーボ達が合流。続いて正面の出入り口から鎧武とバロンが拘束した人物達を連れて合流した。
「ごめん、少し時間が掛かっちゃった」
「気にするな。初任務でこれ程ならむしろ十分だ。さて……大丈夫か?」
助け出された姉妹の顔色を伺いながらブラーボが尋ねると、おっかなびっくりしながら刀奈がこくりと頷く。
「え、ええ。私は大丈夫……それより簪ちゃん! 大丈夫? 怪我してない? どこか痛くない!?」
「だ、大丈夫だよ! そんな大げさに……」
「だって…私のたった1人の妹なのよ? 貴女に何かあったら、私……」
「お姉ちゃん……」
「……すぐに戻らないとまずいんだがな」
「もう少しこのままにしてあげようよ」
「フッ、そう言うと思ったよ」
安堵の涙を見せながら簪を抱き締める刀奈を見て、鎧武と話していた斬月は小さく笑みを零した。